「ノンフィクション寄りのフィクション」宝島 TATOOTATさんの映画レビュー(感想・評価)
ノンフィクション寄りのフィクション
改めて、やはり"争いは愚かである"
という事を学んだ。
と、同時に恥ずかしながら私は沖縄人でありながら
航空機の墜落事故や子供が"戦果アギャー"と宣われ
盗みでもしないと食い扶持が無かったんだという事を
知らなかった。
私の方こそ愚昧で無知であった。おかげで学べた。
歴史から学ぶ事は多い。
この場合、こう言っちゃあなんだが反面教師としてである
今となっては発達した文明のおかげでネットが普及し
誰もが携帯を手にし、それ一つで何でも出来て
分からない事があると調べれば直ぐに分かる。昔よりも
生きやすい世の中になった反面、携帯が無くなったら
どうなるんだろう?いつの間にやら最早、体の一部
と言っても過言ではないのもまた事実。顔認証が良い例。なのに対し先代の偉人たちは何もないまま
分からないまま、出来うる限りの知恵を振り絞り
それが知識となって今日の我々に紡がれているのだと
足を向けて寝れないほど尊敬に値する。
しかし、分からないが故の文明が発達していないからこそ
人間の本能に従って取られたら奪い屠られたら屠り
争い、ひいては戦争へと繋がるのだと思う。
争いは争いを生み、それしか生まない。言ってしまえば
アホだったのだなと感じながら観ていた。
その思いを体現するかの如く
"やられたらやり返す"の流儀で
"人間を信じない"悪の道へ進んだレイ(窪田正孝)と
恨みを抱きながらも憎きアメリカ人と協力し、どこまでも
"人間を信じる"警官として真っ当に歩むグスク(妻夫木聡)
この2人がコントラストになっている点も面白いし
終盤、互いの歩んだ道を、生き様を、ぶつけ合うように言い争うところが2人のレベチな演技も相まって
より印象に残っている。
その際グスクの言い放った「人間はそんなバカじゃない」
というセリフが、先刻の自分の所感「アホなのだな」が
如何に愚蒙な思い違いであったかを思い知らされた。
そして実際にあった事を、そのまま映画として具象するのではなく嘗ての"英雄"が忽然と姿を消す、という如何にも興味を惹く設定と、その英雄を"探し出す"という事を
マクガフィンに展開していくストーリー。
それぞれが同じ目標を胸にしながらも道は違えてしまう
切なさや苦しさ。誰にでも感情移入が出来て観ていて
心が忙しなかった。いい意味で
沖縄の宝と言ってもいい辺り一面の海と
その向こうに沈む太陽を絶妙なところで差し込み
終盤のウータの骨を拾うシーンでは、あえてBGMを消し緩やかに聞こえる波の音で悲しみを表現したりと至る所で
工夫が巡らされていて本当に素晴らしかった!
最後に、当たり前だけど全員拍手喝采レベルで上手すぎる
最高でした。
p.s関係ないようなあるような少なくとも私にとっては
別の『怒り』という映画で米軍に犯される役を
広瀬すずが演じていたのが今作でアメリカ人の反対運動を行うシーンがあった事に妙に説得力があった。
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