「カンフーから“ダンス”へ映画史的な系譜」熱烈 和田隆さんの映画レビュー(感想・評価)
カンフーから“ダンス”へ映画史的な系譜
1970年代のカンフー(功夫)映画を見てきたひとりとしては、約半世紀後の中国で製作されたバトル映画が、武術やカンフーではなく“ダンス”であることに非常に深い感慨を覚えます。少林拳や截拳道(ジークンドー)などでブルース・リーやジャッキー・チェンが戦い、相手を叩きのめす姿に胸を熱くしていたように、2020年代はダンスでの戦いに胸を熱くする時代や社会になったのだなあと。
70年代にアメリカのサウスブロンクスで生まれた戦う手段が世界に普及し、武術の発祥の地のひとつである中国でも人気のスポーツとなってその映画が製作されたことは、映画史的な系譜から見ても意義深い。人に向けるパワーを暴力ではない手段で発散し、自己の中の怒りや不満、そして夢や希望を表現するものがダンスになったのです。
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