「字幕と用語解説つけてそれを売りにしても良かったぐらい」宝島 弁明発射記録さんの映画レビュー(感想・評価)
字幕と用語解説つけてそれを売りにしても良かったぐらい
公開3日目の夜の都内の映画館としてはかなり寂しい20人いない感じの客入りの劇場にて鑑賞。
まず。戦後沖縄を舞台にこれだけの規模の映画を作ったことはすごい。その熱意、こだわりは充分伝わった。
でもこれは興収も伸びないだろうし人にもおすすめにしくいものになっている。
まず上映時間191分はどう考えても長い。もっと短くできただろ。
例えばヤマコが先生として生徒の名前呼ぶ時、生徒の声が聞きとれず「もうちょっと大きい声で」とうながすとその少年生徒が予想以上の大声で名乗りヤマコ先生びっくり!な場面があるがあのシーンはもっと短くできただろ。
「こんなに元気に返事をしていた少年も墜落事故で犠牲になったのです」ということをやりたいのは分かるが、ならばそれは点呼で使うもんではないだろ。
最初の「こういう状況になったわけ」の米軍基地で車に乗りながら逃げる場面もあまり緊張感がない。もっとアクションを派手にするかテンポを早めるかした方が良かったと思う。
同じく終盤の米軍基地内でのグスクとレイの大声のやりとりからの米軍に見つかり「毒ガスまくぞ!」のくだり。あそこもやりたいことは分かるが「暴動が起きた日に米軍基地内に侵入してる」状況で米軍があんなに待ってくれるか?ということが気になったのでせめて毒ガスから「フレンドだろ」(ここもフレンド感なかったろ)はもっと早く短くていい。
最後の「行方不明になっていたオンちゃんは実はこういう生活をしていたのです」ももっと早く短くていい。
気合い入れて作ったのは伝わるが191分と長いがゆえに視聴者側のハードルが無駄に高くなっている。
次に。バッドエンド感強いのをなんとかして欲しかった。
「みんなが探していたオンちゃんは既に死んでました」だけでもガッカリなのに「宝として、予定外の戦果として育てていた少年ウタも死にました」だから。3時間観てバッドエンドか〜感が強いのよ。
やりたいことは分かる。結局こういう基地問題は島の宝である子供の命を奪ってしまう、それはずっと続いているのだ、というメッセージだろう。このメッセージを重視するならウタ生存エンドができなかった意図は分かる。
でも自分としてはギリギリ生きてて次の時代に思いをつなぐみたいにしても良かったと思う。もしくは「ウタは死んだけど彼が育てていた花はやがて大きな花畑になりました」みたいな。なんでもいいから「問題はまだ続いてるけれど過去の人々が頑張ったから多少まともになったところもあるよ」的なエンドにしてくれてもいいと思うのよ。なんかデモも暴動も無駄だったのかな感がついた気がするのよ。ラスト数分で。
次、方言が聞き取れない問題。これは字幕をつけてむしろそれを売りにしてもいいくらい。やまとの人にはすぐ理解できないほどの本格的な沖縄方言!はそのこだわりゆえに分かりにくさにつながっている。分かりにくい用語をいちいち画面に意味表示してもいいくらい。
もし映画内に字幕を入れたくないなら公式が「映画を観る前の豆知識」として戦後沖縄の映画に関する出来事年表や用語集を積極的に発信するべきだと思う。公式サイト観たらキャラ相関図や方言は載ってるが、それじゃ足りないだろう。
自分は原作ファンの人が作った「映画観る前にこれは知っておくといい動画」を事前に観ていたので理解が進んだ部分があるがそれでも「今のシーンの意味は?」とか考える瞬間があった。全く予備知識なしの人が観ると「何言ってるかよく分からないし」みたいなネガティブな印象が強くなると思う。
次、演出にも関わるがセットな感じな場面がまあまああった。これは邦画の限界でもある。25億円かけてもセット感がなあ、という場面は街や飲み屋などの場面でちょいちょい感じた。頑張っているNHKドラマ感。ただこれももっとスピード感あったら気にならなかったんじゃないかとも思う。
というような「もっとこうだったら」感が強い作品ではある。あの客入りも納得できてしまう。もったいない。
ただ。それでも!よく戦後沖縄を舞台にこの規模で映画を作ってくれたと思う。その一点だけでも自分はこの映画に意味があると感じた。
Aがついてる店はアメリカ軍用のマークというのもコザ暴動もこの映画ではじめて知ったし、この時代の沖縄に焦点をあてた作品というのが今までなかったはず。
あと、コザ暴動までの展開自体はツッコミどころはありつつも結構面白い。エンターテイメントにしようという心意気は感じた。
主要キャストはかなり当時の沖縄感を出そうとしてくれていた。特に窪田正孝はやはり只者ではなかった。その熱演ゆえに沖縄方言がうますぎて一番何言ってるか分からない瞬間が多く、やっぱり俳優の演技の頑張りを伝える為にも字幕はあったほうが良かったと思う。
そのこだわりゆえに長く分かりにくく更にバッドエンド風味にまでなってしまった感がいなめないが熱意は伝わった。
