劇場公開日 2025年9月19日

「まず、役者の芝居の熱さを見て!ANAのCMに映るリゾートホテルとは違う、沖縄の生活と迫力を見て!」宝島 morimorinahaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 まず、役者の芝居の熱さを見て!ANAのCMに映るリゾートホテルとは違う、沖縄の生活と迫力を見て!

2025年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

驚く

 皆さん、おっしゃるように、脚本に難はありますよ。原作に負けたね(これが例えば藤井道人の『正体』だと、相当に原作を改変してるんだけど、原作以上の説得力になってる)。真藤順丈の原作は、エンタメの枠ながら戦後沖縄史のポイントを見事につないだ。大友啓史は原作に誠実ではあるが、それに縛られて登場人物やエピソードの取捨選択に失敗した。で、原作の弱さだけ拾ってる。これはわかりにくい。そしてわかりにくさは興行収入にはマイナスだろうなあ。でも『国宝』だって、批判というより、悪口言う人は言うものね。

 でもよ、でもよ!あたしゃね、冒頭の嘉手納基地内での戦果アギャーの、瑛太、妻夫木、窪田の3人と米軍とのカーチェイスと、ラストのコザ暴動のシーンだけで、もう2000円の価値はありました!とにかく、ア・ツ・イ・ノ!画面から、汗の臭いがするの!沖縄が画面にあふれてるの!

 この映画の悪口を言ってる人は、「映像や役者の迫力」よりも「わかり易さ」を求める人々。リアリズムが出てくると拒否反応を示しちゃうんですね。まあ一言で言えば蓮實重彦に「お前は映画を見ていない!」と一蹴されるタイプです。

 丁寧に作ってあるけど、説明無いからね。たとえば妻夫木がAサインバーで黒人米兵に聞き込みをしてる時に、マリファナを勧められて断るシーンとかね。知識がないと、あれがマリファナだって気づかないだろうな。そしてマリファナ一つに大義の無いベトナム戦争に徴兵される、米兵(それも黒人兵)の恐怖と退廃が象徴されている。一瞬の映像にいっぱい歴史的な背景がぶち込んであるのよ。まあ、R指定を意識したせいか、特飲街の描写は『べらぼう』の第1回よりもゆるかったけれど。そこは残念。沖縄ヤクザの大物、コザ派の喜舎場朝信だって一瞬しか出てこないけれど、ピエール瀧(ほんと最近ヤクザばっかりw)の説得力は抜群だった。ああ、それなのに、それなのに。この芝居のボルテージを、「役者の自己陶酔」とか言って自分の目の拙さを絶対視して、映画コムにまで悪口書くんだものなあ。小人は度しがたし。

 私はもう一度見に行って、ドキドキしてきます。

morimorinaha
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