まるのレビュー・感想・評価
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\部屋から転がりはじめた○。
チャリでの仕事帰りよそ見運転で転倒し商売道具である右手を負傷した美術家のアシスタントとして働く沢田の話。
右手の負傷を機にアシスタント業をクビになり、自宅にある物と“キャンパスを歩く蟻を黒筆を使い○で囲った絵”を質屋ではなく古道具屋に売りに行ったことで…。
売った絵が美術関係者の目に止まり、独り歩きし始めた○の絵、SNSで拡散、美術家達から評価されてるなか状況を把握出来てない沢田と見せるけれど。
1枚の薄い壁から聞こえてくる隣人のウナリ声、綾野剛演じた横山がアクセント、そのウナリ声で沢田の睡眠と絵を描くための集中を邪魔し、沢田との2人のやり取りには笑えたし何でオチは寿司食わせろ!?とも思ったけれど歌手・堂本剛ではなく俳優・堂本剛が見れたことが嬉しい!
彼が10代から20代の頃のドラマ作品はほぼ観てるし、個人的に熱かったのはエンドロールで流れた堂本剛君の“街”、当時「夢のカリフォルニア」のエンディング曲でもあった“街”、本作の為に録られたMOVIEverも最高だし、カラオケはもう10年以上行ってないけれど、行くと必ず歌うって位好きな曲で、男性歌手としても一番好きな堂本剛の歌、俳優姿と、まとめて観れて聴けて良かった!余談だけど「ホームドラマ」の主題歌“ORIGINAL COLOR”も凄く好きだったな~
ちょっとファンキーな雰囲気の吉岡里帆さん可愛かったし、エンドロールの“街”には泣かされた。
可もなく不可もなくといったところ。迷ったらおすすめ。
今年374本目(合計1,466本目/今月(2024年10月度)25本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
今週の作品群の中ではまぁ本命か準本命には来そうな作品です(競馬新聞ではない…)。
アシスタント業をクビになった主人公が、ある日、紙に○(まる)を書いたら、それがなぜかヒットして、謎のヒットと(クビになったあとに働いている)コンビニ店とのかけもちをうまくいきつつ、自宅のマンションのお隣さんともうまく付き合いながら、そもそも自分の「○」がなぜヒットしたのかを考えていくお話です。
作品として言えばそれ「だけ」であったりしますが(法律系資格持ちなので、この論点にはだいたい「表現の自由」の論点が来るものですが、なかった…)、そこに特段何かを求めるわけではなく主張のみを繰り返すデモ集団があらわれたり(ただし、これも「集会の自由」で憲法上保証はされます)といった、「やや無理やり」やればまぁ憲法枠かなぁというところもありますが(思想良心の自由、集会の自由ほか)、個人的にはそこまでの問題提起は感じませんでした。
そんな「○」ばかり書いて実質ぼろもうけ状態の主人公のところには当然「邪魔者」が来るわけであり、「そんな」○であっても「たかが」○であって、「なぜ」あなたの書いたものなのか証明できるのかなとと言われると案外答えに窮するのかな…といったところです(ただ、(民法や民訴法等の)立証責任論等の論点で見る映画では明らかにない)。
ストーリーとしてはこうした事情もあるので、色々と「邪魔」してくる人はいますが、最後には主人公含め大半の人々が(あのアルバイトのもう一人の方は、ミャンマーだったかマレーシアの方かな(言っていたような気はするが、どっちだっけ)?)ハッピーになれるという展開は、まぁ確かに「ひねり」がもう一つあっても良かったかなという気はしますが、こういうワンストーリーもの、「ネタ勝負」(ここでは、○を誰が書くか、ヒットするかという「ネタ」それだけでしかない)に出た点は強く買ったところです。
採点上特段気にする点まではないのでフルスコアにしています。
ファンキーではないよ。(逆説的にファンキーなのか?)
無欲に見える「まる」の残虐性も、仕掛け次第では「アート」に様変わりしてしまう
2024.10.18 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(117分、G)
偶然描いた「まる」が独り歩きして困惑する売れないアーティストを描いた社会派コメディ映画
監督&脚本は荻上直子
物語の舞台は、都内某所
現代美術家・秋元(吉田鋼太郎)のアシスタントを始めて4年になる沢田(堂本剛)は、自身のアイデアをパクられながらも地道に生きてきた
同僚の矢島(吉岡里帆)はそれを許せず、新人の田中(戸塚純貴)は早くも脱落を示唆していた
ある日、景色に見惚れて自転車事故を起こした沢田は、あっさりとクビになってしまう
特にやることがない沢田は家でぼうっとする時間が増え、隣人の売れない漫画家・横山(綾野剛)と絡むようになった
物語は、家に入り込んだ蟻の周りを墨で囲っていた沢田が、ふと思いついてそれを小道具屋(片桐はいり)のところに持ち込むところから動き出す
小道具屋は「大きすぎる」と言い、沢田はその作品を切って分割する
それは額縁に収まる大きさの「まる」を描いただけの作品になっていて、わずかなお金だけを得ることになった
その後、街角を歩いていた沢田は、ある画廊の前に「まる」が飾られているのを目撃する
画廊が閉まっていたために詳細を聞くことができなかったが、次に通りかかった時には、その「まる」はショーケースから消えていた
映画は、現代アートとは何かというテーマと、そのバズり方や仕掛け方について揶揄するような内容で、意外なほど濃いメッセージがあったりする
最終的に「普通の絵」をディーラー(早乙女太一)と画廊の店主・若草(小林聡美)に見せるものの、「価値がない」と断罪される
やむを得ずにその上から「まる」を描いて見せるものの、これ以上「まる」い囚われたくない沢田は、その作品を殴って穴を開けてしまう
だが、その行為は作品として有名になり、海外の美術館にも飾られるようになってしまうのである
「まる」は「円相」と呼ばれるもので、古くから描かれる芸術の一つである
それが現代的にアップデートされたものになっていて、誰にでも描けるのに、誰もが売れるわけではないという皮肉がある
アートは「誰が描いた」というのが重要で、「さわだ」というサインが作品の本体のようにも思える
だが、コンビニバイトの先輩・モー(森崎ウィン)は、彼のサインを貰わない
これが本作の重要なテーマになっているのではないだろうか
いずれにせよ、かなり画面が暗い作品で、見ていて疲れる内容だった
「まる」の中に何かを見るかは人それぞれで、その「まる」は無欲であればあるほどに価値があるようにも思える
だが、その「まる」のルーツは「蟻をもて遊ぶ残酷なもの」であり、その因果が沢田を苦しめているようにも思える
そう言った意味において、結構哲学的な作品ではあるが、世間がアートと称するものは、そのような本質とはかけ離れたプロモーションによる仕掛けに過ぎないので、その辺りを皮肉っているのかなと思った
芸術的な作品○
祇園精舎の鐘の声諸行無常の響きあり
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