劇場公開日 2025年9月19日

「監督が仲間に迷惑かけちゃダメ!」宝島 やすすさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 監督が仲間に迷惑かけちゃダメ!

2025年9月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

なにかと話題で賛否両論の「宝島」。個人的にはやや「否」よりかな。
戦後80年の今年、沖縄の現代史を取り上げる試みは素晴らしいと思います。
本土の人間は「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という太田中将の言葉を絶対に忘れてはならないし、「特別ノ御高配」はいまだ実現できていないばかりか、沖縄の方たちに負担を押し付けざる得なかったという事実は厳然と存在し続けていると思います。
そこに25億ともいわれる予算と素晴らしい演技陣を突っ込んで問題提起を図ろうとしてその意気やよし!(実際これだけの数のレビューが世に出ていますし、ある程度の意味はあったと思います)
ただ、その志と映画としての出来栄えは別問題。
いくら何でもちょっと詰め込みすぎかな。また演技陣(全員秀逸だけど窪田正孝は本当にすごかった!)のセリフも琉球方言で絶叫するので何言ってるのかわからないし。これは「熱量の高い作品を作った」ことで満足してしまって、「観客にわかってもらう、楽しんでもらう、伝える」ためにどうすればいいか?を考えることを怠ったプロデューサーと監督の責任だと思います。
(シナリオの段階で「これ、要素多すぎて伝わらないんじゃない? そもそも「戦果アギャー」って説明しないで観客は意味わかる? オンちゃんの最後はあまりに説明力が無さすぎない?」などなどチェックポイントはたくさんあったはずです。)
スタッフ、キャストの熱い思いがいっぱい詰まっているからこそ、それを商品として世に出すためには、クールな頭で丁寧に仕上げてほしかったなあ。
邦画の作り手のみなさん、この作業を怠る(または自覚的に無視している?)ので失敗することが多くてもったいないと思います。
良く比べられる「国宝」は、そのあたりとてもきちんとやっていますよね。
あと、監督がXで低評価している人にからみに行くのも、スタッフ、キャストなど大切な仲間に迷惑でしかないことも理解された方が良いかと。プロなら嘘でも「ご覧いただき感想を寄せていただいてありがとうございます!」くらい言わなきゃ。
誰か「ほんとにこのシナリオで、この編集で伝わるか?」を真剣に、仲間の反発を恐れずに考えてチェックする人がいれば、よかったのになあと思いました。

やすす
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