Back to Black エイミーのすべてのレビュー・感想・評価
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主演マリサ・アベラの歌唱は抜群だが、音楽家の伝記としては物足りない
主演のマリサ・アベラは本作のオーディションを受けた時点で音楽的な訓練はまったく受けていなかった。製作側も当初エイミー・ワインハウスの実際の歌声に主演女優がリップシンクする方法を検討していたが、ボーカルコーチのもと4カ月間で急速に歌唱力を伸ばしたアベラ本人が歌う音源をそのまま映画に使うことに決めたという。ワインハウスがプロとして活動したのは2003~2011年なので音源はもちろんパフォーマンスの映像も多数残っているが、アベラは単にボーカルのスタイルを模倣しているのではなく、詞に込められた魂、ソウルのようなものまで表現しているように感じる。
ただ、作詞作曲も手がけたワインハウスがどんな音楽を聴いて自身の音楽性とボーカルスタイルを確立させていったのかとか(祖母からの影響は少し言及されていたが)、詞を書き曲を作る過程がどんなだったとか、バンドと演奏のアレンジを練る面白さといった、ユニークなアーティストの音楽性を描き伝えようという意図が希薄なのは残念。プレスリーの生涯を人間ドラマ偏重で描いた「エルヴィス」と同じような物足りなさを覚えた。
エイミー・ワインハウスのドキュメンタリー映画も2本(2015年の「AMY エイミー」と2018年の「Amy Winehouse: Back to Black」)作られているようなので、近いうちに観てみたい。
27歳という天才の岐路
稀代のミュージシャンを教えてくれたことに感謝しつつも、、、、
2024年公開、アメリカ・イギリス映画。
【監督】:サム・テイラー=ジョンソン
【脚本】:マット・グリーンハルシュ
主な配役
【エイミー・ワインハウス】:マリサ・アベラ
【ブレイク・フィルダー=シビル】:ジャック・オコンネル
1.エイミー・ワインハウス
実はこの作品を観るまで、彼女のことは知らなかった。
タイトルにもなっている、
アルバム『Back to black』が大ヒットし、グラミー賞5部門受賞という栄誉を得ている。
私の好きなアメリカの女性シンガー、
エル・キングも、エイミーの影響をかなり受けているように思う。
一方で、私生活も波乱に満ちており、
年中、パパラッチに追いかけ回されていたようだ。
2011年に27歳の若さで、亡くなった。
急性アルコール中毒だったとのこと。
オリバー・ストーン監督の『ドアーズ』を思い出した。
2.音楽伝記映画
公式サイト(日本)によると、音楽伝記映画ということだ。
要所要所で彼女の歌唱がインサートされる。
確かに惹きつけられる。
主役のマリサ・アベラ、ブレイク役のジャック・オコンネルの熱演も胸を打つ。
家族(父と祖母)との関わりにも触れられている。
3.まとめ
『Back to black』は素晴らしい一曲。
繰り返し聴いている。
作品は一貫して暗く感じる。
マリサ・アベラの気合い入りすぎた顔もまあまあ怖い。
稀代のミュージシャンを教えてくれたことに感謝しつつも、、、、
☆2.0
「私の歌を聞いて、5分でも悩みが消えてくれたら、、、」これは、魔法だよね!
ご存知のように、27歳の若さで亡くなった、あのエイミー・ワインハウスの伝記映画。エイミーを演じるのは、マリサ・アベラ。同時期に、エイミーのドキュメンタリー「Amy」を観たけど、健闘してたとは思う。ただ、薬物中毒時のエイミーは、あんなにふくよかでなく、ガリガリだったよね。
(仕方ないけど、歌い方はエイミーとは違う!それと、The Shangri-Las の Leader of the Park という曲、 イイ感じだよね)
予想通り、才能と私生活がうまく嚙み合わない。男を見る目がない!ハチャメチャな人生なんだけど、セッ〇スとお酒・ド〇ッグとスキャンダルな?お約束のイギリスっぽいロックな世界?いろんなことに傷ついたエイミーの曲と歌詞は、やっぱ刺さる。「私の歌を聞いて、5分でも悩みが消えてくれたら、、、」だもね。アメリカのテイラー・スイフトあたりの心情暴露とは、レベルもリアリティも違うよね。(あっ!!!テイラー・ファンの方、すみません!)
一方で、トニー・ベネットが好きだとか。考えてみれば、ロックなイメージのエイミーだけど、本当はジャズが好きなんだよね。また、お父さんがらみで、いいシーンもあった。エイミーが「ドラッグで、苦しんでいるんだけど」と相談すると、「お前の口からそれを初めて聞いた」と驚くんだよね。つまり、エイミーがドラッグ依存症なことは、お父さんはもちろん、世界中が知っているということだけど、笑ってしまったけど、切ないよね。
ただ、ドキュメンタリーのほうは、お父さんは完全に悪役だよ。なんだか、複雑な気分になってしまう。この映画が気に入った人は、ぜひドキュメンタリーのほうも観てほしい。映画より数段リアルです。もちろん、アルバムBACK TO BLACKも、じっくり聞いて欲しい!
栄光と麻薬と男
27歳
止まらない歯車
衝動と破滅に苛まされた壮絶な人生。
酒、タバコ、クズ男、クスリへの依存度は増す一方、金や名声には興味がない。
パパラッチの人権無視ぶりがひどい。
タトゥーや暴力のシーンには、何度か小さくうめき声が出てしまった。
唯一祖母のシンシアといる場面だけが穏やかな時。
両親には止める力がなかったのが悔やまれる
内容的にきついので二度目は無理かも。
と、いいつつ映画としてはある種とても面白かった。
作品としてはよくまとまっている。欲をいえば幼少期もみたかったが尺もある。
エイミー役、声がそっくりで驚き。
最初は見た目に違和感あったが、映画ラストにかけては、もはやエイミーそのもの。
音楽的にも聴き応えあった。特にValerie歌い始めた辺りから。
シャングリラズの存在も初めて知り、勉強になった。
最後の階段を登っていくシーンは演出感満載だが多少救われた気分になったことは否めない。
負の歯車は止まらず、
エイミーの肉体はこの世から消えた。
しかし歌は残る。エイミーの命の証。
我々がエイミーの歌を思い出す限り、
彼女の魂はここにあるのだ。
天才の
エイミーの声は唯一無二と実感しました
エイミーワインハウスの音楽は今でも良く聴いていますが、ライブの映像やドキュメンタリーを観ていると、短い生涯を思い出して辛い気分になってしまいます。今までの映像はエイミーのファンとして観ていましたが、この映画ではエイミー自身になった気持ちになりました。エイミーの英語は聞き取り難いので、今までは歌詞が良くわかりませんでしたが、映画の字幕が入り良かったです。パパラッチや一方的な報道のマスコミなどに傷付いていくエイミーを主演女優は熱演しますが、歌声が流れるとどうしても違和感が有ります。ニューズウィークに書かれていましたが、賞を狙うために俳優自身が歌う作品が増えているそうです。エイミーを観ていて一番盛り上がったのは、ローリンヒルの声でした。映画館から出たら、エイミーワインハウスの声を聴きたくなりました。
涙が出ました
エイミー・ワインハウスの再現度が素晴らしい
エイミーの楽曲はリアルタイム世代ではあるものの、当時はそんなに興味を持っては聴いていませんでした。
ですが、主演のマリサ・アベラによるエイミーの再現度はすごいなと感じました。
相当な役づくりをされたものと想像しますし、歌唱やライブパフォーマンスも素晴らしいですね。
もうこれだけで観た価値があったと感じました。
それにしてもエイミーの人生も、アーティストには数多く見受けられる傾向ですが、
酒・ドラッグに依存し、結果、命まで短くしてしまうという悲劇的な人生を辿るのは
やっぱり見ていて寂しくなりますし、エイミーも相当寂しかったんじゃないかと思いますね。
男性にも恵まれなかったですね。
スキャンダラスであるがゆえに、パパラッチに追われまくり、プライベートもあったもんじゃない生活は
想像を絶しますから、酒やドラッグに依存する背景にもなっている気がします。
とにもかくにも音楽や歌唱は素晴らしく、心を打ちますね。
歌詞もエイミーらしさと言いましょうか、割と赤裸々に自分の体験を詞にしていることから、
共感する女性ファンも多かったものと思います。
ずっとエイミーの味方だった祖母シンシアと父ミッチの存在は彼女にとってもよりどころだったことでしょう。
主演のマリサ・アベラの次回作が楽しみです。
ワイドショー映画
夭折のジャズ歌手エイミー・ワインハウスの半生をイギリス人女性監督が映画化した作品。
自身の「スタイル・アイコン」として憧れる元ジャズ歌手でチャーリー・パーカー推しの祖母シンシアの影響で10代の頃からジャズに親しみ育ったエイミー。
当時人気絶頂だったスパイス・ガールズを「fuckin'(クソ)」呼ばわりした上で「一緒にしないで」と言い放ち、「私のパワーガールズは(三大女性ジャズ歌手の一人)サラ・ヴォーンよ」と宣言する。
その一方、彼女のパワフルな歌唱法はどちらかといえばソウルに近く、自作する歌詞もバラードやラブソングと異なり、ストレートに心情をカミングアウトした内容。
それ故、本来ジャズに興味ない若者も彼女の感性に共感し、クラブに殺到する。その光景はまるでディスコかロック・コンサート。
時おり挿入されるビリー・ホリデイらの古いスタンダードとのミスマッチがエイミーの孤立やその後の破滅を予感させる。
戦後すぐのジャズのパフォーマーたちも、少なからず酒やドラッグの洗礼でキャリアの停滞を経験するが、パーカーやホリデイ、B・パウエルやC・ベイカーら一部例外を除き、多くが克服に成功している。
エイミーのようなずっとあとの世代が同じ轍を踏んだ挙げ句、復活出来なかった事実はジャズファンとしてはやり切れないほど残念だし、その原因も追及したくなる。
なぜ彼女が安物のガラス細工のように簡単に周囲を傷付け自身も壊れやすい人間になったのか深掘りして欲しかったが、本作の内容はワイドショーなど日本のメディアで見聞き出来るようなエピソードばかりで表層的。
おまけにデビュー後のエイミーに悪影響を与えたとされる父のミッチやパートナーのブレイクはどこか好意的に描かれているし、彼女を終生煩わせ続けたパパラッチにすら同調しているように見えたのは、監督のテイラー=ジョンソン自身もエイミーを好奇の眼差しで追っていたから?!―そう感じたのは自分だけだろうか。
シンシアのセリフやキャラクター設定から監督らが『バード』(1988)を参考にしていることは容易に想像できるが、エイミーや祖母のシンシアがユダヤ系なのにジャズに傾倒する理由が本作ではまったく語られていない。
熱烈なジャズファンで有名なイーストウッド監督は、『バード』のなかでジャズとユダヤ系との関係を敬意を込めて描いているにもかかわらず。
また、エイミーが信仰の異なるブレイクとの結婚を事後報告した際のミッチの怒りは「俺が顔も知らない奴と?!」という程度。
本作の製作サイドにとって『ベニイ・グッドマン物語』(1955)なんて参考どころか、興味の埒外だったのだろう。
「ビートルズを生んだ国」でジャズを歌うユダヤ人はマイノリティにほかならない。
日本で報道されなかっただけで偏見に満ちた誹謗中傷をエイミーが国内で浴びせられただろうことは想像に難くないが、作品で言及されることはない。つまり、エイミーがユダヤ人だという出自に触れておきながら、人種問題や差別についてはスルーしているということ。
女性特有の同性に共感する描写も見当たらなかったことから、テイラー=ジョンソン監督にとってもエイミーは「スキャンダルまみれのストレンジャー」にしか見えていなかったのかも知れない。
シンシアがC・パーカーファンという設定なのに、ビ・バップなんてほとんど出てこない。それが監督のジャズに対するイメージなのだろう。
作中で「ジャズが苦手な人なんている?!」とエイミーに言わせた彼女に、「自分はどうなんだい」と訊いてみたくなる。
印象の「悲しい」は、不遇の天才が死んでからも不当な扱い方をされていることに対して。
自分にとって本作は、E・ホークがチェット・ベイカーをテキトーに演じた『ブルーに生まれついて』(2015)と同じぐらいfuckin'な映画。
「ここ数週間で変わったことは?」
「あなたの酒量が増えた」
「何故か分かるか?」
「多分、クスリをやめるため」
「はずれ。もう15年もやってる。
俺がやめられたら、君にもできる」
「ご忠告をありがとう」
「40歳まで生きたいかい?」
「バード、自分はどうなんだい?」
「……無理さ」
人は何故、かくも愚かな歴史ばかり繰り返すのだろう。
Fuckin’!!
耽溺
作品を見るまでは、彼女のことをよく知りませんでした。
私はドールショップを経営しているのですが
目元涼しく、黒髪のロングヘア
少しビーハイヴなアップスタイル
スレンダーなドールの写真を掲載したところ
外国人の読者さんから「エイミーワインハウスみたい!」と英語でコメントをもらって
その時に名前を知り
「カッコいいアーティストの女性なのかな?」と気になったくらい
映画館で観賞後は、悲しくも
彼女の世界にうっとりと 溺れるような感じ
ずっと、彼女の映像を見続けています。
こんな素敵な方が
自分よりも年下で
既に亡くなっているなんて
色々と、衝撃が大きいです。
曲のテーマも
片親で、別れた父にだんだん似てくる だとか
一人の男性に 溺れてしまう 恋愛とか
自分の事のように ヒリヒリと感じて
作品を見ながら、彼女の世界を楽しんで
一緒に悲しみ、苦しんだ
でも彼女の世界は素晴らしかった
まるで自分の友達のような、
自分自身のような、
そんな作品でした。
歌もステージもキャストも素晴らしかったし
もっと褒められていいと思うのですが!w
私は大好きな作品
近々2回目の鑑賞を楽しむつもりです^_^
素晴らしかった
エイミー・ワインハウスは亡くなってから聴いてあまりによくて今でもたまに聴く。冒頭、アコギで作曲している描写がある。独特の節回しは、作っている様子から話し言葉に節をつけただけのような作為があまりない感じがうかがえる。また、声が楽器のようで、本当に素晴らしくて天賦の才だ。これまで歌詞の内容は全く気にしていなかったのだけど、あまりにえげつなくて驚いた。エネルギッシュでポジティブでポップな印象の楽曲でも内容は被害者意識と自己正当化みたいな歌詞がけっこうある。
特にひどいのが、ブレイクの元彼女をクソみそに歌っているところで、好きだった女をあんなふうに歌われたらブレイクが出ていくのも当然だ。性についても歌うし、子どもに聴かせられない。ただ、本当に正直で素直な気持ちを歌っている。歌詞にもそれほど見事な表現をしてやろうというような気張りがなく、思いを丁寧に言葉にしているだけのような作為のなさがある。
感情の起伏が激しく暴れん坊だ。吉田豪さんの奥さんの関係のようで、ブレイクも持て余す。
才能がすごくて自信にゆるぎがない。半面、思い上がりがはなはだしい。しかし、それは才能を開花させるためには必要だ。ある程度思い上がりがあって、勘違いしていないと才能は花開かない。性格がいい必要もないし、孤独なのが当たり前だ。そして特に努力している風でもないのがかっこいい。抜群なセンスがあるからなのだが、奔放に生きて生活しているありのままで作品となり輝きを放つなんて、天才にしか許されない。
本当に子どもを欲しがっていたし、恋人を大切に思っていた。感情のコントロールができずぶち壊しにしてしまうのが悲しい。
吹き替えなのか、本当の音声なのか不明なのだけど、違和感が全くない。本当のエイミーが思い出せない。音楽が素晴らしかったし、たっぷり聴けた。
エイミー・ワインハウスの歌とライブを楽しむというよりも、彼女の曲の背景を理解するための一作
2枚のアルバムを遺し27歳で急逝したエイミー・ワインハウスの半生を描いた一作。
もちろん主演のマリサ・アベラの渾身の歌は十分聴きごたえがあるんだけど、本作は音楽とライブの臨場感を体感するよりも、彼女が遺した曲の背景を明らかにしていくことに重点を置いています。
作中でもエイミーが明言しているとおり、彼女の綴る歌詞は自らの体験を色濃く反映しており、どんな体験が彼女にこの詞を書かせたのかを知ることは、同時に彼女がどう生きたのか、を知ることにも繋がっています。裏返していくと、有名になるにしたがってより良い曲を求めるファンの期待に応えようとすると、曲作りに見合った経験に迫られることになり、実際彼女は活動の場をイギリス・カムデンから米国へと発展させるにつれ、心身の均衡が取れなくなっていきます。
彼女は身体中にタトゥーを刻んでいますが、作中でたびたび登場するタトゥーの施術場面は、音楽アーティストとしての外観に自らの記憶を埋め込んでいく作業を半ば儀式的に行っていたことを示唆しているようです。
映像的には、カムデンの終始曇天気味だけど柔らかい光、どことなく暖かさを感じる暗がりの描写は素晴らしく、エイミーが度々舞い戻りたくなる気持ちもよくわかりました!
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