「小品ながら巧妙な掛け合いを堪能」ウルフズ 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
小品ながら巧妙な掛け合いを堪能
ジョン・ワッツ監督はスパイダーマン映画に抜擢される前に軽量級の良作『コップ・カー』で広く認知された人。だからこそ『ウルフズ』へのコミットメントが発表された際、私は同じ妙味へのカムバックを期待した。結果から言うと、期待値を突き抜ける快音とまではいかないが、少数精鋭のキャストの味わいを適度に凝縮させた手堅い一作であるのは確かだ。その中心に据えるべき必要不可欠なレシピは、一眼でただものでないこと、プロフェッショナルであることを納得させうるスター俳優二名様。彼らは自らが唯一無二であると主張しながらも、やることなすこと表裏一体なのだから面白い。ある意味でブラピ&クルーニー版『Mr.&Mrs.スミス』のように思えたりも。二人の巧妙な掛け合いを見つめているだけで108分は小気味よく過ぎていく。劇場に比べて気負いなく観れるストリーミング公開は、作品のリラックスしたムードともいささか相性が良いように思えた。
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