「ただ、やるせなく」宝島 ゾアさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ただ、やるせなく
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呪いによる祟りなど、現実にはない。沖縄でガマやひめゆりの塔などの戦災遺跡を見終わった後そう思った。もしあるなら、本土防衛の名の下にあれほどの犠牲を強いられた沖縄の無念が、とっくに日本を滅ぼしているだろう。
その沖縄の辛酸が終戦後も続いていたことを、あらためてこの映画は心に刻みつけてくれた。それだけのものを伝えるエネルギーがこの映画からほとばしっていた。
オンちゃんとヤマコが希望を託した子供らは無残に焼かれ、加害者は何の責任も取らない。いつも米軍の無法にさらされ、ベトナム戦争で心を病んだ米兵のはけ口にされ、オンちゃんが泥まみれになって繋いだウタの命は、米軍の銃弾に散る。希望の本土復帰は、沖縄に犠牲を強い続けるだけの形骸だった。グスクとレイの希望と失望、その答えは今も出ていない。いや、権力者が私欲で理不尽に引き起こす戦争が各地で続く今をみれば、行き場のない思いだけが残る。
沖縄の海が好きで毎夏行っているが、沖縄の苦難への思いは胸にあり、しかし現地にお金を落とすことが自分に出来ることなどと言い訳にしている。言い訳にしていることに納得していない思いもある。
いろいろな気持ちがない交ぜになって、ただ、ひたすら、やるせない……。
うちなんちゅがどう感じるかはわからないが、沖縄が好きな、あるいは沖縄に行ったことがあるやまとぅんちゅは、この映画をぜひ見た方がいい。
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