宝島のレビュー・感想・評価
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本土とは全く違う「戦後」の風景に脚光を当てる
沖縄の歴史を知るという視点、映画としての娯楽性という視点、個人的にはそれぞれの尺度での評価にギャップが生じた作品だった。
1972年以前の、アメリカの施政下にあった頃の沖縄の姿をここまでクローズアップした作品には多分初めて触れた。本土復帰という出来事を知識として知ってはいても、何故沖縄の人々がそれを求め、どのようにしてそこに至ったのかをここまで踏み込んで想像したことはなかったと、本作を観た後振り返って思う。
今年を戦後80年とマスコミは呼ぶが、沖縄にとっての戦後は1972年5月15日以降、しかもそれ以降もアメリカ軍は駐留したままだから手放しで喜べない戦後なのかもしれない。
本作ではいくつかの史実(厳密にはそれを元にしたエピソード)が描写される。宮森小学校米軍機墜落事故、糸満轢殺事件、毒ガス漏洩事件。沖縄の人々の怒りの発露とも言えるコザ暴動に至るまで、どんな理不尽が積み上がってきたかがよくわかる。
一方、沖縄の人々の生活の経済面は軍人軍属相手の商売に支えられており、問題の根の深さや解決の難しさを思わせる。
少し調べればそういった出来事や当時の社会構造は知識としては知ることができるが、本当に理解する必要があるのはその時そこにいた人々、直接影響を受けた人々の感情だ。物語はそこに思いを馳せる手助けをしてくれる。そういう意味で有意義な作品だと思う。
それだけに、エンターテインメント性という観点で見ると若干空回り感というか、もやっとしたものが残る感じなのが惜しかった。
要所要所ではいいと思える部分もあった。まず、主要キャストの演技は素晴らしかった。個人的には窪田正孝の危なっかしさ、奥野瑛太の振り切った今際の際、チラ見せなのに存在感あるピエール瀧が特によかった。コザ暴動の映像には迫力があった。
原作の主要キャラにまつわるエピソードや登場人物が結構削られていたが、それは原作付き映画の宿命のようなものだし、悪いことばかりだとも思わない。特に今回の原作小説は、語り部(ユンター)の口述という体裁を取っているせいかもしれないが、話が右往左往して一直線に進まないので、映画の枠に合うよう削ることで話の筋を追いやすくなった気もする。
ただ細部については、説明が足りないのではと思う場面がぽつぽつとあった。原作の情報からいくつか補足する。
グスクが洞窟(ガマ)に入った時錯乱したのは自身が集団自決の生き残りなのでそのトラウマが蘇ったからだということ、よって彼は天涯孤独であるからカリスマのオンちゃんに絆を見出していたということも重要な要素のような気がするが、映画の描写で果たして伝わるのだろうか。
また、グスクがヤマコを諦めたのは、原作ではヤマコがレイに無理矢理犯されたショックで引きこもりグスクを遠ざけたからなのだがここも削られて、グスクとヤマコの関係が軽く感じられた。(家に侵入したレイとヤマコの緊張感に溢れたやり取りはとてもよかったのだが)
終盤、住民たちに「戦果」を配ったのはレイの仕業なのだが、その説明は映画ではなかった気がする(私が見落としたかな? ガスマスクで推測できることではあるが)。
ウタに関するエピソードをごっそり削った煽りで、ラストのオンちゃんの遺骨に辿り着くくだりが少々不自然になってしまった(吐血はしたけど、生きてるなら念のため病院に連れて行ってほしいとつい思った)。
また、この物語においてオンちゃんの行方というのは作品に娯楽性をもたらすミステリ要素にもなり得たと思うのだが、この謎の解明に至る道筋が断片的で中途半端な印象だった。そもそも原作自体にもその傾向があったが、映画化で色々削ったことで余計にそうなった気がする。
そんなわけで、おろそかにできない題材と頭で理解してはいても、エンタメ面での引力不足、人間ドラマの掘り下げ不足を感じた。
とはいえ、この時代の沖縄にスポットライトを当てたことの意義は大きい。私自身、そういえばあまり知らないなあと思って、ついネットでググったり新書を買ったりした。
「戦後」という言葉から浮かぶ風景が本土の人間と沖縄の人々とでは全く違うということ、かの時代を生きた沖縄の人々の感情を、本作から生々しく感じた。その違いを踏まえると、現在の沖縄の抱える問題の見え方もまた変わってくるのではないだろうか。
何故あのラストに
中盤までは神憑り的展開。戦後の沖縄を巡る、喜びも怒りも憎しみも諦めも全てを業火の如く叩きつける映像。なのに、何故ひとりの葬儀で終わる?たとえエンドロールでも、1995年の沖縄県民決起大会の、あの少女の演説まで描くべきではなかったろうか。私にはあの慟哭が今でも忘れられない。
西暦2225年に観る歴史エンタメなら星5.0かも
3時間、ほぼ飽きずに観られて概ね『すごい映画だ』と思わせられました。満足です。
鑑賞前に抱いていた、米軍や日本本土の沖縄への態度(?)に対するウチナンチュの憤り・悲しみ・失望を叩きつけられる覚悟は、クライマックスシーン(ポスタービジュアルの場面から後)を過ぎて、唐突にかわされてしまいました。
あらすじで先出しされていた『いなくなった仲間』の行方が、明らかになる流れになり、あまりにも良い奴である『仲間』の優しさ・おおらかさ・結末によって、直前まで見せつけられていた怒り・悲しみが薄められてしまったコトに、少し違和感が残りました。結果、星マイナス1です。
伝えなくてはいけない思い
大友啓史監督作品、3時間超え、そう聞いて、実は余り期待していなかった。過去作からも、スタイリッシュさに拘って、どこか演出に歪みがある、という印象だった。
しかし、その思いは覆された!
何という大友監督の魂の籠もった作品!作らずにいられなかった!という想いが爆発している。
3時間強、凄まじいエネルギーで駆け抜ける。
戦後、米国統治下の沖縄で起こっていた様々な問題。
しかし、それは本土返還後も何も変わってないのではないか?そして、日本自体も何も変わってないのではないか?
3時間、ぶん殴られ続けた様な気分。
この事実を終わらせてはいけないという思いが溢れている。
今、観なくてはいけない作品。
そして、海外に持っていかなくてはいけない作品。
そう思う。
余談ですが、作品の生々しさに、鑑賞しながら、脚本家の金城哲夫さんや上原正三さんを思いだしていた。
また、クライマックスシーン、主人公の妻夫木さんに「逆襲のシャア」のアムロが重なっていた。
それでも!と言い続ける!
#宝島
名前しか知らなかったコザ騒動
交通事故が皮切りなり、何台ものアメ車がひっくり返され燃やされる「コザ騒動」のシーン、圧巻の迫力で当時の沖縄の人々の押し付けられた怒りと爆発が垣間見えるようでした。
これだけの規模でアメ車75台以上が破壊されたと言うのに、死者は0人で,海外で暴動が起きると必ず行われる便乗犯による略奪行為もなかったそうです。
その数値だけみても、当時の沖縄の人たちが不良アメリカ兵の理不尽な行為に対して怒っていたのであり、便乗して暴れるようなものは居なかったのだろうなと伺いしれます。
肝心のオンちゃんのシーンはちょっとそれはどうかなと思うこともありましたが、コザ騒動のシーンは必見です。
悪くないけど
全体として面白くないわけではない。俳優陣、セット、音楽いずれも力作と言える。しかし、3時間近い上映時間を正当化するにはテンポが良くないと感じた。
ネタパレになるが、主人公たちが20年にわたりオンの呪縛にかかっていることを理解できない。戦後の大混乱の中で次第に忘れていくのが当然である。オンに執着し続ける理由付けがいまひとつ弱いことがこの映画の没入感の乏しさ、上映時間を長いと感じる理由になっているのではないか。
たしかに長い
戦後アメリカ統治の沖縄
自由を求めた
希望を求めた
愛を求めた
未来を求めた
真実を求めた
人々の物語
クライマックス
日本映画史上、圧巻の暴動場面
見応えあった
撮影に何日掛かったんだろう
字幕と用語解説つけてそれを売りにしても良かったぐらい
公開3日目の夜の都内の映画館としてはかなり寂しい20人いない感じの客入りの劇場にて鑑賞。
まず。戦後沖縄を舞台にこれだけの規模の映画を作ったことはすごい。その熱意、こだわりは充分伝わった。
でもこれは興収も伸びないだろうし人にもおすすめにしくいものになっている。
まず上映時間191分はどう考えても長い。もっと短くできただろ。
例えばヤマコが先生として生徒の名前呼ぶ時、生徒の声が聞きとれず「もうちょっと大きい声で」とうながすとその少年生徒が予想以上の大声で名乗りヤマコ先生びっくり!な場面があるがあのシーンはもっと短くできただろ。
「こんなに元気に返事をしていた少年も墜落事故で犠牲になったのです」ということをやりたいのは分かるが、ならばそれは点呼で使うもんではないだろ。
最初の「こういう状況になったわけ」の米軍基地で車に乗りながら逃げる場面もあまり緊張感がない。もっとアクションを派手にするかテンポを早めるかした方が良かったと思う。
同じく終盤の米軍基地内でのグスクとレイの大声のやりとりからの米軍に見つかり「毒ガスまくぞ!」のくだり。あそこもやりたいことは分かるが「暴動が起きた日に米軍基地内に侵入してる」状況で米軍があんなに待ってくれるか?ということが気になったのでせめて毒ガスから「フレンドだろ」(ここもフレンド感なかったろ)はもっと早く短くていい。
最後の「行方不明になっていたオンちゃんは実はこういう生活をしていたのです」ももっと早く短くていい。
気合い入れて作ったのは伝わるが191分と長いがゆえに視聴者側のハードルが無駄に高くなっている。
次に。バッドエンド感強いのをなんとかして欲しかった。
「みんなが探していたオンちゃんは既に死んでました」だけでもガッカリなのに「宝として、予定外の戦果として育てていた少年ウタも死にました」だから。3時間観てバッドエンドか〜感が強いのよ。
やりたいことは分かる。結局こういう基地問題は島の宝である子供の命を奪ってしまう、それはずっと続いているのだ、というメッセージだろう。このメッセージを重視するならウタ生存エンドができなかった意図は分かる。
でも自分としてはギリギリ生きてて次の時代に思いをつなぐみたいにしても良かったと思う。もしくは「ウタは死んだけど彼が育てていた花はやがて大きな花畑になりました」みたいな。なんでもいいから「問題はまだ続いてるけれど過去の人々が頑張ったから多少まともになったところもあるよ」的なエンドにしてくれてもいいと思うのよ。なんかデモも暴動も無駄だったのかな感がついた気がするのよ。ラスト数分で。
次、方言が聞き取れない問題。これは字幕をつけてむしろそれを売りにしてもいいくらい。やまとの人にはすぐ理解できないほどの本格的な沖縄方言!はそのこだわりゆえに分かりにくさにつながっている。分かりにくい用語をいちいち画面に意味表示してもいいくらい。
もし映画内に字幕を入れたくないなら公式が「映画を観る前の豆知識」として戦後沖縄の映画に関する出来事年表や用語集を積極的に発信するべきだと思う。公式サイト観たらキャラ相関図や方言は載ってるが、それじゃ足りないだろう。
自分は原作ファンの人が作った「映画観る前にこれは知っておくといい動画」を事前に観ていたので理解が進んだ部分があるがそれでも「今のシーンの意味は?」とか考える瞬間があった。全く予備知識なしの人が観ると「何言ってるかよく分からないし」みたいなネガティブな印象が強くなると思う。
次、演出にも関わるがセットな感じな場面がまあまああった。これは邦画の限界でもある。25億円かけてもセット感がなあ、という場面は街や飲み屋などの場面でちょいちょい感じた。頑張っているNHKドラマ感。ただこれももっとスピード感あったら気にならなかったんじゃないかとも思う。
というような「もっとこうだったら」感が強い作品ではある。あの客入りも納得できてしまう。もったいない。
ただ。それでも!よく戦後沖縄を舞台にこの規模で映画を作ってくれたと思う。その一点だけでも自分はこの映画に意味があると感じた。
Aがついてる店はアメリカ軍用のマークというのもコザ暴動もこの映画ではじめて知ったし、この時代の沖縄に焦点をあてた作品というのが今までなかったはず。
あと、コザ暴動までの展開自体はツッコミどころはありつつも結構面白い。エンターテイメントにしようという心意気は感じた。
主要キャストはかなり当時の沖縄感を出そうとしてくれていた。特に窪田正孝はやはり只者ではなかった。その熱演ゆえに沖縄方言がうますぎて一番何言ってるか分からない瞬間が多く、やっぱり俳優の演技の頑張りを伝える為にも字幕はあったほうが良かったと思う。
そのこだわりゆえに長く分かりにくく更にバッドエンド風味にまでなってしまった感がいなめないが熱意は伝わった。
語られなかった「日本」の盲点をあぶり出す、“不快”で“誠実”な物語
いわゆる“戦後沖縄”をテーマにした作品としては、非常に政治的で、かつ誠実な映画と感じた。だが同時に、極めて視聴者を選ぶ「不快な映画」でもある。つまりこれは「良い映画」ではなく、「重要な映画」だということ。
本作が描くのは、米軍統治下の沖縄で「戦果アギヤー」と呼ばれる少年たちが、基地から物資を盗み出し、貧困に喘ぐ人々に分け与えていたという物語であるが、その核心は、単なる義賊譚ではない。むしろそこに潜むのは、国家と記憶、暴力と沈黙、そして“語る権利”の問題にある。
アメリカ軍の知性派として登場するアーヴィン、日米の橋渡し役である通訳の小松、そして情報統制と暴力装置の象徴であるダニー岸──この三者が象徴するのは、「外から来た支配」と「内側からの共犯」であり、戦後日本が“沖縄の痛み”にどう向き合ってこなかったかの集約でもある。
特筆すべきは、「予定のない戦果」という形で登場する赤ん坊=ウタの存在。彼は、性暴力と国家的隠蔽の果てに生まれ、英雄オンの命と引き換えに生き延びる。結果的に、ウタは「語られざる歴史そのもの」であり、語ることを覚えた時点で「排除される存在」になってしまう。この構造はあまりに示唆的だ。
本作には“正義”も“救い”もない。ヤマコ、グスク、レイはそれぞれ別の形でオンの喪失と向き合い、正義と暴力、国家と市民、自分と他者の間で迷い続ける。ウタはその象徴として現れ、そして最後には撃たれる。それでもなお彼の存在が「語り」を続ける意思として描かれるところに、この映画の倫理性がある。
ただし、万人向けではないことも確か。沖縄方言が字幕なしで飛び交うことへの不満も多く、情報量の多さ、メッセージの多層性、登場人物の変遷と心理の曖昧さは、一定の鑑賞スキルを要求する。“わかりやすさ”を排した本作の姿勢は、今の時代にはむしろ異質である。
それでもこの映画が強烈な印象を残すのは、“国家の都合で語られない歴史”を、明確なプロパガンダではなく、個人の選択と葛藤の積み重ねによって描いているからだと考える。『宝島』は、戦後日本が見て見ぬふりをしてきた“沈黙の声”に、ようやく焦点を当てた映画であり、その重みから我々は目を逸らすことができない。
若い人に観てもらいたい
今の若い人たちは戦後1972年まで沖縄がアメリカの統治下にあったことを知らない人が多いのではないでしょうか?
コザ騒動や宮森小学校米軍機墜落事故などは史実に基づいて描かれているので、若い人たちにはぜひ見て欲しいと思いました。
映画としてはコザ騒動がクライマックスになるのでしょうが、グスクをリンチにかけたアメリカの手先の小悪党が騒動に集まった民衆にやられるぐらいで、カタルシスが小さく盛り上がりに欠けていました。
米軍基地への毒ガス散布も失敗して、宝も失って、なんか、もやもやだけが残る結末でした。
その、もやもやが続いているのが、今の沖縄ということでしょうか。
沖縄のちむぐくるに感動した! なんくるないで済むかぁ!なんくるならんどぉ!!
この作品は長い、とにかく長かった!! 堂々の191分
3時間まわっとるやないか~い 上映する劇場側も必死の覚悟。
予告トレ-ラの時点で半泣きするぐらい引込まれてた私。
今日は期待していた「宝島」の鑑賞です。
原作:真藤順丈氏
監督:大友啓史氏
---------熱い演技が光る俳優陣-------
グスク(オンの親友、元アギヤ):妻夫木聡さん
ヤマコ(オンの元恋人、学校教師):広瀬すずさん
オン(戦果アギヤーのリーダ格で島英雄、失踪):永山瑛太さん
レイ(オンの弟、ヤクザ):窪田正孝さん
小松(米側通訳):中村蒼さん
ウタ(コザの孤児):栄莉弥さん
タイラ(反米闘争の労働者):尚玄さん
チバナ(夜飲街のホステス):瀧内公美さん
徳尚(グスクの相方刑事):塚本晋也さん
アーヴィン・マーシャル(米側調査員):デリック・ドーバーさん
他、多くの役者の方々
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(時代背景と 話展開)
舞台は1952年の沖縄、沖縄戦直後から始まった米軍統治下時代。
沖縄が日本に1972年復帰するまでの島民に揺れ動く心の熱い願いを描いてます。
何故、沖縄なのか。第二次世界大戦の沖縄地上戦(1945年3月26日から始まり、6月23日まで)で米軍と戦って負けた日本軍。本土から遠く離れたこの島はアメリカ軍に占領されたのです。そして終戦降伏は1945年8月15日。
この事を 念頭に置いて観て頂きたいです。
1945年以降も沖縄は米軍が占領したまま統治下時代となり島民や孤児たちはいつもアメリカ軍の無謀な暴力に耐えて怯えて暮らしていました。アメリカの制裁を受けながら、日本本土からも見放されて。その深い悲しみがこの作品の根底に描かれています。
日本からも見放された沖縄島民が頼るのは米軍基地しかなくて。
その沖縄米軍基地(嘉手納)に忍び込んで物資を奪う”戦果アギヤー”として活躍していた孤児たち4人のそれぞれの生き様を、米統治下に暮らす島民の心と絡めながら話展開して行きます。
或る日、戦果アギヤーとして米軍の倉庫に忍び込んだ彼等。何処から情報が漏れたのかいつもは無視する米軍が一斉に追いかけてきます。
理由はいつもは薬屋や食料だけを盗むのに、その日は誰かが誰かに頼まれて武器を盗んでしまったからでした。訳が分からず逃げまどうが、仲間の何人かは米軍に撃たれます。その場で必死に逃げバラバラに別れたアギヤー達。
その日以来、リ-ダ-格のオンの消息が分からなくなる。
やがて 刑事になったグスク。彼は刑事の立場(情報)を使いオンの消えた足取りを追うのであった。そんな中、理不尽なアメリカ軍の制裁に耐えきれない島民は沖縄を本土復帰のデモを一丸となって起こす。
果たして消えたオン探しと、沖縄本土復帰と、都民の心の叫び願いは叶うのか・・・
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(ちょっと やな-点)
・何と言っても上映時間は迫力あったけども長いと感じた。そして終わった後疲れた。100分で一旦休憩タイム入れても良かったかと(”沈まぬ太陽”みたいに)
・沖縄弁がわからん。メインキャストのセリフはまだ訛りがましだが、沖縄系俳優?のネイティブ沖縄弁はアクセント含め本物リアル。聞き取り理解が難しい点が在った。しかしその熱意ある台詞吐きに情が込められていて大体は分かった。
・訛りによって大事な所がうまく伝わらず、モドカシイ点が見られた。
特に反米闘争グル-プの武器を盗むよう指示したとか、レイの成り下がって行く辺りの流れが分かり辛さを少々感じた。
・グスクと米側との会話、私達 ”トモダチ” ・・・うーん 中々素直に受け取れない心情かなと感じた。
・大きく成ったウタの銃撃受けて瀕死の場面。なぜ 車で一緒に基地から逃げてあの場所へ直ぐ行けたのか。ちょっと都合良すぎ。そして 探してた問題の彼との対面だけど有り得ないと思う。
ここは 沖縄の怒りの頂点 初暴動が炸裂してメッチャテンション爆上がりしたのに 一気にあの出産場面で静まり返ってしまった。
ここの 流れ展開は正直恨みますね。構成を見直すべきで良くないと感じました。
(い-むん点)
・クラシックカ-を数台も走らせ当時を再現。沢山のエキストラ含めた圧巻の初暴動場面。本土復帰デモ行進場面といい、今でも島民に宿っている怒りや悲しみ、地上戦にされた場所ガマ、米軍基地滑走路の場面等々、それら総てを丁寧に描けている所は非常に素晴らしいと思います。 深い想いにとても感動しました。そして撮影も凄く大変だったと思うのですが、色合いも非常に上手く表現出来ていて良かったと感じます。
・ウタの尋ねる”僕のお父さんは何処ね、誰か教えてよ” 戦後混乱で孤児と成って育った彼がいう 虚しさや、どうして自分がこんな人生を歩まなくては成らなかったのか、そこの問いに現われていたと思います。
とても悲しい心の訴えで有ったと感じます。
・そして一番は暴動最中のグスクの吐き捨てる言葉!
”なんくるないで済むかぁ!なんくるならんどぉ!!”
ここは一番熱い思いが島民と一緒に込み上げてきて
素晴らしい感動の所でしたですね。
これ程のシーンをお目にする邦画作品はチョット無いかなと思いますね。
・賛否両論が湧き起るのは仕方がない事ですが、この映画を通じて 今も残る米軍基地と沖縄島民(ウチナーンチュ)への理解が本土国民の皆さんへもっと届ければと願うばかりです。
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邦画にしては巨額製作費(25億円)。かかちゃいましたけども
皆さんの思いひとつで何とかなると感じます。
どうか、是非
ご家族、ご夫婦、ご友人、
お揃いに成って
劇場へお越し下さいませ!!
沖縄の怒りと悲しみ
妻夫木聡、窪田正孝、永山瑛太、広瀬すず…役者さんの素晴らしさは分かっていたけれど、まさにそれに尽きます。
広瀬すずは、実は前は少しクセのある喋り方(広瀬すずでしかない感じ)が好きではなかったのですが、遠い山なみの光もそう感じたのですが、この喋り方がすごく作品に合っている気がして…いや彼女が様々な作品を通して、良い役者さんになられたのでしょうね。
妻夫木の泣き笑いの表情が、たまらなく好きです。何とも言えない感情を、とても上手に表現できる役者と思います。
窪田正孝の演技が、また素晴らしい。怒りを目でみせるというのかな。
3時間越えの映画で並べられる国宝も素晴らしい映画でしたが、より私に響いたのは宝島です。
終戦後の日本は、東京オリンピック、新幹線、万博…高度成長の素晴らしい復興を遂げてきました。
しかし、沖縄の人々はその時もアメリカの支配下にあり、現在でも理不尽な状況にあります。
そんな怒りや悲しみや理不尽を、ここまで見せてくれたことにこの映画の意味を感じます。
ゴザ暴動の前後の映像は、一瞬リアル?と思えるくらいに真に迫っています。
終盤のシーンでグスクとレイが、言い争うシーン。どちらの意見も、あるよなぁと思って見ました。
だけど、武力vs武力で更に争いが起きる。
オンが「撃ち返したら戦争になる」みたいな言葉を発してました。
まさに、それが真理だと思う。
この国は、今こんな僅か数十年の記憶を忘れたかのように戦争に向かおうとしてるとしか思えない状況に進んでいます。
戦争が起きて悲しい思いをし死んでいくのは、いつも弱い立場の人たちです。
絶対に2度と戦争をしてはならないと。
もう一度、見たい映画です。
疲れる作品でした
戦後の沖縄返還期を背景に、1人のヒーローを探し求める若者たちの数十年を描いた作品。原作は未読。沖縄方言もあり、聞き取れない部分が多々ありました。戦果アギャーと言う言葉は初めて知りましたが、実在していたのですね。
沖縄と言えば人気のリゾート地。きれいな海と大自然、食事も美味しい。しかし、沖縄は常に蹂躙されて来ました。古くは薩摩藩、無理やり日本に組込まれ、戦後はアメリカにいいように利用され。今だって沖縄のホテルや飲食店、コンビニ。多くは本土資本で現地の人にはどれほどの利益になっているのか。
「小遣いもらったら、殺されても犯されても何も言えないのか!」グスクの怒りはダイレクトに伝わりました。かなり前ですが、卒業式で日の丸を引きずり下ろした女子生徒がニュースになりました。
沖縄を知る意味ではいい映画だと思いました。
映画自体はキャストが多く、メイクもかなり濃いめなので主要人物以外は誰が誰だかわかりませんでしたし、皆さんがおっしゃる瀧内さんも何者なのか私にはわかりませんでした。
コザ暴動のシーンは溜まりに溜まった県民たちの怒りがよく理解できたし、今だって同様の事件が起きていることに怒りを感じました。自分の近くにも米軍基地があるので。
広瀬すずはすっかり演技派の女優になりましたね。
あんなに泣いても美しいって、どれだけ土台が整ってるのでしょう。海街diaryが大好きで何度も観ているので余計に成長を感じました。
最後に基地でグスクとレイが揉めてましたが、ヤマコはあのスカートで鉄柵を乗り越えたのかなとか、あんなにライフルぶっ放して見つかっちゃうじゃんとか思ったし、ウタが撃たれてから(韻は踏んでない)最後までが長かったかな。
結局みんながあんなに探していたオンちゃんはとっくのとうに亡くなっていたわけで、その描写が長すぎた。ウタはオンちゃんの最期を知っていたのだから何故それをヤマコに話さなかったのか。原作を読めばわかるのかな。常に怒鳴り合い暴力描写が多く、嫌煙家は見てるだけで嫌になるほどタバコの煙が漂っていて作品そのものに正直感動はありませんでしたが、奇しくも今夏、沖縄尚学が優勝旗を沖縄に持ち帰りました。沖縄の歴史をもっと知ろうと思うきっかけの作品になりました。
蛇足ですが、あの時代「ハーフ」とか言ったのかな。混血児もしくはあいの子だったのでは?あいの子はコンプライアンスに引っかかるのかも。
真の外国人特権を見るべき
数年前から外国人排斥の動きがだんだん大きくなり、今年の参院選ではそれが爆発した感じ。SNSには、普通に仕事をしている人、通勤している人、観光している人まで「外国人」というだけでさらし者にするような写真があふれている。具体的なデーターはあやふやなまま、外国人特権という概念が日本を飲み込もうとしているように見える。
しかしこの流れの中で、映画に描かれている在日米軍という「真の外国人特権」については、ほとんど触れられていないことに非常に疑問を感じる。沖縄の問題だから?他人ごとに思えるのか?沖縄もまた、日本の領土の一つなのに?
そして、基地は沖縄以外にもある。さらに日本に領空権はなく、集団的自衛権が認められてしまった今、地球の裏側のアメリカの戦闘に巻き込まれる可能性すら出てきている。これは沖縄ではなく、日本全体の問題なのだ。
さて、そんな中コロナによって延期が続き、結果的に戦後80年の年に公開となったこの作品は、本来日本の「反米」機運を高めても仕方ないような危険性すらはらんでいるように見えた。特にクライマックスのコザ騒動で、民衆の怒りが爆発するシーンは、ある種「ジョーカー」のクライマックスで感じたのと同じような一種のカタルシスがある。これは、実は結構危険な感情で、本映画ではグスクの自制心によって直後のシーンで「こんなことして何になる」と否定されているが、騒動の中にいた瞬間は、確かに彼自身も飲み込まれそうになっているように見えた。
ところが、公開数日の現在、本作の盛り上がりは、世間的にいまいちで、しかも、Xでの監督のコメントがどうとか、電通がらみだとか、変なノイズが多い。
勧善懲悪ものでも、すっきりしたエンディングがあるわけでもない。歴史的背景を知らないと難しいところもあるかもしれない。しかも、結末はバットエンドに限りなく近く、オンが守った「宝」は騒動の中で結局失われてしまった。「こんなことが続くわけがない」というグスクの言葉は、とてもむなしく聞こえる。
でも、これが沖縄と日本の現実で、しかも現在進行形。単なるエンタメで終われるはずがない。そういう意味でとても完成度は高い映画だし、ストーリーだと思う。私は原作を読んでいないが、ぜひ原作も、と思わせる出来だった。むしろこの映画の言いたいことが分からないといわれると、なんだか悲しくなってしまう。
満点とはいいがたいのは、確かに、方言に寄せたセリフは絶叫しているにもかかわらず聞き取りづらいところはいくつかあったし、展開的に分かりづらい部分もあったところ。完璧な映画とは言えないかもしれない。でも、3時間半見る価値はある映画だった。私は気に入った映画は応援の意味でパンフレットを買うが、この作品は「買い」。今年はパンフレットを買う映画が多くて嬉しい。
個人的、字幕が欲しい映画部門ノミネート
戦後7年、1952〜1967?年に渡る沖縄の話。
戦争末期の沖縄戦は有名だけど、
戦後、アメリカに統治されていた時代のことは何も知らなかった。
日本返還を社会の授業でさらっと学んだ程度。
沖縄からベトナムに飛行機を飛ばした、と作中で語っていた。
ベトナム戦争はあまり日本に関わりの無い戦争かと思っていたが、沖縄があったことで飛行機の航路的に楽にベトナムに行けてしまったと考えると悲しくなった。
妻夫木、窪田正孝、瑛太もすごい良かった…。
語尾が伸びる沖縄の言葉かわいいし、全体的に柔らかい口調ですき。
うーたーかと思いきや、うた君だった。
もっと語りたいが頭痛いので後日!!
25.9.23 映画館
いまだからこそ観るべき映画
エンタメというより史実として観たので身震いするシーンが幾つもあった。
戦争に負け、焼け野原となった沖縄には、当時の写真やフイルムが米軍が撮ったものしか残っていないと言う。
なので、この映画が持つ意味、力は凄く強いと感じた。
やまこが先頭に立ち進む戦争反対のデモ行進。
そしてコザ暴動。
火の手が放たれる中をかちゃーしを踊る女。我慢も限界にきた群衆の中から聞こえ漏れるたっくるせーの声。
本当にこんな風だったんだなと胸が熱くなった。
後半に差しかかると原作とは違う内容に進んでいくこと気が付いた。
映画を観た後、この映画の為に新たに作られたこの部分が見る人によって感じ方が随分異なって、口コミにも書かれているのだと感じた。
オンとレイはやまこが同じにおいがすると言った表裏一体の兄弟。
レイは基地の中にVXガスを抱えて突入する。
沖縄を日本の首都にしろ。
やまこを総理大臣にしろと大きな戦果をまくし立てる。
一方、オンは女の叫ぶ声を聞き駆けつけると、身籠った女が赤子を産み息絶える。
そこは恐らく御嶽だと思われる場所。
嘉手納はセーダカ(霊力)が強いからね、何があっても不思議ではないよ。とどこかのシーンでオバァが呟いていた。
オンは赤子が泣かないと臍の尾を歯で噛み切り助ける。
この子こそが劇中何度も登場する謎の花売りの混血児ウタで、後半のカギとなって行く。
沖縄だった土地はアメリカに摂取され基地となり、沖縄でもアメリカでもない御嶽に産み落とされた、日本人でもアメリカ人でもない混血児ウタ。
勾玉を首から下げた英雄オンはやはり神の使いなのか。
拉致され離れ島までのシーンは相当割愛されているが、意識朦朧、この世とあの世の狭間にいる極限を感じさせる演出なのかもしれない。
映画の冒頭に戦果を上げ、村人に物資を分け与えるひーじゃー(樋水)のシーンが何回か登場する。
水を汲み、洗濯をし、皆が集まり笑い寛ぐ場面だ。
世界のあちこちで戦さがはじまり、分断が起きている。
戦果をあげろと、領土を奪え取り返せと
オンが最後に欲しがった戦果は、大きな戦果ではなく、ウタが笑って暮らせるひーじーゃでの幸福な日常なのだろう。
余韻が残る、考えさせられる映画でした。
誰か教えて下さい。
沖縄の苦悩がうまく描写された映画だった。
それだけでも見る価値はある。
ただ…ラストの謎解きが私には理解できず、モヤモヤが残ってしまったので、どなたか解説して下さい。
①オンちゃんが赤ん坊を抱き上げた後に、オンちゃんを取り囲んだ武装した日本人は何者?
②悪石島?の海岸でオンちゃん達は爆撃を受けるが、戦後なのに何故爆撃?
③結局、オンちゃんが米軍基地から持ち出した秘密って、米軍人が孕ませた赤ん坊のこと?そんなことで諜報部員が動いたり箝口令が敷かれたりしてたの?
よろしくお願いします。
ふと、アメリカとウクライナを思い出しました。
戦後沖縄の歴史で知らなかった事も多く、もっと学びなおしたいと感じました。「予想外の◯◯」にドキドキしつつ、かつての沖縄の繁華街の雰囲気や暴動など丁寧さと臨場感に魅了されました。主人公の刑事が語った「アメリカのお陰で豊かになった、平和になったから、感謝しろ!?(怒 正確なセリフでないです)」を観たときは、米国とウクライナ会談での副大統領の迷言(?)を想起してしまいました。そして暴動で自動車がひっくり返るシーンでは、映画「ジョーカー」を思い出した次第です。これはもう、アメリカ自体について勉強したくなりました。3時間ですが飽きることのない知的興奮をありがとうございます。原作もぜひ味わいたいです。
これも一つの戦後史‼️
戦後、沖縄を舞台に暗躍した鼠小僧集団。しかし、ある夜の襲撃でリーダー格のオンが消息を絶ってしまう。残された男女三人は一人は刑事に、一人は小学校教師に、一人はヤクザとなって、オンの行方を探し続けるが・・・‼️オンを探しながら、背景にあるアメリカ占領下の沖縄の様々なドラマが展開します‼️最近の日本映画の長尺作品は、監督の力量不足か、ダラダラと長く感じる‼️今作も冒頭の襲撃シーンでオンが消息不明になるんですが、約10分くらいですか?何かスピーディな展開‼️あまりにも早々な退場のオンなので、私的には以降のオン探しに必死になる三人にあまり感情移入できなかった‼️そしてオンの顛末が明らかになる2時間40分ぐらいまで延々と三人の人間関係とオン探しが続き、かなりダレ気味に感じました‼️途中、ちょっとしたアクションや飛行機墜落、「ジョーカー」を意識したようなクライマックスの暴動シーンなど、見せ場らしきものはあるのですが、あまり印象に残らず‼️アメリカ占領下の沖縄人の悲劇なども、婦女暴行や自動車事故などありきたりで、映画の中のセリフじゃないですが、「日本人はデモや行進などでアメリカ兵とにらめっこするだけ」、そんなセリフみたいな作品ですね‼️物語も中盤あたりから孤児であるウタの描写が多くなったりして、焦点がボヤけてしまう‼️まぁ、ウタの出生の秘密がオンの消息に関わってくるわけですから、仕方ない事なんですが、オンとウタの関係も「そうなの?」くらいの印象であまり胸に迫ってこないですね‼️もっとテンポ良く2時間とは言わなくても、2時間30分くらいにまとめてくれたら良かったかも‼️ただ戦後の沖縄の街並みや風俗を再現したセットはホントに素晴らしいです‼️
確かに観るべき映画です!が...
日本人として知るべき沖縄の歴史を、作品を通して知ることが出来たこと、また役者さんたちの熱演はとても良かったです。
観て良かったと心から思うのですが、何か足りないような気がしました。
それは憎しみなのか、悲しみなのか、感動なのか、気持ちの持って行き場が無かったからだと思います。
またコザ暴動の生々しさや役者さんたちの沖縄弁の自然さはリアルで素晴らしいのに、オンちゃんの行方の謎が解けるくだりはだいぶリアルさに欠けていたように思います。
ヤマ子コがウタを施設に預けたようですが、産まれてから今まで誰に育ててもらったのくらい聞きそうな気もします。
また、ウタも死ぬ思いで育ててくれたオンちゃんの遺体をそのままにしているなんて、あり得ないと思うのは私だけでしょうか。
そんな不自然さとリアルさが混在しているのがどうも気になってしまいました。
でも結論としては、観て良かったと思える映画でした。
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