宝島のレビュー・感想・評価
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アメリカを意識しすぎて残念な映画に
反米を出さないために、やわらかく表現しすぎたため、沖縄の反米意識に感情移入しにくい。
米兵による暴漢や暴行をもっと描けば、インパクトある作品になったであろうが、近年の日米関係の影響を配慮してか、具体的な表現がほぼない。
熱量が凄い!
観る価値は充分にある
国宝や8番出口などと比較するレビューが目立っているが、そもそも比較するような映画ではないと思う。
戦後の沖縄を、事実を交えながら虐げられてきた者たちの苦しみを演者たちの熱演で本気で見せているので、それを味わう歴史映画として見るべきじゃないかと思う。
演技として誇張が過ぎる感じがして、最初のオープニングの米軍基地に侵入するところはなぜか冷めてしまっていたのだが、見るにつれて、はまっていく。
私は仕事柄、沖縄の歴史に触れる立場にいたこともあって、沖縄の人の苦しみ思うと、涙が出てきた。沖縄で満席が続いているというのもよくわかる。まあ、地元の人からしたらそれ違うよっていうのもあるかもしれないけど。
オンちゃんに対する謎は、なんとなくそのままにしておいてもいいような気がした。「英雄」とは何なのか、一体何が「英雄」なのか、それを、刑事とヤクザの2人の立場から、または教師になった女性の立場から、沖縄戦後史を通じて考えさせるようなメッセージにしておいたら、もっと違ったような気がする。
確かに最後のエンディングは蛇足で、謎を解き、明かす必要があったのかよくわからない。結局あれは、3人のこうあってほしいという妄想だったり、実は英雄という存在がもっと違うところであったような展開でもよかったんじゃないかなと思う。
最後のエンディングの蛇足があって点数を0.5引き下げた。ただ迫力のあるセットだったり、演者の熱演は見る価値は必ずある。沖縄はひめゆりの塔だったり、 戦時中を描いた映画はこれまであるが、戦後の沖縄を本気で描こうという映画はあまり記憶にないので、是非見た方がいいし、本土で生活してきた人たちこそ見るべきじゃないかなと思う。
指摘がある方言については、なんとなくわからないけど、こんなこと言ってるのかなとか、本気で語ってんだなっていうのを感覚として得るためにそのままにしたんだろうから、個人的にはそのままでいいと思った。現地の人たちへのリスペクトにもなるし、ここで方言に字幕をつけたら良かったんじゃないか。みたいな指摘もあるけど、そうすることで、ウチナンチュとヤマトンチュを切り分けてしまうことになるから、同じ日本人としての違いを表してしまうので、逆効果だと思う。これはそのままにしといて、字幕なしで正解だった。
監督の公開後の状態だったり、色々と不運も重なったところはあるが、戦後の沖縄史をこれだけ面白く、平和とは何かを考えさせるテーマでしっかりと作っているのだから、もっと評価されていい。是非視聴をお勧めする。
長さ活かせてない……あと今何歳?
お芝居と美術は素晴らしい!
だけど、長いくせにセットアップがしっかりされていないので、人間関係とか気になる事が多く引っかかって集中出来ない。
冒頭の事件は洒落た編集じゃなくて良いからしっかりと人間関係や時代背景を見せて欲しかった。オンちゃんがいる前と後でどう変わったかとか?
一応、冒頭で人物の紹介ナレと年代テロップ入るが、
ナレ聞き取りづらくてストレス。
年代テロップ入るが、前の年代を覚えて無いので、
さっきのから何年経過した??とストレス
また、大幅に年月が過ぎるのに、
実際に起きた事件を見せたいだけで、
その間の心情変化があまり描かれてないので残念。。。
ドキュメンタリー映画って思ってしまう……
1度だけ6年後とナレで説明するが、
刑事になったグスクが現場で偉そうで
あれっ新米じゃないの?いま何歳設定?
てか、冒頭のは全員未成年設定じゃなかったの?
一体いま皆んな何歳?
瑛太は何歳設定だったんだ?
すずとの年齢差って???
と、ずっとそれが付き纏って物語に集中出来ず、
もの凄く長く感じてしまった。
芝居は良いんだけど、
これは若気の至りで発言してるのか?
おっさんが青臭い事言ってんのか?
事件から何年経ってそうなのか?
(事件からは年代自分で覚えてればわかりますが)
それによって見え方が全然違うと思うのに、
いまこの人何歳?とか
何年経過してこの気持ち?とか
いらん事が気になって芝居の良さが半減!
監督は頭が良い人なのだろうが、
見てる人に合わせて少し説明して欲しい。
説明するのがダサいとか思ってるのかな?
レジェバタ同様、年月が飛ぶ作品向いてないと思う
あとラストと締め方が……微妙
美術と芝居と時代背景は
とても良く描かれているので、その分の★2
原作読んでる人は見え方全く違うんだろうな
韓国映画を意識
私の予想に反して沖縄県民の内地に対する本音や怒りをストレートに表現した作品だったことに大変驚きました。
韓国では「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」が韓国政治の恥部を描いたにも関わらず大衆映画として大ヒットしましたが、日本でもやっと宮森小学校ジェット機墜落事故やコザ暴動のことをインディペンデントではなく、東映で製作したんですね。明らかに昨今の韓国映画を意識して製作されていると思いましたが、今一歩韓国映画には及ばずといったところでしょうか。
もし沖縄戦がなければもっと教育に力を入れることができたでしょう。もし基地がなければ、独自の新たな産業が産まれたでしょう。そうすれば、内地との所得格差もここまで広がらなかったのではないでしょうか。米兵の犯罪に巻き込まれることもないですし、基地に核を持ち込まれることもないでしょう。
沖縄県民が当たり前に感じる様々な思いや悔しさがスクリーンを通じて想像できたので、沖縄史を知らない人にこの史実を伝える使命を持った作品だと思います。癒しの島という言葉の下には数えきれないほどの沖縄県民の犠牲があるということも。
オン、レイ、ウタの秘密と経済界と米軍の関係をもっとスリリングに後半盛り上げることができたら、韓国映画の名作にもう一歩近づけたのかな?本作は内容的に今は興行収入は難しいとは思いますが、日本映画界は観客が育てていかなければならないと思っていますので、今後も期待していますし気骨な作品であれば必ず観に行きます。それにしても、塚本監督の出番が多くて嬉しくなりました〜。
嘘だろ〜やらせか
コザ暴動の煮えたぎる沖縄人の怒りを感じろ。宝島で感じよう。
この映画は沖縄関連で言えば「ちゅらさん」を制作した監督大友啓史氏が満を持して作ったというふれ込みで真藤順丈の直木賞受賞作を原作もとに作られた。役者にメッセージを話させ過ぎている。戦争と米軍基地から生じる、今も続く沖縄の虐げられた状況は丁寧に描いているが、映画は映像でメッセージを伝えなければならないと私は考えている。この点ではAサインバーの女給のチバナがコザ暴動のシーンで最初は暴動をやめろと叫んだが、その後にもっとやれと叫ぶシーンは圧巻である。暴動で米兵が外出禁止令が出たら、米兵が来なくてAサインバーは儲からなくなる。やめて欲しいが米軍の事故や犯罪被害に遭っても、少額の賠償金ですまされ犯罪米兵は無罪となる虐げられた沖縄人の心の底を肌で感じているチバナはもっとやれと叫んだ。煮えたぎる沖縄人の怒りを感じましょう。宝島は見るべき映画だと思う。
沖縄を、日本を、歴史を、いまを想う
宝島を観てきました。
るろうに剣心から、大友啓史監督が好きで。
3時間を超える映画でしたが、惹き込まれてあっという間に感じました。
沖縄県民の1/4が亡くなった戦争、1972年まで続いた占領、基地が残る返還後。ひとことでは現せない、踏み躙られてきた沖縄の歴史。
この原作を見出し、このような映画を作ろうと思う監督も製作サイドも相当の覚悟があると思いました。沖縄の苦しさを体感してきました😭
横浜でも、1977年に米軍のヘリコプターが不時着し3人の母子が亡くなった事件がありました。
戦後80年を迎えていますが、私たちは戦後の世界に生きている。いや、今でもあちこちで戦争している地球。
あんぱんの最終回も一緒に見た娘にも、きっと伝わってくれたかな。
近年稀に見る駄作
直木賞の原作、キャストを揃えて、予算も投入、それでこの内容、
脚本?、監督?誰のせいでこうなった?
原作未読だが、こんな支離滅裂な内容ではないのではないかと思う。
私は沖縄市に住んでいたこともあるので、平均的な日本人よりは沖縄のことを知っているつもりだし、その苦しみは正当に伝えられるべきだとは思う。
が、映画はあくまでエンタメ。
主張を伝えることは構わないが、ストーリーの骨子があっての話。
それができないなら、ドキュメンタリーを撮るのが正解。
窪田正孝の鬼気迫る演技、コザ暴動の迫力などところどころに絵力はあるが、ただそれだけ。
お金かけたな〜、役者さん頑張ったな〜、くらいの感想。
リーダーのオンのカリスマ性もどこにあるのか描写が薄っぺらいし、グスクはいつの間にか結婚してるし、ヤマコはさほどストーリーの骨子には絡まず運動家のイメージ、レイの鬼気迫る演技も空回り。
ウタを中心としたストーリーの骨子を映像で上手く表現できていない、
その割に3時間超えの一貫性の無いダラダラした内容、苦痛でしかなく、久々に時計を気にしながらの鑑賞になった。
CGなどに頼らずとも、過去の資料映像などの方がよほど伝わることもある、そういうの挟みつつ、もっと演者を活かした重厚なドラマ作りができたのではないかと思わずにはいられない。
主要キャストが沖縄顔じゃない問題
本作監督のSNSでの騒ぎに不快感が出て初週を避けて鑑賞
総評としては良いところだらけなのに大事な1ピースが欠けたせいで凡作になった映画
原作未読だけど、間違いなく神原作
映画製作にしっかりお金がかけられていて
しかも地味な部分にもお金が使われていて綺羅びやかな部分にお金が使われていていた国宝よりこちらの方が全体として映像ははるかに格上にみえた
アメリが人にみせても恥ずかしくないレベルでしっかりした映像で監督の強いこだわりも感じた
もしかしたらアカデミーも視野に入れてたか?
今作監督の前作レジェンドアンドバタフライも美術なとしっかりしてて好きだった
ストーリーも映像も相当良かった
ただ
主要キャストに沖縄人どころかTHE沖縄顔さえいないのがとにかく終始気になり続けてノイズでしかなかった
ストーリーも映像も素晴らしいのにこのテーマを沖縄人に語らせないって何で?
肝心なキャストで商業に走ってしまいリアリティも説得力も失ってしまっているように感じた
いくら日焼けしたってイントネーションや骨格はどうにもならん
明らかに関東人ぽいし有名俳優で他の作品もちらつくし沖縄のこと叫んでも感情移入が全然できなかった
まあ、大金投じてるから主演2人くらいは製作会社側からの要求あればのんでも仕方ないと思う(妻夫木くんは違和感あまり無かった)がオンちゃんまで本州俳優にする必要あったか?
オンちゃん沖縄の象徴みたいなポジやろ、そここそ尚玄さんとかで良かっただろ
尚玄さんが外国人とっちめてるシーンでどれだけテンション上がったか、あそこがハイライトやわ
ヤマコもそれこそ国仲さんとかで観たかったかなあ
ゴザ騒動シーンの高揚感も強烈だったが、裏の主要キャストによる基地でのやり取りで急激にリアルからフィクションへ気持ちが切り替わってしまった
もっともっと良い国籍問わず万人の心に刺さる映画になったはず
ちゃんと沖縄人キャスティング出来てたらこの映像は伝説作にさえなったかもしれない
他はちゃんとこだわって本物なのにキャスティングだけ欠けてしまい凡作になった
そんな映画だった
命(ぬち)どぅ宝
大和んちゅの言う沖縄の平和って、見せかけの治安の良ささ。そのためにうちなんちゅはずっと我慢し続けなければいけないって言うのか。
戦後の沖縄の苦難の歴史と文化が知れて、テーマは良かったですが、物語にはそれほど感動できませんでした。
必要なのかと思う所がありましたし、暴力的な描写を入れるなら、”那覇派”と”コザ派”の説明もして欲しいと思いました。
私は沖縄に行ったことが無く、直接的に貢献しては居ないので、気持ちだけでも寄り添いたいと思います。米軍関係者が事件を起こす度に、なぜ日米地位協定を見直そうという方向にいかないんだろうと悔しく思います。読谷村のチビチリガマでの損壊事件はとても残念でした。
こういうメッセージ性の高い作品は、多くの人に観てもらいたいです。
長尺だという意見に対して批判的なコメントもありますが、時間の感覚は人によって違いますし、長いと感じる理由もそれぞれでしょう。
映画は映画館で観たい私としては、時間の都合が中々つきませんでしたし、191分は疲れるので長いと感じました。
普段映画を観ない人は、時間の長さだけで敬遠するかもしれません。
観客は15人位でしたが、私が一番年下のようでした。若い人に観せたいのに。
星の評価に、時間の件は入れていません。内容についてです。演技は熱演でした。
ただ、やるせなく
呪いによる祟りなど、現実にはない。沖縄でガマやひめゆりの塔などの戦災遺跡を見終わった後そう思った。もしあるなら、本土防衛の名の下にあれほどの犠牲を強いられた沖縄の無念が、とっくに日本を滅ぼしているだろう。
その沖縄の辛酸が終戦後も続いていたことを、あらためてこの映画は心に刻みつけてくれた。それだけのものを伝えるエネルギーがこの映画からほとばしっていた。
オンちゃんとヤマコが希望を託した子供らは無残に焼かれ、加害者は何の責任も取らない。いつも米軍の無法にさらされ、ベトナム戦争で心を病んだ米兵のはけ口にされ、オンちゃんが泥まみれになって繋いだウタの命は、米軍の銃弾に散る。希望の本土復帰は、沖縄に犠牲を強い続けるだけの形骸だった。グスクとレイの希望と失望、その答えは今も出ていない。いや、権力者が私欲で理不尽に引き起こす戦争が各地で続く今をみれば、行き場のない思いだけが残る。
沖縄の海が好きで毎夏行っているが、沖縄の苦難への思いは胸にあり、しかし現地にお金を落とすことが自分に出来ることなどと言い訳にしている。言い訳にしていることに納得していない思いもある。
いろいろな気持ちがない交ぜになって、ただ、ひたすら、やるせない……。
うちなんちゅがどう感じるかはわからないが、沖縄が好きな、あるいは沖縄に行ったことがあるやまとぅんちゅは、この映画をぜひ見た方がいい。
起承転結が欲しかったかな
山あり谷あり、じゃなくてずっと谷谷谷、、、みたいな。戦争や米軍統治が問題なのはわかるけど、3時間そればかり見るのもな。起伏が無いのよね。喧嘩して殴ったり嘉手納基地逃げるシーンだけで、情報量が無いんだよな。じゃあ、どうすればよかった?
例えば、思いつくネタとしてはこういうのはどうですか? 沖縄って昔Bドル札使ってて、通貨高で日本本土と違って製造業で海外相手に安く販売できなかった、だから高度経済成長に乗れなかった、とか。思いやり予算と米軍基地のアンビバレンツ的感情とか、方言しか話せない親世代と方言例とか。いくらでもネタにできそうだけど。この映画暴力と人が泣いてるシーンしかなくて情報量が無いんだよね。なんでこういう脚本になったのか気になる。
あと3時間は長すぎる。1時間ぐらいの内容だよ。暴力シーンとか例えばね、すぐに切り替えて喧嘩後のシーンでも良くない?ヤクザ映画みたいにそこを見せたいならいいけど。なんか、10秒ぐらい嗚咽したり対峙するシーンが多かった、昔の邦画みたいな。省略しても良いシーンはすべき。
あと役者さんがみんな方言使ってるのは良かった。なんかでも、人との距離感っていうか社会的役割の感覚?は本土の人でそこが新鮮だった。全然沖縄っぽくないんですよ。てーげーやさ、なんて言いそうにないもん。みんなシュっとしてる。
でもやっぱり長すぎるし退屈だったのでこの点数にさせてください。ごめんね。
もう1つの沖縄の顔
セット感がありすぎる
沖縄で実際に撮ったシーンと
スタジオのセットで撮ったシーンの
リアルさの落差が凄まじい。
暗転後の場面切りかえで
いきなり作り物感が大画面に出てしまい、
興ざめしてしまう事が多かった。
(ジャンルは違うが三谷幸喜の「マジックアワー」の街の作りに似ている。
あの時は「まるで映画の中のセットのような街」というわざとらしさを演出する為にそうしたんだろうけど)
ストーリーは簡単なのに
答え合わせまでに3時間ひっぱり、
ラストがやたら駆け足でモヤモヤする。
沖縄の実際あった悲惨な歴史に
戦果アギヤーのリーダー、
オンちゃんの失踪事件のミステリを
組み込んみ、捜索する刑事のグスクが
夢や幻覚でオンちゃんを見るため、
ファンタジーみたいな
フワフワした印象に感じた。残念。
英雄が守りたかったもの
強い「怒り」を受け取った。
それは沖縄が感じた怒り。それはアメリカに不当に統治された歴史の怒り。それは、なぜ沖縄だけなのかという怒り。本土は「平和になった」と言うがどこが平和なのか、という怒り。信じてくれと言われ信じたのに裏切られた怒り。
ありとあらゆる怒りがマグマのように煮えたぎり、我慢の限界を迎え暴発してしまうコザ暴動の圧倒的描写は、観るものの脳裏に「もっと怒れ」と訴える。
本作は、1952年のサンフランシスコ講和条約から、1972年の沖縄日本復帰までの20年間を、単なるクロニクルではなく、若者たちの青春群像劇として描くことで、今まで見えなかった見えないようにされていた沖縄の真実の一端を、自分ごととして捉えることのできる映画だ。
沖縄の歴史を知ること
戦後80年が経った日本には、戦争は起きていないとされている。
だが、沖縄では、まだ戦争が終わっていないとも言える。
車で轢かれて死んでも文句が言えない、小学校に飛行機が墜落して子供たちが死んでも何も言えない、そんな状況が20年続いたら、それはもう戦争状態と何が違うのか。
沖縄の歴史を俯瞰してみると、沖縄はずっと脅威に晒され続けてきたことがわかる。
そういう意味では、パレスチナ・ガザと沖縄は似ている、と言えなくもないのではないか。
どちらも軍事的な支配や、土地の強制収用という、外的な介入や住民の抑圧の経験がある。
琉球王国からアメリカへ
沖縄はかつて琉球王国だった。
琉球王国は、江戸時代に日本の薩摩藩(現在の鹿児島県)と中国(清)に両属する状態であったという。
薩摩藩に事実上支配されつつも、中国皇帝からは独立した王国として認められていたのだ。
しかし、明治政府が近代的な中央集権国家を築く中で、このあいまいな状態は問題視され、明治政府は琉球を日本領に組み込むため、琉球処分と呼ばれる一連の政策を進めた。
その後、琉球藩となり、沖縄となり、戦後はアメリカ統治下に置かれた。
本土はGHQが統治していたが、沖縄はアメリカの統治下にあった。
通貨はドル、車は右側通行、本土へ行くにはパスポートを必要とした。
つまり、アメリカなのだ。
沖縄はかつてアメリカだったのだ。
こうした事実を、歴史を、学ぶ機会がこれまで無かった。
私は原作を読んで初めて知ったことがたくさんあった。
なぜ学ぶ機会がなかったのか。
なぜ学ぶ機会を与えられなかったのか。
知られると都合が悪いことなのだろうか。
都合が悪い? 誰にとって?
沖縄が日本である以上、国民は皆、知る必要があるのではないだろうか。
では、ドキュメンタリーでいいのではないか、という声もあるだろう。
しかし、ただ史実をドキュメンタリーで撮ることでは伝わらない何かがある、と思う。
それが、物語の力である。
沖縄が孕む「矛盾」と「葛藤」
どのシーンも印象的ではあるが、強いて言えば、まずひとつはラスト近くにグスクとレイが対峙するシーンは、役者の演技力に圧倒された。
暴力による革命を押し通そうとするレイ。
暴力では何も解決しない、後からツケが回ってくると説くグスク。
どちらも正しく、どちらも何も解決しそうにない。
単純な正義のぶつかり合い、と見ることもできなくはない。
だが、正論同士をぶつけ合っている二人は、どちらもそれを望んでいるわけではなく、「怒り」が溢れてしまうことを必死に押さえ込もうとしているようにも見えたのである。
次に印象に残るのは、史実をベースにした「コザ暴動」のシーン。
1970年12月20日、地元住民を米兵が車で轢き殺してしまったことで、火がつく。
その年の9月に、糸満市で同様に米兵による車の事故があり、住民女性が死亡。
しかも、事故を起こした米兵は無罪となった。
コザの住民は、この二の舞にならないよう、行動を起こしたのだった。
それは「暴動」でもあり「騒動」でもあると言われている。
それはひとえに沖縄人の気質によるものだと思う。
歴史の中でずっと隣国に主権を奪われ続けてきた沖縄人は、それでも誰にでも優しい。
様々な国の人を受け入れ、共に生きようとする。
その姿勢をつけ込まれて、都合のいい島になってしまっていたという見方もできてしまうだろう。
そのように耐え抜いた沖縄の人たちの「怒り」のマグマが暴発したシーンは、映画館にも関わらず声を上げてしまいそうだった。
それほどまでに、圧倒的なスケールと没入感があった。
3時間超えの没入感
上映時間3時間11分は、数字で見ると長いと感じるだろう。
そうした声もSNSでは多数上がっているようだ。
しかし、あの原作をよくぞ3時間に納めたと私はそこにも感動したくらいだ。
当然、原作から端折られたエピソードはいくつかあった。
だがそれも、破綻することなく、シームレスにつながっていたと思う。
ストーリーは原作同様、決して分かりやすいとは言えないが、原作よりは分かりやすくなっている。
それでいい。映画とはそういうものだ。
説明的過ぎる台詞はない方がいい。
この混沌とした猥雑さも含めて、沖縄の搾取された歴史なのだ。
方言が強くて、何と言っているかわからない、という声もあるようだ。
わからなくていい。考えるな、感じろ。
そのために役者が演じているのだ。
アメリカ統治下の20年の歴史的背景は、知っていた方がより面白くなるだろう。
なぜこんなにも理不尽を強いられるのか、と憤るには多少の知識も必要だ。
とにかく、まとめていうと、映画館で見るべきである、ということは言える。
そして、パンフレットもしっかりと作っており、情報量も十分である。
巨額の製作費と豪華俳優陣で紡ぎ出された、大赤字(予定)作品
【イントロダクション】
真藤順丈(しんどうじゅんじょう)による直木賞受賞の同名原作の映画化。戦後沖縄を舞台に幼馴染達の運命が交錯していく。
出演に妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太ら。
監督・脚本は、『るろうに剣心』シリーズ(2012、14、21)の大友啓史。その他脚本に、高田亮、大浦光太。
【ストーリー】
1952年、アメリカ統治下時代の沖縄。孤児のグスク(妻夫木聡)は、幼馴染でありグループのリーダー格・オンちゃん(永山瑛太)を中心に、オンちゃんの弟レイ(窪田正孝)らと共に米軍基地に忍び込んで物資を盗む“戦果アギヤー”として活動していた。
オンちゃんはグループの紅一点ヤマコ(広瀬すず)と付き合っており、いずれ戦果を元手に学校を建てる事を夢見ていた。
ある日、極東最大の米軍基地「キャンプ・カデナ」に侵入した際、米軍兵に見つかってしまい逃亡を余儀なくされる。グループはバラバラとなって逃げまどい、レイは逮捕されてしまう。グスクは辛うじて帰還を果たすが、その日以降、オンちゃんは消息不明となってしまう。
時は経ち、1959年。グスクは警官となってオンちゃんの行方を探していた。ヤマコは猛勉強の末に夢であった教師として働く事になる。一方、レイは収容所時代に舐められまいと看守を暴行して凶暴性を発揮し、出所後は地元のヤクザの下で働いていた。
米軍兵による娼婦の暴行事件が社会問題となる中、グスクは捜査の過程で米民政府官僚のアーヴィン(デリック・ドーバー)と通訳の小松(中村蒼)と知り合う。
ヤマコは地元の小学校で教師として勤務し始めるが、米軍機の小学校への墜落事故(宮森小学校米軍機墜落事故)により多数の死傷者が出てしまう。アメリカ側がパイロットを無罪とした事で、住民達の反米感情はより一層強まっていった。事件をキッカケに、ヤマコも地元民と共に抗議デモに参加するようになる。
一方のレイは、ヤクザを辞めて米軍兵をターゲットにした襲撃事件を起こすテロリストのグループに加入していた。
【感想】
原作未読。
元々、本作の鑑賞は公開時期の情報がアナウンスされた時点から決めていたが、他の話題作と同時期に上映され、また本作の上映時間が191分という破格の長尺な事もあり、劇場に足を運ぶのが他作品より後になってしまった。
その間に、製作費25億円という邦画では珍しい規模の莫大な予算が投じられた事、それに対して他の話題作の影に埋もれて厳しいスタートを切った事、賛否両論である事から監督の大友啓史氏自らXにて批判ポストにリプライを飛ばしているという事を目にしてしまい、少々身構えての鑑賞となった。
特に、監督自ら批判ポストに片っ端からリプライを飛ばしに行くというのは、マーケティングとしても完全なる悪手であると思われ、今後、とても製作費の25億円を回収出来るとは思えず、東映にとっては大きな赤字となってしまう事だろう。
公開時期も運が悪く、他の話題作に観客を持って行かれてしまい、興行成績1億5600万円で週末興収7位スタートという厳しい出足となってしまった。
話題性も観客反応も抜群で、日本映画界トップクラスのロケットスタートを切った『劇場版 チェンソーマン レゼ篇』は勿論、歴史的特大ヒット爆進中の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』といったアニメ作品。実写作品としても、話題性十分で粘り強い集客を見せる『8番出口』、東野圭吾原作&福山雅治主演として前週から引き続き安定した集客を見せる『ブラック・ショーマン』、未だ脅威の集客力を見せ、邦画史上歴代2位の興行収入を積み上げている『国宝』等の作品が強く、そんな中で上映時間191分の大作である本作はあまりにも条件が悪かったと言えるだろう。
本来、興行収入1億5000万円超えでスタートというのは、邦画実写において決して悪くない数字であるにも拘らず、7位スタートというのは、やはり強豪作ひしめく中での公開となってしまった事も無関係ではないだろう。
そんな本作に、まず声を大にして言いたいのは、《たとえ悲痛な史実を基にしていようと、作品として伝えたいメッセージがどんなに政治的・倫理的に正しいものだとしても、それが作品の「面白さ」を担保するものではない》という事だ。
米軍兵による婦女暴行、宮森小学校米軍機墜落事故、ラストのコザ暴動と、沖縄が辿ってきた悲しい歴史は、本作を鑑賞するまで何も知らなかった自分にとって強烈なインパクトを残した。
クライマックスでグスクとレイが「キャンプ・カデナ」で繰り広げる、「暴力に暴力で返しても何も変わらない」「こうでもしないと何も変えらない」「こんな野蛮な事が長続きするようなら、人間は終わりだ」という問答の痛烈なメッセージ性、グスクの言葉を信頼するアーヴィンの姿に「同じ人間なんだから、歩み寄る事だって出来るはずだ」という希望を託して見せているのは理解出来る。しかし、そうした正しい主張や願いも、作品自体に興味を惹かれなければ、単なる綺麗事の羅列に終わってしまうのだ。
また、ラストでレイはオンちゃんの遺骨を葬儀で供養した様子を遠くから眺めて姿を消したが、度々米軍兵を襲撃し、ヤクザとはいえ人を数人殺め、米軍基地に侵入してテロを画策した首謀者が、何のお咎めもなしに野放しというのは不味くはないだろうか?彼の行いを列挙すると、理不尽な対応ばかりしていたアメリカ側と同じ、いやそれ以上に悪質な行いばかりしており、クライマックスでの彼の訴えも「どの面下げて言っているんだ?」となってしまうではないか。
そもそも、本作の物語は皆が皆何年経ってもオンちゃんを中心に行動し続けているのだが、オンちゃんの人間的な魅力がこちらに十分に提示されていないので、皆が彼を諦め切れずにいる姿に共感しづらかった。だからこそ、レイがオンちゃんの行方を追って人生を狂わせていく様子も滑稽に映る。これが、オンちゃんは腕っぷしが強いだとか、仲間思いで自分を犠牲にしてでも仲間を守るだとかのシーンの一つでもあれば、彼のカリスマ性が伝わったかもしれないが。
さらに言えば、そんなオンちゃんが命を賭けて守り抜いたウタは、“新時代への希望”だったと思うのだが、レイを庇って撃たれて死亡してしまって良かったのだろうか。オチに至るまで、とにかくこの作品に乗れないままだった。
ところで、本作の製作費は邦画においては破格である25億円の予算が投じられたそうだが、一体何処にそれほどの費用が掛かったのだろうか。いや、恐らくクライマックスのコザ暴動に予算が掛かったであろう事は想像に難くはない。実際、あのシーンの迫力は本作の盛り上がりとして見応えがあった。ただ、仮にもしあの大通りを背景の奥行き等をCG処理などにせず、実際にセットを組んで撮影したのだとすると、それを前半から活かせたのではないかと思ってしまう。
というのも、前半での街並み描写は街のごく一部しか映されない為に空間的な広がりに乏しく、“凝った美術なのが分かるのに安っぽく見える”という状況を引き起こしてしまっていると感じたからだ。これがもし、グスクが事件の調査の過程で大通りを行き来していたり、遠景から街並みを捉えたシーンを挟んだりして、空間的な広がりを観客に植え付けていたのならば、より豪華で気合いの入った印象を持てたと思うのだが。
予算が感じられないもう一つの要因は、グスクがオンちゃんとの思い出を回想する際、皆で路地を走るシーンもそうだ。路地を走り抜けるオンちゃん達の背後に映る電柱のデザインや、遠方に見える白い建物の様子が現代のそれにしか見えなかったのだが、あれは当時を再現したセット内で撮影したものだったのだろうか?私には、当時の様子に見えそうなそれっぽい風景を探してきて、やっつけで撮影した風にしか見えなかった。そうした細部の描写からも、とても巨額の製作費が投じられたようには感じられなかったのだ。
そんな本作において、それでも尚私を最後までスクリーンに釘付けにさせた要因は、ひとえに俳優陣の熱演に他ならない。本作は、俳優陣の熱演によって持っていると言っても過言ではないだろう。
特に、主演の妻夫木聡が素晴らしく、粗暴ながら優しさに溢れるグスクの実直さを見事に演じ切っている。ヤマコ役の広瀬すずも好演しており、「こんな表情が出来るのか」と感心させられた。窪田正孝はいつも通りな気もするが、狂気を滲ませた役柄とは相性が良く、存在感を放っていた。
そして、キャラクター描写が乏しいにも拘らず、皆の中心人物として描かれていたオンちゃんを演じた永山瑛太の「それらしく見える」ハマりっぷりも賞賛したい。あんなに描写不足にも拘らず、彼がスクリーンに映し出されると、その瞬間だけは「らしく」成立するのだから、キャスティングの優秀さは間違いないだろう。
ただし、穿った見方をすれば、本作はそうした俳優陣の演技力やキャラクターとの親和性に依存して、足りない描写を補ってもらった、足りない部分への説得力を丸投げしたようにも見える。実際、俳優陣の熱演でパッと見は「らしく」成立している。しかし、やはりキャラクターを魅力的に映す描写力や構成力が不足していると、そう見えるのは最初だけであり、徐々にメッキが剥がれてこちらの疑問が増えていく事になるのだ。
【総評】
直木賞受賞原作、大ヒットシリーズの監督、豪華俳優陣、巨額の制作費と、「勝てる要素」は十分揃っていたが、公開時期と監督による悪手、何より作品としての料理の仕方を間違えた結果、邦画史に残る赤字を残しかねない作品となってしまった。
グスクの言う「こんな野蛮な事が長続きするようなら、人間は終わりだ」という台詞が、人間の蛮行がまかり通り続けている現代社会を痛烈に皮肉っているだけに、そのメッセージ性を十分に発揮出来る作品に仕上がってほしかったのは残念でならない。
暴力シーンが多く、長いのに観客を納得させる描写が無い。
近年、暴力シーンの多い映画やドラマを見ていなかったので今回の映画は耐性がなくきつかったです。
オンちゃんは英雄扱いだけど、最初の戦果だけで英雄として見るのは見てる側は納得出来ない。
オンちゃんが行方不明になって何年経っても探し続ける理由は?
オンちゃん自身も何故姿を消したのかが最後までわからない。
叫ぶシーンや大事なシーンでセリフが聞き取りにくいところが多く色々予想して疲れてしまった。
25億かけてるなら、アメリカの高官はちょっと中堅のハリウッド俳優さんとか呼べなかったのかな。
広瀬すずさんは使いたかっただけ?
主軸3人と年齢が離れすぎてて違和感がありました。
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