「世界観に浸る3時間」宝島 toshijpさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観に浸る3時間
頭が悪い自分は完全には話が理解できなかったけれど、この映画の
世界観に浸れたし画面から伝わる熱量が凄かった。演者と製作
チームの本気が感じられた。
戦後の沖縄で実際に起きた事と架空の人物を融合させた物語か。当時の
沖縄の出来事を自分はほとんど知らないか、見聞きしていても鮮明に
覚えていない。しかしデモや暴動があったのはきっと本当なのだろう。
かなり大掛かりなセットを作って撮影されたであろう沖縄の風景や
街並みの映像、衣装や小道具、車に至るすべてがが本物らしさを
感じさせて良かった。また、フィルムで撮影したような(確認できず)
粒状感とセピア調の色もこの映画ならではの雰囲気を出していた。
うちなんちゅ(沖縄の人)・アメリカ兵・本土の人など様々な立場の
人物が登場。登場人物が多く、全員の相関関係は分からなかったが
物語の大まかな流れだけは分かった。
1952年に日本が独立を回復したにもかかわらず、沖縄だけは米軍の
統治下にあった。米兵が何か事件を起こしても日本の警察は事実上
何もできなかった。
何事にも我慢を強いられ続け、やがてうちなんちゅの怒りが爆発する。
予告編でもやっている暴動の場面が圧巻だ。
結局基地問題は昔も今も根強くあるから沖縄が日本に返還されたから
といって解決したわけではない。一方で基地があるおかげで地元が
経済的に潤ったり他国との力の均衡が保たれたりという側面もあるから
この物語が描く世界は現代にも通じる問題を扱っている。
3時間を超える大作で見ごたえ十分。飽きることもなかった。ただ、
一番知りたい”消息を絶った英雄はどこで何をしている?”の核心に
なかなかたどり着かないもどかしさはずっと感じた。本当はもう
とっくに死んでいるのでは?とも思った。真相は本編でご確認を。
そして終盤に話の全体像が見えてくるのだが、この展開は個人的には
感心しなかった。何というか取って付けたような印象で、確かに辻褄は
合うかもしれないが「○○が▲▲にいて□□した、その後××」という
くだりがいかにも作者の創作っぽくて自然には感じられなかった。
あと方言のせいなのか台詞が何を言っているのか分からない箇所があった。
妻夫木聡・広瀬すず・窪田正孝・永山瑛太の4人をはじめ出演者の
演技はとても良かった。
もちろん自分の目当ては広瀬すず。今年は半世紀以上昔の人物を演じる
作品が3本公開。
「ゆきてかへらぬ」「遠い山なみの光」ではきらびやかな姿に魅了されたが
今作ではもう少し地味な印象。役柄がどんなに地味でも衣装やメイクが
普通の人っぽくても、やっぱり本人が放つ輝きは画面を通して伝わってくる。
作品ごとに違った顔を見せてくれるし大人の女性を演じられるようになって
演技の幅も広がったと感じる。
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3時間超の映画でトイレが近い自分は膀胱が持ちこたえられるかが心配
だった。出口に近い通路側の席にて鑑賞。尿漏れパッド(大容量)を
事前に装着して臨んだ。結果は問題なし。
その日の体調に左右されるようで、2時間の映画でさえ終盤苦しくなって
くることもあるから今回はたまたまだろう。
広瀬すずを愛でるためにあと1回は鑑賞したいが次回も万全の体制を
整えることにしよう。
toshijpさま
『宝島』『国宝』に共感ありがとうございます🙂
沖縄の方言や映画の長尺や熱量は、ヤマトンチュとウチナンチュ=沖縄と私達の間にある、いつまでも超えられない「フェンス」の象徴なのかな、と思って観ていました🤔
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