「ラスト・ダンスという名の通り」ヴェノム ザ・ラストダンス ふぇるさんの映画レビュー(感想・評価)
ラスト・ダンスという名の通り
ヴェノムは死に、シリーズも死す。
近年ソニーのマーヴェルフランチャイズはスパイダーバース以降芳しくなく、マダム・ウェブに続き、ヴェノムまで標的になってしまったのかと思ってしまう。
だが、この程度の内容でGOサインを出してしまう制作側に問題があるのは目に見えて分かるだろう。
本作は109分とそれほど長くは無い。エンドロールを差し引いたら100分程だろう。ちなみに1作目は97分と今作よりも短い。この100分程の短い時間で今作はダラダラとロードムービーの様なものを見せられる。それも大したアクションも無く、殆どがエディの独り言である。
敵はヴェノムが完全体になった際に発信されるコーデックスを察知して居場所を特定できる。つまりエディが独り言を言っている間はアクションは起こらなくて当然である。
宿敵のヌルは終始俯き顔で終盤になっても実戦に出てくる気配はなく、ひたすら頭皮を見せるだけである。
最後に顔を上げるが、キャストを充てたドッキリなどでも無くCGキャラクターの為、特に何の感情も浮かばない。
ちなみに配役は前作では監督でもあったアンディ・サーキスである。
終盤ではヴェノムアベンジャーズの様な事をしたかったのかもしれないが印象に残るところは無く、多数のキャラクターの無駄である。
ここで疑問に思うのが、1作目や今作でも説明されているシンビオートの共生に適合するのが難しいという設定があったと思うが、終盤の戦闘ではそこら辺にいる研究員に寄生して戦闘をしている。これではエディとヴェノムの特別性が無くなってしまう。過去にもシーヴェノムは何度か出てきてはいるが短時間だったので問題がなかったのだろう。
シーヴェノムに関係してなのだがエディとヴェノムの別れ際の会話でヴェノムが「最後に彼女に会いたかった」という台詞があるがこの後に続くのは前作までに出てきた“アン”では無く、自由の女神という頓珍漢な会話になっている。まさに今作がシリーズ過去作とは決別し、自ずと死に向かっていくのを観客側も受け取れる迷台詞になっているのではないだろうか。
エディがニューヨークに行く実際の理由は先日制作が発表されたスパイダーマン4との関係を持たせようとしているのかもしれないが、前作のポストクレジットでスパイダーマンが出てきた事は全く今作には関係していないので今後も何もなかったとしても不思議ではない。