劇場公開日 2024年10月18日

まるのレビュー・感想・評価

全134件中、1~20件目を表示

4.0あなたの人生に突然訪れるかもしれない「幸運?」とそれに群がるクセ強な人たちのお話

2024年10月19日
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鑑賞方法:映画館

大好きな「かもめ食堂」「川っぺりムコリッタ」の荻上直子監督の作品とあって、本日は映画「まる」を鑑賞。

主演は堂本剛くん、久しぶりのスクリーンで少し謎なキャスティングに思えましたが、映画を観終わってなるほど納得なキャスティングでございました。音楽も担当してたんやね。エンドロールの「街」いい歌ですよね。また脇を固めた個性豊かな隣人たちは、みなさん流石の演技でした。主人公沢田の淡々とした性格との対比が際立って映画を生き生きとさせていました。

私の気になったオススメ
クセキャラベスト3は、

1.やっぱり、片桐はいりさん
そこにいるだけで、もう面白い。抜群の存在感でクセキャラNo.1。

2.綾野剛さん
こういうすごく嫌だけど、なぜか憎めないヤツやらせたらNo.1。穴の向こうの演技で魅せる天才。

3.甲乙つけ難いほどみな同率だけど、久しぶりに観れて嬉しかったよNo.1で、小林聡美さんかな。

ストーリーはすごく好きで、本当は星4.5とか5にしたかった。星マイナス0.5したのは、ラストの沢田の見せ場に私の気持ちが残念ながら乗らなかった…。みんなは、あそこで感動できたのかな?私は、穴の奥から見える綾野剛さんの演技にばかり気を取られてしまいました。あれだけの可視部分で魅せられるって、すごい役者さんだなぁと感心しました。

私のグッとポイントは、
クセの強い、サブキャラたちの中でひときわ普通のいい人で際立っていた森崎ウィンくん演じるベトナム人のコンビニ定員の終盤のひと言。沢田が、「おまえほんまポジティブやな。」の答えに注目です。いい人あるあるで切ない。応援したくなる。いつか沢田の書いてあげた色紙がめちゃくちゃ価値があがったとしても、彼は売ったりしない、根っからいい人なんでしょう。

久しぶりにスクリーンで観た、片桐はいりさんや小林聡美さんもグッとポイントですな。帰って「めがね」や「やっぱり猫が好き」が見返したくなりました。

荻上直子監督が描く、少し奇妙でクセのある人たちが織りなすとびきりシュールで不思議な世界観が私は大好きです。誰もが簡単にアーティストを名乗り情報を発信できる昨今だからこそ、何が?いつ?どこでバズるか分からない。ひとバズりで人生変わっちゃう人だって少なからずいるでしょう。
そう思うと、まだこれからの人生、全く関係のない話ではない、かもしれない…🙄

もし、この先の人生
自分が主人公の立場になったなら?
あなたはどう立ち振る舞いますか?

もし、この先の人生
自分の周りに沢田が登場したら?
あなたはどのクセキャラに扮したいですか?

帰りの電車を待ちながら、
ふとそんなことを思いました。

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ななやお

3.5消費と承認欲求

2024年11月14日
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鑑賞方法:映画館

あっというまにもちあげられて、あっというまに飽きられる。
ものすごいスピードで消費されることの空虚さと、それでもその一瞬でもいいからだれかに認められたい飢餓感と。そういう話なのかなあと思いました。
堂本さんのふんわりとしたまるみと、綾野さんの痛々しいくらいの尖りかげんの対比がよかったです。

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kikisava

4.0世界は、『まる』で満ちている。

2024年11月13日
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なんともほっこりするような、ふしぎな味わいの映画でした。前衛画家のブラックなアトリエでこき使われている美大出の男が事故で利き腕を骨折したやけで、左手で描いたただの丸の絵が全世界で評価され、一躍有名人になってしまうお話しです。ただの丸の絵に美術館のお墨付きがついたことから、もっともらしい勝手な解釈や誤解が爆発的に広がり社会的ムーブメントになるのは、いまの社会への強烈なアイロニーです。今まで主人公を見下していた連中が一斉に手のひら返しをするのは滑稽で定石的だけど、彼を異世界に引き入れようとするアートディーラーや画廊の女主人は、メフィストのような不気味さがあります。そんな混沌とした世界の中でも、禅問答のような問いかけに対しても、自分を見失いそうで見失わない主人公のニュートラルな佇まいは、とても魅力的で好感が持てます。自分の才能のなさへの焦燥感に身悶えする隣人や格差への怒りを訴える元同僚も、丸の世界に閉じ込められあがいているアリのようで、監督の荻上直子の登場人物に対する温かい視線がとても心地よかったです。役者では、堂本剛が当て書きのようなハマり具合で、肩の力の抜けた受けの演技がよかったです。隣人役の綾野剛も、不愉快なキャラ一歩手前の絶妙の間合いが上手く、居酒屋のカウンターでの長回しのシーンでの感情の爆発はすごかったです。同僚役の吉岡里帆は、ちょっとダークで妖艶な雰囲気がゾクっとします。ひょっとしたら、マクベス夫人なんかやったらピッタリかも。

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シネマディクト

3.0クリエイターなら痛く胸に突き刺さる作品

2024年11月10日
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単純

映画全体のテンポとしては非常に鈍重で、堂本剛演じる主人公“さわだ”も役柄なのか病んでいて歯痒さを感じた。
しかし、今の事象を所々に盛り込みながら様々なクリエイターの苦悩をうまく表現し優しくエールをくれる作品であった。
現代アートを事業と捉えているアーティスト(村上隆がモチーフ?)のもとで悩みながらアルバイトをしている若手、売れず世間のせいにして足掻いている売れない漫画家、自分で描いた作品の魅力がわからないままに世間に評価され、描けなくなる作家…自分の描きたいモノと世間が求めるモノとの違いに苦悩するところなど、どれもどこかにクリエイターなら痛く胸に突き刺さるものではないだろうか。
個人的にはエンドロールでアカペラではいってくる堂本剛の歌が良かった。悲しい物語ならば泣いていただろう。また綾野剛など俳優陣はみんな良かった。

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ron

4.0油断する事無かれ!

2024年11月10日
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鑑賞方法:映画館

監督を気にせず見てしまいエンドロールで荻上監督だと気付き納得、真面目で美しい映画です。
主人公演じる堂本剛も良いが脇役陣が良い、綾野剛の行き場を失い掛けた隣人の漫画家、行き場を失った同僚の吉岡里帆それぞれの人生が息苦しくも目が離せなかった、主人公がもがく芸術を越えた人生の真理を感じた、ターニングポイントに現れる柄本明演じる「先生」はもしかしてアートの神(死神?)なのかな。

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なんてこった

3.5

Nさん
2024年11月9日
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なんだそれ、と思いつつ、なんかいいなとも思ってしまった、◯、笑。芸術って怖い、笑。
変なお話だったーいつのまにか自分が自分でなくなっていく感じこわーでもまぁ改めて好きなことに向き合っていく感じいいですね。自分らしく生きよう。久しぶりに街聴いたけどイイ曲だった。
吉岡里帆は相変わらず好きだけど、あんな変な見た目にしないで欲しかったなーもっと普通にかわいいほうがいい、笑

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N

3.5大変面白く観ました!

2024年11月9日
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komagire23

4.0背中を優しくさすってくれる映画

2024年11月7日
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笑える

楽しい

難しい

劇的な展開があるわけではなく淡々と進んでいくので盛り上がりに欠けるかもしれません。
しかしキャスト陣の深みのある演技でいつの間にかずぶずぶと物語に浸ることが出来、
好きなことを、夢を諦めきれない葛藤が心に刺さり、それでいて背中を押すというよりさすって寄り添ってくれるような映画でした。

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tbh0208

4.0アップダウンのない作品だけど悪くない

2024年11月6日
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笑える

知的

気になっててやっと行けました☺️。
中弛みするような雰囲気もありましたが、個人的には面白かったですよ😁。
クスッと笑えるシーンもあり飽きもこなかったから良かったですよ👍。

表題にも書きましたが全体を通して一定の温度な主人公なので映画自体もココっ❗️みたいな盛り上がりはなかった、しかし主人公の沢田の知らない所で何気なく描いたマルが評価されて勝手に有名になっていくが本人はそんな事はうっすら情報は入るものの実感は中々わかないし現実味がすぐには来ない感じ(笑)、そのへんの表現かなシーンが前半にあたるのだろうか?物語は常にゆっくりベースでした。
後半に自覚も湧いたが騒ぐ周りには拒否感的な雰囲気あるし、最初に描いたやつ以外は受け入れてもらえないし(まだマルを描く時の気持ちが乱れていた❓ため)、その辺は上下したかもだけど、ここもゆっくりだからその感じはなかったな(笑)。

でもなんかこの雰囲気は好きだし、眠くもならずに鑑賞できました(笑)。
堂本剛さんが出てたからもあるかもしれませんが😆。
おいでやす小田さんも出演は知ってましたが、思ってたよりシーンが少なくて残念だった💧、絡みは面白かったし、演技も悪くなかったからまた俳優さんとしての小田さんも見て見たいです😁。
エンディングもMovie versionの「街」も良かった😆カッコいい歌声が劇場で聴けて、オリジナルもまた聴きたくなりました(好きな曲だし👍)。
終わった後にメイキング映像も今回はついてて、5分ぐらいでしたが撮影中の表情は監督さんの顔も見れて良かったです。

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アスカシン

3.5奇妙な話かもしれない…話 75点

2024年11月4日
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知的

難しい

予告からこれは不思議なストーリーだな気になるなぁとやっと観れました!いやー不思議な話!出てくる登場人物クセが強すぎて笑っちゃう!吉岡里帆さん目当てで見たぞ!!ちょっと闇を抱えている役もいいなぁ…でももうちょい見たかったぞ…!

【ストーリー】
堂本剛さん売れない絵描きのアシスタント、ある日交通事故にあってしまう。ふと○(まる)を描き、質屋に売りに行くと…怪しげなディーラーが家に来る…そこから主人公の人生が変わっていく…という話。

【感想】
芸能人と一緒のような気がしますね。売れたら周りが目を変えて寿司奢ってくれや!とか急に馴れ馴れしくなるとか。面白い。人間の欲望が見えてくるところが自分は1番面白いなぁと感じた。
主人公も100万円…200万円…とブツブツ呟く。仕事中なのに…それほど欲が出てきているのだろう。

周りを固める俳優陣も豪華で癖が強くいや面白い!柄本さん(池で鳥にパンをやっている先生)、綾野剛さん(隣に住んでいる迷惑住民漫画家)、森崎ウィンさん(コンビニバイトのミャンマー人)、地味においでやす小田(絡んでくるB組の同級生)、片桐はいりさん(質屋の店長)、小林さん(アートのオーナー、ぴったり役)、吉田さん(パワハラ美術家)とここまでスラスラ出てくるキャラの強さには驚いた!

テンポはゆったりでオチも無いので(オチ求めないで)すっと終わります。

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あっぷる

3.5サワダなのかツヨシなのか分からなくなる

2024年11月4日
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泣ける

知的

難しい

テレビで見ていたツヨシくんと
映画の中のサワダのキャラクターが
違和感なさすぎて、
最初はドキュメンタリーのように映った。

芸術への才能が
素のツヨシ君にある(と思っている)ので
劇中のサワダが絵を描くことや、
物語の起点になる
まる(円相)を描くシーンにも
本物かも、と思わせる説得力もあった。

有名になり、
お金も得ていく過程での
周りのざわつきや、
当人の戸惑い、
知り合いが起こす変化など、
生々しいシーンの多くが、
サワダの体験なのか
ツヨシ君の体験と戸惑いなのか
これも良くわからなくなってくる。

今という時代を切り取った
映画だと思います。

皆、何者かに
一角(ひとかど)の人になりたいという欲はある。
ただその過程において、
どういうことがあるのかを
ある意味リアルに見せてくれる。

自分で「俺にはこんな能力がある!」
と叫んだところで、無理筋で、
見出してくれる人、
後押ししてくれる人、
応援してくれるファン、
等がいないと、
実は一角の人にはなれない。

そして大半の人は
一角の人にはなれない。
別にそれが当たり前なのだけれど。

鑑賞後の後味はとてもよかったです。

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新米エヴァンゲリスト

4.020%の蟻でも有り

2024年11月4日
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幸せ

予想していたよりも深く良い映画でした。
そして、監督が是非、堂本剛さんにと望んだのがよく分かります。Kinkiの特にファンというわけではないのだけど、堂本剛の飄々として、でも、物事の核心を捉えた日頃の発言が、この「さわだ」という男にぴったり。演技も自然で、久しぶりの演技の仕事とのことですが、良い役者さんですねー。これを機にもっと演技のお仕事して欲しいです。

さわだは、ひどく真っ当で、純粋で、でも、前面に出て行くこともせず、もしかしたらやる気のない人と思われてしまうかもしれず、それは秋元(吉田鋼太郎)のような人間からは取るに足らない奴、搾取して当然な奴に映るのかもしれない。そして、彼が変わった、秋元のようになったと見られたなら、矢島(吉岡里帆)のように、それを攻撃する人もいる。
意味などなくてもただ存在する、好きなことを名誉とか金とか関係なく(人に迷惑かけずに淡々と)する、それでいいではないかと心に訴えてくる映画でした。

本編後にメイキング映像もあり、役者さんてあんな環境で演じるの大変だな、と再認識。しかし、有名になった沢田が陥る状況って、異常に見えるけれど、アイドルの堂本剛は、実生活で経験済みなんだよなあ。それって凄いことだ。

キャストも堂本剛を筆頭にはまり役で、チンピラっぽい綾野剛、良い人すぎるミャンマー人の同僚モーさん(森崎ウィン)怪しすぎるキュレーターの早乙女太一(ほんとこういう役ハマる)、やり手の美術商(小林聡美)、謎の茶人(柄本明)、そして、古物商(片桐はいり)、全員最高でした。片桐はいりがエンドロールで流れて、え?どこに?って思ったら古物商!この古物商やってる男優さん、誰だっけ、絶対知ってると思ったのに、全然分からなかったよー

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くまくま

5.0有る始まりを有る終わりで消す丸

2024年11月4日
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この作品を、ある逸話を思い浮かべながら観てました。
小学生が夏の、海、空、入道雲、太陽、砂浜を赤一色で描いた絵。批評家、「彼は凄い。真夏を赤一色の表現。恐ろしい感性だ」小学生に「君は何故赤一色で?」彼「あっ、ごめんなさい、赤クレオンしか無かったんです」
主人公何かブツブツ言いながら丸を描いてましたが、古物商に高額で売れたと聞いた表情から、さほど意味も無く描きやすいから丸を描いていたんでは。結局、アーティストの才能は評論家の才能では、我々の評価は。古物商、あの世から、かまやつひろしさんが降りてきて演じてると思っていました。
今だに柄本明の先生、何者か分かりません。

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ホモ・サピエンス

3.0淡々と始まって終わる「まる」

2024年11月3日
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難しい

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パジャマ

3.5今の日本の時勢をまるっと収めた荻上直子作品

2024年11月3日
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社会的生物と言われるアリでも働きアリの2割は働かないらしい。よく働くアリが2割、普通が6割。しかし、よく働く2割のアリは短命だそうだ。わたしがはたらいている組織のレベルはまぁよく見積って下の中ぐらいなので、わたしを含めてよく働くアリはほんの一握りで、2割が普通、残りは働かない。それでもなんとかなってしまうから下から抜け出せないのだが、リーダーシップを取ろうとするものがいないばかりか、他の会社のスパイではないかと思うものが孤軍奮闘しているふりをして、上に媚びているアリ様。ミツバチの巣に偵察に来たキイロスズメバチに後継ぎの御曹司君は気が付かない。アリやハチの場合は女王を頂点とする家族社会で人間の会社組織とは異なるので、当てはめること自体がナンセンスともいえる。
芸術家とそれにぶら下がる美術商、画廊オーナーたちなどはもともと異なる種で寄生や共生関係ともいえよう。そうだ、人間の歴史はもともと搾取と寄生の歴史。よくて共生。家族間でもそんなことはいくらでもある。
売れっ子イラストレーターのアシスタントを首になった沢田。部屋に大きな水槽を置いてチョウザメみたいな動かない魚を飼っている。アリが部屋の隅で行列を作っている。列から外れて不織布の上を歩き回る一匹のアリの周りに刷毛で円を描く。アリが元の列に戻れないように通せんぼしていたのかもしれない。
怪しげな骨董屋(片桐はいり)に持ち込むと、店主にマジックを渡されてサインを入れろと。「さわだ」と書いたら、いつの間にか100万の値がつき、国立近代美術館に所蔵されるまでに。覆面アーティストの書いた円相図としてネットで騒ぎになり、バイトのコンビニ店が特定され、ファンが押し寄せる。まぁ、女子高生のひとりやふたりなら歓迎だ。
自分の絵が展示された美術館に行き、円の縁の絵の具に足を捕られ埋没したアリを助けようとして、作品に触るな💢と怒られる沢田。
大家のオバサンも滞った家賃なんかいいから、ずっと居てくれて良いのよ。その代わりに、ここに◯を書いて頂戴と手のひらを返してくる。
漫画家志望のアブナイ隣の住人(綾野剛)にとっては羨ましすぎる事態。隣同志の友達だから寿司奢れよとなる。アシスタントをやめて労働運動に目覚めた吉岡里帆(住宅公団の賃貸物件のコマーシャルにでてる)も駅前で「あたしだって寿司が食べたーい」と叫ぶ。
そういえば、廻らない寿司屋には30年ぐらい行ってないな。行くとしても有楽町角川シネマの上の階のス◯ローとかMOVIXさいたまの向いのがっ◯ん寿司ぐらいだ。
コンビニの先輩店員の役の森崎ウィンがとてもよい。しばらく見ないうちに(蜜蜂と遠雷ぶり)立派な大人になっていた。さすが、仏教国の旧ビルマ、ミャンマー出身。人間が出来てる。バイトをやめると決めた沢田に店の色紙にサインを貰う時もバーコードをスキャンして、自腹で買っていた。エラい❗
それにしてもコンビニも回転寿司もタコ焼きチェーン店も外国人の店員が多くなった。盆栽も茶の湯も外国で大会が開かれるまでになってしまった。
まるという作品に日本の時勢をまるっと収めた荻上直子の作品であった。

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カールⅢ世

3.5大阪城つくったの誰?

2024年11月3日
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宇宙にも団子にも見える「まる」は、優れた作品が多様に解釈できる事を思い出させるが、凡庸な鑑賞者は自分の解釈が唯一無二だと思い込んで他の鑑賞者だけでなく制作者にすらそれを押し付けようとする。また、出資者は往々にして金で創造性まで買い取ったと思い込み、あわよくば自分も名声を得たいと願う。ペットとは言い得て妙だ。
主人公はどうやら名声には無関心で自分の創作意欲が満たされれば良しとする素朴なアーティスト気質の持ち主だが、芸術表現を極めると作品自体が語り始めて作者は匿名となるらしいから、アートの王道を歩んでいるのかも知れない。
…などという事を監督が言いたい訳では無いと思うものの、「表現」というものについて色々考えるきっかけになった。

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ひろちゃんのカレシ

3.0人生

2024年11月2日
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単純

人生何が起きるかわからない。
自分らしく生きよう。

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おっけ

3.0【とても日本を感じる】

2024年11月2日
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劇場に人が入っていないのも納得だ。TV放映を優先しているのか、制作自体がTVメディア産業全体を捉えて描写されているように感じる。映画で映えるとは思えない剛ちゃんを、芸術と消費の境目を彷徨う主役に据え、綾野や吉岡が単純化された役を演じることで、映画的な体験よりも芸能プロ的なキャスティングと演技が目につく。

物語は、アリとの戯れから生まれた○が社会に流通し、「円相図」という意図しない形で社会的価値に置き換わり、やがて自身が○に囚われていく過程を描く。シンプルな円形がその形ゆえに人々の共感を呼び、一過性の流行として広がり、世界中の人々が便乗して消費していく様が印象的だ。

メディアが個人の小さな行為を過剰に記号化し、消費していく様子は、綾野が街中に○を貼り付ける場面でピークに達する。アート作品が流通する過程で本来の意図や個人性が失われ、まるで道端のしょんべん封じの護符のように、街全体が記号で覆われていく...

コンビニ店員のモーや剛ちゃんが仏教用語を日々の精神安定のために口にする場面も印象的だが、どこか空虚さが漂う。『波紋』のように、精神安定としての宗教が顔を見せるものの、ただの口癖や表面的な記号として用いられ、深みがない。宗教を通じた積極的な行動も見られず、「やってられない」と言わんばかりに「諸行無常」を口ずさみ、その無力さが強調されている。

劇中のアリと開けられた穴は、『アンダルシアの犬』の歴史的な重要なモチーフだが、展開が限定的で冗長に感じた。アリや部屋間に開けた穴も、いつもの荻上ならもっと違う処理をしたのではないかしら。制作、物語からテーマまで一貫してTV向けに感じる。そういう意味でとても納得できる。

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ジャパニーズ先住民

3.5前作「波紋」かぁ、

2024年11月1日
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怖い

幸せ

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トミー

5.0剛くんの妙

2024年11月1日
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楽しい

知的

難しい

気まぐれに書いた○が知らないうちに社会現象に……という奇想天外な物語。
○はあまりに単純すぎるかもしれないが、現実でも似たような事例は多々ありそうなのが面白い。
主人公が良く言えば朴訥とした、悪く言えば無気力な青年である点がリアリティに拍車をかけている。
剛くんの独特で絶妙な空気感がこの世界観には必要不可欠だと思わせる名演でした。

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黄金竹光