劇場公開日 2024年11月22日

「もう1つの“地面師” こちらは痛快!」アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0もう1つの“地面師” こちらは痛快!

2024年11月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

邦画俳優では役所広司が断トツで一番上手い役者だと思っているが、演技力+主演としての吸引力は内野聖陽が役所に続く存在かも知れないと最近思っている。(最近観た“八犬伝”の2人の掛け合いは素晴らしかった)

なので、本作のキャスティングに内野聖陽の名前を見てどうしても観たくなった。

【物語】
熊沢二郎(内野聖陽)は小心者で気真面目な税務署職員。あるとき、「車を買い替えて」とせがむ妻が個人取引サイトで見つけたお買い得な新古車購入を決め、代金を振り込む。しかし、たちまち詐欺だったことが分かり愕然とする。

一方、仕事では10億円脱税している事業家橘(小澤征悦)に接近したところ、逆に「熊沢に暴力を振るわれた」と濡れ衣を着せられる。 自分だけでなく部下の栄転取り消しの事態に追い込まれる。

車購入詐欺については親友の刑事八木(皆川猿時)が、出所したばかりの天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)が犯人であることをつきとめ、八木と共に氷室を追い詰めるが、「金は返す。それより橘から10億円を騙して徴収してやるから組まないか」と提案される。

犯罪に手を染めることに逡巡する熊沢だが、橘と話したときに数年前に目にした思い出したくもない記憶がまざまざと蘇り、氷室からの提案を受け入れことを決める。二人はアウトローたちを集めて詐欺師集団を結成し、10億+詐欺師たちの取り分として14億円を掴む地面師詐欺を企む。

【感想】
これはとても満足した。

まずは期待通り内野聖陽は素晴らしい。
俺が初めて彼を認知した作品は“臨場”。しびれる男っぽさに惚れる。それが“きのう何食べた? ”では180°違う男。溢れ出る人としての優しさに感嘆。 そして本作は超情けない男。
どんなキャラでもなり切ってしまうこの男は、やはり役所に続く役者と言えよう。

詐欺師モノであることはタイトルにまで書いてあるのだから自明なのだけど、詐欺の種類が地面師と分かって、NETFLIXで“地面師たち”を観た俺としては
「かぶってるじゃん!」
と心の中で叫んでしまった。 実際企画は1年以上前だろうから、NETFLIXで“地面師たち”が今年公開されたときには本作関係者は「やられた!」と思ったかも。

でも、大丈夫。かぶる部分はあるものの、空気感が相当違う。
NETFLIX版はドキュメンタリーチックでリアリティーが溢れ、そしてかなりシリアスな空気。結末に至ってはもはや怖い。それはそれで凄く面白かったのだが、それに対して本作はずっと柔らかく、リアリティーよりコメディータッチで描かれ、何より結末が痛快!!

難を言えば、悪徳社長橘役の小澤征悦のキャスティングか。もっとあくの強い憎々しい役者を当てていたら、痛快度ももっと上がったと思う。

娯楽作品として超おススメです!

泣き虫オヤジ