「三姉妹の悲喜こもごもの物語:2024年最高の喜劇!」お母さんが一緒 鶏さんの映画レビュー(感想・評価)
三姉妹の悲喜こもごもの物語:2024年最高の喜劇!
三姉妹が母親の誕生日にプレゼントした温泉旅行の旅先で繰り広げられるドタバタ喜劇ドラマでした。
アラフォーの長女・弥生(江口のりこ)、30代半ばの二女・愛美(内田慈)、アラサーの三女・清美(古川琴音)が、目まぐるしく攻守を交替させながら姉妹喧嘩を続ける様子は、笑いの連続でした。特に江口のりこが演じた長女・弥生のキャラクターが最高で、常にイライラした感じの表情やメイク、怒りが感じられる直線的な動きが非常に滑稽で秀逸でした。特に冒頭のシーンで、メガネの鼻パッドの部分にティッシュらしき紙を付けたまま登場。怪我をしているのか、アレルギーの類いで付けているものなのかと思っていたら、実は単に取り忘れていただけということが分かり、笑わずにはいられませんでした。
その後も3人の掛け合いはエスカレートしていきますが、その中心にあるのはあくまでもお母さん。ところが旅に同行しているはずのお母さんは、最初に車の中にいる姿がチラッと見えたものの、顔も見えずセリフもなく、その後は一切登場せずにお話が進んで行くのがミソでした。
いずれにしても、3人ともお母さんや他の姉妹に対して文句を言いつつも、お母さんに喜んで貰おうと自分なりに必死で努力しているのが伝わって来て、そういう土台があるからこそ愛のあるドタバタ喜劇として楽しめたんだと思います。
まだ2024年も半ばではありますが、今年の喜劇映画としては最も面白かったと感じた作品でした。
因みに原作はペヤンヌマキの舞台劇だそうです。ペヤンヌマキと言えば、「映画 ◯月◯日、区長になる女」で監督をされていた方で、同作で初めてお名前を知りましたが、こんな面白いお話を書く方だったのかと、今さらながら刮目したところでした。
そんな訳で、本作の評価は★4.5とします。