「見た!!!」ひゃくえむ。 mark108helloさんの映画レビュー(感想・評価)
見た!!!
ロトスコープと言う古くて新しい技法の今や第一人者といって良い。これほど効果的にこの技法を使い、しかも最もプリミティブな実験手描きアニメ風の描写を入れたり、また一方でベタな劇画調だったりで、世界に類も見ないテイストのアニメに仕上がっている。このアニメの特徴と言えば極めて抑制されたインテリジェンスあふれる登場人物たちの行動様式、100メートル10秒に込められた様々な人生哲学が鼻に付く事もなくそのストイシズムが清々しく感じるのは、圧倒的な熱量を持った描き手の迫力、臨場感に尽きる。無駄をは除したエリートたちの栄光と挫折がこの100Mと10秒と言う時空に閉じ込められたまさに陸上版🎦2001年宇宙の旅からの🎦インターステラーへのアンサームービーか。とにかくその描画力はこの伝統的な技法によるところが多いが、それにしても視覚に焼き付けただけで自らの視覚情報を自らの腕一本でトレスして見せる人間ロトスコープともいえる井上雄彦の凄さも同時に呼び覚ましてくれる、そんな迫力を持つ映画となって仕上がっているのである。それと最高に格好いい映像演出は、高校で再開した小宮と富樫の最初の勝負で、「セット・・ゴー(実際は合成音)」の後、固定したカメラからフレームアウトした二人の姿の後に映し出された青空を10秒間、観客に見せる演出はマジクールだった。このわんカットだけでこの監督の非凡さが強く印象付けられた。完璧。それにしても金曜の朝一番、いちにち一本の上映にほぼ満杯になるだけの観客が集まる新潟はマジでアニオタの聖地と痛感した。
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