劇場公開日 2025年9月19日

「最後に明かされる真相以外は、見事な出来。」宝島 60代の男ですさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 最後に明かされる真相以外は、見事な出来。

2025年11月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

戦後の沖縄の現状と、そこに暮らす人々の我慢ならない怒りを伝えてくる、非常に力の入った大作。
重厚で見ごたえがある。
引き込まれるドラマで、クライマックスの暴動シーンまでが見せる。
ただそのあとの終盤で、序盤から物語全体を通してずっと引っ張り続けている謎、主人公たちの尊敬する兄貴分オン/永山瑛太が行方不明になったいきさつのすべてが、ついに明かされるクライマックス、そこが失望しかなかった。
入手しようとしていた銃器に代わる大きな戦果で、米軍がいまだに行方を追っているものとは何か?
感動する場面だとばかりに回想シーンで説明されるのだが、感動どころか驚きもなかった。
こんなことが真相だったのか?
これが知られると今でも米軍は困るのか?
拍子抜けだった。
それでも、この最後の真相以外は立派なものだったので、評価は高い。

あと、コザ派と那覇派という言葉が説明なしに出てくるが、それが住民全体を指すものなのか、ヤクザの派閥のことなのかが分からなかった。
それと、寝たきりの男がオンのことを語っているのに、ドクターストップがかかって主人公が全部を聞き終わる前に追い出されるシーンは、ご都合主義丸出しで大嫌いだ。

お話は……
第二次世界大戦の終戦直後から始まる。
県民の4人に1人が死ぬという大きすぎる被害を出した沖縄。
終戦後は駐留基地のアメリカ兵たちが特権階級扱いで、犯罪をおかして逮捕しても、МP=米軍憲兵が出てきて連れていき、無罪にされて警察はなにもできないという状況に、地元民の怒りが蓄積していく。
そんな沖縄のコザの町では、主人公の少年・妻夫木聡は、絶大な信頼を寄せる年長のオン/永山瑛太に付き従い、売りさばく物資を盗み出そうとグループで米軍基地に侵入し、発覚して大騒動の中を逃走するが、そのときからオンが行方不明になる。
時が経ち、主人公・妻夫木聡は刑事になっていたが、オンがどうなったのかがいまだに最大の関心事だった。
主人公刑事に、ひとりの米軍将校が接触してくる。
彼はオンが生きていて、何か大きな事件を計画しているのでそれを突き止めたいと言い、協力し合おうと持ち掛けてくる。
主人公刑事は、基地に侵入したあの夜、最後までオンと一緒にいた者が、病院で寝たきりになっているのを見つけ、話を聞くと、オンはあの夜の基地内で、実は銃器を手に入れようとしていて失敗したのだが、代わりに違う戦果を手に入れたと言う。
米軍は現在でもそれを探して、オンの行方を知りたがっているのだ。
それがなんなのか分からないうちに、犯罪をおかした米兵がまた無罪になったことに端を発してコザの町で騒動が起こり、米軍が鎮圧しようとしても治まらず、暴動に発展する……。
というのが主人公刑事の物語を簡単に書いたもの。
長いドラマなので、幼なじみの広瀬すずや窪田正孝らの物語には触れていない。

60代の男です