「いまだからこそ観るべき映画」宝島 くさてぃさんの映画レビュー(感想・評価)
いまだからこそ観るべき映画
エンタメというより史実として観たので身震いするシーンが幾つもあった。
戦争に負け、焼け野原となった沖縄には、当時の写真やフイルムが米軍が撮ったものしか残っていないと言う。
なので、この映画が持つ意味、力は凄く強いと感じた。
やまこが先頭に立ち進む戦争反対のデモ行進。
そしてコザ暴動。
火の手が放たれる中をかちゃーしを踊る女。我慢も限界にきた群衆の中から聞こえ漏れるたっくるせーの声。
本当にこんな風だったんだなと胸が熱くなった。
後半に差しかかると原作とは違う内容に進んでいくこと気が付いた。
映画を観た後、この映画の為に新たに作られたこの部分が見る人によって感じ方が随分異なって、口コミにも書かれているのだと感じた。
オンとレイはやまこが同じにおいがすると言った表裏一体の兄弟。
レイは基地の中にVXガスを抱えて突入する。
沖縄を日本の首都にしろ。
やまこを総理大臣にしろと大きな戦果をまくし立てる。
一方、オンは女の叫ぶ声を聞き駆けつけると、身籠った女が赤子を産み息絶える。
そこは恐らく御嶽だと思われる場所。
嘉手納はセーダカ(霊力)が強いからね、何があっても不思議ではないよ。とどこかのシーンでオバァが呟いていた。
オンは赤子が泣かないと臍の尾を歯で噛み切り助ける。
この子こそが劇中何度も登場する謎の花売りの混血児ウタで、後半のカギとなって行く。
沖縄だった土地はアメリカに摂取され基地となり、沖縄でもアメリカでもない御嶽に産み落とされた、日本人でもアメリカ人でもない混血児ウタ。
勾玉を首から下げた英雄オンはやはり神の使いなのか。
拉致され離れ島までのシーンは相当割愛されているが、意識朦朧、この世とあの世の狭間にいる極限を感じさせる演出なのかもしれない。
映画の冒頭に戦果を上げ、村人に物資を分け与えるひーじゃー(樋水)のシーンが何回か登場する。
水を汲み、洗濯をし、皆が集まり笑い寛ぐ場面だ。
世界のあちこちで戦さがはじまり、分断が起きている。
戦果をあげろと、領土を奪え取り返せと
オンが最後に欲しがった戦果は、大きな戦果ではなく、ウタが笑って暮らせるひーじーゃでの幸福な日常なのだろう。
余韻が残る、考えさせられる映画でした。
そうですね、ウタはあの母親の抗議と抵抗の証でした。オンの戦果ウタは米兵に撃たれ亡くなります。結局、沖縄人の魂は踏みにじられてしまったのですね。オンの名は“怨”なのだとおもいます。
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