宝島のレビュー・感想・評価
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すごい映画だった
すごい映画。
戦果アギヤー(米軍から物資を奪い貧者に戦利品を配る若者達)、小学生11名を含む19名の死者と210名の負傷者を出した宮森小学校米軍機墜落事故、米兵による性被害や交通事故、ひいては殺人事件までもが不起訴になる事案、コザ暴動、弾薬庫への毒ガス貯蔵事件、等戦後沖縄で実際に起こった米軍起因の事件をモチーフに物語は進む。
沖縄、米軍、戦後直後…と聞けば「反日なの?」「説教じみてるの?」とよぎるヒトもいるかもしれないけれど、そう言う類の映画ではない。政治信条を主張する映画でもない。
フィクションではあるけれど沖縄の人達が何に怒ってきたのか、というのがひしひしと伝わる。謎解きに関わる内容の会話が方言で理解不能な部分が多々あるのだけれど、そのせいでラストの衝撃、痛みと慈愛が一気に押し寄せた。
※こっからネタバレ
190分と長編だけど、俳優陣の演技も見事で緊張感緩む事なく最後まで駆け抜けた。
怒りを向けられる対象の横暴を強調すれば、ともすればヘイトに繋がる昨今、巧みなバランスで描かれていたと思う。本土への政治批判も然り。
とにかく心が痛い。窃盗や暴力は犯罪だけど、皆そこに至る、戦争や戦勝国からの不平等な占領に起因する深い傷を抱えている。だから主要登場人物全員の幸せを願ってやまないのだけど「この流れからじゃ幸せ無理?破滅?」とずっとハラハラしっぱなしだ。
喪失した事で、主要人物それぞれの中で大きくなったオンちゃんの存在感もすごかった。
統率力があり何より前向きで窮地でも歯を剥き出して「笑え」と皆を鼓舞するオンちゃん。そして学校を作るのだと語るオンちゃん。戦果アギヤーのリーダーとは言え、ただの不良青年ではない。未来を前向きに見据える青年だったのだ。
炎を多用した暴動がこれでもかと丁寧に描かれていたけれど、積もりに積もった怒りの暴発をじっくり表現したかったのだと思う。
熱気に浮かされ高揚する様、願いが叶ったような気持ちで漏れる笑み、そして解決ではない事や暴力に対する虚しさ…妻夫木くんの1人演技で見事に表現されてましたな。高揚はするけれど決して爽快ではない複雑な心境。
これな、個人的に、多くの人に観てもらいたいな。
戦中多くの県民が戦火に巻き込まれ、戦後本土と同じタイミングでは戦後にならず、長年戦勝国に支配される占領地であった沖縄。その戦勝国から受けた仕打ち。単純な優越的支配だけでなく、自国における兵士達のフラストレーションの捌け口にもされてきた沖縄。
フィクション映画なんだけど重い。個人的には、救われた子供には助かって欲しかった。困難さの象徴としての死なのだろうけれど。
そして辛いし重いけど、迷いながらそれぞれの道を征く3人それぞれの傷と強さと。
グスクはきっと、オンちゃんのテロ関与を疑っただろうけど、彼の優しさと強さを再確認して、存命ならそんな事はしなかった、と確信しただろうしそれが救いになったろう。
ヤマコは強い。強さ故の頑なさでこれまでオンちゃんの示した道を自身の夢として進んで来て、益々確信を得ただろうけれど、できれば自身の幸せも顧みて欲しい。
そしてレイ、レイよ、どうかどうか自身の命を大切にする生き方を見つけて欲しい。いや、きっと見つけると信じてる。
晴れやかな大団円とはいかないけれど、今後も紡がれるであろう生の在り方が、ほのかな希望として心に灯る終わりだった。
セリフが把握できないのに、付いて行けるわけが無い
終始置いてけぼりのまま、疑問だらけのエンディングへ・・
刑事なのに白骨見て錯乱は単にヘタレ?又はトラウマ?
レイが殺したのは誰? なんで殺したの?
あの毒ガスは盗んだ? 誘拐した科学者に作らせた?
臨月の妊婦が基地に忍び込んで産んだ?
瀕死なのになんで病院に行かない?
ウータは死んでオンと一緒に納骨された?
こんな理解度で感動して評価するとか あり得ない。
字幕解説付きでないと無理。
そして、「今は無理でも何十年か後には幸せになればいい」に対し
ヒロインが不満そうに背を向けるラストは、名シーンと言えるのか?
あと無駄なシーンが多い、それぞれ編集で詰められるのに
時間取り過ぎ。 その時間で説明的なものを入れればマシだったかもね
映像がよかった。
・当時の沖縄県民の状況や雰囲気が無法地帯に近い印象でたまらないなぁと思った。やりたい放題のアメリカ兵を逮捕しても無罪になるというのも今の日本みたいで絶望的な気分になる。傍若無人のアメリカ兵の日常の下、沖縄を取り戻したいと追い出したい人々と利権で動こうとする人々などがいる感じなど、現代と通ずる状況が切なかった。米軍基地から物資を盗んで裁いている人たちの中でも組織があったみたいでそこで失敗したら島で刑務所みたいになっていたのが悲惨だし、なんで?って思った。
・映画で群像劇っていうのが自分と合わない事を痛感した。主人公は一人で、回してほしくなった。もしくはチャプター分けをしたり。誰の何の話を今観てるのかがわからなくなっていった。NHKなどでドキュメントとしてなら興味深い感じの内容が多かった。映画としてストーリーをとなるとはよくわからなかった。
沖縄の実情が良く描かれているけれど
原作も知らないので勉強不足の私がいけないのかもしれませんが…。
沖縄でどんなことがあったのか酷さは伝わったものの、もっと飛行機が落ちる瞬間とか直後とかのシーンがあってもエンタメとしては良かったのかなぁ(あまりにも酷すぎてひかれる恐れもありますが)
オンの魅力がいまいち理解できないまま、オンに執着して生きている3人が描かれて、置いてけぼり感を感じてしまいました。
オンを口実にしているけど、実はヤマコへの執着だけだと奥深さに欠けるのでそこは大事と思いつつ、オンの価値に共感が追いつけませんでした。
「宝島」タイトルの割に、宝の存在は初盤・中盤では薄かったし宝探しというより、オンへの思い入れを共感できないまま、オン探しがメインと受け取ってしまった。(オンが宝なの?という置いてけぼり感)
ラストに宝が急にクローズアップされた感も気持ち的に追いつけなくて…。
大事な宝は理解しつつ、今を生きている私たちにどうあって欲しいとかのメッセージ性も薄く感じて、なんとなくモヤっとした気分で考えながら映画館を後にしました。
もう一回見てみるとか、原作読んでみるとかしないと、このモヤっとした気分は晴れそうにない。(これが狙いか!)
50年後の今、何想う
コザ騒動と沖縄返還からすでに50年を越えました。終戦から返還までの期間と比較して二倍近い時間が流れました。もし、この映画のその後の時代を描くとしたらどんな物語になるのか。アメリカが最前線から一歩引いた分、やまとんちゅが大きな顔するだけでしょうか。
嘉手納飛行場は今もそのまま存在しています。直接戦場に向かうような状況こそかなりご無沙汰ですが、明日起こったとしても不思議ではない世界が続いています。豊かになったらほかかに目を瞑らなければいけないのか、という問いかけは今も続いているのでしょう。
あえてマイナス点を挙げると、主要人物像がややはっきりしないんじゃないかな。20年にわたる長い複雑なストーリーなのでついていくのも結構大変です。物語に入り込むためにも序盤でもう少し工夫があればと感じました。沖縄については人並み以上に詳しいつもりですが、それでもついていけない部分がありました。あえてそうしたと思われる方言でのセリフにしても、わかりにくさも含めて感じてほしいのかもしれませんが、熱意の空回りになってはいないでしょうか。
あと3時間はやはり長い。生理的問題もあるが集中力という点でもかなり厳しい。演劇でもコンサートでも、公演全体は長いとしても3時間以上の無休憩は無いんじゃないでしょうか。無駄に長い、あるいはテレビかネットフリックスでやったらいいんじゃないかと思う作品もある。でもすべてを短くしろとも思わないし大スクリーンで見たい作品もある。いろいろ事情もあるかもしれませんが、考えてほしいです。
コザの暴動シーンは圧巻。エキストラの人数も異様に多く、モブシーンとしては日本映画とは思えない迫力があり、素晴らしい祝祭的なシーンになった。このシーンだけでも、この映画を見る価値がある。
監督は、NHKドラマ「龍馬伝」や「白州次郎」、映画の「るろうに剣心」の大友啓史。
だからアクションに重きを置いた重厚な人間ドラマを期待したが…。
なかなかの力作。戦後約20年間の返還前の沖縄の雰囲気がとてもリアルに描かれていて、目を見張る。
特にコザの暴動シーンは圧巻。エキストラの人数も異様に多く、モブシーンとしては日本映画とは思えない迫力があり、素晴らしい祝祭的なシーンになった。このシーンだけでも、この映画を見る価値がある。
上映時間は3時間強だが、そんなに長さは感じない。ただ全体的に要所要所で締まりがない気がした。
例えば、米軍の輸送機が、小学校に煙を出しながら落ちてくるシーンは迫力があるが、肝心の落ちるシーンがない。音だけで、その後の焼けて亡くなったこどもを抱くなどのシーンなる。
コザの暴動シーンでも、照明弾が空に打たれて全体が明るくなるが、照明弾が空に上がるシーンがない。
省略の良さよりも、もっと映像の効果を考えて欲しかった。
それに米兵との銃を使ったアクションシーンのキレの悪さもちょっと気になる。出てくる米軍兵士が嘘くさく感じられた。
一番気気になるのは、ラストのシークエンス。グスク、ヤマコ、レイ、ウタが米軍と対峙するシーンから逃走しての核心の謎解きシーン。これはどうなんだろう。日本映画で良くある言葉による説得、その後の回想シーンによる謎解き。テンポが悪くダラダラと続く。その上謎解きはご都合主義的な辻褄合わせにしか感じられない。
(全然違う映画ではあるが今年の「エミリア・ペレス」のラストのクライマックスように一瞬で話が転換するような筋書きと演出ができないものかと思った。)
役者の皆さんは熱演で良かった。特に窪田正孝が良かった。妻夫木聡の暴動シーンでの笑い顔と叫びは印象的。広瀬すずも瑛太も良かった。
色々と気になる点はあるけれど、多分ラストをうまく着地できていたら、傑作になったと思う。
県外在住のウチナンチューの感想
映画は、「マック・ザ・ナイフ」の歌と共に始まった。
エラ・フィッツジェラルドの「ベルリン・コンサート」のライブレコードに
入っている好きな曲だったので、出だしからテンションが上がった。
もちろん、エラが歌ってるわけではないけど。
エンターテーメント映画としては、3時間ちょっと、長いと感じさせることもなく、
見応えのある映画でした。
永山瑛太演じる「戦果アギヤー」のリーダーがある日の基地襲撃後、行方不明となり、
妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝らが演じる仲間が後年に渡り、ずっと、その行方を捜すのが
映画のひとつのプロット。
映画の後半で推理小説のごとく、前半での伏線の回収が行われて、謎解きの説明に費やされる。
もう一つのプロットは、その時代背景としての米軍・米兵が関わる事件。
(宮森小学校米軍機墜落事故、糸満主婦轢殺事件、コザ暴動、毒ガス移送、そして祖国復帰運動の描写)
映画としては、二つのプロットを描写しているが、どちらも登場人物の内面的な深い掘り下げがなく、どっちつかずの中途半端な薄ぺらい映画なっていると感じた。
当時の沖縄の置かれた状況、米軍、米兵に対する怒り、沖縄の人々の心情描写がなく、表象だけをなぞった感がある。
役者陣は、かなり頑張って、沖縄のアクセントに取り組んだのだろうなと思うが、70点くらいかな。
ところどころ、短いウチナーグチのセリフが出てきて、ウチナンチューじゃないとわからないだろうなと思いながら観てました。
ひんぎれー(逃げろ)、たっぴらからさりんどー(叩きのめしてやるぞ)、等々。
でも、流石にみなさんすごい役者揃いで、演技は上手いなと思いました。
地元のエキストラのオジィ、オバァのイントネーションは、地でリアリティがありました。
みなさん、演技も上手かったです。
映画自体は、フィクションなので、ちょっと違和感がある描写もあった。
(毒ガスの缶、ラストシーンの骨壺など)
復帰運動の描写で歌われていた「沖縄を返せ」は、よく覚えている。
子供心にも「沖縄は、ここにあるのに返せってイミクジ(意味が)わからん」って思ってました。(笑)
エンドロールで「今帰仁村観光協会」が出てきたので、地元でも撮影があったのかも。
海辺のシーン?かな。
3時間ちょっとの長い映画なので、集中して観るには、映画館がおすすめ。
家で観ても良いとは思います。中身が薄い映画でした。(泣)
アクションは、楽しめましたよ。
映像表現、キャラクター性、ストーリーは良いが・・・・
結論から言うと映画としては十分楽しめました。全体を通してコンセプトも映像表現も非常に良かったと思います。ただどうしても気になったのが、ストーリーのすごく重要な場面や核心に迫るようなヒントや言葉が、沖縄の方言が強すぎて全く聞き取れないということです。何となくのニュアンスや会話の前後やその後の動きである程度の推測はできるのですが、そのモヤモヤと引っ掛かりながら鑑賞している時間が所々あって映画に完全に集中できていない部分がありました。世界観を重んじたら仕方のないことだとは思いますが、そこはうまく理解できるようにしてほしかったです。特に病院で情報聞き出す時はほとんど何を言っているか分からなかったです。さすがにその度に字幕はおかしいのですが・・・・
いい映画だがあまり面白くは無い
すごく真面目に作った映画で、社会的意義もあり、長くてもそれなりに見応えがある。でも、面白いか、というと微妙。
しんどい展開がしんどいままにたんたんと進む感じ。
物語のサスペンスの部分としては、「おんちゃんは生きてるのか」「戦果とは何なのか」という謎で、これへの興味でひっぱる感じのはずなんだけど、なんか登場人物たちの「熱」とはうらはらに観てる側としてあまり興味持てない…。
なぜなのか、という理由の一つとして、「なんか話がよく分からない」から、というのがある。これは僕だけなのかもしれないけど、セリフの7割くらいしか聞き取れなかった。字幕がほしい…。沖縄弁だからというだけではないと思う。また、聞き取れたとしても、いろいろ謎が残ってすっきりしない感じはあると思う。
最後の方、大きな暴動が起きてクライマックスに向かって一気に大きな話に広がった雰囲気は良かったのだけど、そのあと急に関係者だけの口論になって、狭い内輪話みたいになってしまったように感じたのが残念だった。
そこ必要かな。。。
沖縄の悲しき歴史。大変勉強になりました。
沖縄を占領し、広島に原爆を落としたアメリカに
どうしてこんなにも日本人は魅了されているのでしょうか。この衝撃的な現実を、改めて日本人は知る必要があり学ぶべきです。
そして、日本もまた2度と戦争を起きなさい様に、
心掛けるべきだと感じました。
がしかし、20年前に居なくなった瑛太。
ここ必要かな。。。ていくら考えても思います。
そんな始まりでなくても良かったのでは。。。
めちゃくちゃいい話やのに、英雄のオンちゃんがいなくなることで、窪田君はそんなに人を殺す必要があったのか。。。うーた、も突然出てくるし。。。
なんだったんだ、終わってからも意味がよくわからない展開だったと、個人的には思いました。
あと、沖縄弁がわからないので、字幕(翻訳)を書いてもらった方が、よりわかりやすかったかと。。。
ただ、やるせなく
呪いによる祟りなど、現実にはない。沖縄でガマやひめゆりの塔などの戦災遺跡を見終わった後そう思った。もしあるなら、本土防衛の名の下にあれほどの犠牲を強いられた沖縄の無念が、とっくに日本を滅ぼしているだろう。
その沖縄の辛酸が終戦後も続いていたことを、あらためてこの映画は心に刻みつけてくれた。それだけのものを伝えるエネルギーがこの映画からほとばしっていた。
オンちゃんとヤマコが希望を託した子供らは無残に焼かれ、加害者は何の責任も取らない。いつも米軍の無法にさらされ、ベトナム戦争で心を病んだ米兵のはけ口にされ、オンちゃんが泥まみれになって繋いだウタの命は、米軍の銃弾に散る。希望の本土復帰は、沖縄に犠牲を強い続けるだけの形骸だった。グスクとレイの希望と失望、その答えは今も出ていない。いや、権力者が私欲で理不尽に引き起こす戦争が各地で続く今をみれば、行き場のない思いだけが残る。
沖縄の海が好きで毎夏行っているが、沖縄の苦難への思いは胸にあり、しかし現地にお金を落とすことが自分に出来ることなどと言い訳にしている。言い訳にしていることに納得していない思いもある。
いろいろな気持ちがない交ぜになって、ただ、ひたすら、やるせない……。
うちなんちゅがどう感じるかはわからないが、沖縄が好きな、あるいは沖縄に行ったことがあるやまとぅんちゅは、この映画をぜひ見た方がいい。
セット感がありすぎる
沖縄で実際に撮ったシーンと
スタジオのセットで撮ったシーンの
リアルさの落差が凄まじい。
暗転後の場面切りかえで
いきなり作り物感が大画面に出てしまい、
興ざめしてしまう事が多かった。
(ジャンルは違うが三谷幸喜の「マジックアワー」の街の作りに似ている。
あの時は「まるで映画の中のセットのような街」というわざとらしさを演出する為にそうしたんだろうけど)
ストーリーは簡単なのに
答え合わせまでに3時間ひっぱり、
ラストがやたら駆け足でモヤモヤする。
沖縄の実際あった悲惨な歴史に
戦果アギヤーのリーダー、
オンちゃんの失踪事件のミステリを
組み込んみ、捜索する刑事のグスクが
夢や幻覚でオンちゃんを見るため、
ファンタジーみたいな
フワフワした印象に感じた。残念。
英雄が守りたかったもの
強い「怒り」を受け取った。
それは沖縄が感じた怒り。それはアメリカに不当に統治された歴史の怒り。それは、なぜ沖縄だけなのかという怒り。本土は「平和になった」と言うがどこが平和なのか、という怒り。信じてくれと言われ信じたのに裏切られた怒り。
ありとあらゆる怒りがマグマのように煮えたぎり、我慢の限界を迎え暴発してしまうコザ暴動の圧倒的描写は、観るものの脳裏に「もっと怒れ」と訴える。
本作は、1952年のサンフランシスコ講和条約から、1972年の沖縄日本復帰までの20年間を、単なるクロニクルではなく、若者たちの青春群像劇として描くことで、今まで見えなかった見えないようにされていた沖縄の真実の一端を、自分ごととして捉えることのできる映画だ。
沖縄の歴史を知ること
戦後80年が経った日本には、戦争は起きていないとされている。
だが、沖縄では、まだ戦争が終わっていないとも言える。
車で轢かれて死んでも文句が言えない、小学校に飛行機が墜落して子供たちが死んでも何も言えない、そんな状況が20年続いたら、それはもう戦争状態と何が違うのか。
沖縄の歴史を俯瞰してみると、沖縄はずっと脅威に晒され続けてきたことがわかる。
そういう意味では、パレスチナ・ガザと沖縄は似ている、と言えなくもないのではないか。
どちらも軍事的な支配や、土地の強制収用という、外的な介入や住民の抑圧の経験がある。
琉球王国からアメリカへ
沖縄はかつて琉球王国だった。
琉球王国は、江戸時代に日本の薩摩藩(現在の鹿児島県)と中国(清)に両属する状態であったという。
薩摩藩に事実上支配されつつも、中国皇帝からは独立した王国として認められていたのだ。
しかし、明治政府が近代的な中央集権国家を築く中で、このあいまいな状態は問題視され、明治政府は琉球を日本領に組み込むため、琉球処分と呼ばれる一連の政策を進めた。
その後、琉球藩となり、沖縄となり、戦後はアメリカ統治下に置かれた。
本土はGHQが統治していたが、沖縄はアメリカの統治下にあった。
通貨はドル、車は右側通行、本土へ行くにはパスポートを必要とした。
つまり、アメリカなのだ。
沖縄はかつてアメリカだったのだ。
こうした事実を、歴史を、学ぶ機会がこれまで無かった。
私は原作を読んで初めて知ったことがたくさんあった。
なぜ学ぶ機会がなかったのか。
なぜ学ぶ機会を与えられなかったのか。
知られると都合が悪いことなのだろうか。
都合が悪い? 誰にとって?
沖縄が日本である以上、国民は皆、知る必要があるのではないだろうか。
では、ドキュメンタリーでいいのではないか、という声もあるだろう。
しかし、ただ史実をドキュメンタリーで撮ることでは伝わらない何かがある、と思う。
それが、物語の力である。
沖縄が孕む「矛盾」と「葛藤」
どのシーンも印象的ではあるが、強いて言えば、まずひとつはラスト近くにグスクとレイが対峙するシーンは、役者の演技力に圧倒された。
暴力による革命を押し通そうとするレイ。
暴力では何も解決しない、後からツケが回ってくると説くグスク。
どちらも正しく、どちらも何も解決しそうにない。
単純な正義のぶつかり合い、と見ることもできなくはない。
だが、正論同士をぶつけ合っている二人は、どちらもそれを望んでいるわけではなく、「怒り」が溢れてしまうことを必死に押さえ込もうとしているようにも見えたのである。
次に印象に残るのは、史実をベースにした「コザ暴動」のシーン。
1970年12月20日、地元住民を米兵が車で轢き殺してしまったことで、火がつく。
その年の9月に、糸満市で同様に米兵による車の事故があり、住民女性が死亡。
しかも、事故を起こした米兵は無罪となった。
コザの住民は、この二の舞にならないよう、行動を起こしたのだった。
それは「暴動」でもあり「騒動」でもあると言われている。
それはひとえに沖縄人の気質によるものだと思う。
歴史の中でずっと隣国に主権を奪われ続けてきた沖縄人は、それでも誰にでも優しい。
様々な国の人を受け入れ、共に生きようとする。
その姿勢をつけ込まれて、都合のいい島になってしまっていたという見方もできてしまうだろう。
そのように耐え抜いた沖縄の人たちの「怒り」のマグマが暴発したシーンは、映画館にも関わらず声を上げてしまいそうだった。
それほどまでに、圧倒的なスケールと没入感があった。
3時間超えの没入感
上映時間3時間11分は、数字で見ると長いと感じるだろう。
そうした声もSNSでは多数上がっているようだ。
しかし、あの原作をよくぞ3時間に納めたと私はそこにも感動したくらいだ。
当然、原作から端折られたエピソードはいくつかあった。
だがそれも、破綻することなく、シームレスにつながっていたと思う。
ストーリーは原作同様、決して分かりやすいとは言えないが、原作よりは分かりやすくなっている。
それでいい。映画とはそういうものだ。
説明的過ぎる台詞はない方がいい。
この混沌とした猥雑さも含めて、沖縄の搾取された歴史なのだ。
方言が強くて、何と言っているかわからない、という声もあるようだ。
わからなくていい。考えるな、感じろ。
そのために役者が演じているのだ。
アメリカ統治下の20年の歴史的背景は、知っていた方がより面白くなるだろう。
なぜこんなにも理不尽を強いられるのか、と憤るには多少の知識も必要だ。
とにかく、まとめていうと、映画館で見るべきである、ということは言える。
そして、パンフレットもしっかりと作っており、情報量も十分である。
作り手目線過ぎて、観客は取り残されている
本来伝えたかったであろう、沖縄に関係するメッセージについては尊重も共感もしますが、残念ながらこの映画作品からはほとんど伝わってこなかったです。主役?のオンを探し求めるお話しに変わってしまってはいないでしょうか。
また、オンは英雄的存在という設定のようですが、映画中ではなるほどと思えるほどの描写はなかったように思います。そのため、英雄的どころか単なる悪人のようにも見えてしまいました。
あまり魅力を感じられないオンをなぜそれほどまで皆が慕うのか、観客の立場では良くわからないまま終わってしまいました。さらには、作品のかなりの時間を占める、戦闘・暴動シーンも説明不足で、誰に対して何のために争っているのかよくわからなく、作品に惹かれる要素が乏しくなってしまったように思います。
上映中、途中退場しようかと何度か思ってしまったので、申し訳ありませんが低めの評価にさせていただきます。自分には合わない作品でした。
原作小説を読了し満足でき、さらに映画でも見てみたいと思われた方向けの作品なのかもしれません。
敗戦から80年、未だ状況は変わらず
金曜日の19:35の回で鑑賞
この映画館の最も大きなスクリーンで期待の度合いが伺えるが、観客は20人程
原作は主人公が尋問を受ける辺りまで読んでいる。
俳優陣は名実ともに実力派揃い、映像は戦後の混沌とした沖縄を存分に表現、音楽は龍馬伝やるろうに剣心を担当した佐藤直樹節が全開。
世界観やスケール感がどこまで表現できるのかと思っていたが、大成功だと感じた。大友監督会心の作品で文句なしの5つ星。
ただ物語のテーマは重い。大和人が見たくないうちなんちゅの苦しみがしっかりと描かれていて、国宝のように口コミでどんどん観客が増える作品ではないだろう。
未来に期待を繋ぐ形で締めくくられているが、未だ沖縄の基地は減るどころか増えており、国としてもアメリカに首根っこを掴まれて主権回復には程遠い信託統治状態である。
日本人として思考停止に陥らずきちんと向き合い、解決出来るよう行動に繋げたい。その一歩として一人でも多くの人に鑑賞を薦めたい作品である。
二兎追うもの一兎も得ず的な名作になれなかった凡作
多分にネタバレを含みますのでご注意ください
良かった点
・役者陣の演技
・セットの作りこみ
・戦後沖縄というあまり触れられてこない題材を意欲的に描こうとした点
悪かった点
・キャラ描写が大事なところで欠けている
・沖縄県人と米兵の描かれ方
・ツッコミ所があまりにも多すぎる
まず良かった点ですが、
素晴らしい役者陣が揃っています
妻夫木さん筆頭に本当に皆さん素晴らしい。
そして戦後初期の焼け野原から再興する沖縄のセット。
これまで戦後史においてなかなか触れられることのなかった
沖縄の日本復帰を描いた本作は、戦後80年が経過する戦争を知らない
私たちに「戦争」「平和」を考えるきっかけには非常にきっかけになると思います。
ただ、あまりにも残念な点が多すぎる作品です。
私が作品を観て疑問に思って最後まで解消されなかった点
・オンちゃんなんでそんな人気なの?
・ヤマコ先生になったけど飛行機墜落をより悲劇的なものにするだけの演出?
・ヤマコとグスク同棲云々言ったけど結局この二人の関係後半一気に空気と化してない?
・アーヴィンとグスクの「トモダチ」って君たちそんな関係なの?
・コザ暴動で見たオンちゃんは単なる幻覚?それでレイ以外の仲間は?
・ダニー岸はじめ諜報員急に出てきて急にいなくなったけどなにも説明ないの?(後の小松とのワンシーンで描写終わり?)
・最後の戦果アギヤーあんなに簡単に見逃してくれるの?
・撃たれたウタ病院連れていかないの?海いかなきゃ助かったんじゃない?
・結局あの最初の襲撃でウタを拾いましたよってだけの話?
などキャラ描写が随所で足りずにツッコミどころが多すぎると感じてしまいます。
これが90分作品とか120分なら「あーもっと尺があればなー」となるんですが、
3時間オーバーのこの作品で細かいところ書かないの?という不満を感じてしまいました。
同じく3時間大作の国宝は多少の気になる点はありつつもほとんどの伏線を回収して、
しっかりと登場人物の老いとともに話が進んでいくのであの時のセリフや場面が、
こう繋がるのか!と見終わったときに全ての合点がいく作品でした。
また、沖縄県人と米兵の描かれ方についても
沖縄県人は「基地を襲う」「暴動する」「ケンカする」「抗争する」「デモする」「米兵も本土人も嫌悪する」これしか書かれてなくてまるで野蛮人に感じてしまいます。
実際当時の沖縄県人は多大な苦労や思いがあったでしょう。
ならばもっと米兵を悪として描くべきだったのではないかと思います。
本作の米兵の悪行は「事故を起こす」「殺人をしている(ただその描写は頭蓋骨蒐集だけ)」「飛行機事故(これは米兵というか軍)」ぐらいなもので、それ以外はヤクザに襲われ、暴動を起こされ、物資を盗まれるもうどっちが悪なんだっていう見え方になってしまっています。
主要人物の人間関係、そして沖縄県人の強い想い、それをもってオンちゃんを追う&沖縄県人のアイデンティティを取り戻す作品であれば国宝級にも評価されるであろう作品だったと思いますが、登場人物を広げすぎ、そのせいで描写が中途半端になり3時間という長時間の鑑賞をもってしても消化不良という残念な作品です。
いっそのこと映画ではなくドラマで1時間×12話とかの方が良かったのかもしれません。
面白いのはCMだけだった
CMを観て面白そうだと思って見に行きました。
2時間くらいで終わるかと思ってたら3時間だったw
そしてその中身はというとそこまで盛り上がるものもなくダラダラと長いだけ。
途中の恋愛模様とか要らないからもうちょっと短くできたと思います。
90分でもよかったね😄
ダラダラやるだけで途中に伏線が少しずつ回収されるわけではなく、2時間くらい経ってから一気に回収されてくるのでそれまでは退屈で。
それでも沖縄の歴史と沖縄人がどれだけ我慢してたのかなど見るのは興味深い所もありました。
米軍による横暴で我慢が溜まっていたわけで、
沖縄人の我慢が爆発して暴動に発展し、それを背景にグスクが笑ってるのは血が滾るような感覚があった。
まぁそれだけ我慢してたということですね、現代の日本人は飼い慣らされすぎて抗うことも忘れちゃっとかなと思うと興味深いシーンかな。
最後の方で基地の中で言い合いになる場面だありそこも納得できる内容だったと思います。
今の日本人に足りない部分を代弁してくれてるところは感じました。
グスクとれいの言い合いのシーンは監督さんの伝えたいことの一部だったのかな?
そこだけ見ても無駄ではないかなと感じるが、繰り返しになるが本当に長くて辛い😞
あと皆がおんちゃんを最後まで追っかけてるけど、おんちゃんがどんな人間なのか劇中でそこまで掘り下げれてないのでなんでそこまで固執するのかという疑問も湧いてくる。
なんくるならんさ
めちゃめちゃ時間とお金を費やしたんだろうな〜と思ったら宣伝でガッツリ数字を載せていたのでおいおいと思いながらも鑑賞。
面白いには面白かったんですが流石に長かったです。
確実に比較対象に挙がるであろう「国宝」はあまり長さを感じなかったんですが、今作では巻けるところ、省けるところはいくつもあったはずなのに全部やってしまっていて、その上不用意な展開もあったりとで流石に疲れてしまいました。
戦後の沖縄が舞台で、沖縄が本土に戻る前の話というところはかなり宣伝が難しかったんじゃないかなと思いました。
戦後80年というタイムリーな年ではあるけれど、その戦争から20年近く経った時代が舞台というところにうまいこと乗れていけなかったなとは思いました。
コザの暴動がメインで描かれる中で、行方不明になった仲間を探すために、友人や恋人たちが奮起する物語ではあるんですがこれが中々に分かりづらかったです。
年代の移り変わりがヌルッとしてますし、主人公が語り手として進んでいくのもややこしさに拍車をかけているようでした。
全体的に画面にいる人の密集率は今年観た作品でも間違いなくトップクラスで、アメリカに不満を持つ現地の人々が反感を買って反抗していくシーンの数の圧力は圧倒的でした。
この人数を捌きながらの撮影はめっちゃ大変だったんだろうなというのが伝わってきました。
登場人物と観客である自分とのオンちゃんとの距離感が離れすぎていて、人望のある人物なんだろうなというのは伝わってくるんですが、どうしてもそんなに崇める人か?と思ってしまって登場人物たちに共感できなかったのは痛いなと思いました。
1人の影響でここまで暴動が連鎖してしまうのは怖いんですが、そこまでのカリスマ性があったかと聞かれると個人的にはNOでした。
終盤の基地へと乗り込むシーンは全体的にかなり無理があったなと思いました。
乗り込んでからのすったもんだはアホらしいですし、ヤマコどうやって入ってきたねんという疑問点もありますし、お偉いさんとのトモダチなやり取りも薄かったですし、そこから広げられるオンちゃんエピソードもグダグダしていましたし、散々広げた話がそこまで感動させられるものではなかったのが残念でした。
怪我人は病院か診療所に連れて行かなきゃでは?という疑問点は特大でした。
オチもなんだか前を向くって感じで終わっていきましたが、あの感じで色々と解決したんだ…と置いてけぼりにされた感が否めなかったです。
俳優陣は皆々様素晴らしかったです。
沖縄の方言はかなり強烈でありながら、見事に喋りこなしていましたし、窪田さんの10代のギラついた感じと20代でのやさぐれた感じの演じ分けが抜群で年齢が全く気にならなかったのがすごかったです。
映像も素晴らしく、沖縄の自然の美しさや爆破による被害、大量の人々の圧巻すぎるまでの暴動ととにかく力が入っていました。
ここまで力の入った作品なのでヒットはしてほしいなと思いましたが、興行面ではかなり苦戦中…。
「国宝」みたいに口コミで広がってくれればなと思います。
鑑賞日 9/24
鑑賞時間 11:15〜14:30
これこそ観なければならない作品です。
さぁ来週から上映開始かぁ………あれ?3時間超かぁ……。
最近は短いのに慣れすぎたから思わず躊躇してしまいましたけど。
しかし観終わってみると戦後80年、いや戦争が始まった時から考えるのが妥当やな。
今現在も続く苦しみ。
それに比べたら3時間ぐらいなんて一瞬やな。うん。
知っていること知らなかったことは人それぞれありますがこの作品を観れば苦しみの歴史の一部を知ることができ、沖縄のことを考えるそしてこれからの日本の将来を考えるきっかけのひとつになります。
他の方のレビューにもありましたが方言問題。
作品の趣旨を考えたら最初から字幕付で上映しても良かったのかも。
最近はいろんな作品で字幕付バージョンが劇場で少ない回数ですが流れるので、もっとたくさんの人達に観てほしいから字幕付が当たり前になって行くんだろうけど。
有名な事件事故が出てきましたがあくまでも有名なので。
演者の台詞にもあった通りに無名なのは数え切れないほど。
人知れず起きていたのも容易に想像できるほど混沌とした米軍の支配下だった。
本土には見捨てられたと思い島の人間は食べる為になんでもするしかない状況。
これが本土復帰の1972年まで、いやそれ以降も続いているんです。
そんな中で起きたベトナム戦争に向かう米兵たちに島の人々は恐怖や悲しみ辛さに襲われ太平洋戦争の時の記憶もよみがえり不安に満ちていたんでしょう。
そして返還前に起きた大暴動。
過激な暴力描写や迫力ある暴動。
でもこれは映画です。
優しいもんですよ。リアルはもっと凄いでしょ?みんなぶつける所がないんだからちょっとでもはけ口があれば全力以上に行くでしょ?見捨てられたんだから。本土の人間が思う以上に当時は酷かったと思います。
基地の中での”これからの沖縄“についてグスクとレイの言い争いはちょっとまともに観れなかったなぁ。
沖縄の風習や文化もちょいちょい流れてくるのもより深くそれに対する想いもほんのちょっと理解できました。
綺麗な風景や楽しい沖縄はテレビからでも飽きるほど湧き出てきますけど、本当の姿そして芯にある背景を知り考えませんか?
しまんちゅぬ宝
思ってたよりはよかった
それは自分がしまんちゅだからなのかもしれない
方言とかないちの人わからんだろうに
オンちゃんはなんで赤ちゃん守りたくなった?
ウタのお父さん結局誰?最後死んだの?
グスクはなんで結婚したの?誰あの女は?
なんでこの映画のタイトル「宝島」なの?
謎ばかりでした。
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