ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソンのレビュー・感想・評価
全3件を表示
設定を逆手に、現代的なテーマをさらりと描く
吸血鬼一族のなかでただ一人、人を殺せないという致命的な問題を抱えていたサシャが、いじめを受け、自殺願望を抱えていたポールと出会って…という話。
吸血鬼の設定は、世界的に共通理解されているので、余計な説明もなく、気持ちいいくらい話はどんどん進む。
誕生日に目の前で両親や親戚が吸血行為をするのを見たことがPTSDの発症につながったのか。はたまた、先天的な発達障害が理由なのか。脳の機能が他の人と違い、人を殺せないサシャに対して、両親も親戚も心配するのだが、その対処法は、おどしや強制や同調圧力だったりして、サシャの心に響いていかない感じや、周囲がサシャへの対応の仕方でもめる感じなんか、「あれ? これって、人間世界でのグループ内のマイノリティへの関わりかたそのまんまじゃん」と思った。
一方のポールも、バイト先や学校でのからかいやいじめにさらされていて、生きる気力を失っている感じがリアルで、周囲の大人の対応のピンぼけ具合も絶妙だった。
この作品のよさの一つは、そんな2人の出会いの場面の描き方がとてもスマートなこと。
ポールが、サシャを吸血鬼だと認識した上で関わり始めることや、ポールとの出会いによって生じた、サシャの第二次性徴とも言えるような身体の変化を、余計な説明なしに、なおかつ少しホラーチックに描くことで逆に2人の心のドキドキ感を表す演出など、とてもオシャレだった。
また、住む世界の違う2人の恋の進展は当然もどかしく、部屋でレコードをかける場面や、互いの危機を助け合う場面など、それぞれの場面で、観ているこちらをキュンとさせる仕掛けがバランスよく施されている点もよい。
そして、そんな2人の結末は、「やっぱりそれしかないよね。タイトルでもそう言ってるし」というものだったが、これは、日本でも報道特集などで取り上げられるようになってきた尊厳死の問題にもつながる現代的なテーマを、この設定を逆手にとって、あくまでもさらりと映画的なスタイリッシュさを前面に押し出して、うまく描いて来たなぁと感心した。
所々コメディ色もあり、ほぼ90分という長さも見やすくてよい。
公開劇場は少ないようだが、配信されたら観て損はない一作だと思う。
疑問点はあるけれど。
たまたま空いている時間にちょうど良い時間だからということで見た映画。
これが運命の出会いの映画なら良かったのですが、まずまずの映画でした。
予備知識完全0で、吸血鬼もの?みたいな感じで見始め変な感じで終わっていくという。
ピアノも意味があるんだなーと無理矢理な伏線回収感もありますが、90分ぐらいなのでサラッと見れます。
サシャの試練
主人公サシャは幼少期に自身の誕生日パーティーで叔母が招いたピエロが目の前で殺されたことを機に、生きていくうえで人の血が必要不可欠であることをわかりながらも、なかなか人を襲うことができず、親も狩りを覚えてもらわねばいつまでも世話なんて出来ないよ~ということで…。
いとこで血気盛んなドゥニーズのところへ居候することになった。
ドゥニーズはサシャに人間を一撃で死に追いやる方法などを教えていくが、優しい心を持つサシャにはどうしても出来ない。挙句の果てにドゥニーズが誘い襲おうとしたJPの命を助けた。
なお、JPは後に吸血鬼となる。
そんなサシャに自殺願望を持つポールが現れた。
ポールはサシャが吸血鬼であると察し、生きていくために血が必要ならば自らの血を捧げても良いと話すがサシャはポールを襲うことができない。
ポールと過ごしていくうちにポールがアンリにいじめられていること、見返したい気持ちをサシャに打ち明け、アンリへの復讐を果たしたらサシャに自らの命を捧げたいと告げた。
ポールの思いを知ったサシャはポールと協力しながらいじめてきた相手に仕返ししていく。
そしてバイトをズル休みしてパーティーで盛り上がるアンリを見たポールはナチョスマンと誂われながらも、やり返したい一心でサシャの代わりにがぶりと手を噛んでしまう。それがアンリの怒りを買い、二人は急いで逃げるも後から車でやってきたアンリに見つかり二人は襲われてしまう。
そんなときに今まで眠っていたサシャの吸血鬼としての本能が芽生えると、ポールを庇いアンリのもとへ。ドゥニーズから教わった首の致命傷となるポイントに噛みつき、殺したのだった。
やっと復讐を果たしたポールは約束どおりに命を捧げサシャは襲われてしまうと意識しながらポールの首元を噛みつく。
が、致命傷ではなかったため、ポールは苦しみながら、後から助けに来たサシャのファミリーに助けてもらい、ポールは意識を取り戻した。あれだけ厳格な叔母さんもポールの救命に協力する姿勢を見せたのが驚きだった。
ラストのポールの母親が勤務する病院で死を間際にしている患者の血を抜き取るという大胆な狩りを二人で協力しあっている。
展開が読めなかったからまさか過ぎて逆に良かったかも。男女の恋愛関係ではなく、女手一つじゃ襲えないから相棒をつけより狩りの効率を上げたという印象かな。
全3件を表示