「あの10秒を味わう」ひゃくえむ。 みみみさんの映画レビュー(感想・評価)
あの10秒を味わう
今の創作物は昔と違ってかなり現実的に作られたものが多い。昔は才能があって、なくて、大人になったらそれが無くなって、更に現実を見ないといけなくて、でも些細な日常の中でしあわせを見つけようとするような。
でもそういうものは、子供の頃を恋慕するような気持ちを否定された気がして、今ある現実をちゃんと見なさいと言われるような気がして、とても苦しい。
でもこの映画にはそれがなかった。
主人公がコーチになって終わるそんな現実的で、見たくないような結末なのかと思ったけれど、
主人公が挫折しながらも、あの10秒を味わうためにちゃんと走り抜けた。
未来が決まった映画は、こっちの未来も勝手に決められたようで苦しい。
でも、私にとってこの映画の結末は現実逃避の術で、まだ未来があるように感じられて、この映画を思い出すことが日常を彩るもので、観る事であの10秒感を共に味わえる、そんな映画だったと思う。
コメントする
かこすけさんのコメント
2025年10月14日
原作の魚豊さん、『チ。』の方でもそう感じるのですが、人間の『生』への讃歌というのか、そういう一生懸命生きることへの肯定を感じるところが好きです。だから、誰が勝つとか負けるとかでない、あのラストでいいと思いますよね。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。