ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
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ロトスコープの採用は大成功
アニメは、実際の動きを省略化したものといえるが、逆に実際の動きをトレースすることでアニメ本来の動きとの異化に成功する事例がある。いわゆるロトスコープの採用だ。
戦前の「白雪姫」(37年)でも使われたこの手法が、本作でも効果的につかわれている。
どの場面かは特定はできないが、スタート位置に向かう選手たちの動き、ゴール直後の動きなどは、実際の選手の様子を撮影してからロトスコープ化しているようだ。
一方でレース中の選手の視線などはアニメ従来の手法で描かれている。
映画は、全体的に禅問答のような哲学が散りばめられ、そういった映画を趣味とする向きや、本流のアニメにやや食傷気味には新鮮に感じられると思う。
約10秒で決する、呆気ないほどの切ない競技である100メートル走。その競技に没入し継続していく者たちとは如何なる者なのか。
スポーツが得意ではなかった私にはついぞ関わることのなかった世界ではあったが、その一端を本作で感じ取れたかもしれない。
それにしても、トカジはなぜ「トカジ」とカナ表記なのだろ? 小宮などは漢字表記なのに。
参考までに、宇多丸さんの「アフター6ジャンクション2」の9/25放送にて取り上げられています。ポッドキャスト配信やYouTube配信などがあります。
陸上競技やスポーツに関わりない人にこそ見てほしい作品
「チ。」の原作者さんのコミックの映画化ということで、良い作品に違いないはずと鑑賞を決めていました。
「ひゃくえむ。」というタイトルのとおり、100メートル走をテーマとしていますが、陸上競技(短距離走)に関わりがなければ理解できない内容ではありません。スポーツ選手向けの作品という範囲も超え、人生というレースの選手ともいうべき私たち誰にもに向けた作品であると思いました。
これからの人生(先の将来ではなく、映画館から出た直後からの人生)で、自分の力でできることやできないこと、考えておかなければならないことや考えなくても良いこと、そのようなことを改めて認識・考えさせられました。人生において大事なメッセージが詰まっています。
この作品を見た人ひとりひとりで違ってくるとは思いますが、必ず何か響くものを受け取ることができるはずです。1人でも多くの人に見てもらいたいですし、見ないでしまうのは何ともともったいなさすぎる作品です。
(2025年10月14日追記)
原作コミックを読み終えました。すさまじいと思って鑑賞した映画版ですが、原作コミックに比べればこれでもまだマイルドに抑えられていたのだとわかり、再び驚く次第でした。
わずか10秒の競技に凝縮された物語
小学生ながら数々の大会で100m走全国優勝を果たし、体育では誰も相手にならないほど速いトガシ。ある日転入したばかりの小宮が転んでボロボロになりながら走る姿を目撃し思わず声をかける。互いの走る理由を打ち明け、彼らは練習を共にするようになって――
『チ。―地球の運動について―』で知られるマンガ家魚豊のデビュー作。
100mを誰よりも速く走る、という単純な競技ながらそれぞれが抱く思いや覚悟といった言わば100m走に対する多種多様な哲学が興味深い。
100m走の競技の描写も張り詰めた緊迫感に思わず息を飲んでしまうほどだった。
ストーリーも一本調子ではなく要所に盛り上がれる山場がありなかなか面白かった。
「チ。」とはまた違った方向性でしたが、良い作品でした。
よーい、どんっ!
で始まる、たった10秒の世界。「誰よりも速ければ、大体のことは解決する」。100mに懸ける男たちの、人生、哲学が詰まった作品。桜木花道ではないけれど、「俺は今なんすよ」。これを言える人生に、少し憧れる。過去も未来もない。見えているのは今だけ。今走れれば、過去も未来も全て引き受ける。そんな覚悟はやっぱりかっこいいって思っちゃう。富樫と小宮、ふたりのライバルの話がメインかと思ったけれど、意外とキャラ多め。映画の尺では難しいとは思うけれど、もう少しキャラの深掘りが欲しかった。絵は、ロトスコープを用いたリアルな動きと、絵画的な描写で、心理的な状況を描くのを使い分けてて、実写とアニメの良いとこ取りみたいな感じだった。
人生に繋がる100メートル
今年No.1
レビュー
走る意味とは…その時々で変わる
力強い画と100メートル走に架ける
"情熱"がスゴくて圧倒される
アニメなのに臨場感あふれる
リアルな質感がすごい
実写では描けない表現だったり
走っている時の苦しい顔だったり
心の描写だったり
アニメならではの表現方法を
駆使して私たちに届けてくれた
トガシを通じてその世界に生きる
人たちを色んな形で知ることができた
…100メートルに架ける思いは
"人それぞれに違う"
モチベーションを長く持ち続けることは
精神的にも体力的にも限界がある
走れなくなった時ケガを切っ掛けだったり
いつかは終わりがくる
トガシの声を桃李くんが…
パディントンはじめアニメの声優多いです
優しさ、誠実さが伝わってくる
染谷くんの小宮も
小声でストレートな感じがよかった
全力疾走できなくなる日
若い人にはまだ実感がないだろうが、全力で走れなくなる日は遠からずやってくる。小学校の運動会、PTA種目で足がもつれる。「あれ? こんなはずでは…。」
だから、可能な間に全力疾走しておけ。
もはや全力疾走どころか走ることすらおぼつかない私だけれども、そんな私でさえ、思わず脚の筋肉がピクピクしてしまうような作品だった。
この映画には、主人公をはじめ、たくさんのアスリート(100m走者)が登場する。彼らは、競技に人生を投影し、人生に“走ること”を投影する。その一言一言がずっしりと響く。物語と映像と音楽が生み出した「場」が、言葉に重さを与えている。そういう意味で、表現として、とても完成度の高い作品だと思う。
それにしても、雨の中の競技シーンは圧巻だった。“詩”があった。
ぜひとも多くの人に観てほしい。というか、観られるべき映画だ。
言葉にゾクゾクっときた
走る意味を問う、異色のリアリズム
帰宅途中、日比谷東宝の地下劇場で映画を観ました。原作は読んでいません。
アニメなのに、妙なリアルさに驚きました。背景が写真みたいで、特に走っている人の動きがすごく細かく、まるで実際の人間を見ているようでした。
これは「ロトスコープ」という手法を使ったからです。これは、本物の役者の動きを撮影して、それをなぞってアニメにする古いけど新しい技術です。普通の「うまい絵」とは違う、この生々しい動きが、かえって心の中の複雑な感情を深く伝えていると感じました。
この映画は、100m走というスポーツをテーマにしていますが、原作者の魚豊先生らしい「なぜ走るのか?」という哲学的な問いが中心です。
主役のトガシの声は松坂桃李さん、ライバル小宮の声は染谷将太さん。俳優のお二人の演技が、ロトスコープのリアルな動きと合わさり、キャラクターに命を吹き込んでいました。そして、津田健次郎さんの声も、やはりこの作品に欠かせない重厚感を与えていました。
「走る」という一瞬の行為に、人間のすべてを賭ける。その熱い思いを、独自の映像表現で突き詰めた、見応えのある作品でした。
「らしさ」がぴたりとマッチ
チ。の魚豊さん原作とのことで鑑賞。トガシと小宮の声をそれぞれ松坂桃李、染谷将太が担当。キャラクターに合っていた。疾走感あふれるクライマックスからの主題歌、ヒゲダンの「らしさ」はとても良かったが、どうも今ひとつささらなかったのは、陸上をやってこなかったからなのか。
両隣に友達同士で来ていた高校生くらいの子たちもエンドロールが終わって、え?あれで終わり?となってたが、私も一緒。
🏃♂️💨 ひゃくえむ。2回目鑑賞完了!
📖 1回目:原作未読で鑑賞
📚 2回目:原作読了後に再鑑賞
**映画の魅力**
セリフは少なめ、でも表情や雰囲気で心情を丁寧に描写。
原作を読んでいると"見えない心の動き"がより深く伝わってきて、まるで答え合わせをしているような楽しさが✨
**でも、やっぱり初見は原作なしが最高**
先入観ゼロで純粋に物語の世界に飛び込む。
あの一度きりの感動体験は本当に特別🔥
(個人的には!)
**個人的に印象的だったシーン**(ネタバレなし)
雨が降る中、100m走のスタートラインに選手たちが立つ場面。
アナウンスで名前を呼ばれた選手が一歩前に出てお辞儀をする──そのわずかな所作がとても自然で、まるで本物の大会を目の前で見ているかのような緊張感✨
「これから始まる!」って興奮しました🔥
**結論**
原作を読んでから ➡︎ 深い理解と発見の楽しみ
原作なしで鑑賞 ➡︎ 純粋な感動と驚き
どちらも違った形で心を揺さぶられる、そんな素晴らしい作品でした!
世界陸上見た人は必見!
アスリートの方々みなそうですが、その一瞬のために色んな犠牲を払ってると思います。
一般人にはわからないような孤独や苦悩があり、結果を出すことの大変さ。
世界陸上での涙を見るとニワカでも応援しないと、と思いました。
トガシと小宮の関係性もはじめの一歩みたいで見入ってしまいましたし、海棠の言葉には誰もが悩んでることへのアドバイスがあるのでぜひ見て欲しいです。
最後に絵がほんとに実写みたいで圧巻で素晴らしい!!
胸のモヤモヤが晴れる映画
脳を直撃します
原作マンガ未読(帰りに買いました)で、アニメ「チ。」に感動して初放送・再放送ともリアルタイムで全部みている者です。
絵柄やテーマがちょっと地味なんじゃないかという想像を木っ端みじんにする迫力で、人物のリアルな動きに「THE FIRST SLAM DUNK」をみた時の感動を思い出しました。
長い陸上競技生活の中で悲喜こもごもありつつも、100メートルという一瞬にすべてを注ぎ込む登場人物たちの集中力と熱量がビリビリと感じられて、競技シーンの緊張感といったらなかったです。
台詞のパワーは強烈です。物語に何度も登場する「なぜ走るのか」の問いは、その時々のいろんな答えを聞きながら「なぜ生きるのか」になって脳を直撃します。我(利害や効率)を忘れるほど真剣に打ち込めるものがある幸福感、を目にする感動で、心が熱くなりました。
他を圧倒する現実離れした強さとかはありませんが、観終わってじんわり体温が上がり、「よし!生きるぞ!」という気分にさせてくれた作品でした。
10秒の歓喜
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