宝島のレビュー・感想・評価
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岩国でのFCLP, NLP にダブル
沖縄には4度行った。最初は仕事に就く前、沖縄戦について知る必要があると思い「ひめゆりの塔をめぐる人々の手記」を読み訪れた。沖縄戦の終盤、人々も日本軍も南部へと逃れて行く。80年代半ばはまだ、その本の通りにその道を辿ることが出来た。本にあるガマにも入ったら、お供え物がしてあった。
2度目は学年旅行で純粋に観光目的で、3度目は普天間基地、オスプレイ、嘉数高台公園、辺野古、キャンプ・シュワブ、沖縄国際大学等を意図的に見て回った。4度目は対馬丸記念館と、渡嘉敷島(A中の時、沖縄から友利先生一行がコミスク視察に来られた。その友利先生に集団自決のサバイバーの方を紹介してもらい、その人に当時の状況を聴くために行った。)47都道府県の中では明確な目的意識を持って訪れた県の一つだと思う。それは沖縄に対して私の中にある種の後ろめたさがあるからだ。
大概の沖縄の人は「ウチナーンチュ」と「ヤマトンチュ」を区別する。そういう見えない壁がある。沖縄の事を知れば知るほどその壁は当然だよなと思える。
沖縄県は全国1位の出生率で、全国最下位の所得水準だ。「貧しさ」と「子沢山」は相関する。それは地理的な制約に加えて、歴史的、社会構造的な要因に帰する。この映画はその苦悩を描こうとした、それは間違いない。以下、映画を見た感想。
・冗長過ぎる。編集で削れなかったのだろう。それは分かるけど191分をもろに感じさせた。
・しかし私がまだ知らなかった事も沢山出ていた。例えば「戦果アギャー」「悪石島の密貿易ルート」「知花弾薬庫のVXガス」
で、結局何が言いたかったんだろ?
・コザ暴動へと至る過程、1972年の本土復帰前までの沖縄が置かれた状況をウチナーンチュの視点から丁寧に描いている。
・沖縄が置かれた状況、それは現在まで続くものだと思うが、「なぜ沖縄はいつも他国や本土に虐げられ第二国民扱いされるのか?」それは、次の様なヒエラルキー、階層構造があるから。トップアメリカ政府、次にアメリカ軍、日本政府、本土からの利益を得る沖縄の上層民、沖縄の一般人、沖縄本島の周辺部の島人、そして歴史の常として「分割統治」され、団結を防ぐために住民、国民同士を敵対させるから。
・例えば本土復帰運動が盛り上がる中でも、グスクが入ったスナックには「本土復帰反対」のスローガンが置いてあった。米兵の落とす金で生きる彼女にとって、それは生活の糧だ。日本政府?のエージェント下にあつた雇われボスが「こんな恵まれた信託統治領は世界中どこにもないぞ」と言うセリフ。
・武器を持つことの優位性、必要性Vs "友だち"を信じる、人との約束を守り信じる事で構築される平和の姿。
・米兵とのハーフの子どもでオンに育てられ死ぬ間際にそのオンの白骨体の場に3人を連れて行くレイは「命どぅ宝」の象徴のはずだ。それがタイトル「宝島」の由来でもある。しかしそのレイは米兵の銃弾を受けそこで死ぬ。
私がこの最後の場面で思った事は、あの時代、レイの様な存在、それは刑事になったグスクもそう、そのカウンターパートのアメリカ人もそう。沖縄が「宝島」として生きて行く道は、二重属国で、中途半端なマージナリティ(Marginality)にあるんだと。そういうニッチな立ち位置こそ、これからの宝島なんだと、伝えたかったのではないか。
映像がよかった。
・当時の沖縄県民の状況や雰囲気が無法地帯に近い印象でたまらないなぁと思った。やりたい放題のアメリカ兵を逮捕しても無罪になるというのも今の日本みたいで絶望的な気分になる。傍若無人のアメリカ兵の日常の下、沖縄を取り戻したいと追い出したい人々と利権で動こうとする人々などがいる感じなど、現代と通ずる状況が切なかった。米軍基地から物資を盗んで裁いている人たちの中でも組織があったみたいでそこで失敗したら島で刑務所みたいになっていたのが悲惨だし、なんで?って思った。
・映画で群像劇っていうのが自分と合わない事を痛感した。主人公は一人で、回してほしくなった。もしくはチャプター分けをしたり。誰の何の話を今観てるのかがわからなくなっていった。NHKなどでドキュメントとしてなら興味深い感じの内容が多かった。映画としてストーリーをとなるとはよくわからなかった。
沖縄の実情が良く描かれているけれど
原作も知らないので勉強不足の私がいけないのかもしれませんが…。
沖縄でどんなことがあったのか酷さは伝わったものの、もっと飛行機が落ちる瞬間とか直後とかのシーンがあってもエンタメとしては良かったのかなぁ(あまりにも酷すぎてひかれる恐れもありますが)
オンの魅力がいまいち理解できないまま、オンに執着して生きている3人が描かれて、置いてけぼり感を感じてしまいました。
オンを口実にしているけど、実はヤマコへの執着だけだと奥深さに欠けるのでそこは大事と思いつつ、オンの価値に共感が追いつけませんでした。
「宝島」タイトルの割に、宝の存在は初盤・中盤では薄かったし宝探しというより、オンへの思い入れを共感できないまま、オン探しがメインと受け取ってしまった。(オンが宝なの?という置いてけぼり感)
ラストに宝が急にクローズアップされた感も気持ち的に追いつけなくて…。
大事な宝は理解しつつ、今を生きている私たちにどうあって欲しいとかのメッセージ性も薄く感じて、なんとなくモヤっとした気分で考えながら映画館を後にしました。
もう一回見てみるとか、原作読んでみるとかしないと、このモヤっとした気分は晴れそうにない。(これが狙いか!)
人の命すら軽んじられる沖縄の歴史の中で、大切にしてきた「宝」について
まだアメリカ占領下だった頃の戦後の沖縄の若者の話。
観客を傍観者にする周到な仕掛けが、沖縄のことをただ見てただけの我々に刺さる。だからこそ理解しにくく、不快に感じるかもしれない。だが戦後80年の今年、日本人なら劇場で観るべき作品だ。
多くの人が引っかかる沖縄の言葉の問題。途中の英訳字幕がない箇所で確信したが、始めから理解させるつもりはないのではと感じた。理解できないことで、観客を傍観者の立場に置く。
さらに冒頭から流れる「Mack the Knife(殺人者)」から「Jambalaya(別離)」に至るジャズやポップスの英語曲。ウチナンチューのドラマを描きながらアメリカ側、もしくは本土側の視点と感じた。これも観客にドラマを客観視させ、登場人物に感情移入させないように作られている。
言語、音楽によって観客の立ち位置を傍観者に置くことで、観客こそが沖縄がどんな状況に置かれようとも、何もせずに傍観していたヤマトンチュだとわからせる。映画だからできた表現だと心を鷲掴みにされた。
小学校に米軍機が突っ込んで子どもが亡くなった事故の時の広瀬すずさんの悲しみ、怒りなど入り混じる慟哭。観客は、登場人物が感情を爆発させた時のみ、物語に共感することを許される。
「宝島」の「宝」は、飛行機事故前の小学校の校門に書かれた「島ぬ宝」=子どもたちのこと?アメリカ軍の基地で見つけた機密?様々な想いが錯綜する中、物語はクライマックスのコザ暴動へ。
ここから物語は「宝島」の「宝」とは何か?というテーマに迫っていく。子どもたちの悲劇をきっかけにデモの先頭に立つようになったヤマコ。テロ攻撃することで自己実現しようとするレイとそれを体をはってとめるグスク。米軍の兵器を横流しする民族主義者に利用され、悪石島で奴隷にされても、小さき命を守ってきたオンちゃん。自分のアイデンティティにこだわっていたウタ。
人の命すら軽んじられる沖縄の歴史の中で、それでも大切にしてきた「宝」。
それは人間の「尊厳」ではないか。自己も他者も同様に尊重し、どんな状況に置かれても人間らしい心を持つこと。そして、生きること。
改めてこの映画が伝えていることは大きい。
多くの人に観て欲しい
良かった!
上映時間は始まったら気にならなかった。
沖縄の歴史は、高校の日本史でさらっと学んだだけだったから、知らないことばかりだった。
日本に返還されるまでのこと、それからのこと、今も続いている様々な問題。
エンタメで表現されることで、より、共感し関心を持つようになる
だから、たくさんの人に観て欲しい。
沖縄の映画館では連日満席だが、本土では入りが良くないと報道で聞いた。
本土こそ、観た方が良いと思う。
私も観光地として沖縄旅行に何回か行ったが、知っていると、知らないとでは全く感じ方や見え方が全く違う。
「戦果」が何かわかったラストシーンに心が震えた。オンちゃんの人となりや伝えたかったことが良くわかったし、永山瑛太がオンちゃんの懐の広さや優しさを体現している。
妻夫木聡のおじさんくさい演技も、良かった。世俗にまみれて生きているように見えるが心のうちに熱く秘めている思いが共感できて。
どの俳優さんも、その役を体現していて素晴らしかった。
上映中は泣きっぱなしで、心を揺さぶられ続けました。
50年後の今、何想う
コザ騒動と沖縄返還からすでに50年を越えました。終戦から返還までの期間と比較して二倍近い時間が流れました。もし、この映画のその後の時代を描くとしたらどんな物語になるのか。アメリカが最前線から一歩引いた分、やまとんちゅが大きな顔するだけでしょうか。
嘉手納飛行場は今もそのまま存在しています。直接戦場に向かうような状況こそかなりご無沙汰ですが、明日起こったとしても不思議ではない世界が続いています。豊かになったらほかかに目を瞑らなければいけないのか、という問いかけは今も続いているのでしょう。
あえてマイナス点を挙げると、主要人物像がややはっきりしないんじゃないかな。20年にわたる長い複雑なストーリーなのでついていくのも結構大変です。物語に入り込むためにも序盤でもう少し工夫があればと感じました。沖縄については人並み以上に詳しいつもりですが、それでもついていけない部分がありました。あえてそうしたと思われる方言でのセリフにしても、わかりにくさも含めて感じてほしいのかもしれませんが、熱意の空回りになってはいないでしょうか。
あと3時間はやはり長い。生理的問題もあるが集中力という点でもかなり厳しい。演劇でもコンサートでも、公演全体は長いとしても3時間以上の無休憩は無いんじゃないでしょうか。無駄に長い、あるいはテレビかネットフリックスでやったらいいんじゃないかと思う作品もある。でもすべてを短くしろとも思わないし大スクリーンで見たい作品もある。いろいろ事情もあるかもしれませんが、考えてほしいです。
価値観が変わりました
甦れ宝島!
映画館で観て欲しい映画
公開翌日に鑑賞した。3時間超えの長尺作品と知り上映前までいろんな意味で心配した。(眠け、トイレ、お尻が痛くなる、つまらない作品などなど)しかし、そんな心配は無用だった。
ストーリーとしてはあり得ないだろうという所はあったけれど、あくまでも映画として楽しませてもらった。しかし、あの当時の沖縄の状況は本当だろう。いや映画よりもっと緊迫感があったと思うと他人事であった本土に住む同国人として恥ずかしく思った。
考えると沖縄戦当時の映画(例えばひめゆりの塔のような)はあっても、返還前の状況を題材にした映画は初めてだと思う。
公開後、話題は尽きないが多くの人に「是非映画館」で観て欲しい作品だと思った。
今年は「国宝」といい長尺の作品に「映画って良いですね面白いですね」と思わせてもらい、なんか得した気分で家路に着きました。
一つだけ、沖縄の方言がわからない所があり、(不本意でも)字幕を入れた方が良かったんじゃないかな。
1人の沖縄県民のリアルな声。20代女性
まずは、沖縄の戦後の歴史に基づいた映画を制作していただいた監督、俳優陣に心からありがとうという感謝の気持ちを伝えたい。
__________
私は沖縄の歴史が好きだ。
でもあまりにも情報が少ない。
そして特に少ないのは戦後の話。
私のおじい、おばあは幼少期に戦争が起き
アメリカ統治下の中で育って行った。
昔のアメリカーはチョコレートをくれたんだよとか、お仕事をもらえた、チップをくれた、ドルでお菓子を買っていた。など
明るい話はよくしてくれてたが
ネガティブな話は一切せず
おじいは亡くなった。
自らの口で語るのは辛いのであろうと思ってたので私も生前は聞かなかった。
なので資料館に自ら足を運んで
写真を見てはこの当時の沖縄の人たちは
どういう気持ちだったのだろうか
想像しかできなかった。
今回の作中で沖縄戦後史の中で
有名なシーンも入っており、その時のうちなーんちゅたちの悲痛の叫びがものすごく伝わってきた。
敗戦という負の感情から抜け切る間もなく
アメリカが統治することになり、軍人は好き勝手し放題。それを黙って俯瞰している本土。
私もその時代にいたら誰を憎めばいいのか、誰を頼りにしたらいいのか分からなくなると思う。
今回の映画を観て解決策を見出そうとせず
クライマックスがどうとか考えず
ただ、こういう独特な歴史がたった数十年前まであったんだということを
是非、感じてほしい。知って欲しい。
そしてこれから沖縄に移住をして
沖縄の人たちの温かさに癒やされたいと思ってる方がこのサイトの中にいるのであれば
一度この映画を観て、歴史を知った上で移住して欲しい。
県外のみならず、県内の若い世代にも
観て欲しいと思った。
色々話が脱線してしまったが
ほんとにこの映画を作ってくれてありがとうございます。心から感謝します。
私も沖縄がこれからどう進んでいくのか
前向きに考えて行動していきます。
たぎれ!うちなー!たぎれ!日本!
追記:
作中でもガマに行ったりしてるが
軽い気持ちで行くのはほんとにやめたほうがいい。中途半端な気持ちで行くと痛い目遭います。ちゃんと誠意を払って勉強させていただきますとご挨拶をしたほうがいいかもしれません。御嶽もそうです。神聖なる場所なのでご利益のあるようなパワースポットとはまた少し違います。沖縄の人でも行かない御嶽は山ほどあります。
私は歴史を学びに行くつもりであっても必ず熱が出ます。空気の重さに負けて足が動かなくなった事もあります。沖縄はそういう土地が多いです。スピってるとか思うかもしれませんが、沖縄はほんとにあるので。まーす(塩)を持ち歩いて旅行することをオススメします♪
あと、沖縄顔じゃないから感情移入しづらい!みたいな口コミも見かけたが
メインキャラクター達みたいな顔立ち、結構沖縄に居ます笑笑
私は全く気にならなかったです
方言も中部(コザ暴動が起きた所も含まれる)訛りだなーって感じがしてそこら辺も細かくて
好きでした笑
コザの歴史資料館とかゲート通り、銀天街、アーケード通りなど。どの街並みも歩くだけで面白いので是非行ってみてください!
嘉手納基地を見下ろせる嘉手納の道の駅にある資料館コーナー、金武町の街並みもオススメです。
価値のある作品だとは思いますが…
終戦後の沖縄の現実を知る、非常に価値のある作品だとは思いますが、エンタメ作品として考えるとちょっと辛口の批評になってしまいます
原作を読んでいれば理解できるのかもしれませんが、私のように未読の者が観ると、唐突とも思えるシーンやきっと彼がこんな反応をするのは何かトラウマ的な経験があるんだろうなとか、本来なら感動すると思われる最後の怒涛の伏線回収にしても、それまでの重要人物への描き方が全然足りないので、単なる答え合わせとしか感じませんでした
例えて言うなら、店主こだわりの食材や製法でじっくり丁寧に作られた料理である事は誰でも分かるが、肝心の味がイマイチといったところでしょうか
できれば映画ではなく、今流行りのNetflix等で数回に分けた作品として観たかったですね
コザの暴動シーンは圧巻。エキストラの人数も異様に多く、モブシーンとしては日本映画とは思えない迫力があり、素晴らしい祝祭的なシーンになった。このシーンだけでも、この映画を見る価値がある。
監督は、NHKドラマ「龍馬伝」や「白州次郎」、映画の「るろうに剣心」の大友啓史。
だからアクションに重きを置いた重厚な人間ドラマを期待したが…。
なかなかの力作。戦後約20年間の返還前の沖縄の雰囲気がとてもリアルに描かれていて、目を見張る。
特にコザの暴動シーンは圧巻。エキストラの人数も異様に多く、モブシーンとしては日本映画とは思えない迫力があり、素晴らしい祝祭的なシーンになった。このシーンだけでも、この映画を見る価値がある。
上映時間は3時間強だが、そんなに長さは感じない。ただ全体的に要所要所で締まりがない気がした。
例えば、米軍の輸送機が、小学校に煙を出しながら落ちてくるシーンは迫力があるが、肝心の落ちるシーンがない。音だけで、その後の焼けて亡くなったこどもを抱くなどのシーンなる。
コザの暴動シーンでも、照明弾が空に打たれて全体が明るくなるが、照明弾が空に上がるシーンがない。
省略の良さよりも、もっと映像の効果を考えて欲しかった。
それに米兵との銃を使ったアクションシーンのキレの悪さもちょっと気になる。出てくる米軍兵士が嘘くさく感じられた。
一番気気になるのは、ラストのシークエンス。グスク、ヤマコ、レイ、ウタが米軍と対峙するシーンから逃走しての核心の謎解きシーン。これはどうなんだろう。日本映画で良くある言葉による説得、その後の回想シーンによる謎解き。テンポが悪くダラダラと続く。その上謎解きはご都合主義的な辻褄合わせにしか感じられない。
(全然違う映画ではあるが今年の「エミリア・ペレス」のラストのクライマックスように一瞬で話が転換するような筋書きと演出ができないものかと思った。)
役者の皆さんは熱演で良かった。特に窪田正孝が良かった。妻夫木聡の暴動シーンでの笑い顔と叫びは印象的。広瀬すずも瑛太も良かった。
色々と気になる点はあるけれど、多分ラストをうまく着地できていたら、傑作になったと思う。
沖縄を知るための価値のある映画
私が注目する監督大友啓史(「龍馬伝」『るろうに剣心』シリーズ『レジェンド&バタフライ』)とあってとても楽しみにしていた映画。しかも、戦後80年の今年に戦後の沖縄の葛藤と苦悩を描き、米軍の駐留、日本本土との関係も含め、今でも沖縄県民に苦しみを与え続けている現実を思い起こさせる。
映画では、沖縄で起こった大きな事件が年号とともに映し出され、主人公たちがそれに巻き込まれていく。
1959年、宮森小学校に米軍戦闘機が墜落
1970年、群衆が米軍の車を焼き打ちにし、基地になだれ込んだコザ暴動
アメリカの基地の町・沖縄と本土から見放された沖縄。それに立ち向かう若者たちの命を掛けた行動。私の記憶の中からも、戦後の沖縄の歴史は消え去ろうとしている。今、改めてこの事実と沖縄の人々の苦悩を知る超大作の映画となった。
俳優陣の妻夫木聡、広瀬すず、永山瑛太の熱演も光る。
圧巻の「コザ暴動」
原作既読。
よくぞ、映画化してくれました!
戦後米軍統治下沖縄の数々の不条理、婦女暴行、殺人、宮森小米軍機墜落、米軍車両人身事故、毒ガス、沖縄返還も基地は存続、そしてコザ暴動(騒動の中、妻夫木聡(グスク)が笑いながら歩く姿は「69」(李相日監督)以来の爽快感)...(以後も、辺野古基地建設、PFAS...)
後半、レイと激しくやり合う中でグスクの「それでも未来を信じる」という(ような)言葉が刺さる。あれから50年ほど経ってもなお、不条理は残っている。グスクの想いを受け継いでいかねば…
怒りを忘れたヤマトンチュよ、
ウチナーの怒りと悲しみを知り、タギレ!
宮森小米軍機墜落事故の直後、広瀬すず(ヤマコ)の慟哭、そのあとの浜辺での忍び泣き、更に1952年のナガサキを背景にした「遠い山なみの光」での逆光の中で弾ける嗚咽の涙の美しさ。映画としての名シーンではないだろうか。
嫌いではない作品だが
嫌いではないが、「もったいない」というのが正直なところ。
原作の魅力が脚本や演出でだいぶ削がれてしまった。
まず、オンちゃんの魅力がいまいち伝わらない。
彼の行方への興味が物語の推進力になっていないと感じる。それがそんなに大事な話?と思わずにいられなかった。
沖縄の戦後史も十分に描けていたとは思えない。
これで沖縄のいろんな方向に引き裂かれた人々の苦難がわかりますかね?
せめて、初めの方で妻夫木聡と窪田正孝が演じる二人の政治的な考え方の違いを描き分けて、それを軸に物語を進めればだいぶわかりやすくなったのでは……。
これでは「いかに複雑か」ということすらあまり伝わってないと思う。
基地に賛成か反対か、アメリカ支配を容認するかしないかといった単純な問題軸で捉えている人に、そう単純でないが、問題に有効な対策をしないでいるうちに沖縄の人の犠牲だけが増えていくという現実を見せることができれば、この映画をつくった十分意味があったと思う。
しかしそうなってもいない。コザ暴動のシーンも、お金はかかってるんだろうに、積りに積もった怒りの爆発に見えないなんてね。
政治問題は通り一遍に描かれて終わっている。これは誠実さを欠く態度なのでは?
せっかくの題材が本当にもったいないと思う。別の制作体制だったら違ったのではと思わされてしまう。
県外在住のウチナンチューの感想
映画は、「マック・ザ・ナイフ」の歌と共に始まった。
エラ・フィッツジェラルドの「ベルリン・コンサート」のライブレコードに
入っている好きな曲だったので、出だしからテンションが上がった。
もちろん、エラが歌ってるわけではないけど。
エンターテーメント映画としては、3時間ちょっと、長いと感じさせることもなく、
見応えのある映画でした。
永山瑛太演じる「戦果アギヤー」のリーダーがある日の基地襲撃後、行方不明となり、
妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝らが演じる仲間が後年に渡り、ずっと、その行方を捜すのが
映画のひとつのプロット。
映画の後半で推理小説のごとく、前半での伏線の回収が行われて、謎解きの説明に費やされる。
もう一つのプロットは、その時代背景としての米軍・米兵が関わる事件。
(宮森小学校米軍機墜落事故、糸満主婦轢殺事件、コザ暴動、毒ガス移送、そして祖国復帰運動の描写)
映画としては、二つのプロットを描写しているが、どちらも登場人物の内面的な深い掘り下げがなく、どっちつかずの中途半端な薄ぺらい映画なっていると感じた。
当時の沖縄の置かれた状況、米軍、米兵に対する怒り、沖縄の人々の心情描写がなく、表象だけをなぞった感がある。
役者陣は、かなり頑張って、沖縄のアクセントに取り組んだのだろうなと思うが、70点くらいかな。
ところどころ、短いウチナーグチのセリフが出てきて、ウチナンチューじゃないとわからないだろうなと思いながら観てました。
ひんぎれー(逃げろ)、たっぴらからさりんどー(叩きのめしてやるぞ)、等々。
でも、流石にみなさんすごい役者揃いで、演技は上手いなと思いました。
地元のエキストラのオジィ、オバァのイントネーションは、地でリアリティがありました。
みなさん、演技も上手かったです。
映画自体は、フィクションなので、ちょっと違和感がある描写もあった。
(毒ガスの缶、ラストシーンの骨壺など)
復帰運動の描写で歌われていた「沖縄を返せ」は、よく覚えている。
子供心にも「沖縄は、ここにあるのに返せってイミクジ(意味が)わからん」って思ってました。(笑)
エンドロールで「今帰仁村観光協会」が出てきたので、地元でも撮影があったのかも。
海辺のシーン?かな。
3時間ちょっとの長い映画なので、集中して観るには、映画館がおすすめ。
家で観ても良いとは思います。中身が薄い映画でした。(泣)
アクションは、楽しめましたよ。
原作をうまく整理しているが…ラストが残念
原作を読んだのは、もう7年前。何となく粗筋を覚えている程度で、だけどものすごい熱量と壮大な展開だったなぁという記憶はありつつ、本作品を鑑賞。
原作の記憶が薄かったためか逆に新鮮な気持ちで、しかしある程度の予備知識はあるので、かなり面白く見ることができた。エピソードの選び方も的確で、ストレスもなく特に中盤にかけてはどんどん引き込まれていった。
そしてクライマックスのコザ暴動。制作費の相当をここにかけたのだろう(出演者がインタビューで、当時のアメ車を日本に持ってくる輸送費が、購入費よりも高かったという話をしていた)、エキストラの数もちゃんと揃えて迫力を出している。
ただそこからエンディングまで、もうひと展開あるのだが(ネタばれになるので詳しく書かないが)、そこの演出がいただけなかった。それまでの人間関係描写を端折ってきたツケが回ったとも言えるけども、何だかな~という感じ。
そしてラストもあまりに説明的過ぎてすっきりしない。これも十分に伏線が張れてないからだろう。
では原作では最後、どうなっていたかと思って、帰宅後、最後数十ページだけ読み返してみたら… なるほど、これは難しい。原作でも結構駆け足に書かれていて、これはこれでご都合主義な感じである。それを何とか映画的に表現しようとした結果か。
いずれにしても原作も、最後が大感動で終わる作品ではなかったから、それを求める映画ではないのかもしれない。恐らくコザ暴動までの、沖縄がどんなに虐げられてきたか、そこに暮らす人たちはどんな思いをしていたのか、それを改めて体感する映画だし、その目的は十分に果たされていると言っていいだろう。
是非、若い人たち、沖縄のことにこれまで無関心だった人たちに見に行ってもらいたいと思う。
ウチナーのために
宝島を観て 今の沖縄、そして自身の生き方そのものだなと思った 。
そう思うウチナンチュは 多いのではないか。
映画では 戦果を上げてみんなに配る、 その利益で未来の沖縄のために学校を建てる、ということをやっていた。 私自身も 沖縄のためにと思いながら、自らの仕事を頑張ったり、 地域のためや自分の子供たちのためにも頑張った 。
そして私と同じように 沖縄のためにと思って一生懸命やっている仲間たち も周りにはいっぱい いた。
でもなかなか 沖縄の状況は変わらない。
アメリカに支配されていた頃、ウチナンチュの安心な生活は犠牲にされていた。
復帰後、日本に戻ってからの今、アメリカと日本の両方に支配されていると思っているウチナンチュは多い。米兵による犯罪、ウチナンチュの貧しさ、は 戦果アギヤーの時代と変わらない。
崩そうと思っても日本とアメリカの正義の中に埋没されて、沖縄の犠牲が当たり前になっている。その状況を日本国民が当たり前に感じて、自国の悲劇として見えていない。
主人公が「なんくるないさではどうにもならん」と言っていたのが心にしみる。
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