「抱えている闇は解決しないがいい終わり方」時々、私は考える kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
抱えている闇は解決しないがいい終わり方
人とのコミュニケーションを苦手とするケイトが、新しく職場に来たロバートとやりとりする中で変わっていく話。ポイントは、ケイトが自分が死ぬことを時々妄想してしまうということ。タイトルもそこから来たもの(原題ではDyingと入っているし)。
でも、死ぬことを妄想するシーンは思ったほど多くない。死ぬことというより、死んだ後の姿を妄想することもあったし。それほど異常性を感じさせるものではなかった気がする。そしてコミュニケーションの方も下手というより普通に引っ込み思案な程度に見える。ここらへんの設定がやや甘いので後の変化が劇的ではない。
そもそもロバートに好意を持つようになった経緯もぼんやりしている。その割にケイトが意外と積極的だったりもする。積極的な割に拒否したりする。妙にじれったいしもどかしい。でも、彼女の存在のコンプレックスみたいなものを考えるとその気持もわからないではない。うまくいくわけないよと思えば踏み出せないよな。
後半の彼女の変化はわずかであっても微笑ましい。抱えている闇が解決したわけではないが、少し明るい未来を示唆している終わり方はよかった。静かに時が流れる映画はあまり得意ではないが、本作はアリだった。すごく高い評価にはできないけど観てよかった。
それにしてもロバートの距離感の縮め方と空気感の作り方のうまさよ。別の意味で2回結婚できただけある。
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