ひゃくえむ。のレビュー・感想・評価
全375件中、221~240件目を表示
全ての人類が観てほしい
他の方と同様、「チ。」に魅せられた一人で、きっと面白いに違いないと意気込んで観に行きましたが、私なんかの想像を遥かに飛び越えた凄い映画作品でした。稚拙な言葉では表現できません。短距離の経験のある人はきっと泣くと思います。
息子が2人とも陸上部で100メートルをしていたのであっという間にゴールするのは知っています。大会の時のスタート時、ハラハラドキドキして見ていたのを、スターティングブロックの音で思い出しました。
陸上経験ある人もない人もぜひ観てほしいです。
鬼滅も面白かったけど何回も鬼滅観るならこの映画こそ観てください。
面白かった!(原作は全く知りませんが)
「足が速い、という才能が無条件に評価される時代」に生まれた男達の苦悩と歓喜が味わえる最高の映画だった。
「10秒」という短い時間の中で競い合う陸上競技に、小学校から中学、高校、社会人というライフステージの中でそれぞれの選手がそれぞれの人生を掛けて向き合っていく姿に胸が熱くなった。
(スラムダンクと比較しての感想)
スポーツ競技と向き合う気持ちは年齢によって変わっていく。
生まれ持っての天才と遅咲きの努力家が一つの競技の中で、それぞれの人生のある場面を交錯させてドラマを作っていく醍醐味を「ひゃくえむ」は感じさせてくれる。
「ひゃくえむ」はスポーツ競技に対する愛憎の気持ちや、他には得られ難い歓喜の瞬間の記憶、それらを自分の人生にどう重ねて生きていくかを描こうとしているように僕は感じた。
「ひゃくえむ」を観ながら、(スラムダンクの愛すべき登場人物たちは、あの後どういった人生を歩んだのか)ということが非常に気になった。
連載終了後は、バスケットを高校卒業後も続けている選手達のバスケット人生はどのようなものだったのか知りたいと思ったものだが、「ひゃくえむ」では社会人の頃まで描いてくれていたので、観ていて清々しい気持ちになった。
「天才」と呼ばれる選手に立ちはだかるのは競技だけでは無く社会生活にも存在し、それに立ち向かっていくことも競技人生の大きな意味だと「ひゃくえむ」は教えてくれていた。
「作画について」
今回、作画が各場面でガラリと変わる事が多く、それが観ていて面白かった。
高畑勲や大友克洋っぽいな、と思える場面もあったりして、画面が画一的な印象ではなくなり(人の手が作っている)という生々しさが感じられた。
陸上シーンも臨場感のあるシーンも多かったし、映画版の「スラムダンク」もこんな感じで作画するとCG感が少なくて良かったかもしれないなと思った。
僕は原作を全く知らないが、この映画だけでも楽しめた。映画では描ききれていないであろう人物描写も、こちらの想像を膨らませて観る感じで十分に楽しめた。
面白いんだけど
人生と哲学とレースと
「チ。」は連載当初読んでいたが、この原作は未読。
予備知識もなく劇場へ赴いた。
あらあら。
青春熱血スポ根アニメかと思っていたら大間違い。
秀でた者が全て幸せではなく、もちろんそれが未来永劫続くわけもない。「持つ者」の悲哀そして地獄がある。
そんな大人向けのスポーツ映画。
まず、アニメとして「動き」がすごく良かった。
特にレース以外の微細な仕草がリアルに再現されていて、高校時代のシーンは最初「これ、セル画に見えるけど、CG?モーションキャプチャ?」と思って見ていたら、パンフレットにちょうどまさにそのシーンが、実写から線画を書き起こす「ロトスコープ」という技術だと書いてあって納得。
一方、レースシーンは線も動きもむしろ荒っぽいタッチで躍動感がすごい。
演出もまた、スポーツをテーマにした作品とは思えない、レースで負けた喪失感にフィーチャーし、勝者の高揚感はほとんど描かれない構成。
レース前の演出も、コースレーンや選手をカメラの後ろに置く位置取りで、ウォーミングアップする選手の足音だけを聴きながら移動、その後振り返ってスタートラインに戻る…なんて演出、どうやったら考えてつくんだろう。
そして、レース以外のシーンはこの原作者らしい、「人生」「哲学」の格言つるべ打ち。
短い上映時間だが、いろんなワクワクが凝縮された映画体験だった。
100m走という競技に取り憑かれた哲学者たちがそれぞれ語る競技論から人生観。陸上だけでなく、観客自身が今立ち向かっている「何か」にも繋がるヒントも多く刺さるものもあるが、正直言うと、小学生時代から、強者たち全員がそれぞれ披露していくのはさすがに食傷気味だった。(仁神先輩に関しては「こんな中2おらんやろ」って感じだし)
そしてラストシーン、一貫して楽しそうに走る選手のいないこの映画で、ほぼ唯一の表情が見えたのは観客としてもホッとできた。
私はここで「成仏」という言葉が浮かんだ。
あと、これは作品の中身とは関係ないが、あのエンドロール直前の、この作品で主人公にとって、物語にとって非常に重要なあの本当に作品ラストの数秒。
隣の小学生がジュースをこぼしてお母さんもバタバタ。
台無しじゃん。
しょうがないけどさ。
初めてレビューを書きます
100m わずか10秒の狂気、重圧、喜び ゴールに迎えるのは現実ではない
100mに賭けた人生。地元じゃ負けなしでも全国を前に打ちのめされる者、どこに行っても勝ち続ける者。
100mという短い距離であるからこそ、情熱が勝敗を左右する。自分の芯であれば、ガチになることや現実から逃げ続けることということでいい。自分の信念を貫き通せたかは100mのタイムが教えてくれる。
まさに“狂気”。スポ根に現実逃避という異色の組み合わせが我々観客をその100mに魅入らせてくれる。
100mに捧げたその人生を観るのはもはや気持ちいい。勝ちつづけたからこそ敗北した時の絶望は大きい。一位を走り続けるのは隣にライバルがいない限り、ビリと変わらない。
そんな100mのわずかな世界で起こる情熱に、ほんとう感動せずにはいられない。
おもろい!
実写よりもリアルな陸上の世界
実写の方が向いているような題材だったけど、実写では出せない雰囲気や描写が逆にリアルさを引き立てていた。全編を通じてふんだんにロトスコープが使われていて、良い意味でアニメっぽくない演出が多い。でも、一般的なアニメ作品のような作画では、直向きに淡々と競技に懸ける人々の空気感は表現出来なかったと思う。ラストシーンもあれ以外の終わり方は想像出来ないくらい、綺麗な結末だった。
新記録とか怪我とかライバルとかそんなの関係ない。ただ、あの約10秒で雌雄が決する瞬間が極上なんだ。そうした根源的な感情の機微が命題なのだと思う。
世界No.1実力のアニメ大国・日本の制作陣が陸上競技を描くと、こんなとんでもない作品が爆誕する
原作は『チ。地球の運動について』の魚豊。その2018-19年の連載デビュー作品がアニメ化され、9月19日から公開中。
いやーすごかった。圧倒された。
2025世界陸上TOKYOは盛り上がったけれど、野球やサッカーに比べちょっとマイナーな陸上競技。
その中でもマラソンと並んで一応「華」と言われる100m走という種目に焦点を当てたマニアックな原作コミックなので、ウェブ連載当初はPV数が伸びずに単行本化がされない予定でしたが、その後じわじわと人気が出てコミックが出版、そしてついに今年はアニメーションに。
わずか10秒に人生を賭ける狂気。
しかし物語の後半で、「もう、記録はどうでもいい。誰と競うか?だけが一番大切なことで、それを追求することが幸福だ」(要旨)という台詞が響く。
トガシ、小宮、仁神、海棠・・・それぞれの天才と努力と狂気が、私のような凡人をも揺さぶり続ける。
このテーマは何だか懐かしい。
そうだ、まったくジャンルも設定も違うが、『ルックバック』に通じるのだ。
映画の製作技術的に言えば、これはアニメとしての質が異常と言っても良いくらい高い。
ロトスコープを使って、例えば高校生になったトガシを陸上部に勧誘する女子先輩・浅草の微妙な表情や、疾走する選手たちの腕振り・腿上げの身体の所作など、驚くほどきめ細かに表現している。
(まったく横道にそれるが、浅草センパイの実写俳優の演技は若き日の広末涼子をイメージしていないか?)
特に仰天したのは、雨のインターハイのスタートシーン。
招集→スターティングブロックのセッティング→一人ひとりの選手紹介→レディ→セット→スタートに到るまで、ワンカットで長回ししながらカメラのほうが動いていく視点を、3分間の長きに渡ってアニメーションでやるか?普通。
このシーンはVC陣も驚嘆していて、YouTubeの座談会で一部だけ紹介されているのでここにも記しておく。
※この本文でURLを記入するとどうも投稿をハネられるようだ。YouTubeで改めて次のタイトルを検索願いたい。
劇場アニメ『ひゃくえむ。』公開記念スペシャル座談会映像【𝟗.𝟏𝟗(𝐅𝐫𝐢)公開】
一方、背景に使いがちな3DのCGをどうやらほとんど使っていないようだ。上記の雨のインターハイのスタンド席など、カメラが動いていく表現をする以上はあの背景を手描きか!? もはや、アートとしか言えない味を出している。
このような重要なシーンは、そのシーンごとに作画・制作責任を持つ個別のユニットが設定されていたようで驚いた(エンドロールにそんなふうな表記があり)。
上記の座談会で明かされている通り、どうやらこの雨のインターハイのシーンはここだけで昨年8月から1年間の時間を費やした、という。ということはそこから最終仕上げやチェックを経て公開に到ったわけで、これじゃ世界陸上の開会には間に合わないwwww
ここ数年、コンスタントに年間100本近く映画館で映画を観る私だが、日本製アニメに関しては昨年は8本、今年はすでに7本観ている。それなりに目は肥えているつもりだ。
もはや「アニメ」と表現したときのかつてのオタク感やローティーン向けイメージとはまったく程遠い。
アクション系、例えば『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『チェンソーマン』『怪獣8号』などを別にして、昨年から数えても『デデデデ』『きみの色』『モノノ怪』『ルックバック』『ヴァージンパンク』『Chao』と、色彩や躍動感で舌を巻くような作品が続々と生み出されている。
そんな世界No.1の実力を持つ日本の制作陣が「陸上競技」を描くと、こんなにもとんでもない作品になる。
あともう2~3回は楽勝でリピートで観に行こうと思う。
【9/24追記】
矢も盾もたまらず、次の日に2回目を観に行ってしまった。あの「雨のインターハイの3分間」を観るためだ。
しかしそれに劣らず、鰯弐陸として800m男女混合リレーに出場するために練習に4人が心血を注ぐシーン、本番のレースシーンも改めて見応えがあることに感服する。
この作品、もっともっとたくさんの人に届いて欲しい。
追記2
ところでこの作品は、製品ブランド名や地名、競技場名がリアルに登場していて、そのあたりもリアリティを補強していると思う。
競技場の用具類は、圧倒的にNISHI(笑)。
選手ごとにウェアやシューズのブランドが違うのもおもしろい。トガシはナイキ、小宮はアディダス、仁神はミズノ、海棠はプーマ、そして財津はアンダーアーマーである。
なぜかアシックスがないw エンドロールの協力企業一覧でもロゴが見当たらなかったので、何らかの条件が合わなかったのか。
もっと人間ドラマが見たい!
予想できない映画体験でした
・「音楽」の岩井澤健治監督作品
・100m走を題材にしている
という2点以外は、「なんか前情報入れない方が、色々驚きに出会えそう」と思い、事前情報も入れず、予告編も見ずに映画館へ。
大正解!!
上映時間が106分とは思えない内容とボリューム。その構成力の見事さ。
スポーツ競技者の、情熱と冷静を並列に描きつつ、それが混在する苦悩と絶望と歓喜。
表現力の幅。レースシーン等の迫力。驚異的な演出力。
興奮と驚き。感情が揺さぶられました。
新鮮で最高な気分です。
こんな色々な気持ちで満ち足りた映画体験はなかなか無かったです。
ああ!もっと上手く伝える語彙が欲しい!
あと前々から松坂桃李は天才だと思ってましたが、天才じゃない。怪物だった。
原作読んでない人は、ぜひ予告とか見ずに映画館へ行ってください!
傑作
走りたくなる映画
走っている時の映像と音(足音、息づかい)に疾走感があり、見ているだけで気持ちいいです。
物語としては漫画を一つの映画にまとめていることもあり若干駆け足な感じはしましたが、それでもうまくまとめられているほうだと思います。
原作を読んでおらず100m走だけでどう話を展開していくのだろうと思っていましたが、「100mを誰よりも速く走れば全部解決する」というコンセプトも納得感があり面白いですし、陸上だけでなく人生に焦点を当てた話なので、陸上を全然知らない自分でも楽しめました。
一つだけマイナス点を言うなら、若干独特な台詞回し(選手たちの名言めいた発言)が多く、しゃらくさいなと思って感情移入できなかった部分はありました。「チ。」だと時代が違うので哲学的な台詞も抵抗感なく好きだったのですが、陸上選手だと若干うっとうしい感じが…
とはいえ、走っている時の映像・音、劇中曲や最後の髭男の曲も良く、映画として完成度が高かったです。見終わった後は爽快な気分になり、走りたくなりました。
Glorious Moment!
『チ。』のアニメが素晴らしかったので、予告、キャラデ、キャストだけの情報で鑑賞。
まず、口の動きの緻に細かさ、正確さ驚く。
プレスコだと思うが、そうでないなら種﨑敦美と悠木碧の2人は特にリップシンクが上手すぎる。
これに限らず、地味なところで、目新しくはないが抜群の精度の演出が目を惹いた。
オープニングクレジットの出し方なんて、ありきたりなのに目茶苦茶カッコいい。
高校生編以降はロトスコープが基調となり、作画ならではの表情と3DCG並の滑らかさが共存。
音の使い方も効果的で、特にレースシーンのドラムが否応なしにテンションを上げる。
キャラからカメラを外す演出も音が良くてこそ。
しかし、他はまだしも終盤の「誰?」ってくらい崩したトガシの慟哭はやり過ぎで冷める。
強い演出に頼らず職人芸に徹してほしかった。
話はトガシが挫折して復活してばかりなのが難点。
W主人公と思ってた小宮は意外と存在感が薄く、中学で部活に入らなかったり性格が変わった理由は謎。
社会人編からは一気にキャラも増えるが、ほとんど活かされないまま打ち切りのように終わる。
絶対コーチだと思ってたノヴァk…海棠さんが魅力的だったのに勿体ないし、尾道は一体何だったんだ。
名言も多いが、漫画で数話おきに出てくるならまだしも映画で連続して聞かされるとややもたれる。
スポーツもので哲学に寄りすぎ。
原作の問題だろうが、レースの決着を見せなさ過ぎなのも、個人的には合わない。
声優は松坂桃李の語尾のニュアンス(ごく一部)とアナウンサー以外は文句ナシ。
キャストだけ憶えてれば喋る前から誰か分かるくらいにハマってた。(特に内山昂輝)
総じて楽しめたのは間違いないが、ちょっと惜しい。
全375件中、221~240件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。












