「女優陣の妖艶さと仮面の下の素顔の怖さを堪能する映画でした」ニューノーマル Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
女優陣の妖艶さと仮面の下の素顔の怖さを堪能する映画でした
2024.8.20 字幕 MOVIX京都
2023年の韓国映画(113分、G)
日本のテレビドラマシリーズ『トリハダ』のリメイク&追加チャプターで構成されたオムニバス形式のスリラー映画
監督&脚本はチョン・ボムシク
原題は『뉴노멀』、英題は『New Normal』で、ともに「新しく常態化したもの」という意味
物語の舞台は、韓国のソウル
とあるマンションで一人暮らしをしているヒョンジュン(チェ・ジウ)は、ソウル近郊で相次いでいる殺人事件の報道に目を奪われていた
だが、突然チャイムが鳴り響き、ドアの向こうには火災報知器の検査員を名乗る男ジョンフン(イ・ムンシク)が訪れる
管理人から何も聞いていなかったヒョンジュンだったが、やむを得ずに彼を部屋に通すことになった
男はねっちこく不快な発言を繰り返し、世間を騒がせている殺人事件についての話題を始めた
ヒョンジュンはこの男が殺人鬼なのではと疑い、スタンガンを持ち出して先手を打とうと考えのである
映画は、この第1章「M」を皮切りに、ラストチャプターとなる第6章までを描いていく
また、「M」が映画内の「2日目」にあたり、その後の章は時系列がごっちゃになった状況で展開される
第2章「正しいことをしろ」では、英雄になりたい中学生スンジン(チョン・ドンウォン)が困っている老婆ギュヨン(イ・ジュシル)を助けたものの、その老婆はヤバい人だった、という内容になっていて、これは「3日目」の出来事だった
第3章「殺しのドレス」では、マッチングアプリに傾倒するヒョンス(イ・ユミ)が、ソクミン(キム・ウリム)という名のマッチング相手に悪態をついたり、謎の存在とマッチングが成立する様子が描かれ、これは「1日目」の出来事になっている
第4章「今、会いに行きます」では、同じくマッチングアプリを利用する大学生・フン(チェ・ミンホ)が友人のソクミンと会っている様子が描かれ、ふと遭遇した自販機の手紙を追いかける、という内容になっていて、こちらは「3日目」の出来事だった
第5章「のぞき魔」では、隣人に恋するギジン(P.O)が描かれ、隣人へヨン(ファン・スンオン)の部屋に忍び込んで「アンダー・ユア・ベッド状態」になる様子が描かれ、こちらは「2日目」の出来事になっている
そして、第6章「ろくでもない人生」では、酔っ払い(チョ・ヒョヌ)やクレーマー(キム・ミンファ)に悪態をつかれるコンビニ店員ヨンジン(ハ・ダイン)が描かれ、彼女がオンラインゲームでギジンと繋がり、チャットでへヨンの恋人チャンス(イ・ドンギュ)と繋がっていて、これが「1日目」の出来事であることがわかる
整理すると、1日目にチャンスによって殺されたヨンジンの死体を、2日目にギジンが見つけることになる
ヨンジンが高架下で見つけた死体の一部は、映画の前に起こった殺人事件のもので、ヨンジンはチャットで処分方法を伝授していたという構図になっていた
ヨンジンは同時にギジンに対しても隣人に告白しろと煽り、それがギジンのアンダー・ユア・ベッド状態に繋がっているのだが、この時点では彼女は殺されていたことになっている
同じく、1日目にマッチングアプリを利用したヒョンスがヒョンジュンに殺され、その死体が3日目のフンの目の前に落下する、という構成になっていた
時系列シャッフルになっている効果があるのかはわからないが、完全に繋がっているのではなく、「Mと殺しのドレス」と「その他の4章」は独立している
それゆえに完全一致になっていないところがあって、ある意味不完全な感じの連鎖オムニバスになっていた
映画として面白いかは微妙な感じで、そこまでテーマ性を感じないところもある
深夜のオムニバス系テレビドラマで放送していそうな内容で、配信向きの内容のように思えた
宣伝では意図的に隠されている印象があるが、どう見ても『トリハダ』と共通するストーリーがあるので、日本のテレビドラマのリメイクにオリジナル要素を加えたと予告しても良かったように思えた
いずれにせよ、個人的に嫌いではないが、オチが弱いのと、これと言った特徴がないのが難点であると思う
ある状況におけるスリラーを描いているのだが、テーマ性とか教訓というものはなかったりする
なので、あくまでも映画館で涼みたい人向けの内容なのだが、女優陣がめっちゃ綺麗なので、おじさんホイホイにはうってつけなのかもしれません
男優陣も今をときめく人たちが出ているので、そう言ったキャストのファン向けの映画だったのかな、と感じた