ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソンのレビュー・感想・評価
全20件を表示
【”人道的吸血鬼は同意する自殺志願者を探す。(映画タイトルそのまま翻訳・・。)”今作は作品設定が斬新過ぎる、可愛らしい吸血鬼の女の子と孤独な青年との恋を描いたセンス溢れる作品なのである。】
■ピアノを弾くことが好きなバンパイアの実年齢68歳だが見た目ローティーンのサシャ(サラ・モンプチ)は、吸血鬼としては、”人道的”過ぎて人を殺す事が出来ず、母と父が採取した血を吸って生きて来た。
母と父は、自立しない娘の将来と自分達の負担を懸念する日々を送る。
だが、或る日、サシャは頭に怪我をして倒れていたポール(フェリックス=アントワーヌ・ベナール)を見た時に、自然と牙が生える事に驚くのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・もうね、サシャを演じるサラ・モンプチが、憂いが有って可愛いんだよね。『ファルコン・レイク』の女の子だよね。
・物語のトーンは、基本的にダークなのだが、コメディ色もたっぷりあってセンスの良い作品だと思うんだよね。
・ポールが自殺志願者であるのは、描かれているように級友アンリたちに苛められているからであるが、ポールに恋をしたサシャが、彼の望むように血を吸って上げるのが良いのか悩む姿が、とても可愛いのである。ロリコンか!
・そんな時に、アンリがポールを苛める現場を見たサシャは、躊躇なくアンリの首筋に牙を立てるのである。
両親は、!”サシャが早くポールの血を吸えば良いのに!”と思っていたので、”アラアラ、ソッチの方ね!”って感じで、アンリの死骸を手際よく運ぶシーンが、可笑しいのである。
■そして、ポールとサシャはモーテルの一室でベッドに横になり、サシャは致命傷にならない程度にポールの血を吸って”仲間”にするのである。
<今作は作品設定が斬新過ぎる可愛らしい吸血鬼の女の子と孤独な青年との恋を描いた作品なのである。>
この映画は青春映画です
新時代の幕開け
人間主義的ヴァンパイアが探すもの──『Humanist Vampire Seeking Suicidal Person』をめぐる死生観
この長いタイトルを直訳すれば、「人間主義的なヴァンパイアが自殺志願者を探している」となるだろう。
だが、その言葉の背後には、倫理と欲望、そして生と死の境界をめぐる深い問いが潜んでいる。
物語の中心にいるのは、サシャ──生まれながらにヴァンパイアでありながら、殺すことを拒む少女だ。
彼女は人間社会に溶け込み、母の厳しい監視のもとで育った。
しかし、脳の奥底に刻まれた「殺すことへの嫌悪」は、彼女を同族から異端へと追いやる。
そんな彼女が屋上で出会ったのは、死を切望する少年ポールだった。
その瞬間、サシャの中で「反応」が起きる。
殺さずに血を得る──その可能性が、彼女に牙を許したのだ。
ポールはなぜ死を望んだのか?
彼の家庭には、優しいが忙しい母と、無関心な父がいる。
学校を卒業しても、同じような孤独と暴力が待っているだろう。
自殺は、最後に残された「権利」だと彼は考える。
しかし、その選択には母を悲しませる後ろめたさがつきまとう。
ここに、フランス的な死生観──「自殺という権利」をめぐる思想が垣間見える。
正しい答えなどなく、すべての選択を尊ぶべき時代の匂いが漂う。
ヴァンパイアとは何か?
それは人間の苦悩を凝縮した化身だ。
コッポラ版『ドラキュラ』のように、呪いを受け入れた存在は醜悪な怪物となる。
しかし、血縁として生まれた者は、美しくなければならない。
生きるための手段としての吸血と、気高さを伴う生きる神聖な権利──この二つが、ヴァンパイア作品の核だ。
「君の最期の望みって何?」
ポールの問いに、サシャは答える。「太陽を見ること」
その言葉には、人間でなかったことへの悲しみが滲む。
人間に恐れられ、嫌われ、歴史の中で迫害されてきたヴァンパイア。
その歴史は、イスラエル問題に似ている。
血で血を洗う戦争は、なぜ繰り返されるのか?
人は学ばない。だからこそ、この物語は祈る──戦争というものの終焉を。
やがて、ヴァンパイアの中から、自殺志願者の同意を得て血を分け合う者が現れる。
殺さずに生きるために。
倫理と欲望の折り合いをつけるために。
この長いタイトルに込められたもの──それは、暴力の連鎖を断ち切り、選択を尊ぶ時代への希望である。
コミカルなボーイミーツガール。そして人道的な
ヴァンパイアにとって人間は食料だ。それでも殺したくないと考えるサシャ。生き物に対する慈しみが強いといえる。
一方で、常に死にたいと願うポール。コウモリに対する態度から命に対する薄情さがうかがえる。
この二人、全く反対なのに、反対だからかもしれないが、惹かれ合う。
二人とも自分が生きている世界に馴染めず、孤独を感じている。だから互いに互いが必要だったのかもしれない。
サシャとポールが意気投合してしまうことに不自然さを感じないあたり、ある種のボーイミーツガールとして優秀だといえるのではないか。
設定が奇抜で、どことなく「ぼくのエリ200歳の少女」を想起させるが、内容は全く違うと言っていい。
もっとコミカルで、本当の着地点はヴァンパイアとは関係ないところにあるように思える。
ヴァンパイアの悩み
令和版吸血鬼!
噛みそうなタイトル(二重の意味で)
今年255本目(合計1,347本目/今月(2024年7月度)18本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
(前の作品 「フンパヨン 呪物に隠れた闇」→この作品「ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン」→次の作品「」)
まぁ発音するのに苦労しそうなタイトルですが、放映されている映画館が少ないのか、大阪市ではシネマートですが、発音でかまないように何度も練習されたそうです。
ストーリーとしては、ヴァンパイアをテーマに、いわゆる安楽死や自死行為について一定程度問題提起のパートもありつつ、コメディ・ギャグものといったところです。
この「安楽死や自死行為について」は、日本ではいわゆる「いのちの電話」があることが知られている程度で(後者のこと)、街の中などではそれを意識することはありませんが、映画内で示されるようにこの点にかなり税金など使って取り組んでいる国もあり、この映画の舞台もそこにあたります。
こうした事情があるので、やや道徳映画という観念もできましょうが、日本ではあまりなじみがない論点ですし、コメディ・ギャグものと解して良いと思います。なお、ヴァンパイア(バンパイア)に関する一般的な言い伝え、たとえば「ニンニクが嫌い」などの一般的な言い伝えに関しては説明はないものの、一般的な解釈で足りるようになっています。
採点上特に気になる点までないのでフルスコアです。
--------------------------------------------------------
(減点なし/参考/安楽死や自死行為についての国による考え方の相違)
特に後者についてです。
日本ではせいぜい、タクシーで東尋坊に行きたいという客がいたら説得するとかという程度だと思いますが、国によっては国の地理としてそうした「名所」が日本よりも多いところもあれば、国の福祉行政の考え方として「そうしたことを防止するために一定の取り組みを行っている」ところもあり、この映画の舞台もそこにあたります。法規制として、看板を何km程度で間隔をつけて立てろだの、内容はこういう内容にしなさい、あるいは、その前提としてその看板に書いてある「困ったらここに電話してください」というのがほぼつながる(日本は「いのちの電話」がつながらないことが、コロナ事情のもとで問題視された)ようにもなっているなど、考え方に違いがあり、映画で述べているのはそうした部分です。
--------------------------------------------------------
Neck
観終わった後に思ったのが、製作者の理解している世界観や常識が観ている側に届いてないなというものでした。
吸血鬼ならではのお決まりがスパッスパッと流されていって、何故その行動をしているのかあたりの説得力が全く無かったのが致命的だなと思いました。
タイトルが今作の全てを表しており、自分で狩りをするのは躊躇ってしまう吸血鬼と自殺志願者の少年とのボーイミーツガールもので、そこに吸血鬼家族ドラマを入ってくるもんですから、オシャレな劇伴や映像やセットと色々と欲張りセットで良いところはありつつも、どーにもゆるすぎるテンポが相性悪かったなーと思いました。
サラ・モンプチさんは「ファルコン・レイク」で魅惑的なお姉ちゃんを演じた方だったと後で知って、だから魅力的だったんだなと納得しました。
安楽死が認められているからこそ描けたラストシーンだったり、コメディチックな所などなど光る場面はありつつも、どうにもズレが残り続けて乗り切れませんでした。
鑑賞日 7/16
鑑賞時間 12:05〜13:45
座席 G-12
「警察は何してる?」的ツッコミはNG
飛べないナチョスマン
タイトルどおりカモな みてのお楽しみ
カナダ🇨🇦映画
野球のメジャーリーグ アメリカと共同だから、てっきり 英語が全て
だと思い込んでた。
実はフランス🇫🇷語も公用語
フランス語オンリーで いつもの フランス語の入眠😪😪作用で ウトウト😪・・
よって
主人公と 自・願望の青年との 最初の出会いはわかったが、
最初に言葉を交わして部屋に誘い込む場面 見逃した。
小作品だと思ったら やっぱり小作品
詳細は書けないが 俺の予想どおり あくまで 俺の予想どおり
有料🈶パンフは 普通虫の普通
作品も 可もなく不可もなし 普通 名画座 小作品好きな方は良いかもな
まあ 超長いタイトル 訳文なし が 名は体を表すかもな
吸血鬼なので 夜🌉みたい
時間も短かったが レビューも史上最短
意外にお客さん居た。15人くらい 普通虫の・・・じゃ無くて 普通中の普通です。
是非劇場で見てください むしろカップル👫でみた方が 面白くはないが 記憶に残るかもね。
あのオチは初めてかも。
自分の中の中ニ生存確認映画
英語タイトルをカタカナにしただけの邦題が酷いですが映画自体は大傑作です
2023年10月開催のサンパウロ国際映画祭での鑑賞作品1本目。カナダ産ホラーコメディで“自殺願望のある人を探しているヒューマニストのヴァンパイア”ってタイトルだけで観ることに決めました。
ヴァンパイア一家の一人娘サシャは少女の頃に贈られたプレゼントが原因のトラウマに囚われてしまいヴァンパイアなのに年頃になっても牙が生えてこなくなってしまい、路上でピアノ演奏をして日銭を稼ぐ時以外は自宅に引きこもって輸血用の血を摂取しながら暮らしていた。いつまで経っても成長しないサシャに業を煮やした両親は彼女を家から追い出して自立している従姉妹のデニースと共同生活させ、自力で人間狩りをさせようとするが本人は全くやる気が起きない。そんなサシャの前に現れたのは自殺願望のあるポール。彼は彼女が吸血鬼であることを受け入れ自らの命を差し出そうとするが、今一つ納得がいかないサシャはポールに彼が死ぬ前にやっておきたいことを一緒にやろうと提案する。
私が愛してやまない、人間とヴァンパイアの心の交流を描いた『ぼくのエリ』からの影響が色濃くて思わずニヤニヤしてしまうわけですが、人間であるオスカーの葛藤を描いた『ぼくの〜』に対してこちらはヴァンパイアであるサシャと人間のポールの葛藤を両方描いている点が異なります。前者ではオスカーの前に現れる救世主がエリであるのに対して、こちらではサシャの前に現れる救世主がポールと真逆になっている点も非常に興味深いところ。ヴァンパイアの話ですがその根幹にあるのはティーンエイジャーの抱えるもやもや。誰にも理解してもらえず孤立した二人が偶然出会い共鳴し合い、お互い考えたことのなかった突破口を切り開く展開は猛烈に爽やか。『ゾンビ』や『ブレイド2』といったホラー作品だけでなく、『バッファロー‘66』へのオマージュもあったりして血塗れなのにクスクス笑えるし、ラストシーンではアノ映画のパロディで締めるという痛快さも相俟ってエンドロールでは拍手喝采となりました。これぞ国際映画祭の醍醐味。主演のサラ・モンペティが醸すいかにもヴァンパイアな雰囲気が鮮烈。虜になりました。
全20件を表示

















