時々、私は考えるのレビュー・感想・評価
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小舟のようにゆったりとたゆたう
まるで写し鏡のような映画だ。ここに刻まれた93分間の軌跡を、取るに足らない時間と捉える人もいるだろうし、逆に自分の内面を見透かされたようなハッとした気持ちになる人だっているはず。どちらの反応があったっていい。いずれにせよ、本作はゆっくりとした時間の流れと、美しい日常の景色で浸されている。デイジー・リドリー演じる主人公は他人と交わろうとはしないし、職場の皆も彼女の人柄に理解を示しているかのよう。だが、そこに新たな同僚が投入されることで化学反応が生じる。相手へのささやかな関心。二人の間で築かれる交流。海に浮かぶ小舟のような日々が、やがて流れ着く岸辺。みんな何かを抱えて生きている。そんな中で相手を思いやり、ふと想いをかたちにすることの難しさと尊さ。それは何かを変えるかもしれないし、変えないかもしれない。が、少なくとも誰かのことを大切に想った事実に変わりはない。その愛おしさを噛みしめたくなる一作。
Bittersweet Office Romance
Dying is deadpan drama about the lull of solitude in singlehood in the 30's and beyond. Ridley takes on a serious role of a pessimistic secretary running through the everyday hoops of white-collar suburban life, and comedian Merheje plays a co-worker who tries to sweep her off her feet, despite having his own skepticism about the verity of romance. You might as well soak it in if you need to.
邦題が酷い。
デイジー・リドリーはもっといい映画出て欲しい。
原題は「時々、私は死ぬことを考える」で、邦題のように「死ぬこと」を抜いたらわけわかんなくなっちゃうと思うんだけど。
まあしかし原題のとおり「死ぬこと」が加わったところで、大して意味のあるものになってるとも思いませんでしたが。
主人公は自分の死ぬ場面を時々理由もなく考える癖があるんですが(その想像のシーンは美しくてなかなかのものですが)、、そんなこと考える暇があったら何かもっと他にやることあるんじゃないかなーという気がしました。
猫でも飼えばいいんじゃないの?
とりあえず申し分なく生活はできてるが、なんとなく居心地悪くてもやもやしてる独身女性(独身男性のパターンでもいいけど)が、なんとなく適当に出会いとか周囲に変化があったりとかして、なんとなくこれでいいんだ的なぼんやりした結論に落ち着く話、日本にも時々あるような気がするけど、これは日本に限らずそこそこニーズがあるってことなんでしょうかね。
そんなところに救いはないよ、と言いたいですけどね。
もっと本気でかからないと、灰色のの靄のかかったような毎日は、ずっと灰色のままですよ。
別にそれはそれで、そんなに悪いことでもない。
とりあえず生きていけてんのなら。
それに甘んじるのが嫌で、かといって真剣に何かに向き合うこともせず、なんか適当にふらふら立ち回ってるうちに自分の本当の場所見つかりました、みたいな都合のいい話は自分は嫌いだし、共感できないですね。
この映画の主人公の場合、職場の男性とのあれこれが話のメインになってるんだけど、これがまあ、魅力の乏しい男で。
映画の重要な役回りだったら、もう少し魅力ある人物であって欲しいよ。
ルックスも言動もまるきりイケてるところがなくて、ほんっとどうでもいいキャラクターでした。
こいつが何言おうが何しようが、まるで興味が持てないなーと思いながら見てました。
イケてないのはその男だけではなくて、主人公がなんか職場の人に呼ばれてホームパーティーに行って、即興ストーリーつきのかくれんぼみたいなゲームするんですけど、あれ面白いですかね?
まあ暇つぶしにやる分には文句はないけど、そこに映画のエピソードとして意味を持たせるのは、なんかこう、寒い。
そんな感じのぬるいというか寒いというかどうでもいいというか、そんなことしか起こらないまま、なんとなく主人公がちょっと積極的に周囲と関わり始めたところで終わりになります。
まあこういう映画の結論はこんなもんでしょう。
上にも書いたように、そんなとこに答はないと思うし、あたかも答があるように語る話はインチキくさくて嫌いです。
じゃあ自分がその答の在処を知ってるかと言われると、甚だ自信がないんですけども。
結局もがき方が違うだけで、同じ沼につかってる同類を見てやいのやいの言いたいだけなのかもしれないですが・・・。
希望の灯り
こんな職場で働けたら、と、私も妄想してしまった。
コミュ障な主人公に対する、周囲の人々の距離感がとてもよい。
フランが職場の皆さんにドーナツの差し入れをすれば、全員が口々にフランありがとう、と言って喜んでシェアする。ホームパーティーでは、彼女の渾身の演技を大いに楽しんで、またぜひ来てよ、と言われる。
決して無理強いしないがフランが自分からコンタクトを望めば受け入れる、温かい人達。
貨物船が来て貨物の積み下ろしがあるような小さな港町の佇まいが良い。
そんな街で、こんな職場で、こんな人々と過ごせたら。
私だったらそれだけで毎日が幸せだ。
自分が死んでいる妄想をするのが密かな楽しみという彼女は変わっているが卑屈なわけではない。無理に人に好かれようとしないので他人に忖度しないし不本意な社交もしない。行きたければ行く、したければするという、良い意味で自分本位なところは逆に羨ましい。
ロバートみたいな人は私はちょっと苦手だが、フランには好もしい人なんだろう。
彼の二度の離婚の原因はよく調べたほうが良いと思うよ。
定年退職した元同僚の姿に、考えさせられるものがありました。
フランの今後には、希望の灯りしか見えない。
そんな映画は珍しいなと思った。
心の襞の小さな凹凸
成長
ちゃんと生きること
妄想に陥りがちなコミュニケーション苦手の女性が、ある出逢いを堺に少しずつ変わっていき…といった物語。
序盤はフランの妄想を見せながらも静かな展開。曇り空でハーバービューな風景が美しい…が、妄想の産物があちこちに。
そんななか、陽気なロバートが入社。青いうん◯の話から、2人の仲が始まり…。
他人の関わりを好まない人も様々ですからね〜。
本当にコミュニケーションが嫌いなのか、或いはホントは話したいんだけど…といったタイプか。
フランはどっちなんだろう?と考えながら見ていましたが、やっぱり彼女は…。
そのあたりも含め、とにかくフランの表情のつくりが抜群!!
居心地が悪いのか、実は少し楽しんでいるのか…どちらとも読み切らせない雰囲気が絶妙でした。
対するロバート。彼も彼で実はフランとは違った不器用さが…う〜ん、わかる気がする。
ワタクシ自身は、フランとロバートを掛け合わせたような所があるので、しんみりと見入ってしまい…からの急なお笑いもぶっ込まれて驚いた(笑)
全体を通し、大きな起伏がある作品ではないが、少しずつフランが変わっていく様は観ていて嬉しくなったし、節々のさりげない一言が胸に沁みる。
ちゃんと生きることは難しい…再会のあの人の言葉、フランにはどう響いたかな。
そして、まだ知らないよ…にもグッときた。
刻めば☆4.3にもいくような、美しく良い作品でした。
因みにフランさん、この映画には良いところがたくさんありましたよ〜(笑)
引っ込み思案で人づきあいが苦手な女性の、成長物語
ゆったりとした夜ドラ風
フランの趣味は仕事。
得意なのは表計算ソフト。
食事はレンジでチン。
テーブルではなく、陶器貼りのキッチンカウンターで立ったまま。
ハンバーグにかけるのは
ヨーグルトかと思ったらカッテージチーズ。
原題はSometimes, I think my dying. ときどき私は死にそうになることを考えるですか。
幻覚のような妄想シーンが突然出てきます。希死念慮が強いというわけでもなさそうです。
醒めているだけ?
デイジー・リドリー🤩
こんなちょっと変わった娘だけど、ちょっかい出してみようかなぁってついつい思ってしまいます。
つきあったら案外面白そう。
お相手役はカナダのコメディアン。
仕事中のチャットしすぎ💢
いい職場ですねぇ。
定年まで辞められませんね。
小さいがゆえに愛すべき世界
完成度が高い名作とは言えないかもしれないけれど、心の糧にしたい映画に出会った。
不器用な女性社員が、新入社員でありながらも人付き合いに慣れた男性の誘いに乗り、新しい一歩を踏み出す。褒められることにも自分を語ることにも慣れておらず、相手に期待外れを感じさせてしまったり、不用意な言葉で傷つけてしまったり。小さな波風を味わいながら成長していくという予想の範囲内のストーリー。
人となじめない主人公フランが、同僚たちへの手土産にドーナツを買っていき大げさに喜ばれる場面は映画「夜明けのすべて」にそっくり。どちらの会社も、事情を抱えた主人公を適度な距離で見守ってくれている。ただし本作については何の仕事をする会社なのかは不明で、社員たちはランチに何を食べるか、窓から見える港の景色の変化などを始終おしゃべりしている。そうした会話が、フランの耳を無意味な音声の連なりのように通過していく描写が続く。
タイトルにもなっているようにフランは「時々、死ぬことを考える」(邦題では「死ぬことを」という重たい部分が省略されている)。 本当に希死念慮があるのかもしれないが、他者と同じ世界に居合わせながら、同じ話題や感情を共有できない主人公の孤独を表現しているように思った。同僚たちが会話に熱中しているとき、フランは自分を持てあまし、空想に浸らざるをえないのだ。
そのようにフランを置き去りにする同僚の会話を、不思議と耳障りには感じなかった。社員たち各人もじつは孤独であり、食べ物をめぐる他愛ない会話が、つかの間それを癒してくれる。そんなドライで、熱くなりすぎないけれど暖かい世界が描かれているように思った。
わからない英会話を少しだけ聞き取れたときのように、かすかに他者との接点ができる。しかしストーリーはそれ以上ドラマチックに広がっていくわけではない。そこを物足りなく感じられるかもしれないが、これは何度でも繰り返せそうな小さい一歩。そこに希望を感じた。
人づきあいが苦手な主人公の日常に、自分を投影して、いちいち痛い。 主演のデイジー・リドリーの繊細な演技に感動。こういう映画も大事。
人づきあいが苦手な主人公の日常に、自分を投影して観てしまう。
チャットのやりとりなど、ちょっとしたことに戸惑うことなどに、身につまされてしまい、観ていて、いちいち痛い。
わかる。
彼女にとって、ホームパーティに訪れて、殺人ゲーム?に参加するといのが、いかに大変なことかと思う。
慣れない会話で、言ってしまった一言に週末の間、ずっと一人で後悔して思い悩んでしまう。
月曜日に出社したあと、謝って泣く。
映画としてはとってもミクロな出来事が、取り上げられていることに感動します。
こういう作品が存在することも「映画」のいいところと思う。
主演のデイジー・リドリーが「スター・ウォーズ」のフィンという超大作の主演と言う大役とは真逆の役を好演。
とても繊細な感情の揺れの、大げさではない演技がとても良かった。
「時々、私は考える」として、原題にある目的語を書かないところがいい。
日本語の面白さがある、いい日本語題名と思う。
ちなみに、私も自己紹介では、無難な線でもあるので「映画好きです。」と言います。
つい受けを狙って「年〇〇本見ます!」と言ってしまうのですが、そのときは、引かれないように少なく言うように心がけてますw
抱えている闇は解決しないがいい終わり方
人とのコミュニケーションを苦手とするケイトが、新しく職場に来たロバートとやりとりする中で変わっていく話。ポイントは、ケイトが自分が死ぬことを時々妄想してしまうということ。タイトルもそこから来たもの(原題ではDyingと入っているし)。
でも、死ぬことを妄想するシーンは思ったほど多くない。死ぬことというより、死んだ後の姿を妄想することもあったし。それほど異常性を感じさせるものではなかった気がする。そしてコミュニケーションの方も下手というより普通に引っ込み思案な程度に見える。ここらへんの設定がやや甘いので後の変化が劇的ではない。
そもそもロバートに好意を持つようになった経緯もぼんやりしている。その割にケイトが意外と積極的だったりもする。積極的な割に拒否したりする。妙にじれったいしもどかしい。でも、彼女の存在のコンプレックスみたいなものを考えるとその気持もわからないではない。うまくいくわけないよと思えば踏み出せないよな。
後半の彼女の変化はわずかであっても微笑ましい。抱えている闇が解決したわけではないが、少し明るい未来を示唆している終わり方はよかった。静かに時が流れる映画はあまり得意ではないが、本作はアリだった。すごく高い評価にはできないけど観てよかった。
それにしてもロバートの距離感の縮め方と空気感の作り方のうまさよ。別の意味で2回結婚できただけある。
アメリカにもこんな映画が…
グーニーズ
時々、私も考えます
生きるって難しい
時々、私は死を考える。が正解の内容。
人付き合いが苦手で、デスクワークの小窓から眺めるクレーン作業をみてはあのフックに首を吊ってみたらどうなるのかと妄想にふけたり、或いは死の世界を連想させる緑いっぱいの木々に囲まれた世界でただぼんやりと空を眺めている。
或いは、浜辺のビーチで流木を拾い集めテントにすると中に入り寛いでいる。
それらは全て死後の世界だったのだろう。
唯一死後じゃないとしたら単独事故を起こしたと連想して急ブレーキを踏んだシーンではないかと思っている。
大好きだと話したカッテージチーズはチーズが好きではなく菌が好きだと否定するなど主人公のフランが人付き合いにおいて周りとあわせるのも、気を遣いたくないから今迄避けてきたのでは?
そんな楽しみが見いだせないフランに新入りのロバートが入社すると、明るくてフレンドリーで優しいロバートに対し次第に心を開くようになり、やがて二人で逢瀬を重ねるようになっていく。
仕事以外の楽しみを見つけたが、ロバートがバツ2であることを知り、過去を許容できないフラン
は思わずロバートに言ってはいけないことを話してしまいロバートを怒らせてしまう。
その結果、2人の関係に溝がうまれるわけだが、ロバートの前任だったキャロルとフランが偶然にも再開を果たすとクルーズで旅行に出かけていたはずが実は夫の介護をしている事実を知る。
キャロルはフランが何を抱えているのか悟ったのかフランに対し適切なアドバイスを送り、今までしてこなかった差し入れ用にドーナツを買ってきたりと、今までしてこなかったことをして周囲を驚かせると、その中にロバートの姿があった。
フランはロバートに別室にくるように促すとロバートは嫌がる様子もなく別室へ入る。
フランはロバートにきついことを話して申し訳ないと話し、ロバートも冷たい対応に出て悪かったとお互い謝罪して仲直りしたあと、フランはロバートに今まで悩んでいた自殺願望を打ち明ける。
それを知ったロバートはフランを優しく抱き締めた。大丈夫だ、俺がいる。力強く背中が物語るラストが非常に印象的だった。
【”私はツマラナイ人間なの。”人付き合いの苦手な女性が、少しづつ自分の殻から出ようとする姿が印象的な佳品。デイジー・リドリーって大作スターだけれど、今作の様な小品での佇まいも良き女優であるなあ。】
■人付き合いが苦手なフラン(デイジー・リドリー)の職場に、定年退職したキャロルの後釜に来たロバートが来る。
彼女は、髭面で優しそうな彼に、少しづつ興味を持って行く。
◆感想
・フランの職場での態度が控えめで笑顔もあまり見せない。キャロルの送別の色紙のメッセージもほんの一言。彼女の挨拶の時も、一番後ろで黙って見ている。
けれども、それが彼女の性格だという事が徐々に分かって来る見せ方が巧い。
職場の皆も、そんなフランと普通に接している。
・ロバートと、席がすぐ近くなのにチャットでメッセージを交わしつつ、度々仕切りから彼の様子を見る姿が可愛い。
そして、彼女の得意な事。それは表計算ソフト。クスクス。
・フランは寝るときに、不思議な空想に耽る。それは、彼女が森の中や、海岸で死んでいる空想である。変わっているなあ。
■けれども、フランはロバートから映画に誘われて、一緒に行く。気になる人だからね。
で、帰りに軽く食事をした際にロバートから感想を聞かれた時の答え”面白くなかった。”オイオイ、そこは合わせてようよ、と思うがフランだからね。悪気はないんだよね。
で、ロバートから家に誘われると、付いて行くのである。
そして、映画好きの彼から”音楽聞いててね。映画音楽だけど・・。”と言われて掛けたのが、ナント”ミステリー・オブ・ラブ”。
ジュリー・クルーズの浮揚した美しいヴォイスが印象的な幽玄耽美な曲である。
という事は、二人で観た映画はデヴィッド・リンチの「ブルーベルベット」だろう。
そして、彼女はロバートから感想を聞かれて”これは、好き。”と答えるのである。そうだよなあ、死の空想に耽る人だからねえ。
そして、ロバートから誘われて、パーティに出席してそこには職場のギャレットも居て楽しい時を過ごす様になるのである。
・けれども、その帰りにフランは、ロバートから色々聞かれて、”そんな事だから、奧さんと別れるのよ!”と言ってはいけない事を言ってしまうんだよね。不器用だなあ。けれど、彼女が無垢でもある事の証明なんだよね。
■で、翌朝フランは、ドーナッツ店に出勤途中に寄った時に、寂しそうに一人で座っている夫とクルージングに行っているはずのキャロルと出会い、彼女から”夫が病気なの。”と言われて、少し考えて、職場の皆にキャロルから勧められたドーナッツを買って行くのである。
驚き、喜ぶ職場の人達。
その姿を見てから、フランはロバートを倉庫に読んで“ゴメンなさい。”と涙を流して謝るのである。
フランが、少し自身の殻を破った瞬間であろう。
<今作は、フランの沈黙も葛藤も受け入れる温かい職場の人達に囲まれながら、少しづつ殻を破って行く姿を描いたヒューマンドラマの佳品である。
ご存じのように、デイジー・リドリーは「スター・ウォーズ」で大抜擢されて、あっと言う間に大スターになった女優さんだが、制作にも関わった今作では、別の魅力ある姿を見せてくれている。素敵な女優さんだと、私は思います。>
晩夏の一服の清涼剤
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