「時代劇、そして戦争映画としての傑作」十一人の賊軍 HKさんの映画レビュー(感想・評価)
時代劇、そして戦争映画としての傑作
時代劇に多い、義を貫き通して最後に報われる、
本懐を遂げて美しく散る、という描写はほとんどなく、
憎まれっ子世に憚るで、現実の苦さ、残酷さを容赦なく見せられるので、
鑑賞後は清々しい気持ちにはならなかった。
興奮するカッコイイ殺陣やスカッとする部分もあるが、
それよりも容赦なく提示される戦場の音響、傷跡、肉塊、死体、
そして手持ち撮影やクローズアップ気味のスピード感あるフレーミングによって、
自分が戦場にいるように錯覚させられる。
だから戦争映画という印象も強く受けたし、
いつもなら時代劇や戦中を描いた映画を別の世界、別の時代の話として第三者的に見て、
勇ましさ、心の美しさ、ときに悲劇に感動していたものが、
現実はこうだと否定、圧倒させられ、我が事として何かズシリと突きつけられた気分になった(最近シヴィル・ウォーを観た影響もあるかな…)
間違いなく新しい時代劇の傑作だと思うし、
キャッチコピーの”リアル”を体感するために、ぜひ映画館でみてほしいです。
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