「生々しい直球の連続」オキナワより愛を込めて La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
生々しい直球の連続
1970年代から沖縄の女性を撮り続けて来たカメラマン石川真生さんの作品と半生を追ったドキュメンタリーです。本作は過去・現在の沖縄の街、そして石川さんが撮影した写真の背景で彼女がひたすら語り続けるのですが、いやぁ、久々にエネルギーの迸りを感じる映画でした。
石川さんの言葉はどれも生々しい直球の連続で、迷いがありません。ご自身も米兵向けのキャバレーで働きながら黒人米兵と同棲し、結局は男に妻子がある事が判明し彼はアメリカに帰って行きます。でも、そこに後悔は微塵も感じられません。自分は一生懸命愛したのだという確信があるからです。そして、また別の黒人米兵と暮らし始めます。そうしたご自身、更には同じように黒人米兵を愛する女性達を捉えたモノクロ写真はどれも熱く脂ぎっています。
「やっぱり、写真はモノクロの美しさだよなぁ」
と再認識させられました。その時代の作品を石川さんは、
「私がとっても大切に自慢している作品。誰にも文句は言わせない」
と断言します。そこまで言い切れる自信というのも凄いですよね。恐らく石川さんは自分の写真が「沖縄」という政治的な括りで論じられるのは嫌で、「愛の形」として観て欲しいのでしょう。
そして、もう一つ驚いた事。プロカメラマンでもデジタル撮影が当たり前になった現在でも、石川さんはフィルム・カメラで撮影されているのです。自分のエネルギーが焼き付けられるのはフィルムだけと感じられているのかなと勝手に想像しました。
コメントする