「県外在住のウチナーンチュの感想」宝島 aRaさんの映画レビュー(感想・評価)
県外在住のウチナーンチュの感想
映画は、「マック・ザ・ナイフ」の歌と共に始まった。
エラフイッツ・ジェラルドの
「ベルリン・コンサート」の中に入っている曲で好きな曲だったのでテンションが上がった。もちろん、エラフイッツ・ジェラルドが歌っているわけではないけど。
エンターテイメント映画としては、3時間ちょっと長いと感じさせることもなく、見応えのある映画でした。
永山瑛太演じる戦果アギヤーのリーダーが基地襲撃後に行方不明になり、妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝らが演じるその仲間が後年に渡り、ずっと、その行方を探すのが、映画のひとつのプロット。
映画の後半で推理小説のごとく、前半での伏線の回収が行われて、謎解きの説明に費やされている。
もう一つのプロットは、その時代背景としての米軍が関わる事件。
(宮森小学校米軍機墜落事故、糸満主婦轢殺事件、コザ暴動、毒ガス移送、そして祖国復帰運動の描写)
映画としては、二つのプロットを描いているが、どちらも登場人物の内面的な深い掘り下げがなく、中途半端な映画になっていると感じた。
当時の沖縄の置かれた状況、米軍、米兵に対する怒り、沖縄の人々の心情の描写が十分でなく、表象だけをなぞった感じがした。
役者陣は、かなり頑張って、沖縄のアクセントに取り組んだのだろうなと思うが、ウチナーンチュからしたら違和感を感ずるところもあった。
ところどころ、短いウチナーグチのセリフが出てきて、ウチナーンチュじゃないとわからないだろうなと思いながら観てました。
ひんぎれー(逃げろ)、たっぴらからさりんどー(叩きのめしてやるぞー)、などなど。
でも、流石にすごい役者揃いで、演技は、みなさん、上手いと思った。
地元のエキストラのオジィ、オバァのイントネーションは、地でリアリティがありました。
映画自体は、フィクションなので、ちょっと違和感がある描写もあった。(毒ガスの缶、ラストシーンの骨壷など)
復帰運動の描写で歌われていた「沖縄を返せ」は、よく覚えている。
子供心にも「沖縄は、ここにあるのに返せってイミクジ(意味が)わからん」って思ってた(笑)
エンドロールで「今帰仁村観光協会」が出て来たので、地元でも撮影があったのかも。映画の中では良くわからなかった。
三時間ちょっとの長い映画なので、集中して観るには映画館がおすすめ。
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