ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
全305件中、221~240件目を表示
語らせてくれ、真剣で。
知り合いに「ひゃくえむ。」を知っている人がいないから語るに語れない。だからこそこういう場があるのだと考え、ここで語るしかない。
多分に漏れず、「ひゃくえむ。」は私も「チ。」から入った者。「チ。」よりも話が単純で分かりやすい。スポーツ漫画自体が好きなのもあって、むしろこっちの方が好きまである。
「チ。」がアニメ化してしかも結構話題になった時から、ひゃくえむの映像化ももしかしたら叶うかもしれないと期待していたところにまさかの映画化!ずっと楽しみだった。
ただ、映画化となると尺が足りないのでは、と不安になった。小学生編は物語の始まりだし必須で、社会人編も最後の締めだから必須だし、高校生編が短くなるしかないよね。でも、高校生決勝でトガシと小宮が戦わないと次に繋がらないし、どうすんだろと。
とにかく楽しみだった。公開日がまさかのチェンソーマンと同じになるとは思わなかったけどね。最寄りの映画館では一日7回ぐらいやるチェンソーマンと比べて、なんとひゃくえむは一回だけ。2番目に近い映画館はまさかの上映なし。日曜日の朝っぱらから一人遠くの映画館まで見に行くことになったとさ。
さて、ようやく映画の話へ。
もうね、最高だった。ずっと楽しみだったのを見られて、むしろ上映後には喪失感に苛まれたぐらい。
ただ、やはり尺足らずの問題を解決するには至らなかった。原作の完全再現というのはできないしすべきではない、と原作者もパンフレットで言っていた。一番の違いはモノローグがほとんどないこと。好みは分かれそうだよね。
思いつくものをさらっていこう。
【小学生編】
概ね原作通り。小宮が運動会で初めて一位になるとこまではほぼ一緒。その後周りの扱いが変わっていく様子は無かったかな。仁神が出てきた辺りから改編されていく。トガシとの対談になり、しかもテレビの演出でトガシと仁神の100m勝負が始まる。
そして最後にトガシと小宮の一騎打ち。原作に特徴的な画面一杯の台詞言うシーンは全体的に薄めな演出だったかな。前述の通り、モノローグがほとんど無いから、この一騎打ちもあっさりに見えるかも。ここで後ろから迫ってくる小宮に対して熱くなり真剣で走るトガシ、負けがよぎり勝ちへの焦燥が強くなるトガシ、のような演出はなかった。
一番の違いはこの勝負を仁神が見ていない所。だから小宮に衝撃の苦言をするシーンはない。それはこの後に別の人が言うことになる。
【高校生編】
一番の改編がこの高校生編。まあ仕方ない。始まってすぐ気づくのが、椎名が陸上部に所属してること。おい!おまえむしろ敵側のキャラだっただろ。何を仲良く練習しとんねん。あれ、あのメガネの男子部員はどこいった。後ろを通り過ぎたぞ。アメフト部は?部活対抗リレーは?
とまあ、がっつり改編。アメフト部との抗争はなくなり、部活対抗リレーは地元の記録会の男女混合800mリレーに変更された。なるほど、だから女子2人にする必要があったわけだ。浅草さんのヒロイン力が爆発しているのはすごくよい。
仁神の過去を彫り上げることはなくなった。その代わり?仁神の前の学校が登場し、仁神の自称ライバルという唯一のオリジナルキャラが登場。声が杉田(銀魂の銀さん)だったのはウケた。
原作の好きなシーンに、浅草さんがリレーで走る男友達に「お願いすれば手加減するよ」みたいなこと言われて「・・・お願い。アップして」と返すめちゃくちゃかっこいい台詞があるのだが、当然見ることはできなかった。
リレーのシーンはこれまた素晴らしい見応え。仁神がアンカーを走るわけだが、その決着がまたニクい演出するのよ。
次に小宮側の話が始まる。こちらも尺の都合で、小宮が経田に嫌がらせされそれに負けずに勝つ流れはなくなった。その代わり、経田は仁神が言うはずだった台詞を言うことになる。いい役もらったな。しかし、言う人を変えて台詞を生かすというのは、制作側も相当工夫しているな。
高校生全国大会はほぼ原作通りだし、映像ならではの迫力はすさまじい。雨の中の決勝戦は見応えある。
【社会人編】
こちらはほぼ改編なし。モノローグがないことがやはり物足りなく感じてしまうが。
海棠の威厳が半端ない。財津か小宮か、のシーンはやたら強調されていたし、原作でも印象深いから、それをみたときが何故だか映画通して一番泣きそうになった。
あと、トガシが公園で小学生と話すシーンあるけど、突然号泣するのは、映像でみるとかなりヤバい奴。通報されるわ。
海棠のモノローグで、今、自分史上最高の走りをしてる、だから分かる、財津、おまえ速すぎるよ。この流れがほんと好きだが、この台詞自体はなかった。
そうしてラストの決勝戦へと流れるわけだが、そこはもう何も言うまい。
再三言うがモノローグはないので、どう感じるかは人それぞれかな。
決着は知っての通り。むしろ原作未読で見に来る人はどれくらいいるのだろう。
【エンディング】
特に無いのだが、スポーツ漫画だけに、知っている企業が多かった。ナイキ、アディダスからプーマ、アンダーアーマー、そして陸上といえばNISHI、さらにJAAF、各陸上競技協会、法政大学陸上競技部、そして最後に日本陸上競技連盟。
残念ながら埼玉県陸上競技協会の名前はなかった。しらこばと陸上競技場を使ってくれ。
さて、全体的に改編せざるを得ない中、これが映画でやる場合の最適解だと信じたい。勢いでパンフレットも買ったが、その辺のことも何人かが話題にあげている。
見終わったときの喪失感が強かったが、時間と共に和らいできた。
DVD化したときは買ってしまうかもしれない。
人の為より自分の為に書いたレビューとなったが、もし読んでくれた方はありがとうございます。
100メートル走のお仕事映画
魚豊先生原作の漫画を映画化した作品でした。原作は未読で、事前に得た情報といえば映画館で何度か観た予告編くらいでしたが、松坂桃李と染谷将太という好きな俳優が主演の声を担当すると聞き、鑑賞してきました。
物語は題名の通り、100メートル走に人生を懸けるトガシ(松坂桃李)を中心とした男たちが、自分自身やライバルと向き合いながらひたすら走り続ける青春群像劇でした。主人公トガシの小学生時代から、中学・高校、そして社会人に至るまでの成長譚でもありましたが、徹頭徹尾「100メートル走」がテーマ。様々なタイプの選手たちの心理描写が、漫画的な誇張を交えつつも緻密に描かれており、意外にも強いリアリティを感じました。
高校時代のエピソードでは、入学当初こそ自信を失い陸上部に入部しなかったトガシが、先輩の女子部員に声をかけられる場面があります。そこで一瞬、恋愛要素も描かれるのかと思いましたが、すぐに彼の闘争心に火がつき陸上部へ入部。結局、恋愛要素はほとんどなく、またよくある家族ドラマや滑りがちなギャグも排され、本当に「走ること」だけに焦点を当てた作品でした。その意味で、100メートル走のお仕事映画とも言えるもので、題名に偽りのない潔さがあり、大いに評価したいと思います。
一方で、やや馴染めなかったのが表情の描き方です。衝撃を受けたシーンなどで見せる顔が、どこか楳図かずお先生を思わせるタッチで描かれており、作品全体の雰囲気と少し合わないように感じました。しかし、登場人物の心象を風景へと投影するような演出は非常に効果的で、印象に残りました。
そんな訳で、本作の評価は★4.0とします。
密度濃かった
原作読んでいません。ダレるシーンも少なくて、緻密に計算された登場人物設定だなと思いました
高校に入った時に、あれ?この話どうなるのと思いましたがまさかの登場人物。そこから引き込まれましたね
短距離競技の勝てなかった時の残酷的に感じる気持ちも良く表現されていたと思います
ただ最後の財津選手はどういった選手なのかとか、もう少し前から絡みを演出して欲しかったですね。いまいち誰この人?的な感じがしました
カクカク走るラファウ的な
ち。しか観てなかくて、知識ゼロでみにいきましたが
チェーンソーマンを見た後だったので、背景やキャラの動きがカクカクしていたのが気になりました。
ルックバックもですが、手書きの味を出してくるアニメ映画なのかなと感じました。絶望の雨のシーンや、空を写し続け音だけで表現であったり、ユニークな新しい表現が多かったように感じました。
屁理屈か哲学か分からない語りが面白かった(笑)
人間は色んな理想論で動いている、キャラが引き立って魅力的でした。
染谷くんカッコヨカッタ(^^)松坂桃李も上手かった。
津田さんの戦闘シーンもっと見たかった(笑)
原作を知らなくても楽しめる
原作を知らないが、十分に面白かった。上には上がいるのだから、どこかで人は諦めるのだろうけれど、挑戦し続けてきた人の姿に感動するのだと思う。引きこもっていた仁神がさらっと復帰してしまったのは時間的な制約のせいだろうか?もっと腐りきっていても良かったかも?
小学校時代のトガシは冷静で天才のようだったけど、社会人になってヘラヘラする姿に悲しさがあった。天才のトガシと努力の小宮らしいけど、お互いに努力してるから、才能だけでは勝てないのだと思う。
ストーリー
1 小学校時代
トガシと同級生が走っているが、断トツでトガシ。トガシは既に小学校NO.1なので当然ではある。そこに転校してきたのが小宮。小宮は暗い性格であるが、トガシに走り方を教わると足が速くなっていった。
月陸の企画でトガシは中学生トップランナーの仁神と出会う。100mを競うとトガシの方が速かったように思われるが仁神は最後まで走らなかったので、勝敗は不明。
ある時、河川敷にて小宮はトガシに100m走を求めた。小宮はトガシに勝ったように思われたが、走った後、右足を痛めてしまう。その翌日、小宮は引っ越してしまった。
2 高校時代
トガシは近所の高校に通う。中学生時代もトップランナーではあったが、記録が伸びなかったため、高校では陸上部に入らなかった。
トガシの通う陸上部は部員の少なさから廃部の危機となってしまう。陸上部存続のため、トガシは入部を決意。先輩女子2人と、もう1人いる陸上部員に会いに行く。
先輩は仁神だった。仁神は腰を痛めてしまい、陸上から離れていたが、もう一度走ることを決意。とある大会に、部の存続をかけた200✕4のリレーに4人で参加することになった。
アンカーを務めた仁神は負けてしまうが2位入賞のため、部の存続が決まった。
一方で、小宮は中学生時代はトレーニングをしてはいたものの陸上部には入っていなかった。高校から陸上部に入る。試走では前半は非常に良いが後半に失速。昔痛めた右足を気にして全力で走れないようだった。
学校に来た財津からのアドバイスで、小宮は吹っ切れることができ、記録を伸ばしていった。
大会にてトガシと小宮は再会する。土砂降りの中始まったレースでトガシは小宮に負けてしまった。
3 社会人時代
10年が経った。トガシは会社との契約をかろうじて更新出来た。一方で小宮は財津と並び陸上界のスター選手になっていた。
ある時トガシは肉離れを起こす。医者からはしばらく走らないことを勧められる。トガシには契約更新をしていくには走るしかなかった。
トガシの怪我を知った会社はコーチの道を勧めた。トガシは徒競走を練習している子供たちにアドバイスしていると、感情が抑えられなくなりがむしゃらに泣いた。それで吹っ切れたようだ。
トガシは大会に参加した。予選、準決勝と勝ち進んだ。財津は準決勝で負けて引退を決意した。決勝にて、再びトガシと小宮が戦う。走りながらも2人はこの瞬間を喜んでいるようだった。どちらが勝ったか分からないまま、幕が下りた。
手放しで称賛できない
原作未読です。
確かに面白い作品でした、レースの迫力も、キャラ立ちも良かったですが、ストーリーと演出の面では違和感を感じました。
こんなに高校までかきちっとストーリーとして成り立っているのに、急に社会人からはサラサラッと、各種イベントも流れるように進みますし、キャラの掘り下げもたいしてありません。なぜ財津の圧倒的な走りが観れないのか良く分かりませんでした。それで海堂が勝っても、引退してもいまいち盛り上がりきれませんでした。
後は、演出がしつこいです。雨にしても泣くにしても、しつこい。絵の具での表現みたいなシーンも多すぎる。キャラがぬるぬる動くのは一つの売りでしょうが、それにしても高校の女子は喋っている際の動きが不自然すぎる。
原作を読んでいないので何とも言えませんが、レビューで高校までに不評が多く、そこが改編が多いのかなと思います。ただ、初見だと高校までか面白かったです。正直、そのままなら余裕で星5の作品だと感じました。
あとは主題歌です。歌詞はまだしもホップ過ぎます。原作未読でも、そこまで明るい作品では無いのは分かりますし、歌詞もメロディーもあまりにも軽すぎる印象しか受けませんでした。
楽しめた上映でしたが、気になる点と最後の主題歌で、イマイチ盛り上がり切れなかった作品と言う印象です。
クセが強め 笑
改変が多すぎる
いい改変もあったがあまりにも多すぎる。
ぶちかませ小宮くんのところは暴力的なため仕方ないとは思うがやはりひゃくえむを語る上で必要なシーンなので欲しかった。
時間の問題だったりもあると思うがもう少しボリュームが欲しかったと感じる。
走る前の動きからしっかりアニメにするの凄すぎる
そもそも100メートル走を題材にした漫画があることがすごいしそれがアニメ映画化されるだけでもすごいのよ。しかも結構な力作。
例えばトガシと小宮で走り方が違うんだがその書き分けだって本来面倒なわけで。これをやるだけですごいんだよ。
で。やっぱり今作のハイライトは雨の試合場面で。あれも実写で撮影した映像をわざわざ一コマ一コマアニメしにているんだ。その手間によるこだわりがあの場面の説得力になっている。
選手ひとりひとりの走る前の動きも全部違う。係員の人の動きまで入れて。あれだけ手間がかかっていると観る側もおお!って思うんだよな。
もちろん、ロトスコープならではの変な瞬間はある。例えば高校で陸上部の女子が勧誘してる時の動き。不自然に細かく動いているように感じるんだよな。でも、この表現に挑戦したことに意義がある。
音へのこだわりもすごい。電車が通り過ぎる音がスタートの合図な場面も良すぎるな。あの電車の轟音は映画館だからより迫ってくる。
エンディングのヒゲダン曲は哲学的な雰囲気の本編に対しちょっと爽やかで元気過ぎるんじゃないかと最初思ったんだが。よくよく歌詞を観るともう映画の内容どおりなので、これが正解なんだなと。あと、これくらい明るく勢いある曲の方が後味が良い。たぶん『らしさ』のメロディ思い出しながら映画館から走って帰る客もいると思う。それくらい映画と曲に力がある。
地動説に人生かける人々を描いた『チ。』の原作者だけある。どんだけひとつのことに人生かける生き様が好きなのよ、っていうね。こういった題材にこういうスタンスで挑む漫画家がいることがまず嬉しい。
そして岩井澤監督ですよ。きっと『ひゃくえむ。』に感動した客の中に監督の過去作の『音楽』も観てみる人が現れると思う。『音楽』はマジですごいから。こんなシュールギャグのような不思議な題材を何年もかけてほぼ1人でぬるぬる動くアニメに仕上げたのかよ!っていうとんでもない作品だから。『音楽』の頃から続く「動きへのこだわり」が今回も観れて自分は嬉しいよ。こんなアニメ監督もいるんだよな。
『鬼滅の刃』が記録更新中の中で『ひゃくえむ。』は埋もれるかもしれない。くしくも同時公開の『チェンソーマン レゼ篇』もかなりの傑作だ。ここら辺のヒットタイトルの勢いはすごい。
でもね。日本のアニメのすごいところは『ひゃくえむ。』のような作品もあることなのよ!100メートル走題材のアニメ映画をほぼ100M(100分)で作ってしまう心意気なのよ!この幅広さなんだよ!
今後も様々な題材で、色々な技法を用いて挑戦的なアニメーション作品が生まれてくることを願う。
陸上に殺されるのか、陸上に生かされるのか。
昔々、100m走者を主人公にした小山ゆうのマンガ「スプリンター」があった。
どんなストーリーだったか…は記憶の果てだが、
主人公が「自分の肉体だけを使って10秒の壁を越えた瞬間、
目の前の世界はいったいどんなふうに見えるのか」的なセリフがあったのを記憶している。
(人力のみでそんなスピードが出せない自分には見れない世界だと当時思った)
映画「ひゃくえむ。」は、
上記のような瞬間的なものから得る“悟り”や“神の領域に近づく”といった
剣の達人的なアスリートを表現するようなものではなかった。
予告編も公式サイトの説明も全く見ず、もちろん原作本も知らず、
評判の良さ(&「ひゃくえむ。」のタイトルとロゴデザイン)で見たのが功を奏し、
新鮮な驚きをもって映画に接することができた。
映画「ひゃくえむ。」は、
わずか約10秒というその時間と得られる結果(&そこに至る過程)に
走者(人間)は「何を感じ、何を手にし、何を見出すのか」、それがテーマの映画。
見ていて最も驚いたのは、アニメーションという手法で、
ここまで自分の思い、哲学、存在価値、走る意味を深く長く語るのか、と
びっくりした。(実写なら間が持たない、ウソに聞こえる)
もうセリフが満載。
特に残ったのは、
「陸上に殺されるぞ」という人と陸上の関係を示す言葉。
そして、
「いままで自分は明日のために生きてきた。これからは今のために生きる」
「現実から逃避する、そこから逃避するためには現実を知らなければならない」
ムチャクチャうろ覚えだが、そんなセリも心に残った。
(というか、本なら繰り返し読み返して咀嚼することは可能だが、
アニメ=映像という表現手法だと理解が追い付かないこともあった)
今回、アニメーションの凄みとポテンシャルを存分に感じた。
と同時に、陸上競技場のトラックを競技として走ったことがない人間にとって、
一線を超えるアスリートたちの凄みとポテンシャルも存分に感じた。
「ルックバック」を見た時も感じたことだけど、
日本のアニメーション作品の表現力はどこまで広がってくんだろうか。
小さいハコだったけど、ほぼ満席だった。
映画館で映画を見るのは本当にいいね。
蛇足‥‥
ただ、閉口したのはエンドロールの音楽。
あれだけ映画のなかで存分に“語った”のに、
なぜ、歌詞で“語る”系の髭ダンの歌を選んだのだろうか。
メロディと楽器で余韻を醸すインストルメンタルで良かったのになぁ…
と思った次第。
リアルなアスリートの姿の説得力
【”大抵の事は100mを誰よりも早く走れば解決する。”今作は、100mトップアスリートの孤独、焦燥、挫折、諦観、希望、喜びを描いた、人生の名言にも似た選手たちの言葉が響く作品である。】
■申し訳ない限りだが、原作の事は、全く知らず、”東京?”2025世界陸上競技選手権大会が行われているからかな?”位の軽い気持ちで劇場に行ったら、ナント満席(120席の小さいホールだけれども)で、ビックリ。
けれども、映画館が満席というのは、私のような地方居住者にとっては滅多にない事で、嬉しき限りである。
◆感想<シンプルにね!>
・今作では富樫と小宮の小学生の時の出会いからの、多数の100mトップアスリートのライバルを交えた20数年の関係性を描いている。
ご存じの通り、陸上100m競技は、陸上競技の花形であり、数秒で終わるのに観ていても実に面白い競技である。
それは、人間が身一つでシンプルに100mを駆け抜ける姿が、何故か観ていて興奮を齎すからだと思う。
・今作では、100mトップアスリート達の20数年孤独、焦燥、挫折、諦観、希望、喜びを描いている。
選手たちが口にする数少ない台詞は、人生の名言にも似ており、その言葉が響く作品である。
<マラソンや駅伝の映画は良く見るが、100m競技の映画は、観た記憶がない。
だが、実に面白かったモノである。灯台下暗しであろうか。>
哲学アニメ!圧倒的なサウンド!劇場で観るべき作品!
人生に値する10秒
■ 作品情報
漫画家・魚豊の連載デビュー作をアニメーション映画化。監督は岩井澤健治。脚本はむとうやすゆき。キャラクターデザイン・総作画監督は小嶋慶祐、音楽は堤博明。主題歌はOfficial髭男dismの「らしさ」。アニメーション制作はロックンロール・マウンテン、製作は『ひゃくえむ。』製作委員会。主要な声の出演は、松坂桃李、染谷将太、内山昂輝、津田健次郎、高橋李依、種﨑敦美、悠木碧ら豪華キャスト陣。
■ ストーリー
生まれつき足が速く、常に周囲の羨望を集めてきた“才能型”の少年・トガシと、辛い現実から逃れるためにひたすら走り続ける“努力型”の転校生・小宮。二人は放課後の練習を通じて100メートル走にのめり込み、やがてライバルであり親友ともいえる関係を築き上げる。数年後、天才ランナーとして名を馳せ、勝利への恐怖に囚われるトガシの前に、トップランナーの一人として成長した小宮が現れる。この100メートルという短い距離に、彼らの人生と走る意味が凝縮されていく。
■ 感想
本作は、アスリートたちの「100メートル」という一瞬の輝きに賭ける、狂気にも似た情熱をまざまざと見せつけてくれます。スクリーンに映し出される彼らの心中は、まさに人生そのもの。走ることにそれぞれが抱く想いは、観る者の心にも深く突き刺さります。彼らが命を削って走るその姿は、自身に生きる意味を問い続けているかのようです。そして、そこに「正解はない」という尊い真理を教えてくれているようです。
レースシーンの凄まじい臨場感には、文字どおり息をのみます。アグレッシブなカメラワークで描かれる熱気は、まるで自分もトラックに立っているかのような感覚に陥らせ、呼吸を忘れてしまうほどです。特に、実写映像を基に作画するロトスコープというアニメーション技法が用いられているため、アスリートたちの動きが非常に自然でリアルに感じられます。その生々しい躍動感が、アスリートたちそれぞれの思いを伴って、観る者の涙腺を刺激し、知らず知らずのうちに熱いものが込み上げてきます。
アスリートたちが背負う計り知れないプレッシャー、それでも走り続ける彼らの姿は、強く心を揺さぶります。走る意味は人それぞれで、しかもそれは常に変化し、その10秒に文字通り人生のすべてを懸けている彼らの「熱」が、確かにこちらにも伝わってきます。本作は、スポーツの枠を超え、人生をかけるに値するものに出会えた人々の生きざまを描き切った、魂を震わせる傑作だと感じます。
作画にロトスコープで実写に近い生々しさ
最後の10秒を描ききった
原作とは別物
原作のあのボリュームをどうやって2時間に収めるんだろうと不安には思っていたのですが、ラグビー部とのリレー対決を丸々カットしたんですね……
陸上への情熱を失ったトガシや仁神が再び情熱を取り戻す過程が描かれた重要なエピソードなので、それを取り除いた劇場版では、一度辞めた彼らがなんでまた走ろうと思い直したのか見ていても意味不明でした。
また、キャラクターの心情吐露をモノローグ形式で見せるのも原作の大きな魅力だったと思うのですが、それも劇場版では全てカットされてました。(これは本当に驚きでした。)この結果として、アニメ的な表現は手が込んでいたものの、100mの競走シーンはとても淡白であっさり終わります。ただし、これは原作とのギャップにより私がそう感じてしまっただけな気もするので、原作を知らなければ、これはこれでアリだったかもしれません。
レビューの評価が高いので期待してしまったのですが、原作ファンはだいぶ肩透かしを食らうので、劇場版は別物であると念頭に置いた方が良いです。
スッキリしない
原作未読です。
シンプルに100mに情熱を傾ける男達に焦点を絞ったストーリーは面白かったと思う。
アニメーションについても私は詳しくはないが普段見ないような技術が使われているように感じて、特に中盤の雨のレースシーンは見応えがあった。
ただ登場人物の精神的な葛藤は描かれていても実際に速く走るためにどんな努力をしてきたかという点がほぼ描かれていなかったところが気になる。
途中日本記録保持者の哲学的なセリフが出てきたのも説教臭く感じてしまった。
このあたりは尺の問題もあるのかもしれないが小宮が何故あんなに速くなったのか、トガシが天性の才能で速いのはいいとしても練習場面は出てこない。
その他の選手についても同様である。
そのため登場人物に対する感情移入が出来ず後半のレースは単に足の速い選手達の競争になり誰が勝っても負けても感動するには至らなかった。
最後の場面もスッキリしないな~。
正直...
原作兼魚豊ファンで今年1楽しみにしてた映画でした。原作の量的に尺の問題は大丈夫なのかなと一抹の不安はありました。やはり、尺の都合かは定かではありませんが、全体的に大きな改変が多々ありました。自分は小学校、高校編が好きで、数多くの名シーンがあったと思います。しかし、今作ではそれらのシーンが所々カットされていたり、無理やりくっつけていたりなど少し残念な気持ちになりました。また、ストーリーだけでなく、キャラクターを根本的に変えているところもあって果たしてこれはいいのかと疑問に思いました。しかし、映像は臨場感抜群で、特にひゃくえむの代表シーンでもある100M走の部分は文句なしの出来でした。また、海棠の現実逃避のシーンも声優も相まってとても見どころのある部分でした。
魚豊さんの言葉選びが好きで映画でも期待していましたが、それらが見られなくて少しがっかりでした。原作を見ていない方には、ぜひ読んでもらいたいと思いました。
全305件中、221~240件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。