「大作なのに、、」宝島 voiceさんの映画レビュー(感想・評価)
大作なのに、、
この作品は見なくてはならない映画だと、期待していた。
3時間が長いとは感じなかった。
しかし、
自分が時代背景に詳しくないこと、沖縄訛り、回想と妄想が散りばめられ、
話の展開についていくのがやっとだった。
ストーリーを理解することに集中し、そこに生まれる感動とか、心の動きを感じるところまではいかなかった。
ウタはオンが助けた子供だったことが、特に驚くほどのこともなく、一体何だったのか?
もっと早くにヤマコやレイたちに伝える機会はあっただろうし、(ウタも父のことを知りたがっていたし)
アメリカが必死になって探していたのは、高官が子探しを命じていただけということなのか。
機密ではなく、親子愛?!
レイはあんなにも覚悟をもって、毒ガス作って嘉手納に突入したのに、仲間を捨てて、車で逃げるのか…
グスクたちに任せて、なぜ基地に戻りはしなかったのか…
そして、まだ生きているのに、病院じゃなくあの場所に行ったのか…
すべては、最後のストーリーを展開するためのご都合主義感があったのは残念。
そして、広瀬すず演じるヤマコが妻夫木聡演じるグスクをニイニイと呼ぶから、てっきり兄妹と思っていたので、後半のグスクの恋心にハテナとなったり、かと思えば別の人と結婚していたり、、
詳しく描く余力がないのであれば、
そのへん飛ばしても良かったのでは?と思った。
ただ、1人1人の役者は熱量があり、
エキストラの迫力は素晴らしかった。
オンちゃんをみんなが慕う意味は永山瑛太から滲み出ている感じはあったし、その弟のレイの苦悩を窪田正孝が見事に演じていて助演男優賞!
複雑な沖縄の時代背景にお金をかけ、きちんと描かれていて、素晴らしい映像の大作に仕上がっていただけに、感情移入できなかったことは残念。
もう少し、誰かの人物像にフォーカスしても良かったのかも。
役者も映像も題材もいいのに、
ラストに辿り着くまでは良かったのに、
米軍基地内に主要キャスト集合して、この伏線回収に、「え?なんで?」となった。
これが隠していたこと?探し求めたもの?
原作があるから仕方ないけど、この映画、ココに辿り着く必要があったのかな??こんな結末見せるなら、通過点のひとつで良かったのに。
衝撃と感動とはならず、
「たぎれ!」と心揺さぶられ損ねた感じとなった。
こんなにも大作なのに、あっという間に上映回数が減ってしまい、ラストがラストなだけにもう一回見たいともならなかった。
本来なら、何度か見て、理解して、心が動く作品なんだろうけど…もったいない。
酷評のようですが、映像としては素晴らしく、映画館で見て損はない!!
勝手ながら、
私なりのプロットを考えてみた。
コザ騒動が最高潮で、そこから、ん?ん?と盛り下がっていったように感じたこと、
せっかくここまで史実に基づいて壮大に映像化してきたのに、最後にフィクション部分のオンちゃんで興冷めしてしまったこと、
だから、
各自オンちゃんのことは心の英雄として、大切にしつつ、
ヤマコはオンちゃんと約束した教師になり、教師として奮闘しているとこをもっと描いてほしい。そうすることで、墜落事故がもっと悲しみと怒りが沸く。
レイは、レイなりに兄を探し、復讐する!これはそのままでオッケー!
グスクは、現実を薄々感じつつ、刑事として正攻法でオンちゃんを探し、理想と現実の狭間で揺れ動き、あのコザのシーンに突入!良かった◎
(アメリカ&通訳とのやり取り、結婚のとこなどカットできる)
ウタは、父を探しながら、ヤマコやレイとの関係性をもう少し描き、コザ騒動前にオンちゃんとの種明かしをする!
そして、あのコザ騒動からの、レイ嘉手納基地へ、グスク追いかけ、2人の魂のぶつかり合い。
ヤマコはやっぱり外、トモダチのくだりもいらない。米軍諜報部のアーヴィンがあの場に偶然いるのは立場的におかしい気がする!
ウタは、突入してきて、撃たれる。
レイをかばって…とかすると急に安っぽいドラマになるので、ウタはウタで、自分の主張を!
そして、事前に種明かしがあったから、オンちゃんが助けた命を助けないとって2人が、撃たれたウタを担いで命からがら逃げ、そこに車を発見したヤマコがいるくらいなら許せる。
で、みんなで病院に向かうが、ウタは助からず…って流れで、
それでエンディングに向かうと、現実はドラマティックではなく、沖縄問題は、今も解決されてはいない無常さが伝わる。
