ホウセンカのレビュー・感想・評価
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優しさは、弱さじゃない。秘めた熱い想いは、きっと貴方に届く🙏
壊れることが怖くて、人はときどき優しさを隠す。
でもこの映画は、その“壊れやすさ”の中にこそ本当の美しさがあると静かに教えてくれる。
触れたら弾けるホウセンカのように、登場人物たちは皆、それぞれの痛みを抱えながらも、
誰かを想い、誰かを守ろうとする。
派手な展開はない。
けれど、光の揺れや沈黙の時間、
ひとつの仕草にこめられた祈りのようなものが、心の奥にゆっくりと染みてくる。
「人は散りながら、誰かを照らしている。」
観終わったあと、静かな余韻とともにそう気づかせてくれる作品。涙ではなく静かな息がこぼれた。
エンドロールの優しいアレンジ版「スタンド・バイ・ミー」が、心に染みる。一瞬で弾けて輝くものの象徴と思われる「花火とホウセンカ」が美しくも儚い人生を描く。
人生の大逆転‼️
勝つも負けるも、貴方次第😎
生きることも、咲くことも、
ただ一瞬の奇跡なんだと思う。
🕯️ 優しさは、弱さじゃない。
散っても咲ける。それが人間の、いちばん美しいところ🤫
多くの人に見てほしいが、40歳代後半以降向けかも
派手さはないですがストーリー運びが良く、多くの人に見てほしい良い作品と思います。とはいえ、40歳代後半以降の世代でないと、好みに合わないかもしれません。
(阿久津や那奈の若い時代の描写を、懐かしいと思えるくらいの世代であれば問題ないかと思います。)
伏線については、もう少し改良の余地があったように思います。普段ミステリー系の映画や小説に触れない私でも、これが後でたねあかし用に使われるものだろうと気づけるくらいには、いかにもな感じで登場したように思いました。
隠し場所も、作中にせっかく出てきてもいる神社で良かったような気もします。作中のところだと、30年もの長期間、第三者に見つからずに無事に残っているのは難しい気がします。
予想以上に落ち着いたアニメ
これは幻か現実か
しっかりとした内容の良い映画。
かなり昭和的世界観何だけど、時代設定が昭和だからそれで良いのか。
人と人の距離感に関する作品。
狂言回しのホウセンカが、かなり作品に入りやすくしている。
ただ、内容はかなりご都合主義というか、キャラクターが作品の方向の為にだけ生きている感じ。
ラストも金を見つけて終わり…それで良いの?と思ってしまう。
まぁ、それも、主人公が死ぬ前に見た幻と思えばそれで良いのか。
また、実写で観たいな、とも思った。
あるヤクザ者の不器用で純朴な想い
丁寧で緻密な創りが秀逸
「オッドタクシー」の木下麦監督と此元和津也先生がタッグを組み、“一発逆転”をテーマに描いた哀愁漂う極道物語でした。物語はバブル経済に沸く1980年代後半と現代とを行き来しながら進みます。兄貴分・堤(安元洋貴)の罪を被り、30年以上も服役を続ける阿久津実(戸塚純貴〈過去〉/小林薫〈現在〉)の人生が静かに、しかし確かな熱をもって描かれていました。
バブル期、阿久津は飲み屋のホステス・永田那奈(満島ひかり〈過去〉/宮崎美子〈現在〉)と、その連れ子・健介(花江夏樹〈現在〉)と同居していました。“一発逆転”を狙って不動産取引に手を出し、成功を収める阿久津。しかし、健介が心臓病であることが分かり、移植手術に莫大な資金が必要となったことから運命が狂い始めます。跡目争いの渦中、堤と共に組内のライバル・若松(斉藤壮馬)を殺害し、3億円を強奪。無事に健介の移植手術は成功したものの、阿久津は強盗殺人の罪で有罪判決を受けます。
以降、面会に訪れるのは堤だけ。那奈に手紙を送っても返事はない。やがて、強奪した3億円のうち、移植手術に使った2億円などを除く7千万円余りが行方不明で、阿久津がその在り処を知っているらしいと分かる。その金を狙う堤。阿久津はどうやって那奈に金の場所を伝えたのか?極道物にしては静的な展開ながら、金の行方をめぐるミステリーとしても見応えある構成でした。
そして最大の見どころが、題名にもなっている“ホウセンカ”。阿久津と那奈が暮らしていたアパートの庭に咲くその花は「喋る花」であり、生まれたばかりの赤ん坊や死を目前にした人間にだけ声が聞こえるという設定でした。このホウセンカ(ピエール瀧)が狂言回しのように登場人物たちを論評し、彼らの心情を代弁するさまは、人間の愚かさとか愛おしさを同時に照らし出しています。那奈が獄中の阿久津にホウセンカを送ったことで、“檻の中のピエールさん”という皮肉めいた状況にもなって、思わずニヤリとさせられました。
さらに本作は、オセロ、花火、方眼紙、地図、空き地など、一つひとつの小道具に確かな意味を持たせており、その構成の緻密さにも唸らされました。そして先輩・堤と後輩・若松の関係など、組内の人間模様や、大卒ヤクザという存在など、極道物らしく組内の細部の描写も地味ながらも実に丁寧。派手さはないものの、人物たちの感情がじわりと滲む演出が、文学的な深みを生み出していました。
残念ながら絵柄が好みではなかったのですが、それを差し引いても本年トップクラスのアニメだったのではと感じました。
そんな訳で、本作の評価は★4.6とします。
しみじみ、のち、鳥肌。
わあ、なーんかいい話
ありがちだけど癒されるし
登場人物は全員自然体だし
アニキもヤクザなのにいいひとだし
いい気分
なーんてしみじみしていると
最後の10分間(?)
見事に足元をすくわれて、鳥肌。
伏線と気づきもしなかった点と点が、凄まじいスピードで収斂。
あっぱれ!!まさに、「大逆転」!!
エンドロール。
おお
あれは小林薫だったのか!え?もうひとり???
あっ、満島ひかり!宮崎美子!
やっぱりあの声はピエール瀧!
ん?
ノベライズ?
小説が原作、と思ってたら、逆?
鑑賞後、興奮覚めやらず、いつもの友人に速攻でおすすめのLINE。
なにしろ、なーんにも考えずに身を委ねることができて、気分良く涙活、「大逆転」でカタルシス。こんな映画、めったにない。仕事に介護に家事、フル稼働の毎日の、つかの間の自分時間に是非、と。
「日本のアニメは世界に誇れる文化」だと、耳にタコができるくらい聞いてきたが、正直、コスプレとかファンタジーとかジブリのイメージしか持っていなかった。こんなのがあるなんて。「日本のアニメ」、すごいことになってたんですね。
すべては、主人公が死ぬ間際に見た幻なのではないだろうか?
無期懲役囚の主人公と、言葉を話すホウセンカとの、獄中でのやり取りが面白い。
ホウセンカは、死期の迫った主人公の幻覚なのかもしれないが、観客の気持ちを代弁するかのようなツッコミがいちいち的確で、おかげで、無骨で不器用な主人公の本音がよく理解できるようになっている。特に、同居している女性に想いを寄せているのに、籍も入れず、「愛している」とも告げられない主人公の姿からは、昭和の時代の男の美学のようなものが感じられて、その自己満足ぶりが、じれったくも微笑ましかった。
やがて、主人公と兄貴分が、組の事務所で殺人・窃盗事件を起こすに至って、冒頭から物語を引っ張っていた「大逆転」の正体が明らかになってくるのだが、それまで兄貴分に従順だった主人公が、いきなり兄貴分を出し抜く「頭脳派」に転じるところには、やや唐突感を抱かざるを得なかった。こういう展開にするならば、それまでに、兄貴分の「腹黒い」一面を、もっと強調しておくべきだったと思えてならない。
兄貴分の方も、ヒロインの息子が米国での手術を終えて、無事に帰国したことを伝える写真なり、ビデオレターなりを主人公に見せれば良かったのではないかと思えるし、それで兄貴分に7000万円を渡してしまえば、ヒロインと息子が、兄貴分に付け狙われることも無かったのではないだろうか?
そもそも、ヒロインが、主人公のことを「息子の命の恩人」と認識していながら、どうして30年もの間、一度も手紙を出さなかったのか理解に苦しむし、彼女が、30年も経った後に、突然、7000万円の在り処を見つけ出そうとしたことにも違和感を覚えざるを得なかった。
主人公がヒロインに送った7通の手紙の「黒塗り」にしても、ヒロインが、オセロに当てはめて塗りつぶしたのか、あるいは、主人公が、刑務所の検閲によって塗りつぶされるようにしたのかがよく分からす、「なるほど!そういうことか!」というカタルシスが得られなかったのは残念としか言いようがない。
そして、何よりも疑問に感じるのは、ホウセンカ経由で、「ヒントを教えて」というヒロインからの伝言を聞いただけで、彼女が7000万円を手に入れたことを知らないはずの主人公が、本当に「大逆転」を確信して、満足して死を迎えることができたのかということである。
このように考えてくると、言葉を話すホウセンカだけでなく、ヒロインとその息子の現在の姿も、死ぬ間際に主人公が見た幻に違いないと思えてくるのだが、そうした解釈が、あながち見当外れでなかったとしても、それはそれで、心地良い後味の残るハッピーエンドと言えるだろう。
それから、エンディングで流れる「スタンド・バイ・ミー」は、アレンジしたものではなく、あの独特のイントロが確認できるオリジナル版を流してもらいたかったと思ってしまった。
あと、今まであまり意識したことのなかった満島ひかりの「声の良さ」を知ることができたのは、この映画の最大の収穫だったと言っても過言ではないだろう。
地味だけど巧みでいい話
家族とはなにか?
静かで心地よい作品
魂(こころ)が震えた
マジで泣いたんですが。
魂(こころ)震えました。
愛は尊い。
構成力がすごい。
1/3過ぎたあたりから没入し、もう全てはラストへ向けて……
涙、涙。
これ、すごいわ。
『オッドタクシー』のスタッフによる新作映画なので、観る前から期待をしていたのは事実ですが、予想をはるかに飛び越えて行きました。
おすすめ。
ただ、どこがすごいって説明がめちゃくちゃ困難。
何を書いてもネタバレになっちゃうし。
「『この世界の片隅に』ラスト近く広島で拾った子エピソード部と、『漁港の肉子ちゃん』の「無償の愛」「無私の善意」という要素を煮詰めたような傑作」と書くのが精一杯か?
感動度は、この2作の間くらいでしたね。
静かな大逆転
こういうアニメが作り続けられるアニメ業界であって欲しい
監督さんもよく知らず、『オッドタクシー』もよく知らず、でもなぜだか気になって観に行きました(アニメに詳しい方なら、有名な監督さんなのでしょうけども)。
シアターはほとんど貸し切りでした。
公開2週目にして、1日2回の上映。
勿体ないなあ・・・。
テレビを観ない人が増えて、それぞれが好きな動画を楽しむ時代。
なのに、昔より没個性になってるような気がするのは私だけ?
『ばえ』がものを言うということでしょうか?
こういうアニメ、凄くいいのに。アニメの文化が積み上げられてきた日本だからこそ、この良さがわかる人も多いと思うのに。
主人公が昭和感全開のオッサンで、アクションもなければ、トキメキもない。そんな地味なアニメに、心揺さぶられますよ?
映画館からの帰り道に、大切な誰かにお土産でも買おうかな、なんて思わせてくれる作品です。
私は、『本当に大切』とはっきり言える人に出会えた主人公が、いささか羨ましくも感じちゃいましたけどね。
迷ってる方あったら、上映している間に是非観に行ってみてください。
好みはあると思いますが、売れるための『ばえ』ばかり追いかけなくてはいけなくなったら、日本のアニメはいつか廃れちゃうかも。
いやあ刺さりました!
まったく情報なし状態での鑑賞!何しろ個人的理由から土曜日朝イチ上映回の中から選択するのが基本で、近い2つの劇場の中からなんだかわからないまま選んで観た次第です。
しかしながら今回も久々大当たりクジを引き当てた感じです。よかった。多分Z世代にはきっと響かないだろうけど主人公 阿久津に近い僕の世代には刺さるアニメだと思います。是非実写版で観てみたい作品ですよね?!
主人公は小林薫さんでそのままいい気もしますが稔侍さんでもいいかも。役所広司さんだと高くつく?若い頃は最近とみにご活躍の戸塚純貴さんもいい味出してました。
那奈は満島ひかりさん、あるいは木村文乃さんでもいいかも。今の君はピカピカに光ってた宮崎美子さんも素敵でした。堤の兄貴は誰にしましょうか?
どなたかもおっしゃってましたがアニメにした理由がわからないような気さえします。懐かしの『フラワーロック』みたいで喋る口の悪いホウセンカが映像化しづらい?CGでいいですよね。※そういえばピエールさん、おかえりなさい!
キャラクターデザインとしては那奈は可愛いけど阿久津が『あたしんち』のお父さんみたいな鼻から下でしたが!とてもいい映画観せていただきみっけもんでした。もっともっと番宣して多くの方々に観て欲しい映画です!ありがとうございました!
無器用で几帳面。そう生きるしか術の無い男の想いは、はたして相手に届くのか。ホウセンカが時を超え行く末を見届ける、少し不思議なヒューマンドラマ。ややビターですが秀作です。
ノーチェック作品でした。たまたま目についたポスター
画像と作品紹介が印象に残ったので、鑑賞してきました。
アニメ作品で90分というのもGoodです♪
鑑賞開始
主な登場人物は4人。(と、ホウセンカ…? ・△・)
・主人公の30男 阿久津。ヤクザ?
・と同居する女 那奈。水商売あがり?
・主人公の兄貴分 ヤクザの幹部?
・女の産んだ子 男の子。名は健介。父親は?
◇
主役の男は、堅気モノではない。
現在は刑務所で無期懲役の刑に服している。
このところ体調不良。刑務所の自室で寝たきり。
枕元にはホウセンカの鉢植え。
このホウセンカが、阿久津に話しかけてくる。
産まれたてと、死にかけている者にはホウセンカの
語りかけるコトバが分かるらしい。
獄中の阿久津とホウセンカの会話を中心に
現在と、30年前の話とが語られていく。
兄貴分に世話を頼まれた女性と
彼女が産んだばかりの赤ん坊との生活。
二人に無関心を装って暮らす阿久津だったが
共に暮らす内に情も涌いてくる。
そしてその事は、那奈のほうも同様らしい。
赤ん坊が育ち、コトバを覚え始める。
阿久津の事をパパと呼ぼうとする健介。
パパじゃない。阿久津だ。否定する阿久津。…うーん
"パパ でもいいじゃない… " と悲しそうな那奈。
◇
健介の具合が良くない。
心臓の具合が悪いのだ。
助かる為に必要なのは心臓移植。
心臓の空きなど、待てない。
日本国内ではダメだ。アメリカだ。
心臓移植に必要なのはお金。…2億円
そんな大金が…あると兄貴分がいう。
組の金庫にある金を狙う と、兄貴分がいう。
計画に乗る阿久津。 …あぁぁ@△@
組の金庫襲撃は成功するのか?
健介の手術は無事に終わるのか?
阿久津は?(…刑務所か)
那奈と健介は?
どうなっちゃうの?
というお話。
ホウセンカと、獄中の阿久津(老人)の会話で
話が進展するのですが、展開が上手いです。見事です。
さりげない伏線があちらこちらに。沢山。
埋められていることに途中で気付きます。見事です。
観て良かった。・_・v
気になる方、ぜひ劇場でご鑑賞ください。
予備知識なしが良い…かもデス。
◇あれこれ
■鳳仙花(ホウセンカ)
花言葉
・短気、せっかち … そうなんだ。そんな二人には見えなかったです。
・私に触れないで … うーん。触ると弾けてしまうから…なのか?
・心を開く … ” 実が弾けて種を飛ばす様子が、
内面を開放するようにも見える " からだそうです。
夜空に広がる花火と、弾けて飛散する種子。
イメージが重なって見えました。
どちらも刹那の出来事なのですが
花火と違うのは、飛んだ先で再び芽を出すことでしょうか。
■フラワーロック
ホウセンカの動き。
音に反応してサングラスをかけた花が踊るおもちゃ。
昔そんなのがあったなぁ と遠い目。1980年代?
この作品の時代なのかも。
◇最後に
ラストが秀逸でした。
二人で仕上げた手づくりの宝の地図。
獄中から送られた7通の手紙。
方眼紙に書いたような几帳面な文面。
20年所有すれば、自分の物になるという土地の話。
見つけ出した宝。金庫の中には現金8000万近く。
けれど、真のお宝は現金ではなかった。
いずれ本人の手元に届くことを祈って
阿久津が一緒に入れていたのは、一枚の絵。
30年前那奈にせがまれて描いた、那奈の似顔絵。
満面の笑顔の那奈。そして右上には消した文字。
鉛筆で上書きし読めなくしようとした文字。
光に透かしてみると、下の字が読み取れる。
消しきれなかったのは、四つの文字。
” 愛してる ”
30年の年月を経て、ようやく那奈に届いた阿久津の本心。
その瞬間の描き方の、なんと秀逸なこと。
やられました。
このラストシーン、大好きです。
◇追記
杞憂なら良いのですが…
ホウセンカの言葉が分かるのは、
産まれたての命、もしくは死期の近づいた命との事。
そして三十年ぶりに、二人が住んでいたアパートを尋ねた
那奈に、ホウセンカの言葉が聞こえた。
ということは
那奈の命も、もう永くはないということなのか? ・△・?
それとも、庭先のホウセンカを見つけた那奈が
刑務所内の阿久津にホウセンカを送ることで自分の無事を
知らせる事ができると気付いた ということなのか?
考えすぎか、勘違いであることを祈ります。@▲@;
◇余談
ホウセンカ と サルビア。
昔(昭和の頃)の小学校に、よく植えてあった気がします。
校庭の脇とか、中庭の花壇とか。
この作品を鑑賞するうえで、そんなノスタルジックなフィルターが
かかっていたかもしれません。(遠い目)
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
阿久津実という男のセクシュアリティについて
先にお伝えしておくのは、これは私の妄想であり、与太話です!!
そうじゃないだろ、と思われる方もおられると思います。
そう思った感性はとても大事ですので、是非自分のレビューで書いてみてください。
さて、表題についてです。
この阿久津実という男のセクシュアリティですが、
この男、実はヘテロ・セクシャルではないのではないか、という疑惑があります。
もっと具体的に言いましょう。ゲイ・セクシャルかもしれない、と思っているのです。
まず映画上の事実を羅列します。
阿久津実という男はヤクザです。
堤の兄貴を慕っていて、彼のやり口や行動が手に取るように分かります。
永田那奈という年頃の女性と同棲していながら、セックスをするようなモンタージュや描写が一切ありません。
ジュリアナ東京のようなクラブで、阿久津は派手な女性に目もくれず、カウンターに座りマスターの印象的な表情に注目しています。
羽振りがいい頃であっても、那奈に何か買うかと相談するくらいで、創作におけるヤクザの女遊びや豪遊をしません。
ここからは、制作陣のキャラクター造形における癖の比較のようなものです。
オッドタクシーの主人公、小戸川宏は不器用ながらも白川美保への愛を隠しきれません。そして愛を語るシーンだってあります。
ホウセンカの主人公、阿久津実は不器用で、那奈に対しての愛はそこそこで、愛を語るシーンは最後のシーンを除きありません。その最後のシーンも書き置きな上、「愛」ではなく、実は「変」の字です。
キャラクター造形の根幹は似てるのですが、内実が大きく違うことが分かるでしょうか?
ここまで揃っていて、私は阿久津実という男の違和感に気づくのです。
彼はなんで不器用な振りをしているのだろうか、と。
どういうことかと言いますと、堤の行動を見てヤクザの組織構造を理解したり、舎弟の信頼を得たり、金を手に入れたあとの交渉をしたり、しています。
これらの行動は、不器用と片付けるには、違和感が残るのです。
そして、阿久津自身もぶっちゃけ性格的にヤクザに向いてないです。
彼は優しいのではありません、自分にも他人にも無頓着なところがあり、生き方が雑なのです。
生き方が雑だと、ヤクザの世界では死を招きます。
うっかり、が許されない世界です。
これだけの、不整合を飲み込むひとつの道があるのです。
「阿久津実はゲイセクシャルだと成立する」んです。
阿久津の上記の事柄や行動原理は、(作中でも語っている通り)堤の兄貴に作用されているものです。
阿久津は堤の兄貴に談笑の最中に笑顔を見せましたが、那奈に見せたことはあったでしょうか?
全てが阿久津実をゲイ・セクシャルの証拠として仕上がっていくのです!!
なーんちゃって、、、。
ここまで読んでいただいてありがとうございます。
私は、木下麦さんのキャラクター造形が、此元和津也さんの話の運び方が大好きです。
こんなレビューしてすみません、最初に書いた通り与太話として読んでください。
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