ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
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素晴らしい映画体験でした
106分という短めな映画であったにもかかわらず長く感じました。
決してつまらないわけでなく(それどころか一時たりとも目が離せない)、何故だろうと考えたところ全編緊張集中しての鑑賞となった為だとわかりました。セリフの多くが金言として心に残るパワーを持っており、久しぶりに映画に酔いしれる感覚を味わいました。
是非劇場で堪能してほしい映画です。
新しいアニメ表現
「足の速い少年」の人生を覗き観た
圧倒的映像と上から目線のありがたいお言葉の数々
まず、主人公のトガシと小宮の小学生時代から描かれるが、最近公開されたリアルな小学生を多数起用した映画『ふつうの子ども』を観た後だと、この2人が小学生に見えないのが少し気になった。
トガシは100m走で小学生の日本一という設定だが、練習シーンがほぼないのは不自然に感じた。
いくら足が速いからといって、普通の小学生生活を送るだけで日本一になれるのか疑問。
クラスの人気者と周りから孤立した存在という対照的な立ち位置で、同じ趣味を通して絆を深めていく展開は、去年公開の映画『ルックバック』を連想した。
個人的に物語に引き込まれたのは、2人が高校生になってから。
トガシ編は、廃部寸前の弱小陸上部に元天才選手が入部し、チームを立て直していくストーリー。
一方の小宮編は、底辺にいた人間が陸上との出会いで人生を変え、強豪チームの中でトップを目指すという物語。
どちらもスポーツものでは王道の展開で、自然と話にのめり込んだ。
高校入学時、トガシは陸上を辞めており、その理由は明かされない。
しかし、観客に理由が明かされないまま彼の心が癒やされ、陸上部に入部。
その後、ようやく辞めた理由がわかるという構成は少し不思議に感じた。
小宮の高校にOBとして登場する、100m走の日本記録保持者の場面が印象的。
全校生徒の前で演説する姿は、アスリートというよりミュージシャンに見えた。
深そうな発言をしているが、いまいちピンとこなかった。
この映画に出てくるトガシ以外の陸上選手も皆同じような雰囲気で、ハツラツとしたアスリートのイメージとはかけ離れていた。
物語は中盤から説教じみたセリフが増えてくる。
100m走はわずか10秒ほどで終わるため、スポーツ自体の駆け引きでドラマを生み出すのは難しい。
その分、対話シーンが多くなるのは理解できるが、それが説教くさく感じられるのは残念だった。
数年ぶりに再会した高校生のトガシと小宮が対決する大会の場面は、間違いなくこの映画最大の見せ場。
小雨の中、選手がレーンに登場してから走り出すまでを長回しのワンカットで描写。
高揚感を煽る音楽も相まって、レース前の緊張感が伝わってくる、凄まじい映像。
レース終了と同時に画面を掻き消すほどの大雨になる演出は、心理描写をうまく表現していて見事だった。
その後、物語は一気に10年後へ飛ぶ。
プロの陸上選手になったトガシが全盛期はとっくに過ぎていて、クビ寸前の状態から物語が始まる構成は面白いと思った。
公園で落ち込むトガシが、運動会の練習をする小学生たちに走り方を教える場面。
物語の序盤、小学生だったトガシが小宮に走り方を教える場面を思い出した。
彼には指導者の才能があり、この後指導者を目指す話になるのかと想像し、もしそうなったら素敵だなと思った。
しかし、競技への未練を捨てきれないトガシは目の前の小学生たちが逃げ出すほどの見苦しい姿になり、個人的には残念だった。
スポーツにドラッグ的にのめり込むことを肯定するような内容に違和感を覚えた。
最後、幼なじみの2人が人生をかけた勝負の最中に子供時代に戻る演出は、他の映画などでもよく見るため、正直古臭く感じてしまった。
「感動」を超える「圧倒」
終わってみれば、一度も涙は流すことはなかった。感じたのは「感動」よりも「圧倒」だった。この映画は、すべてがラストの「10秒」に向かって収斂していく。
まずストーリーについて。スポーツ映画の多くは、対戦と勝敗が生む高揚や挫折で観客の感情を揺さぶる。しかし本作は、競技を「なぜやるのか」という理性の部分を徹底して問い続ける。そこには、栄光の高揚や敗北からの挫折のようなドラマはない。ただ理想と現実を突き合わせ続ける。いわば「人生哲学」ならぬ「スポーツ哲学」の映画だ。そこで発される言葉は、時に誰かの生き方を変えうる“名言”として響く。
正直、その言葉の密度は一度の鑑賞では咀嚼し切れないほど早く流れていく。だが、数あるフレーズのうちひとつでも心に引っかかれば儲けものだと思う。
演出面では、競技シーンを中心にロトスコープを用いた表現が冴える。派手な展開もなく数秒で終わってしまう100メートル走は映画的に“絵”にしづらい。だが、この技法がスタート前の張り詰めた緊張感とゴール後の脱力感を生々しいまでに可視化し、熱の質量を伝えてくる。アニメーションとしても一見の価値があるだろう。
私自身、個人競技の経験があり、鑑賞前はどこかで「共感」や「涙」を求めていた。はっきり言って泣きに行くつもりだった。けれど、彼らほどストイックに打ち込んだわけではない私には、その情熱と苦悩はあまりのも遠く、涙はおろか共感すら難しかった。
ただし、あの「10秒」だけは別だ。100メートルを走った者にしか届かない領域に、確かに触れられた気がする。それを演出し切ったこの映画には、ただただ圧倒された。
原作未読。 スポーツアニメだけど、「なぜ走るのか?」「どう生きるの...
原作未読。
スポーツアニメだけど、「なぜ走るのか?」「どう生きるのか?」みたいな哲学的映画だった。
陸上に興味なかった私でも、ロトスコープで描いた競技シーンとその時の音はすごく良くて、この臨場感は映画館だからこそだなと思った!
私も地面を蹴って走り出したくなる。
原作者の魚豊先生が朝井リョウとの対談で「真理を追求する人でありたい」みたいな話をしてたけど、チ。と題材は違えどそういう作風なんだなと思った。
でも原作勢の感想をみると競技をモノローグではなくアニメーションで見せてたり、内容の改変もあるらしく、原作既読だとそこをどう感じるかが変わりそう。
確かにモノローグがない分受け手によって感じ方も違いそうだし、淡々と進んでるように見える部分もあるかもしれない。
あと、ロトスコープで大量に描くのはアニメーターさんはめちゃくちゃ大変だったろうと思うけど、大画面で観てるから会話シーンとかは人物の動きがない分、作画は少し気になってしまった。
でもそんなことはどうでも良くなるほど陸上競技シーンが良かったな。
アニメ、映画にする意義を感じる。
雨のシーンが特に印象的だった。
原作も読んでみようかな。
影の名作
チェンソーマンの影に隠れてるような気もしたけれど、原作者がチの魚豊さんとしれば面白いと思ってもらえるでしょう。
何年か前に原作漫画は読んでいて、いつの間にか映画化してて、タイミングがあったので鑑賞。
正直お目当てはチェンソーマンだったのだけれど、思った以上に本作が良すぎだ。
学生時代部活を死ぬ気でやってたというのもあるのかもだけれど、それこそ学生時代はそれが全てというくらい全力を捧げてたのに、大人になるにつれて趣味だとか付き合いだとか目的がだんだん変わってきて…そんなことを思わさせる、思い出させるストーリー。
ただ、主人公が最後にそんなことを忘れて、学生時代の気持ちを取り戻す、そんな描写に嬉しさと心熱くしました。
これは大人の方が胸を熱くしてみれるかもしれません。
答えはシンプル
時間できて少し気になってたので見に行きました!原作は未読
陸上しかも短距離走て漫画にしづらそうと勝手に思ってましたが主人公の人生丸ごと描く感じだったのですね☺️
栄光も苦悩も混ざり合っていくのが良いです
登場人物もごちゃごちゃしてないから分かりやすく見れた!
アニメーション的なところは色んな表現で飽きることなく見れたし音楽も控えめなのも良いね〜
ただ最初にTBSが制作に絡んでて嫌な予感はしましたが案の定!アナウンサ起用して棒読み演技ぶちかましてましたね(笑)
この漫画の作者さんはかなり哲学的な感じなんですかね?キャラクターのつかめそうでつかめない感じやセリフ回しも個性あって凄い良い!
弱者でも勝てる可能性ある球技と違って強い者でなければ勝利を手にできない陸上や水泳の競技はある種残酷ですね😢
淡々と進んでいくようで熱さ感じられて良かったなぁ〜😄
世界陸上がより見たくなった(笑)
期待以上(原作既読)
自分史上最高のスポーツアニメ
生まれつき足が速く、友達も居場所も当たり前のように手に入れてきたトガシと、つらい現実を忘れるためがむしゃらに走り続けていた転校生の小宮。
トガシは小宮に速く走る方法を教え、放課後に2人で練習を重ねていく。打ち込めるものを見つけた小宮は貪欲に記録を追うようになり、いつしか2人は100メートル走を通じてライバルとも親友ともいえる関係となる。
数年後、天才ランナーとして名を馳せたトガシは、勝ち続けなければならない恐怖におびえていた。そんな彼の前に、トップランナーのひとりとなった小宮が現れる(解説より)
もうなんだか。
胸が締め付けられる感じがすごい。
言葉に表すことが難しいこの感情は、やはり陸上競技の経験者であることが大きいように思う。
「たいていの問題は100mだけ誰よりも速ければ全部解決する」
小学生において「かけっこの速さ」は全てを凌駕する。
トガシをその事実を知っているし、その才能を持っている。
ただ一度頂点に登り詰めたら、その後ずっと頂点に君臨し続けなければならない。
速く走ることの楽しさ、高揚感。
それでいて常に隣り合わせにある物足りなさ、虚無感。
喜び哀しみ、不安期待、絶望絶頂、
この陸上競技、こと短距離走という地味なスポーツを、よくこんなに繊細に丁寧に作り上げたものだなと思う。
当方は原作も読んでおり、中身は大幅に改変されていた。
正直、中身の濃さで言ったら原作には遠く及ばない。なぜなら主人公、また周囲の人間の心情、思いもすごく丁寧に描かれているため。
しかしながら原作にはないものがある。それが彩りと躍動感。これはやはり映画でしか味わえない。
そして、今回名のある陸上選手にも指導に入ってもらっているだけあって、その躍動感の緻密さが半端ではない。
サッカー、バスケットボール、野球、バレーボールなどなど、世界的にもメジャーなスポーツからしたら、陸上競技を題材にしたストーリーなんてとても華やかさはない。
ただ、本作には100mに全てを懸けた選手たちの情熱、狂気が本当に素晴らしく描かれている。
間違いなくスポーツアニメの歴史に名を残せる作品であると思う。
本当に素晴らしかった。
【追記】
一点、どうしても補足したい。
染谷将太の演技が棒読みという意見がいくつか見られますが、これ違います。
原作読めばよくわかりますが、小宮はこういう人なんです。
むしろ染谷将太さすがというレベルですよ、よくこういう細かいところまで再現してる。
彼の演技は好きですが、声の演技も素晴らしいと思いました。
タイトルなし
たった100m、その距離は…
人生だ。希望も失望も絶望も達成も挫折も不安も、喜怒哀楽ぜんぶ10秒につめこんで、本気(マジ)でアツくなれ!負けて本当の意味で始まる人生=現実にどう対峙して、それでも全て捧げて夢中になれるか?現実は直視して何かわからないと逃避できない。人間みんな最後は死ぬんだからマジで生きてみようぜ。
これは今年の『ルックバック』枠で、『ピンポン』✕『国宝』だ!!トガシも小宮も、仁神(カッコ良すぎん?)も海棠(ザ・ツダケンなメンター)も大好き!周囲のキャラが解像度高くリアルで、またとにかく一人ひとりに色んな人生や世界を体現する"らしさ"があって、観客それぞれ推しが違うようにみんな好きになれるのが『ピンポン』みたい。高校時代の沼野のザ・友達感に、"自称"ライバル尾道のいいキャラっぷりに笑ってしまう。樺木がポスト小宮のように塞いだ感じかと思ったら、トガシがスイッチ入ってからは別人みたいだった。そして材津!浅く考えろ、世の中舐めろ、保身に走るな、勝っても攻めろ。
きみは強い!世界のシンプルなルールは、100メートルを誰よりも速く走れば全部解決する。クソみたいな現実もあらゆるしがらみも。現実は逃避できるから(小宮少年の走っていた理由)、走ることで現実と対峙する。不安は対処するものじゃない、一瞬でも栄光を掴めるのならただのちっぽけな細胞の集まりの人生なんてくれてやればいい。恐怖なんてその対価と思って緊張を楽しんで、他の何を犠牲にしても得られない高揚感がここにはある。人間の真価を試されるのは負けてから、敗北と挫折を味わってから。それで"才能"や"経験"など言い訳を並べて腐るか、それでも情熱で立ち上がるか?
誰もがどこがで自分は"絶対的な存在"ではないのだと悟る(グラつく・折れる)瞬間がやってくる。そうやって誰かに負けて誰かの影に隠れて生きてる内に、現実にも敗れて誰もがかつては持ってた"熱"を失っていく。でもそれじゃ生まれて死ぬまで何のために生きてるんだ?そんな熱を本作は奮い起こし、呼び覚ましてくれる。"好き"は強い、夢中は最強、気持ちは伊達じゃない。負けた過去も、目を背けたい現実にも目を背けずに目ン玉ひん剥いてとことん向き合った先に見える景色がある。
俺は俺を認める。それぞれの"それでも"走る理由に、胸がアツくなる。天才の挫折に寡黙な努力の大成…自分が思ってるより50倍アツかった、アツい気持ちを奮い起こさせる忘れられない傑作!「材津か小宮」海棠。負け知らずな少年時代のトガシみたいに、横を見ても誰もいない圧倒的な"絶対王者"No.1(見える景色は最下位と変わらない)という結果の見えた虚しいイージーモードより、追うものがあるNo.2の方が幸せなのかも。競い高め合えるライバルがいるという幸せと厄介さ。才能の有無に関係なく、誰でもアツくなれる才能はある。
「命を燃やす」って表現がピッタリだと思った。監督の前作『音楽』に通ずるテーマとパッション(情熱)。がむしゃらに気持ちで勝て!理屈や傾向と対策じゃない『音楽』よろしく躍動する作画(ロトスコープや試合前の長回し手持ちカット)、リアリティとカクツキと確かな熱量でもって迫ってくる。ずっと凄かったし、正面からの寄りのカット強かった。トガシが各時代にベッドで横になるイメージングシステム(3回)、そのとき彼は一体何を思い考えているのだろうか?孤独やプレッシャー…内向きな恐怖を最大速度で放出するような!大人になるにつれて壁にぶち当たってあれこれごちゃごちゃと考えすぎてしまう内に迷い込むアイデンティティークライシスになっても全て捧げた居場所探しと存在の証明。
泣いた。本当にいい映画に出逢ったら、マジで人生どうとでもなる(できる)ような、日頃感じられないエネルギーが自分の中から溢れてくる・漲ってくるの感じてスゴい!これが映画を観る理由・意味と言っても過言でない、もはやドラッグ。この感動を、カタルシスを、精いっぱいの感覚を真空パックできればな。これはしばらく引きずるな。「本当に良かった」ああ、生きてて良かったな。
ポニーキャニオン製作だからポニキャニアーティストが主題歌は避けられず、また髭男を聴くことは普段ないけど、この号泣しているときに流れる「らしさ」がピッタリだった。本作が終始放つ生命が脈打ち躍動するような本気の勝負は、陸上に無縁な会社員(サラリーマン)にもきっと届きブッ刺さるだろう。琴線に触れ、確かに揺り動かすものがある。
P.S. エンドロールの真ん中くらいまで結構わんわん泣いてたかも。普段聴かないアーティストの好きな映画主題歌理論で言えば、『クレヨンしんちゃん 謎メキ!花の天カス学園』。足遅いけど走りたくなってきたから、おれも河川敷走ってこようかな。
公開初日舞台挨拶で鑑賞
faster
走る理由
たかだか100m走だと思っていたが…
100メートル走をテーマにした映画。結論からいうと凄い面白くて引き込まれた。こういう挫折から復活して大舞台に立つみたいな映画は大好きです。日本人で9秒台を出すのがいかに凄いのかと桐生選手を見直した。学生時代の全国選手権のレース前の描写は鳥肌が立った。凄い作画だと思う。特に今は世界陸上が東京でやってるから余計に没入出来た。世界の陸上選手たちは地道な努力をひたすらして東京に来ているのだなと思わされた。これから口コミでもっと人気の出る映画だと思う。
全228件中、201~220件目を表示
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