「【”思うままに生きている者はこの世にはいない。”哀しき流転の人生を歩んだ男女を軸にした『鬼平犯科帳』新シリーズ降誕。そして、現代の時代劇について、少し考えるの巻。】」鬼平犯科帳 本所・桜屋敷 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”思うままに生きている者はこの世にはいない。”哀しき流転の人生を歩んだ男女を軸にした『鬼平犯科帳』新シリーズ降誕。そして、現代の時代劇について、少し考えるの巻。】

2025年7月23日
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鑑賞方法:VOD

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■長谷川平蔵(松本幸四郎)は本所界隈を見回り中に、若き頃の道場仲間で親友の岸井左馬之助(山口馬木也:「侍タイムスリッパ―」の大ヒットで、一躍全国区に。嬉しい。)、本所の元盗賊だが今では平蔵の情報屋・相模の彦十(火野正平:同じチャリンコ乗りとして早逝が惜しまれる。偶に見たが、人柄が素晴しく良い人であった。)と再会する。
 そこで平蔵は、左馬之助からかつて2人が憧れた娘・おふさが子が出来なかった事で、嫁ぎ先の大店近江屋を離縁され、悪御家人、服部角之助の御新造になっていると知らされる。
 且つては可憐であったおふさは、今では急ぎ働きを指示する様な女になっていたのである。一方、平蔵と左馬之助の若き日の道場師匠、松岡重兵衛(松平健)は、その身分から武士には成れずに、盗賊になっていたのである。

◆感想

・一年前に今作と連動する「鬼平犯科帳 血闘」が劇場公開された時は嬉しかった。速攻で観に行ったモノである。2023年に。豊川悦司主演の「仕掛人・藤枝梅安」の二部作が公開された時も嬉しかったモノである。コレマタ、速攻で観に行き、”面白かったなあ。”と思いながら劇場を後にしたモノである。

・だが、その後、時代劇はパッタリ映画にならなくなった。と思ったら、「侍タイムスリッパ―」単館上映からの大ヒットは、嬉しかったものである。

■現代、時代劇は洋画における西部劇と同じポジションにあると思う。
 だが、池波正太郎の「剣客商売」シリーズや「鬼平犯科帳シリーズ」「藤枝梅安」シリーズを、遅れて愛読したモノ(余りにも面白く、新古書店を駆けまわって、全巻揃えた。)としては本当に嬉しかったのである。
 更に言えば、私が高校時代を過ごした庄内出身の藤沢周平さんの原作を基にした映画、「たそがれ清兵衛」「武士の一分」「隠し剣 鬼の爪」は名作揃いなのである。
 時代劇の映画を、誰か作ってくれないかなあ。

■今作は、「鬼平犯科帳 血闘」の流れで作られているので、メインの登場人物を演じる俳優さんは同じで、安心して観れる、そして、重ねて書くが岸井左馬之助を演じた山口馬木也さんの抜擢は嬉しかったなあ。そして、この人は矢張り時代劇の人だなあと思うのである。

 作品の流れは、且つては善人だったおふさ、松岡重兵衛が、流転の人生の果てに悪の道に落ちてしまった姿が描かれる。
 だが、平蔵は二人に対し、相応の対応をするのである。特に、且つての師匠松岡重兵衛に対して。だが、松岡は平蔵の刃に斃れた時も、何故か満足気な台詞を吐いてから命耐えるのである。

<時代劇は、当たり前であるが、邦画でしか観れないモノである。原田監督、もう一度「関ケ原」のような、重厚な時代劇を作っては貰えないであろうか。
 世の趨勢は、アニメーションが主流になっているし、それを否定するつもりはないが、私は本格時代劇を劇場で観たいのである。>

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