劇場公開日 2025年9月19日

「今につながる米統治下の沖縄の実情」宝島 山の手ロックさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 今につながる米統治下の沖縄の実情

2025年10月3日
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鑑賞方法:映画館

コザ騒動の知識はあったが、「戦果アギヤー」や密貿易が実在していたことはもちろん、小学校への米軍機墜落、米軍基地での毒ガス漏れといった大事件が実際に起こっていたことを全く知らなかった。米統治下の沖縄について、いかに無知だったのかを思い知らされる。
これら実際の事件や当時の実情を取り入れて、長編エンタメ小説に仕上げた真藤順丈の原作が評判を呼んだことは納得できる。
映画化に当たって、当時をリアルに再現するため、街並みのセット、衣装、音楽にこだわり、クライマックスのコザ騒動のモブシーンまで、熱量高い画面づくりは見応えがある。しかし、一つ一つのシーンは熱いのに、前後がうまくつながらずに羅列されたようで、作品全体としての深み、重みが感じられないのは残念。実際の事件に引っ張られすぎて、登場人物それぞれの人間が描けていないというか…
沖縄の方言やイントネーションから、セリフが聞き取りづらい面もあったせいか、意味が理解できないシーン(特に窪田正孝のパート)もあった。原作ではどうなっているのか分からないが、最後に物語の鍵となっていた人物が明らかになるあたりも。
映画作品としての難点はあるが、今の人たちに知られていない米統治下の沖縄の実情を明らかにし、それが今につながるものだということを知らしめた意義は深い。妻夫木聡が全国キャラバンしている想いは受け止めたい。シニカルにではなく。

山の手ロック
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