劇場公開日 2025年6月6日

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「【”貧富の差が耐えられない富豪の家族の優雅なる狩猟の日々。”今作は、”貧乏人は麦を喰え!”どころではない、上流階級一家が”平民”に対する残虐行為を描いた不条理コメディである。】」我来たり、我見たり、我勝利せり NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 【”貧富の差が耐えられない富豪の家族の優雅なる狩猟の日々。”今作は、”貧乏人は麦を喰え!”どころではない、上流階級一家が”平民”に対する残虐行為を描いた不条理コメディである。】

2025年10月16日
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鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

■起業家として成功したマイナート家。
 家族を熱く愛する父・アマンの趣味は狩りだが、狩りの対象は動物ではなく人間である。“上級国民”である一家は何を狩っても許されるのだ。
 そして、娘のパウラは父の傍若無人ぶりを目にしながら、上級国民としての”振る舞い”を優雅に身につけていくのである。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・いやあ、今作、面白かったっす。
 オイラは普段は”温厚”で”人道主義者的”な、すかしたレビューを書く事が多いのだが、薄々気が付いている方も多いだろうが、
  ”自分と家族が、この世で一番可愛い。”
  ”何でも自分の思い通りにならないと嫌。一番じゃないと嫌。”
  ”平民が乗る列車などには乗りたくはないが(高級車マイカーをすっ飛ばすのが一番)、仕方がなく乗る時には、高齢者用の座席に踏ん反り返って座るのが普通”
  という、我ながら実に嫌な奴なのである。
  故に、今作は大変楽しく鑑賞したモノである。

・フライヤーにもあるが、今作の監督、ダニエル・ヘースルと、ユリア・ニーマンが活動拠点にしているオーストリアが産んだミヒャエル・ハネケ監督作はいづれも好きだし、ラース・フォン・トリアー監督の諸作品も大変にお気に入りである。特に”ニンフォマニアックVol1.2"は、最高である。
 勿論、変態ポール・ヴァンホーエン御大の作品は欠かせない事は、言うまでもない。

・今作では、家族を愛するアマンはライフルを持ち、慇懃な執事アルフレートのみを連れて狩りに行く。そして、事が終わった後は白いスポーツカーのナンバーを取り換えて、乗り捨てて、バンで去るのである。
 そして、豪奢な白い家の車庫には同型のスポーツカーが、ズラリと並んでいるのである。

・娘のパウラは父の血を引いているので、射的場でも百発百中の凄腕である。そして、家で本物のライフルを撃つと、慇懃な執事アルフレートは血塗れで倒れているが、彼女は冷静に救急車を呼ぶのである。
 そして、新しく来た執事の名は勿論、アルフレートである・・。

・街の人達は、マイナート家の所業を知っても、声を上げない。逆に抹殺される恐れがあるからである。

<ラストも、サイコーである。良く晴れた湖畔で幼子を連れた夫婦が全裸でセックスをしている。だが、二人は遠方から撃たれた銃弾で即死するのである。
 それとは対照的に、マイナート家ではアマンの妻に子が出来た事でパーティをしているシーンが前半で描かれるのである。
 今作は、”貧乏人は麦を喰え!”どころではない、上流階級一家が”平民”に対する行為を描いた不条理コメディなのである。
 劇中に時折流れる、太鼓の様な音と女性の短く甲高い声も、印象的な作品である。>

NOBU
sugar breadさんのコメント
2025年10月17日

はは、そうでしたか。楽しいレビューでした。時速300km走行なんて、ブラピみたいですね。

sugar bread
sugar breadさんのコメント
2025年10月17日

共感ありがとうございます。NOBUさんが上級国民志向だったなんて驚きです!?

sugar bread
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