「リアルすぎる助産師の現実と社会問題を描いた力作」助産師たちの夜が明ける tomさんの映画レビュー(感想・評価)
リアルすぎる助産師の現実と社会問題を描いた力作
助産師という仕事の過酷さが深く心に刺さりました。この作品は、ただの医療ドラマに留まらず、現代の日本とも重なる社会問題を浮き彫りにしています。助産師たちは常に緊張感の中で働いており、医療事故が起きてもおかしくないほどの過酷な状況に置かれていることを、映画はリアルに描いています。フランスで数年前に実際に起きた助産師のストライキが連想されることも、物語に一層の深みを与えています。
特に圧倒されたのは、リアリティに満ちた出産シーンです。まるで実際に目の前で繰り広げられているかのような臨場感があり、生命の誕生の尊さと同時に、その背後にある苦悩や葛藤も感じ取ることができました。さらに、移民問題やフランス社会に横たわる複雑な問題も巧みに織り込まれ、映画全体がフランス革命の歴史を彷彿とさせるような深いメッセージを投げかけています。
専門的なテーマにもかかわらず、劇場は満席に近く、私も残りわずか5席ほどのところで何とかチケットを手に入れることができました。この映画が多くの観客の心をつかんでいることに納得せざるを得ません。出産や助産師の仕事、そして社会の抱える問題に興味のある方には、ぜひ見ていただきたい一作です。
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