「【”君はエイミー・ワインハウスのソウルフルな情念の歌を聴いた事があるか!”今作は、彼女自身の生き様をそのまま歌にした、名曲テンコ盛りの華やかで哀しくも短き半生を描いた音楽伝記映画なのである。】」Back to Black エイミーのすべて NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”君はエイミー・ワインハウスのソウルフルな情念の歌を聴いた事があるか!”今作は、彼女自身の生き様をそのまま歌にした、名曲テンコ盛りの華やかで哀しくも短き半生を描いた音楽伝記映画なのである。】
ー 最初に敢えて書くが、私は普段は殆どロックしか聴かない。が、エイミー・ワインハウスのややハスキーヴォイスで歌うソウルフルな曲は別で、好きである。
彼女の歌はロック&ソウル&ジャズって感じであるからである。
特に、今作でも歌われる超名曲"Back to Black"や”Rehab"”Me&Mr.Jones"が収録されているセカンド&涙のラストアルバム「Back to Black」は、今作の公開が発表されてから車中で爆音で聴いて来た。
それにしても、エイミー・ワインハウスの映画が製作、公開されるとはなあ・・。感無量である。-
◆感想<Caution!内容にやや触れています。>
・エイミー・ワインハウス(マリサ・アベラ)が小さい頃から歌が上手かった理由が、彼女の憧れで大好きな祖母シンシア(レスリー・マンヴィル:嬉しい。)がジャズシンガーだった事は知らなかったなあ。
彼女が年齢の割に”シャングリラス”を愛し(実は、私も知らなかったよ。)当時人気絶頂だった”スパイス・ガールズ”を貶す姿や、髪型を60年代に流行ったという”ビーハイブ”にする姿など、ホント影響を受けていたんだねえ。
そして、彼女はシンシアが亡くなった時に父ミッチ(エディ・マーサン:コレマタ、嬉しい。)と共に遺灰が収められた教会に行った時に”私の遺灰は、お婆ちゃんの隣。”というシーンも哀しいよなあ。
・エイミーが、パブで会って一目ぼれしたタトゥ男ブレイク(ジャック・オコンネル)。そして、エイミーは即座に胸に”ブレイク”とタトゥを入れるんだよねえ。その後、シンシアが亡くなった時にも、彼女のタトゥを入れていたなあ。ホント、大切なモノは肌に刻み込む人だったのだなあ。
けれども、ブレイクは元カノのベッキーの所に戻ってしまうのである・・。
二人は再び結婚するのだが、ブレイクは暴行罪で刑務所へ。で、破局。今でも英国ではブレイクはエイミーを不幸にした男として有名であるが・・。愛する人と一緒になって、子供も欲しかったのに。エイミーが可哀想過ぎるよ。勿論彼女にも原因はあるんだけど。そして、彼女はドンドン、アルコール、クスリに頼ってしまうんだよね。
■この作品は、エイミー・ワインハウスの音楽伝記映画であるので、当然彼女の曲が、劇場内にフルボリュームで掛かるシーンは、心中で物凄く盛り上がる。
特に、ブレイクが彼女の元を一時的に去った時に彼女がNYで"Back to Black"を歌うシーンは、凄かったな。
あの恨み節一杯の”男なんてもういらない。”と言う歌詞。本当にこの映画内でもエイミーが言っているが、彼女は実体験した事を歌っていたんだよね。
だから、”私はスパイス・ガールズじゃない!”と言い、曲が書けない時は、アルコールと大麻に頼っているんだよね。哀しき依存症である。
再後半のグラミー賞発表前のステージでリハビリ施設に入っていた時を歌にした”Rehab"を歌うシーンも凄くって、”リハビリ施設に行けっていうけど、No!No!No!”と、乗りとメロディの良い曲を歌う姿ね。
もう、彼女の最期が分かっているから、感動するんだよねえ、興奮と哀しさと・・。
<今作は、個人的な意見なんだけど、映画としては構成が粗いと思う。
けれども、エイミー・ワインハウスを演じたマリサ・アベラが、歌手を夢見る18歳のキラキラした姿から、酒と失恋とクスリでボロボロになって行く姿を、哀しくも見事に演じていたし、彼女の事を知らない人が観ても沁みるんじゃないかなと思ったな。歌もとても良かったよ。
それにしても、今更こんなことを書いても仕方がない事は重々承知しているが、もし存命だったら彼女が更に大歌手になっていたのは間違いないよなあ。
切ない今作であったが故に、最後半は可なり哀しく沁みてしまった作品だったよ。
嬉しかったのは、エンドロールで楽曲に”Nick Cave"の名が有った事だな。元気なんだね。
普段はこんな事は書かないんだけれど、この作品を見てエイミー・ワインハウスのファンになる人が居たら嬉しいなと思いながら、劇場を後にしたよ。>