「史実と感情を鮮やかに描き出した稀有な映画体験」宝島 ジュンさんの映画レビュー(感想・評価)
史実と感情を鮮やかに描き出した稀有な映画体験
『宝島』は、ただのエンタメ映画ではありません。普通の映画とは一線を画し、観る者に強烈な問いを突きつける作品です。
戦後の沖縄という、これまで十分にスポットが当たってこなかったテーマを真正面から取り扱い、グスク、レイ、ヤマコ、オンちゃんそれぞれの視点や感情を通して、その史実を鮮やかに、そして痛切に描き出しています。
見終わった後には、ただ「面白かった」で終わらない、胸の奥に残る感情が溢れ出します。沖縄で苦労を強いられてきた人々への想い、そしてその歴史に対する深い理解と共感——それはこの映画を観なければ決して得られなかったものです。
今後の人生の中で、ふと何かを考える場面において、戦後の沖縄の現実という史実が頭をよぎり、自分の考えや価値観に少なからず影響を与えるだろうと感じさせてくれます。
『宝島』は、ただスカッとする娯楽映画とは異なり、「観て何かが得られる」映画です。観客一人ひとりの心に問いを投げかけ、未来を考えるきっかけを残してくれる、稀有な傑作だと思います。
一方で、スカッとエンタメ映画を期待していた人には、期待値とのズレが生じるかもしれません。
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