「本シリーズの海外配信を視野にしたとき、自ずと変えるべきところやるべきところが見えてくるような気がします」鬼平犯科帳 でくの十蔵 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
本シリーズの海外配信を視野にしたとき、自ずと変えるべきところやるべきところが見えてくるような気がします
鬼平犯科帳 でくの十蔵
2024年 シーズン1
十代目松本幸四郎を長谷川平蔵に迎えてのリメイクシリーズの第3作
原作から大きな改変はありません
原作の「おしの十蔵」のままではコンプラ的に受け入れられないので本作では「でくの」、平成のシリーズでは「むっつり」に変えられています
序盤に今後シリーズの主要登場人物になる小房の粂八が初登場します
中盤にはシリーズに何度も名前が出てくる稀代の大盗賊の頭簑火の喜之助も初登場します
全体的な印象は時代劇の名シリーズを一世代継承に成功したと思います
ただ時代の変化に応じた新しい価値が加わったのかと問われるとそれはありませんと応えざるを得ません
有名な老舗の蕎麦屋かうなぎ屋の味みたいなもので、代替わりして、味が代わったりすると、こうるさい昔からの常連客から文句がでます
かと言って何もかも先代のまんまですというのもどうか?と難しいところ
今のところは先代の味を守ってくれていて嬉しいねというところ
でもそれだけじゃあ、そのうち、ここがちがう、あそこがこうじゃないという重箱つつきで終わってしまいかねません
ともあれ、時代劇冬の時代に店がつぶれず続いてくただけでも感謝しなければならないところでしょう
それでも、何か目新しい、ここが凄いという物が欲しいところです
配役も慣れの問題だと思います
ただ仙道敦子さんだけは、すみません
平蔵の妻久栄役には受け入れられませんでした
十蔵の妻のようなきつい性格の役があっています
十蔵が道を誤ったおふじのようにもっとおっとりとしたところが滲み出ていれば、お順を引き取るところの説得力が増しお話に感動が生まれたと思います
そして平蔵の包容力の源泉は久栄にこそあるのだというシリーズの構造を確立できたのにと残念に思いました
例えば薬師丸ひろ子さんが久栄役であったならばどうだったろうかと思ってしまうのです
あと、平成のテレビドラマシリーズのようにオープニングとエンディングを作り、そこで新しい時代の空気を入れる試行錯誤を観てみたいと思いました
新しい時代への対応がコンプラ面での題名変更だけなのはもう少しチャレンジしても良いのではと思うのです
どのように?
そこが難しい
本シリーズの海外配信を視野にしたとき、自ずと変えるべきところやるべきところが見えてくるような気がします