劇場公開日 2025年9月19日

「意義のある重要なテーマではあるが…」宝島 mr.buonoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 意義のある重要なテーマではあるが…

2025年9月25日
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鑑賞方法:映画館

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戦後の占領地から本土復帰後も続く沖縄の苦悩と葛藤を描いた意義のある重いテーマだった。そして、豪華俳優陣の熱量は高く、特にレイ(窪田正孝)のやさぐれた表情はゾクッとする程に惹き込まれた。一方で、ストーリーの造り込みは相当に雑と感じた。先ず、沖縄県民が負わされている不条理と怒りが蓄積し暴動に至るが、一つひとつのエピソードが字幕テロップニュースの如く味気ない。美しい沖縄の青い海と空が広がる元で米軍の醜いほどの横暴(暴行殺人・空軍機墜落責任・酒酔交通事故)によってもたらされた家族の深い悲しみや苦悩の表情があって然るべきなのに、その様子は掘り下げられていない。元気だった頃の対比として不条理な死がもたらした家族の描写があれば、もっと感情移入して俺も暴動に加担していたと思う。次に、序盤で行方不明になったリーダーのオンをグスクが探す状況を終始据えながらストーリーが展開していくが、オンを探すことの必然性と作品に於ける位置付けについて説得力が欲しい。更に、オンが思いがけずに手に入れた戦果(ウタ)の宝たる所以の伝え方が不充分だと感じた。この映画は、俳優陣の熱演とスクリーン上の迫力や臨場感に見処はあるが、エピソードを際立たせる背景描写やストーリーの全体構成は発散していると感じた。ミステリーの余白を考察して愉しむ作品ではなく史実を題材とした重要なテーマを取り扱った長時間の大作であっただけに残念な思いが積もってしまった。余談ではあるが、つい辛口になってしまったのは大好きな広瀬すずが役にハマってなくて無駄使いに感じたからかも知れない。この役は山本舞香の方が映えたかな(笑)。

mr.buono
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