エターナルメモリーのレビュー・感想・評価
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Dying in Slow Motion
A woman's documentary of her husband's descent into dementia at old age. A lifelong author, physically he appears healthy but his ego slips in and out, sometimes he can't remember his own name. It's heartwarming to see that even in lucid conciousness they find joy in love. A tearjerker to watch emotions flow. An argument for love as an insurance policy for comfort and happiness in the late years.
疲れた
チリの有名なジャーナリスト・アウグスト・ゴンゴラと、同じくチリの国民的女優で同国初の文化大臣となった妻パウリナ・ウルティアの夫婦は、20年以上にわたって深い愛情で結ばれていて、古い家をリフォームし、読書や散歩を楽しみながら毎日を穏やかに暮らしていた。そんな中、アウグストがアルツハイマー病を発症し、少しずつ記憶を失っていった。やがてアウグストは、パウリナとの思い出さえも忘れてしまい・・・という話。
美しい話だが、アウグスト・ゴンゴラがパウリナと結婚したのはアルツハイマーとわかった後の2016年との事。それまでは事実婚だったのかな。
子供が出てこない理由も前妻との関係なのかと後からだけどなんとなくわかった。
絵や音楽は美しいが、ジャーナリストの一生、ってあまり興味無いし、アルツハイマー発症後の様子をずっと見せられてもなぁ、という感想。
疲れた。
免れない病気
認知症の映画は色々あるが、洋画で観たドキュメンタリーは初めて。こんなに抗がん剤や免疫療法があるのに、決定的な治療が無いのが残念。ジャーナリストだった方があのようになるのは酷すぎる気がする。
帰り道の「おはぎ」
チリを代表するジャーナリストとして活躍した夫がアルツハイマーによって自分自身の業績も妻との思い出も忘れて行く様を妻の目線から記録したドキュメンタリーです。
「あれほど聡明だった人が・・」という哀しみも然ることながら、家族の思い出が夫の頭の中から消えていくのは辛いだろうな。勿論、辛すぎる場面は取り上げられていないのでしょうが、夫と相対する時の妻はいつも笑顔を絶やさず、それがとても愛らしいのです。
「死ぬまで一緒に居よう」
と呟く夫に頷く奥さんの姿にグッと来てしまいました。カメラがあるが故の「演技」にはとても見えず、お二人は互いにとても好きなんだなと言う事が強く伝わって来ました。
「今日は、帰り道に妻の好きなおはぎを買って帰ろう」
と、慌ててポケットの中の小銭を探ったのでした。
2つの側面が良い塩梅で登場
今年325本目(合計1,417本目/今月(2024年9月度)11本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
チリのちょっと前(といっても30年以上前)のいわゆる軍事政権に関する民衆の蜂起と、これと関係して現在(「コロナ」という語は出るので、2020年以降)のアルツハイマー型認知症を患った夫を介護する妻の愛のお話。
後者に関しては介護制度等は国によって多々違いますが、暴れたりしない(周りに迷惑をかけないなど)前提で、妻なり夫なりが面倒を見ることはありうるので、ここは違和感がなかったかなといったところです。
一方、チリの軍事政権についてはこれは史実で、当時のニュース報道等も交えて描かれます。これによって投獄された人や、不当な弾圧を受けた人が大勢いたのは事実ですが、このことは高校世界史でも学習せず(現代史にあたるため)、事前に知識があるとよいかなと思います。チリ国内では否定的に取られることが普通ですが、一方で「「当時の」南米の各国を比較すれば、軍事政権であろうがどうであろうが「当時の水準から見れば」国は豊かになった」という前向きな意見も国内にはあるようで(このことを示唆するセリフも出る)、何にせよどんなことであろうと物事には二つ以上の側面がありうるという例になりますね。
ストーリーはほぼ南米スペイン語(一部英語ほか)。字幕で日本語訳がないところがいくつかありますが、概してレベルの高い語句はラテン語語源の単語なので英語の知識があれば推測がつく範囲です。
スペイン映画というと、本国スペインにおけるスペイン内戦を描いた映画や、南米(ブラジル除く。ブラジルはポルトガル語)のこうした軍事政権を描く映画などの類型が一定数ありますが、大半において史実を描いているわけで、特に後者(前者は一応高校世界史の範囲内)については積極的に知ろうとしない限り出てこない事柄であり、こうした点について配慮があった点は良かったです。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアです。
切ないけど幸せな老夫婦の、優しい生活のドキュメント うちの父と母や...
切ないけど幸せな老夫婦の、優しい生活のドキュメント
うちの父と母や、
最近ご主人が亡くなったばかりの知り合いのご夫婦のことを思うと、
このおふたりは、本当に幸せなご夫婦だと心から感じました
著名な妻と実績のある夫
の認知症闘病記
だから映画になり得たのだろうが
これが一般市民だったら映画にできたのだろうか?
と嫌味を残したい訳ではないので、素直に感じ
思ったことを書こうと思う。
ある病院の脳外の先生が仰った話である。
認知症の患者さんの脳を開いて、まず感じたことは
なんだと思いますか?
僕は首を傾げ、え?色が違う?ですか?だった。
そうしたら先生は、うわ、酸っぱい!です。
と仰ったのです。
つまりは脳が発酵している。と言うことでした。
本作は偶然コロナウィルスの期間中の映像が
含まれていたが
もしかすると脳が侵されるウィルスが
この世にあったとしたら
実はそのウィルスの所為で認知症という病が
おこってるのでは!と思いました。
まぁ、そんな妄想はさておき、認知を患っても
変わらず愛し続けることのできる夫婦とは?
をまざまざと見せつけられたわなぁw
良い考案材料也◎
昔(と言っても1975年)『サンチャゴに雨は降る』という映画があった。あのチリでの激動の時代を記録に留めたジャーナリストの人が認知症になったという事に一抹の寂寥感を覚えた。期待度◎鑑賞後の満足度◎
①前半は認知症でありながら穏やかな様子のオウグストを見せておいて、中盤からそれとは違う荒れる姿を見せる構成が上手いと思った。
②知性と教養とに溢れた人にも認知症は差別区別なく訪れる。
本を書くほど知性があったアウグストが記憶を失くして行くことへの恐怖を抱えつつ、と妻の事さえ忘れてしまっても何とか残っている記憶にすがっても前向きに余生を過ごそうとする姿と、現役の国民的女優であり文化大臣を務めたこともあるバウリナがそんなアウグストを根気よく支え続ける姿には、涙よりも微笑みが浮かぶ。
ドキュメンタリー。記憶のテーマが掛け合わせられている。活躍した日々...
ドキュメンタリー。記憶のテーマが掛け合わせられている。活躍した日々の記憶との落差があって、現時点の彼の状況と絶望は切ない。とはいえ、素敵な記憶の記録であり、退屈でもある。
病気で記憶を失っても、決して君のことは忘れないと永遠の愛を誓いあうふたりの姿には、感動で涙を禁じ得ませんでした。観る者まで穏やかな愛の波動に包んでくれる秀作です。
アルツハイマーで記憶を失っていくジャーナリストの男性と彼を支える妻の愛と癒しに満ちた日々を記録した、チリ発のドキュメンタリー作品です。
監督は『83歳のやさしいスパイ』(2020)でチリの女性として初めてアカデミー賞にノミネートされ、本作でも同長編ドキュメンタリー賞にノミネートをはたす快挙を成し遂げたマイテ・アルベルディ。
●ストーリー
南米チリ、夫婦の寝室。「君は誰なの」と訊ねるアルツハイマーの夫。向き合う妻は、自分と夫が何者なのかを諭すように語ります。手探りで進む対話はユーモアすら漂っていました。
夫は、著名な元ジャーナリストで、ピノチェトの独裁政権を生き抜いた反骨精神溢れるアウグスト・ゴンゴラ。テレビでは文化芸術の番組も長年担当していました。
妻は、チリの国民的女優にして同国初の文化大臣となったパウリナ・ウルティア。20年以上にわたって深い愛情で結ばれてきたふたりは、自然に囲まれた古い家をリフォームし、読書や散歩を楽しみながら毎日を丁寧に暮らしていたのです。
若さ日の夫による取材映像が挿入され、軍事独裁下の生活など激動の国内史が2人の歩みと重なります。
そんな中、アウグストがアルツハイマーを発症し、少しずつ記憶を失っていくのです。やがてアウグストは、最愛の妻パウリナとの思い出さえも忘れてしまいます。失われゆく記憶に泣く荒波の日も、陽気にダンスする凪の日も、その日がどんな日であってもふたりの愛は変わりませんでした。夫は撮影後に亡くなるが、慈しみに満ちた夫婦愛は永遠に刻まれています。
●解説
本作は、チリの文化人カップルを、4年をかけ記録したドキュメンタリーです。アルツハイマーを患った夫アウグストと、困難に直面しながらも彼との生活を慈しみ彼を支える妻パウリナの、ささやかな幸せにあふれる丁寧な暮らしと、ふたりの愛と癒しに満ちた日々を記録した並のドキュメンタリーを越える感動作であり、究極の夫婦愛を描いたラブストーリーといっていいでしょう。
でも描かれるのは、夫婦の何気ない日常です。髪を拭き、髭を剃る。手を繋いで散歩する、そんな社会的地位のある著名な夫婦にそぐわぬほど、親密で小さな日々の営みに目をつ密着していくのです。けれども、ここが注目点!互いを見つめる眼差しの一つひとつに愛の火が灯っているではありませんか。そして交わされるのは、熱烈な愛の言葉なのです。これが日本だとどうでしょう(^^ゞ二人のような結婚して20年経った夫婦は、倦怠期を迎えて、ろくな会話すら交わさなくなるご家庭が多いのではないでしょうか。なので本作のように熱烈な愛の言葉なんて、気恥ずかしくて言えないというご夫妻がほんんどといっていいでしょう。
パンデミック時はパウリナにカメラを託し現在進行形の夫婦を捉えていました。また結婚式や旅行など、過去の家族ビデオの映像も使用。時系列を自在に行き来する編集で、温かな「人に歴史あり」の映画となりました。
アウグストは言論統制を敷く軍事独裁下で、国の忘却に逆らい、真実の報道を求め取材を続けた人です。そんな彼が認知症を患い、消えゆく記憶と格闘するのは奇妙な運命の巡り合わせなのでしょうか。
その意味では、個人史と国の歴史が絡み合う、記憶とアイデンティティーの重層的なドラマにもなっています。
アルベルティ監督は、老人ホームが舞台の前作「83歳のやさしいスパイ」でも、高齢者目線に立ち、愛と老いの問題にしなやかに切り込んでいます。
記憶障害から生じる混乱など、時に辛い介護の現実も映る。全てを理解し夫婦に寄り添うような飼い猫は小さな名脇役といっていいでしょう。しかし、人生の大波小波の後に残るのは、たしかに大きな愛の記憶なのでしょう。
●感想
次第にアルツハイマーが進行して、記憶が失われる時間が長くなっていくアウグストでしたが、つかの間の正気の時間にパウリナとのデートを楽しむラストシーンが印象的。どんなに病気で記憶を失っても、決して君のことは忘れないと永遠の愛を誓いあうふたりの姿には、感動で涙を禁じ得ませんでした。観る者まで穏やかな愛の波動に包んでくれる秀作です。
旦那を不用品交換に出品したいと本気で思っている日本の奥様。ぜひおふたりでご覧になって、夫婦の関係を見直してほしいものですね。
口にして伝えたい想いと口にしても叶わない願い
チリに暮らす一組の老夫婦、アウグストとパウリナの暮らしに密着するドキュメンタリー作品。夫アウグストがジャーナリスト時代に収録した映像やプライベート映像を交えながら、アウグストの半生の記録と夫妻の今の心境を収めている。
構成がはっきりした報道的なドキュメンタリーとは異なり、過去映像以外の撮影時期は明示されず、ナレーションや第三者からのインタビュー等もなく、アウグストとパウリナの日常が淡々と並べられていく。その生活の中心はアルツハイマーを患ったアウグストの介護である。序盤はアウグストがパウリナの職場について行ったり、二人で運動療法や散歩に行ったりと、病気のイメージよりも活動的な様子が伺える。
アウグストに病識があり、荒れるタイプの症状ではなかったからそういう生活ができていたのだろうが、その分、病状が進行してパウリナのことや現状を思い出すのに時間がかかったり、幻覚や妄想に囚われる時間が増えてきた時期の衝撃が大きかった。
本編中のアウグストに対するパウリナの対応は、もしかしたらアルツハイマーの患者に対するセオリーから外れたものもあるかもしれないが、心を引き出し認識と現実のずれを正すことがアウグストの望みだったのだろう。根気強く彼に説明しアウグストを現在に引き戻そうとするパウリナの献身と、それを繰り返す強さが胸に刺さった。
中盤で若きアウグストが述べるように、彼は事実の記録だけでなくそこで生じる感情を併せて記録することを大事にしている。そのため、作中でパウリナがアウグストに過去や現在の心境をたずねる場面が多い。序盤と終盤でパウリナは同一の質問をアウグストにするのだが、アウグストの回答が真逆になることが悲しく、また共感もできた。
2人の間には常に会話があり、本編中のどの時期でもアウグストはパウリナへの愛と感謝を口にする。彼は元気な頃から素直にポジティブな気持ちを伝えられる人だったのだろう。また撮影のほとんどの舞台となる自宅は、2人のパートナー生活の初期から住んでいる場所らしく、2人の歴史を見守ってきた建物である。初めは床と壁しかないような状態から、今なお手入れをしながら暮らしている様子に心が和んだ。
長いパートナー生活を経て2人が結婚したのはアウグストがアルツハイマーを発症した後だったようで、アウグストにとってパウリナと密に時間を過ごすことが終活だったのかもしれない。筋書きが無いのに、非常に濃い85分だった。
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