「悪くはないが、微妙」ヴェノム ザ・ラストダンス 映画太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはないが、微妙
はっきり言ってこの映画は、悪くはないが微妙だなと感じる映画だった。
まず良かった点として、ヴェノムとエディの掛け合いだろう。相変わらずユーモア溢れる会話やヴェノムに振り回されるエディは見ていてとてもおもしろかった。また、今回でヴェノムは死んでしまったわけだが、その際の会話や戦闘が終わった後にヴェノムが見てみたいと言っていた自由の女神を見るエディは寂しさと友情を感じさせた。 さらに、今作では様々なシンビオートが仲間として登場し、戦闘シーンでもシンビオート特有の戦い方が見られた。人間とシンビオートが協力して戦うさまは最終章に相応しい光景だったし、アクション面でも良いと感じることができた。
次に悪い点だが、ラスボスの影が薄すぎるということだ。
今作のラスボスは、「ヌル」というかつてシンビオートを創造し、なぜか裏切られ宇宙のどこかに幽閉されている、という設定だ。その監獄から抜け出す鍵をヴェノムとエディだけが握っており、そのためヴェノムたちを捕えるために手下のモンスターを送ってくるのだが、もうすでに謎が多すぎる。
なぜ裏切られたのか、どのようにして幽閉されてしまったのか、幽閉されているのにも関わらずなぜ手下のモンスターは普通に移動ができるのか、なぜ今になって動き出したのか、など。 結局これらの謎はいっさい解決されず、ヴェノムが死に鍵が失われたことで一旦は解決となった。しかし、終盤では自らの脱出方法が失われたにも関わらず、なぜか余裕な態度を見せており、これも自分を混乱させた。
次に、少し気になったのがペイン博士の登場だ。ペイン博士は、幼いころに雷に打たれ、その近くにいた兄弟が亡くなっており、現在ではシンビオートの研究をしていた。最後には、自らもシンビオートと融合し、皮肉にも稲妻を体に宿したかのように早く移動することができる能力を得て仲間を助けた。
この博士も今作では主要キャラの1人だが、ここまで深ぼっておいてこの活躍量は少し気になるところだった。正直このキャラクターと同じく研究者だった別の人間のほうがシンビオートと早々に融合し戦っており、なぜかサブキャラ的な存在のほうが活躍していた。なぜ登場したのか意図がいまいちわからないキャラクターだった。
まとめとしては、主人公たちの絆が感じられ感動できた一方で、謎の多すぎるぽっと出のラスボスに、いまいち存在理由のわからない主要キャラなど、微妙な点も多かった。
結局のところ、ラスボスは倒せていないので、なにかしら続編に期待したいところだが、もうすでにヴェノムは死んでしまっているので、別で主人公が立てられるのではないか、と予測できる。もし続編があったとしても、ヴェノムの死は噛ませ犬的なものだったのではないか、と個人的には納得はいかない。
とにかく、悪くはないが、かなり微妙だった、というのが正直なところだ。