「傑作!生々しく、そして美しい!」ひゃくえむ。 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
傑作!生々しく、そして美しい!
原作は未読ですが、原作者である魚豊先生の出世作であり傑作の「チ。 - 地球の運動について-」は、全巻読破しております。「チ。」・・・は間違いなく傑作と思います。
魚豊先生の作品が原作ということで、このアニメ作品も鑑賞した次第です。
結論から言いますと、こちらはまず劇場公開作として完成度が高くまさに傑作といえる出来でした。本当に素晴らしい!
足が人より抜きん出て早い・・・という生まれつきの特性から小学生時代、望むものをあたり前のように手に入れてきた主人公トガシ。彼のもとに、日常の苦しみから逃避するため、自分を痛めつける様にがむしゃらに走る小宮が転校してきます。トガシから走り方を教わり、練習に打ち込むことで実力をつけ、ついには結果を出せるまでになった小宮。しかし、彼らには唐突な別れが待ち受けてました・・・から始まる、100m徒競走に人生をかける人々のストーリーです。
レースシーン以外では映像の動作がそこまで活発でないのに動画が妙に生き生きしていると思ったら、ロトスコープ(実写をなぞって動画をおこすみたいな)の手法を取り入れているらしいです。
動きの少ない場面では3Dとも手書きとも異なる独特の絵の生々しさがまず目を惹き、レースシーンなど、いざ場面が活発動き出きだすと、やや誇張されたキャラの心象描写がアニメ的に上塗りされ、それらが効果的にクッキリ浮かび上がるように演出されてます。
うまく言語化できてるか自信ないですけど、とても面白く美しい映像効果ですね。
そしてストーリー、脚本も秀逸です!100mを主題にした哲学書を読ませるような思想的重厚さに価値を求める・・・と思ったらそれだけでなく、直感的、本能的な答えも同等の価値があると述べていたりと、とても多様性に富んでいます。
タイム表示が一切出ないのも良く考えられてますね。その舞台に選ばれた人々がガチで競い、凝縮された10秒後に他者よりも一歩でも前に出るのが至高!それは美しく、尊く、そして狂気の沙汰?でもあるんですよね。
本当に素晴らしい作品でした。ぜひご鑑賞を!
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