「久しぶりに福田雄一作品の神髄を見た(笑)」聖☆おにいさん THE MOVIE ホーリーメンVS悪魔軍団 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
久しぶりに福田雄一作品の神髄を見た(笑)
原作もこれまでに作られた映像作品にも触れる機会は無かったのだが、福田監督作品と知ったことと、予告編の“ゆるい感じ”に惹かれて観賞。
【物語】
世紀末を乗り越えた神の子・イエス(松山ケンイチ)と悟りを開いたブッダ(染谷将太)は人間界で休暇中。 東京・立川にある6畳一間のアパートで共同生活をしながら庶民の暮らしを楽しんでいた。
そんなゆるい日常を過ごしていたある日、二人にある依頼が持ち込まれる。臨終のときに人々が目にする “走馬灯”のような人生のフラッシュバック映像に変わる、新たな映像作品への出演依頼だった。断ろうとするが、まんまと受託せざるを得ない状況に追い込まれ、製作が開始される。 しかし、それは神や仏、天使、悪魔が入り乱れる世界を揺るがす聖戦へと発展していく。
【感想】
大いに笑えた。
福田監督の作品で初めて観たのは“女子―ズ”。 当時の福田監督と言えば、まだメジャーな監督とは言えない存在だったが、あまりのバカバカしさは衝撃的でさえあった。とことこん、バカバカしさを突き詰めていた作品に“感動”。
すっかりファンになったのだが、その後銀魂シリーズ等ヒット作を連発してしまったのが良くなかった(?)。すっかりメジャーな監督に伸し上がってからは、その持ち味が鈍ってしまったように感じていた。以前は深夜番組のノリで、「万人に受け容れられなくても一部のコアファンに受ければいい」という思い切りがあったが、それが失われてしまったように思う。 しかし、本作は久しぶりに福田監督の本領とも言える、バカバカしさだった。これは褒め言葉です(笑)
最近で言えば“はたらく細胞”が良い例だが、コメディー作品であっても多くの場合“イイ話”を挟もうとする。俺はそれが嫌いだ。福田作品にはそれがなく、とことんバカらしさを貫く。
今回改めて福田監督の才能を考えると、(人を選ぶかも知れないが)笑いのセンスに加えて役者の面白さを引き出すことにあると思った。 今作で言えば、染谷将太は元々ややとぼけたキャラを身上としていると思うが、松山ケンイチはシリアスな芝居を得意としていると思う。その松山はこんな芝居も出来るところを引き出していると思う。
過去の他の作品を観ても、監督の仲間とも思える佐藤二朗やムロツヨシなどは別として、コメディアンやコメディエンヌとはかけ離れた役者に見事に笑いを取らせている。女優だけみても女子―ズの桐谷美鈴、有村架純、高畑充希、山本美月、銀魂の橋本環奈、本作では白石麻衣。ちなみに、白石麻衣は髪型もいつもと違ったので「これ誰?」と思ったけど、今まで観た中で一番可愛かった。
本作では上述以外の藤原竜也や窪田正孝、神木隆之介の熱演に大いに笑った。それを引き出した福田監督を褒めたい。
一方で、映画サイトのレビュー評点を見ると、すこぶる低い(笑)
しかし、それくらいでいいのだ。福田監督にはこれからも万人受けを狙わない、福田節を貫いて欲しい。 俺はそんな福田作品を応援します!