「重い物語を引っ張れない主人公の刑事」宝島 やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
重い物語を引っ張れない主人公の刑事
原作未読ですが、前提条件として沖縄島民が終戦から1972までアメリカのGHQ統治下にあり、沖縄が日本に返還された後も米軍基地問題など複雑な状況下で苦難の道を歩んできたのは史実としてざっくり理解しておりました。
今作は、その沖縄において戦後の混迷収まらない時期に米軍基地に忍び込み、物資を盗み出して沖縄の一部地域の住民に安価で売ったり分け与えたりする「義賊みたいな窃盗団」のお話が軸になり、ストーリーが展開していきます。
「窃盗団の名前」は何度か聞いたのですが、沖縄の方言が混ざってるようではっきりと名称として認知できませんでした。それも含めて物語の序盤は方言混じりの荒々しい会話がさらに雑音に紛れていることもあり聞き取りづらく、日本語字幕が必要かなとも思いましたね。
窃盗団のリーダーのオンはその所業の善悪はひとまず置いておいて(笑)、明朗快活な性格でリーダーシップをとりその後の活躍が期待されます。しかし米軍基地からの窃盗に失敗した日を境に消息不明になります。それを窃盗団の仲間でありオンを慕っていたグスクが、刑事になってまで彼を探す・・・というのがメインストーリーとなります。
前置きが長くなりましたが、結論から言いますとこのメインストリーにおける主人公グスクの行動やら態度やらが終始不快で、それをダラダラ3時間以上見せられて彼に対してヘイトが溜まってしまいました、というのが正直な感想です。
あの状況下でアメリカ憎しは仕方ないにせよ、自身の協力者に対しても感情的に敵とみなしたら最後、終始不貞腐れたような不遜な態度をとり、上から目線で捲し立てるのを見せられるのが本当に不快でした。しかも、身内に対しては手のひら返した様に甘々で、ニッコニコ!おそらく〇〇事件?でさえお目溢しする始末・・・素晴らしい正義の刑事さんだこと(笑)。
人によって態度をコロコロ変える人間は信用出来ない・・・というのは人生訓としても確かなところですが、これが主人公ではこんな重い背景の物語は引っ張れないな、と思ったら想像通りでした。
なおグスクを演じた妻夫木聡さんは役作りとしてはよく頑張ったと思います。つまりそれ以前の問題かと。
では。
やまちょうさま
『宝島』『火垂るの墓』に共感、ありがとうございました🤭
実は、コメントやフォローだけで共感無し、という事象は毎日のように起きるんです。
コメント内容が誠実なので、相手のレビュアーさんに確認すると、驚かれたり謝られたりしています。
私のレビューが無駄に長いので、エンディングロールの途中で席を立たれてるのかな…!?と分析しています。
一つ前のコメントは削除いたしました😙
やまちょうさま
とても丁寧なコメント、ありがとうございました🫡
やまちょうさんのレビューを読んで先ず思い出したのが、『火垂るの墓』の主人公・清太の行動に対する“自己責任”という批判です。
前のコメントに書いたグスクの凄惨な過去というのは…
>「グスクが洞窟(ガマ)に入った時錯乱したのは自身が集団自決の生き残りなのでそのトラウマが蘇ったからだということ、よって彼は天涯孤独であるからカリスマのオンちゃんに絆を見出していたということも重要な要素のような気がするが、映画の描写で果たして伝わるのだろうか。」
私のレビューは、
「特殊な状況下にある登場人物を自分の価値観で判断しない」
「現代の価値観で歴史を裁かない」
「レビューの★5評価はもう一度観たいと思ったかどうか」
なので、他のレビュアーさんとは評価基準が異なると思います😗
やまちょうさま🙂
このレビューの視点は、この映画では初めて読みました。
映画では描かれないグスクの沖縄戦での凄惨な過去を知ると、成長後も刑事としても、行動に整合性が取れないことを許容してしまいます。
更に妻夫木聡さん自身の20年間に及ぶ沖縄での活動と、この映画への熱い思いを知ると、 作品に寄り添った目線で鑑賞しています。
沖縄の方言・感情の熱量・映画の長尺は、ウチナンチュとヤマトンチュ=沖縄と私達の間にある、いつまでも超えられない“心のフェンス”を象徴しているのかな、と思いました。
ある意味で日本映画史に残る、勿体ない大作になってしまったことが残念でした🤔
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