劇場公開日 2025年2月14日

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聖なるイチジクの種のレビュー・感想・評価

全87件中、41~60件目を表示

4.0神とはなんぞや?

2025年2月25日
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約3時間たしかにあっという間だった

というか前半と後半で展開が変わる感じ

いつ銃が無くなるんだと思ってたら

そういう展開になっていくのね!

読めそうで読めない感じ
ミスリードか?と思わせる演出は上手い!

ただ、サスペンス映画としてだけ観ちゃうと割と王道タイプ

それよりも

"神に取り憑かれた"人の恐ろしさがよく分かる

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創

5.0たかがヒジャブで命を落とす無念が今も

2025年2月24日
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笑える

 イランの政権から目を付けられ、それこそ命懸けで映画制作を続けるモハマド・ラスロフ監督が本作で取り上げるのは、たかか布切れ一枚で、家庭がズタズタに切り裂かれる現実を寓意的に描く。イスラムでは必須の要求で当たり前かもしれませんが、本作のセリフにも「ヒジャブ着けないだけであり得ない・・・」のセリフが登場するから、私の感覚も違ってはいない。

 直接的には2022年9月19日のニュースに基づく。イランの首都テヘランで、マサ・アミニさん(22)は13日、頭髪を覆うスカーフを適切に着けていなかったとして道徳警察に逮捕された。目撃者によると、アミニさんは警察車両の中で殴られ、その後、意識不明に陥り、アミニさんは16日に亡くなった。この事件がきっかけで、実際に抗議行動が起きるも、徹底的に弾圧される。まさにこの抗議の模様の実際映像が本作にも挿入される。頭を撃ち抜かれた死体がそのまま画面に登場する衝撃。マサさんの面影もそのまま映し出される。

 この悲劇が本作の中で取り入れられ、テレビ映像も当時のものをそのまま使い、登場人物が不安にかられる描写がポイント。道徳警察による検挙を受けて、反政府デモ逮捕者に不当な刑罰を下すための国家の下働きをするのが公僕が本作の主役。禿げ頭なれど実直で、昇進も順当で大理石をふんだんに使用したコンドミニアムに何不自由なく住む。絵にかいたような妻と2人の美しい娘の4人の家庭が舞台となる。現状の暮らしを維持するためには国民の反感をかう政権に寄り添うしかない。当然に彼の仕事柄、活動家達から個人攻撃の対象となってしまう。これが本作のシチュエーション。その上で、役所から護身用の銃を貸与されるも、それが忽然となくなって・・さあ大変ってお話。

 イランの政治をウィキから引用すると、憲法では同時にイスラム教シーア派を国教と定め、キリスト教・ユダヤ教・ゾロアスター教の市民は被選挙権などを一部制限される二級市民として、バハイ教徒・無神論者などは、国内での生活自体を認められていない。政治と宗教が相いれない原則をつくづく思い知る。女性に対する制約もまた、私達の理解を超えた理不尽の域。本作は、それらを糾弾するのではなく、国家の仕組みを一家4人の関係性に落とし込んで描き、世界に知ってもらうのが役割。

 急進的な思想に染まる2人の娘を非難しつつも、母として2人を包み込む包容力で理不尽をのみ込む母親が素晴らしい。法律だ宗教だの前に根源的な産みの母が最優先なのは、当然。父親の仕事は政権に近いため娘達にも何をしいてるのか秘密って凄さ。そうこうするうちに抗議デモに参加した娘の友人が血まみれとなって家に運び込まれ、国家の縮図が家庭にすっぽりとハメられる。国家の為はひいては神のために、紛失した銃をモチーフにして、妻及び娘を疑い出した段階から、温厚な父親が秘密警察さながらの恐怖政治に一変する。

 緩やかな前半と比し、後半は別の映画化と思うようにトーンが異なってゆく。疑心暗鬼が何を産むのか、サスペンス色が増し、周囲の何気ない日常の視線が一挙に監視に見えてしまう不幸。カーチェイスをしてまで監視を逃れ、ついには家族内で銃を向け合う狂気にまで突き進む。母親の有り様との対比が強烈で、ジレンマの極致のままクライマックスへ突入してしまう。言うまでもなく実に不毛なまま絶望的地獄絵図となる。

 もとより父親の苦悩は判るものの、娘を監禁までするのね。肝心の次女の心理が今一つ不明確なのが玉に傷、よけいに父親をエスカレートさせてしまっているとしか思えない。これまでいい暮らしが出来たのも誰のお陰と思っているのか? と世の父親の嘆きが聞こえてくる。

 宗教は違えど、情報収集にテレビよりインターネットってところが痛く沁みます。ビデオカメラに封印された仲睦ましい一家の笑顔の映像が、悲劇を強調してしまう。どこからどう見ても人間の道を外れた現実をイチジクの種に例え、テヘラン市内を隠しカメラでロケーションの心意気を讃えるべきでしょう。アフガニスタンではもっと酷い状況とか。国際世論に訴えるしか術がない事を、理解したいものです。冬はともかく、クソ暑い日本の夏でもイスラムの女性は頭をすっぽりと覆っていらっしゃるのを見かける昨今。変えたい人々が多ければそれを受け入れ改革する柔軟性が試されている。

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クニオ

4.0イランの女性問題のドキュメンタリーで前半は実話

2025年2月24日
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怖い

2022年にイランで女性が顔にスカーフを巻かなかったため警察に逮捕されて偶然に死亡した。それから反政府デモが起こり警察による強制逮捕が始まる。後ですぐ調べましたが前半は実話なんですね。
前半は神映画だと思います。

しっかし後半のサスペンス、前半と後半がガラリと変わります。決してつまらないわけじゃないけど拍子抜けしました。この映画167分もあるし長く感じました。
後半ダレたので−1点の星4です。

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アメゾー

4.5上手い

2025年2月24日
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鑑賞方法:映画館

イラン映画。
イランという宗教国家が抱える理不尽で男権的なあり方をひとつの家族を題材に描き出す。
進むにつれおかしく強権的になってゆく父親の行動が、次第にイランという国家の在りようと重なってゆく上手い造り。
撮影は秘密裏に進められたというが、SNSなどで共有された動画なども使用しまったくそうした制約を感じさせない。ある場面の特殊メイクも凄かった…

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ぱんちょ

3.5猟犬の罪

2025年2月23日
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悲しい

怖い

難しい

家の中で消えた護身用の銃を巡り疑心暗鬼する家庭内サスペンススリラー。

映画の切り口は、体制派の猟犬のような仕事から脱却できそうな父とその家族の「家庭内」に焦点を当てているのが面白い。テヘランの情勢が緊迫するにつれ、家族内の不協和音が大きくなっていくのも観る者に伝わった。
そして、クライマックスに至る背景を存分に描けている点に評価したい。詳細は控えるが、家族が外部問題に対応する事で追い込まれていく描写が一つ一つ丁寧だ。更にこの映画を観れば遠いテヘランの状況はあんな感じだったのかと想像できた。

キーツールとしてスマホが大活躍だ。テヘランの若者においても、宗教的社会規範よりも家長の威厳よりも、SNSで流れてくる情報の方が真実のようだ。まさに御時世である。

ナイーブな話題ですが、映画としての切り口語り口はちゃんとエンタメ作品として成り立っているので、「聖なるイチジクの種」という監督の主旨をじっくり考えるも良し、純粋に、猟犬の罪を背負う父とその家族の疑心暗鬼サスペンススリラーとしてみるも良しだと思います。

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ihatakaeight

4.0私はお父さんの気持ちになって見てしまったので、 最後は切なかった

2025年2月22日
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私はお父さんの気持ちになって見てしまったので、

最後は切なかった

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jung

3.0聖なるイチジクの種(映画の記憶2025/2/21)

2025年2月22日
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悲しい

イランの社会変革を感じる作品。平和な日本だと考えられない世界線。たしかに保守的なイスラム世界だと上映厳しいw

キリスト圏や仏教圏だと意味不明な家族感だったりするから人によっては理解に苦しむ場面が多いかも。あとイランの暴動映像が多用されてて人によっては目を背けたくなるかも。
監督がこの作品きっかけでイラン政府から有罪喰らって、執行前に亡命したのも頷けるストーリー。

まぁ古い物はいずれ新しくなるわけだから未来の若者を抑えつける政治は良くないとも思う。少なくとも自分は若者に未来を見せられるおじさんでいたいw
若者から教わることも多いからね。爺になっても若者と会話できる人間になっていたい。
(個人的評価6点/10点中)

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motorad_kira

3.5日本が平和であることを再認識

2025年2月22日
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見終わったらどんよりした気分になりました。
家族の誰も悪くないのに不幸になる。
母親が一番大変だと思いました。

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チャーリー

4.0映画づくりの勇気と覚悟

2025年2月21日
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モハマド・ラスロフ監督が母国イランで秘密裏に撮影し、国外脱出後に完成させた作品とのこと。前半のほとんどが屋内シーン、後半は人里離れた荒れ地というのも、そうした事情からなのだろう。
現状のイラン社会に対する親子世代の意識の違いが大きなテーマだが、その間に位置する母親が前半の主役に見える。体制維持のため本意でない使命に苦悩する父親の姿も描いているが、影は薄い。
ヒジャブを発端とした抗議活動の実際の投稿動画と合わせて、姉の友人の顔の傷口から散弾を取り出すシーンは、痛ましく、胸が締め付けられる。銃が紛失して、疑われた母親と姉妹が、父の友人(おそらくこれまで多くの無辜に嘘の証言をさせてきた)の尋問を受けるシーンも、リアルで恐ろしい。
と、ここまでは傑作の雰囲気なのだが、テヘランを離れてからの後半は、トーンが変わって、父親の家族に対する狂気めいた行動が、まるでホラー(シャイニング?)のように描かれる。イランという国家と父親をダブらせる意図は理解できるが、ちょっと醒めてしまった。
監督はイランを脱出できたが、出演者やスタッフは国内に留め置かれて、取り調べを受けたとのこと。体制に異議申し立てする映画づくりが、いかに勇気と覚悟がいるものか、思いを寄せつつ、それは決して他人事ではないとも考える。

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山の手ロック

4.5マクガフィンとしての拳銃

2025年2月21日
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2024年。モハマド・ラスロフ監督。イランでまじめに宗教裁判所勤務の公務員を務めて来た真面目な男性と妻、その娘二人。男性はようやく調査員に昇進して判事への道も見えてきたが、ちょうどそのころ、イスラム教の女性蔑視に抗議していた若い女性が死亡したことをめぐり、警察の暴行を疑う市民たちの抗議運動が過激化。男性は司法の場で抑圧的な体制に従って働かざるをえなくなり、そのツケが家族の不和へとつながっていき、、、という話。
イスラム教独裁体制であるイランにおいて、もっとも抑圧されているのが女性。この物語では良識的だった男性もまた抑圧側に徐々に魂を売っていく姿が痛々しいが、その被害を家庭内の女性たちがもろにあびていく。後半ではお約束どおり一番若い少女をはじめとした女性たちの反乱がおこっていくのだが。
そこで、拳銃。自宅で拳銃を紛失した男性は出世に響く失態と考え、マッチョな家父長としての「本性」をあらわにしていく。その意味では拳銃は決定的に重要な意味を持つ。しかし、最終的に発射される銃弾は意味をなさないので、拳銃がなくなったこと、または、拳銃を持ち歩いていること自体で画面にみなぎるハラハラドキドキの緊張感のためのアイテムだ。まさにヒッチコックが言うところ「マクガフィン」。
実際の事件を元にしており、抗議運動の様子などはスマホで撮られたらしい実際の映像も多数引用しているようだ。イランの人々に光が指すことを祈りたい。

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文字読み

4.5ヒジャブと拳銃の象徴性。

2025年2月21日
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前半のヒジャブデモに伴う、家族に漂う不穏な空気感と、序盤に出てくる拳銃の悲劇が後半への繋ぎとなって一気に終盤に流れ込む展開。
前半はスマホで撮影された凄惨な動画の数々に緊張感ある展開。後半はテヘランからひとけの無い郊外にロケ場所が変わるあたりに諸般の事情が伺える。
イスラム法を下敷きに国や指導者と家長の相似関係を巧みに操りながらラストとデモ動画をセットにしたカタルシス。
気分としては映画2本分観た感じで、シナリオの旨さに感心してしまった。

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そろそろだな。

3.0ラストは、観客は勿論、登場人物達も予測できない

2025年2月20日
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母国の弾圧に屈せず、映画を完成&上映にこぎつけたことには敬意を表します。
尺がもう少し短ければより説得力が増したと思います。

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sugar bread

4.5

2025年2月20日
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難しい

この監督は絶対観る!
と決めていたので、仕事帰りでも3時間耐えて観れました笑

イランの現状と
銃が無くなり
家族の仲の亀裂
父の本性、、、

3時間で最初の印象と最後の印象が変わる映画ですね

テーマは一貫してます

是非皆さん観てほしい

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アプソ

4.0なんとも苦しい映画

2025年2月20日
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素晴らしいの一言に尽きる。前半は国家の不条理を描きこんなにも大変な国家は嫌だな〜と思っていたが、後半からは家族のたった四人で国家のなぞりを見せている凄いメッセージ性の高い作品。
監督は国外追放されて遠隔で一部を演出したと聞いてそれも凄い。
生きるか死ぬかで映画を撮影して公開するのは、こんな国家ないだろう、自分の国ではないだろうと思わせといての家族が国家。
身に沁みて日頃から生きなければならない。

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るい

4.5衝撃的な面白さ。再び地獄に向かう世界を想う。

2025年2月20日
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鑑賞方法:映画館

イランの政体は単純な宗教的強権国家ではない。憲法はもちろんあるし直接選挙も実施されている。一応、三権分立も形作られている。ただ最高指導者(現在はハメネイ師)が君臨し、監督者評議会とか公益判別会議とかイスラム法に基づくジャッジメントを執行する機関が三権に常に介入する。
しかしながら世俗勢力と宗教勢力が常に妥協を図りつつ、わずかづつでも世俗化が進んでいくのがイランらしい現実主義ともいうべきものであってアフガニスタンのタリバン政権やサウジアラビアの王権主義とは異なる。
この映画も最近のヒジャブ闘争を下敷きにして(実際の映像もかなり使われている)イラン社会の分断を描く。ヒジャブ闘争では何人もの若い女性が命を落としておりマサ・アミニさんの名前は実際に映画でも取り上げられている。なお、イマンが隣の車線に停まった車中の欧米風身なりの若い女性をじっと眺めるシーンがあるが彼女はやはりヒジャブ闘争で命を落としたニカ・シャカラミさんによく似ている。監督からのメッセージというべきものだろう。
さて、イマンは検事局に勤めていて調査官に昇格した。「判事に昇格する」との翻訳は恐らく間違いであって予審制度があるのだから予審判事を目指しているということなのだろう。公開の裁判を経ることなく死刑まで宣告できる訳で(上訴は一応できるようだが)恨みを買ってもおかしくはない。一方でSNSが爆発的に拡散し、仮想敵を勝手に設定して何の権限もないのに私的制裁を加えようとする動きが世界的にものすごい勢いで増えてきている。(黒沢清の「クラウド」を連想した)
イマンはその対策として役所から銃を持たされるのだがこの銃が家の中で見当たらなくなることによってのっぴきならない立場に追い込まれる。
二重三重の板挟みとなった彼は家族を疑い目的も明確ではない支離滅裂の行動に出る。といったところで後半30分ほどは社会の分断が家族にまで及びまさしく地獄絵図が繰り広げられる。
我々はやはり地獄に向かっている。もはや逃げ道はないのかもしれない。民主主義国家ではこんなことは起こらない、と楽観的に考える愚を改めて考えさせられた。

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あんちゃん

5.0命がけの作品

2025年2月20日
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監督のモハマド・ラスロフは、本作制作後に禁固8年、むち打ち刑、財産没収の実刑判決を受けて、国外脱出をした。

ひとつの家族を通してイランにおける強権的なイスラム体制と、自由を求めて反発する若者という対立の構図が、ドキュメント映像を交えてとてもリアルに描かれている。

イラン社会の閉塞感がすごい。21世紀になっても未だに神による統治とかやってるの終わってる。500年前の中世かよ。
国民の思考停止振りと、神への依存と服従という脆弱なメンタリティが痛すぎる。ヘジャブかぶらされてる若者が反発するの分かる。一方で、無実の者を死刑台に送る体制側を象徴する父親の苦悩ぶりもちゃんと描かれてる。

政治宗教的な内容なんだけど、映画作品としても良く出来てて、切り裂くような台詞とかヒリヒリするような緊張感とか、エンタメとしても面白い。

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CR7

3.0前半と後半の急変についてはよくできてるが、最も印象に残ったのは恐ろしい場面かも。

2025年2月20日
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悲しい

怖い

前半については、まあ、こういう系の映画によくあると言えばよくある、イスラムの政府の恐ろしい圧力に怯えてる恐怖、不自由さ、残虐さ、何が起きるか不安に緊張し続ける。
出世してもそんなに気分悪く過ごし、家族関係も悪くなるようなら、そんな仕事!続ける意味ある?!みたい思うがそれ続けることでどんどん病んでいくんだなあ・・・あんまり表情変わらないお父さんだから、内面は相当壊れていってたのか。
お母さんがイスラムらしく、凄い夫をサポートする真面目過ぎる妻で、娘についても頑固一徹かと思いきや、娘たちの言うことも何気に聞いていたり、黙ってサポートしてくれたりするところには表面には出さない(出せない)ものの、その社会の不条理や、何を優先すべきかわかっている強い母で感心した。イスラムの古い考えに縛られているだけなら、彼女のような行動はとれないはず。
押さえつけられていても、着実に、イランの変化は進んでいると思った。
途中の暴動がらみの場面、恐ろしすぎてめちゃくちゃ印象に残った。
散弾銃についてもよく知らなかったし。あんなの今でも警察やら政府が鎮圧用で人に向けてるなんて恐ろしすぎる。
後半、前半あっての流れではあるものの、だいぶ様子が変わってくるが、
前半の感じのままだとよくある映画のひとつになってしまうから、あえて、意外な展開にしたのか(つながりあるから意外ともいえないが)
もしかしたら、後半部分みたいな話も作ってみたくて、二つの感じを連結させたのか?ってくらい、タイプが違うのは、全体的に怖い話なのだが、ちょっと、おもしろ・・・
途中も、普段の自分たちの生活の中では想像できないような世界の話なので、先がどうなるのか怖がりながらも気になり、集中して見れた。
長くてトイレ行きたくなったがw
後半の展開のせいで、結構印象に残る映画になったような。しかしなんでそういう逃げ方するの?とか、娘の活躍がタフで賢過ぎてまるでアクションヒロインもののような感じに。
防寒のために透明フィルム被ってるシーンは、一見そこに放置されていた殺人死体かと思ってぎょっとした。
後で予告編見たが、予告編でよくある、つなぎ方がめちゃくちゃだし、この映画宣伝の説明で、この映画の内容はほとんどわからないので、気になる人は、迷わず見たらいいと思う。

映画の中でも、そんなことあり?ひどすぎる、ってことは写されているが、実際、この映画の関係者の自由が奪われているっていう、ありえないようなことも現実に起きているので、そういうのを知る人がひとりでも増えることは、意味あると思う。

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しゅま子

5.0決死の覚悟で作られた映画

2025年2月19日
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鑑賞方法:映画館

アカデミー賞の国際長編映画賞にノミネートされ、日本でも先週から公開され(上映館がかなり少ないが)ジワジワと評判高まってるようなので鑑賞。かなりの長編でしたが前半はイランのちょっと豊かな家庭の情景とスマホ画面で差し込まれる実際のデモや暴動のシーンに引き込まれ、後半は拳銃紛失後の捻れた家族の関係が崩壊に向かうサスペンスに打ちのめされ、衝撃のラストで息が止まってしまいました。
夫のイマンは20年真面目に仕事し判事手前の調査官になり家族にも広い官舎に住まわせる事が出来たが、機械的に死刑を宣告するような仕事に神経をすり減らしてしまい、拳銃がなくなってからは家族の信頼を裏切る行為(友人に尋問させる等)がエスカレートする。妻のナジメは夫の体を心配し立場も尊重し娘たちに厳しくあたるが同時に母として彼女たちを守らなければいけないので葛藤に揺れる。長女レズワンは今起きていることに対し正しい意見が言える新しい考えの女性だ。次女のサナは子供だと思っていたが実は冷静に社会と両親を見ていた。彼女が拳銃を隠した理由は不明だがイマンが家族を疑い卑劣な行為を繰り返す中で自分自身の正義が芽生えてきたのだろう。結果、どうしようもない悲劇となるが、モハマド・ラスロフ監督が伝えたいイランの今の真実なのだと思う。
監督は国家安全保障関連の罪で実刑判決となるも命がけでイランを脱出し遠隔で映画を完成させたとのこと。又室内以外の街や車の中での撮影はロケなど組めないので全て盗み撮りとのこと。映画のスタッフや俳優も撮影終了後は逮捕リスクがあるのでイランから出たがナジメ役の女優は捕まってしまったらしいです(町山智浩氏のコラムより)。
決死の覚悟で作られた映画です。アカデミー賞獲って欲しいです。

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アベちゃん

5.0脚本が凄い

2025年2月19日
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ドイツに亡命し命懸けで撮った167分の大作
だが銃はどこにいったのかというサスペンスドラマとしても面白い。革命裁判所、過激なデモは遠い国のニュースの中の世界に思えるがスマホ映像の生々しさにどんどん引き込まれた。最初は親の立場で感じ、その後は娘の立場で思う。家族を養うためにメンタルやられながら父は頑張ってるんだぞという思いからの展開が凄い。男尊女卑な「昭和」を「女性」で過ごした人は共感部分も多そう

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木曜日

3.5ドイツ代表作品

2025年2月19日
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鑑賞方法:映画館

第97回アカデミー賞では“ドイツ代表作品”として国際長編映画賞にノミネートされた本作。監督の来歴をWikipediaなどで確認すれば判る通り、大変厳しい状況下でも諦めることなく「表現」し続け、いよいよ祖国を離れドイツへの亡命したニュースなどを聞いていたこともあり、非常に興味深く待っていた作品です。TOHOシネマズシャンテ、サービスデイ10時15分からの回はそこそこの客入り。
2022年にイランで起きたマフサ・アミニさんの不審死が発端となり、その後イラン全土に発展したイラン反政府デモが背景となる本作。作品内でも時より、当時SNS等で発信・拡散された動画を織り込みながらの映像は非常に生々しく、目を覆いたくなるシーンもありますが、作品を観終わればむしろ同国に対する「興味」がより深まること必然です。
良く練られた脚本はドラマ性が高い上に、当時のイランの状況や問題がよく解る内容で、リアリティーを強く感じさせるフィクションに仕上がっています。そして、作品内における女性、特に若い世代のセリフの一つ一つが芯を喰っているからこそ、旧態依然としたままのさばり続ける男性、権力、ひいてはイラン政府に対して「NO」を突きつける強い意志が感じられます。勿論、メッセージ性だけでなく物語りとしても非常に面白く、特に作品の中心となる一家それぞれのパーソナリティと、夫の「職業設定」が絶妙です。そして、夫・妻・娘たちそれぞれの群像劇で動き出すストーリーは、ある「事件」をきっかけに全方向に対して疑心暗鬼。中盤以降は「一体どこへ向かうのかと」とくらくらするほど予測不能な展開はスリル満点で、上映時間167分とやや長めの尺ですが、ダレることなく最後まで目が離せません。
勿論、イスラム教やヘジャーブ(ヒジャブ)のことなど、Wikipediaを斜めに読んだ程度のにわか仕込みで物は言えませんが、抗議デモにおけるスローガン「女性、命、自由」が強く印象に残る一方、どの世界にも共通する「ダメな男達」の存在に改めて、他山の石としなければ思う私は、モハマド・ラスロフ監督と同世代(正確には一つ年上)。。実に素晴らしい作品だと思います。

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TWDera
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