「爽快感無し。主題がボンヤリ。」十一人の賊軍 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
爽快感無し。主題がボンヤリ。
山田孝之主演ということだけで、何か面白いものを見せてくれそう、という期待で観賞。
【物語】
舞台は1868年、明治新政府樹立直後。鳥羽・伏見の戦いをきっかけに、薩摩藩・長州藩を中心とする新政府軍と、旧幕府軍が戦った戊辰戦争の最中、旧幕府側として結成された奥羽越列藩同盟にやむなく加わった新発田藩は、官軍が目の前に迫っても兵を挙げようとしなかった。
業を煮やした同盟の代表が兵を伴って新発田城に乗り込み藩主と直談判すると宣告。一方、官軍からもその翌日に新発田城に交渉に来ると伝えられた。何とか戦を回避することを最優先に考えていた家老溝口内匠(阿部サダヲ)は、万一同盟軍と官軍が鉢合せすると、その場で戦が始まってしまうため、回避する方法に知恵を絞る。表では同盟に従うフリをしてさっさと追い返し、同盟軍が引き上げるまでは新発田城への通り道にある砦で同盟軍のフリをして官軍の通行を封鎖する策を考える。
深い谷に架けられた橋を守る砦に送られたのは3~4人の藩士と藩に捕らえられていた10人の重罪人(山田孝之ら)だった。罪人達はその任務に成功すれば無罪放免というエサをぶら下げられ、砦に向かう。
【感想】
イマイチ楽しみ切れなかったというのが正直なところ。
まずタイトルから“七人の侍”みたいな、縁もゆかりも無い男達が最初はバラバラだったが何かを機に一致団結し、熱く戦い、想定外の戦果を残すみたいな展開をどうしても思い浮かべてしまった。勝手に想像したのだから文句は言えないが、そういう興奮や結末に関する爽快感は全く無い。
中盤までは想像の範囲内でストーリーは展開するのだけど、終盤からラストに掛けての展開は予想外。意外性が面白く感じる方向に行くのなら良かったのだが、
「あれあれ、この話はどこへ向かってるの?」
と、どんどんモヤモヤしてしまった。
特に、中盤までの主役は明らかに罪人達で、「罪人達個々の人生の背景や価値観みたいなものが次第に明らかになりつつ、官軍との戦いに挑む」までは想定どおりではあるが、最後はあたかも「優柔不断、かつ理不尽と思える家老溝口内匠(阿部サダヲ)の言動は深謀遠慮の結果であった」的な話にすり替えられた感を味わう。 一体本作は何を描きたかったのか?とモヤモヤしてしまった。
俺的には結末というか、作品の主題が消化不良だった。